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われ御身を愛すコミュの昭和三十一年七月三十日、愛親覚羅慧生より木下明子へ

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お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。あれから帰って机の上を見回ししたらO氏(青森)から来ていました。それからもう三通来ております。また旅行に出たとのこと。フナフナなんて、すっかりわすれていましたら、今朝、軽井沢から手紙がきました。でもご心配なく。フナフナなんか問題にしていません。それより考えれれば考えるほど悩みが多くなるようで困ってしまいます。私の考え方間違っているかしら。これから書きますから批評してくださいませ。
青森氏からのお手紙、例の通りなんですけれども、もっぱら景色とか、郷里の工業発展とか、郷里に対して愛をもって活躍しなければならぬとか、いうことばかり書いてあって、ますます右派的に見えます。私そういう青森とは接線を持てないように思えます。私は育ちがブルジョア風だし、青森氏は泥にまみれて田に働いているお百姓さんを一番尊敬し、映画を見たり、口紅をつけたりすることを快く思わないような人だし、どうしてもついて行けないような気がします。
やっぱりあまりかけはなれた人が結びつくことは不幸になるのではないかしら。愛情とか友情とかいう感情というものによってそのかけはなれたスキマをとびっこえることは、瞬間的にはできるかもしれないけど、一生を結びつけあうということは、友情とか、そんな感情で解決できる問題ではないと思います。
育ちとか、趣味とか、性格とか、生活程度とか(私たちは、そんなもの何でもないと思いがちですけど)、そういった基礎的なものが一致してなければ、永い間にお互いの生活を持ちこたえることはできないと思います。
私の親族と青森市の親族とは、生活も考え方も遠い、私自身さえ青森氏とは育ち方も考え方もちがうし、青森市の考え方、生活の仕方にはついていけません。
結婚生活というものは、おたがいに相手のために少しずつゆずり合うことにより、円満に行われるものだと思いますが、今、私がみている青森氏は、自分と言うものには決して人をふみ込ませず自分がしようと思ったことは、どんなことがあってもする性格なので、相手に対してゆずるなどということは決してせず、自分のペースに人をも従わせようとする人のようです。
三ツ峠びときも、私がのびてゆっくり登っているのに、どんどん先に島子たちと登ってしまたし、もっとも私の荷物はもっていましたけれども、とにかくそういう傾向のある人です。私とすれば、荷物はエコが背負ってもよいから、一しょにゆっくり登ってほしかった。青森氏が私をいたわって、私のペースをも考えて、私と青森の生活や過去のちがいによるスキマをうめようとして、少しでもゆずってくれればともかく、そうでなければ、私にはとてもあの青森氏についてゆくことはできません。
青森という人は、平凡に、人のするとおりにつとめて、平穏な家庭生活を楽しみ、課長や重役になって円満に社会に出て行こうとする人ではなく、自分の思ったことを囲りにはおかまいなくやり抜くことを生きがいにする人だと思います。むろんそういう生き方もよいと思うし、そういう生き方にどうしてもついて行かなければならないとすれば、ついて行けないことはないと思いますけれど、私はいざとなると、そういう変動や苦労の多い性格についてい行くのが、こわくなる。
私のお嬢さん的な臆病な悪い点だと思いますけれど、いざとなて母や親類の反対を押し切ってまで、そういう性格の人についていけるかということになると、どうしても不安でついて行くことができません。今は青森氏に好意を持っていますし、信じてもいますけれど、そんな問題だけで一生を委せることはどうしてもできません。といって同じ生活程度で、趣味も同じ、考え方も同じという同士でも叔母のようなことになる例もあるし、むしろ性格や親族などが、全くかけ離れた人でも、私が本当にたよりにできる、個性とか実力をもった青森のような人の方が幸福かもしれないし、今の段階では、私にはどちらが正しいのかわかりません。
あと四年間つきあえばk、どうなるかきまるでしょうけれど、やっぱり母は反対だと思います。それを押し切ってまで結婚するということは、私はしたくないし、青森氏にも悪いと思います。
とにかく今はこういう段階です。青森市と話をしていて、よく、話題がなくなったり、黙ったりすることがあるの。ミスター旦那とは、不思議に何でもなく話ができて、話しているのが楽しいという気持ちになります。
二人の性格の相違でしょうか? とにかくウラナリのときは、尊敬しきって口をきいてくれるのも光栄のいたりで、姿をみただけでもありがたがっていましたけど、青森氏にたいしては、欠点が目につくし、尊敬という気持ちは全然ありません。田舎ッペイだと思うし、頭の方も私より少し幼稚だと思っています。でも半恋愛かも知れません。半恋愛なんていう言葉、はじめてききました。恋愛なんていうものでないことはたしか。ウラナリのときののぼせ方とはまるでちがいます。冷静です。
私、今失恋中なのよ。高根さん方面において。もっともあれはこっちがふったようなものだということにしておきます。
青森には、けっしてけっしてネツなんかあげませんからご心配なく。いたって冷静に観察中。
それでは、何らかのご意見お聞かせ下されたく候。

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