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[dir] 動物・獣医療コミュの10/1 消えたニホンカワウソ 受難史に多くの教訓

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消えたニホンカワウソ 受難史に多くの教訓

産経新聞 10月1日(月)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121001-00000079-san-soci


 ■毛皮目的の乱獲と環境悪化 1960年代の最後の救済機逃す

 国の特別天然記念物で絶滅危惧種だったニホンカワウソが、環境省のレッドリスト改訂で絶滅種に指定された。かつては全国の水辺に生息していたが、毛皮目的の乱獲や環境悪化で姿を消した。受難の歴史をたどると、早期対策の大切さなど多くの教訓が見えてくる。(長内洋介)

 ■カッパのモデル

 ニホンカワウソはラッコに似たイタチ科の中型動物。泳ぎが上手で、川や海岸で魚やカニなどを捕食する。約140年前の明治初期までは、東京を含む全国に生息する身近な生き物だった。カッパのモデルになった動物の一つで、多くの民話にも登場する。

 しかし、昭和54(1979)年に高知県須崎市で見つかった1頭を最後に、30年以上にわたって目撃情報が途絶えたことから、環境省が今年8月、絶滅を宣言した。

 カワウソに詳しい東京農業大の安藤元一(もとかず)教授(哺乳類学)は足跡などの減少傾向から、90年代にはすでに絶滅していたと推定する。国の絶滅指定は時間の問題だった。

 安藤教授によると、日本人とカワウソの関係は縄文時代にさかのぼる。当時の貝塚から骨が出土しており、食用にしたらしい。室町時代の料理書には蒸し焼きにする調理法が紹介され、江戸時代には食文化の一つとして広まった。

 毛皮は水をはじき、内側に綿毛が密生しているため良質で、各地で毛皮目的の狩猟が行われた。また、肝臓は漢方薬の原料として珍重されるなど、さまざまな目的で捕獲され続けた。

 ■遅すぎた対策

 江戸時代までの伝統的な狩猟はカワウソを取り尽くすことはなかったが、致命的だったのは、明治初期に始まった著しい乱獲だ。

 幕藩体制下の制度が廃止され狩猟が野放しとなり、大量のカワウソが捕獲され、毛皮が欧米に輸出された。さらに日露戦争や第一次世界大戦などで厳寒地に向かう兵士の防寒用に、膨大な毛皮が必要になったことも乱獲に拍車を掛けたとみられる。

 北海道における捕獲数はピークの明治39年に891頭に達したが、そのわずか5年後には70頭に激減。その後も回復しておらず、乱獲が絶滅の引き金になったことがうかがえる。

 国は昭和3年にようやく狩猟を禁止したが、密猟は続いた。北海道、本州、九州は1950年代に絶滅したとみられ、わずかに生き残った四国でも、高度成長期の60年代に入ると護岸工事などで生息地が減少。農薬使用による水質悪化や餌の魚介類の減少などが追い打ちをかけ、息の根を止められた。人に悪さをするカッパのイメージから、撲殺されることもあったという。

 60年代以降は愛媛県が保護に乗り出し、国の天然記念物にも指定された。しかし、飼育下繁殖に失敗したり、隣県の高知で取り組みが遅れるなど、有効な対策を打ち出せないまま絶滅へのカウントダウンが続いた。

 安藤教授は「60年代はカワウソを救う最後の機会だったが、対策が一歩遅かった。明らかに減り始めてからではなく、その前に手を打たないといけない。新聞もカワウソの記事が増えたのは減少後で、早期警戒情報を発信できなかった」と指摘する。

 ■野生復帰の可能性

 カワウソは韓国や欧州でも減少していたが、近年は回復傾向にある。韓国の大邱市では都市部の河川に野生の個体が定着し、市民の人気を集めているという。

 安藤教授らは、日本でも現在のきれいな水質なら大半の河川で生息可能とみており、海外のカワウソを日本の川に放して、野生復帰させることができるか検討を始めた。

 神奈川県で捕獲された個体の毛皮からDNAを採取し、中国やロシア、韓国のユーラシアカワウソと比較した結果、遺伝情報がほぼ同じことが判明。遺伝的に日本と同じタイプの中国産トキが放鳥されたように、カワウソも野生復帰の道が開ける可能性が出てきた。

 安藤教授は「生息適地や漁業被害の影響などの研究が必要だが、タブーのプロジェクトではない。川辺で泳ぐ姿が復活すれば、人々の心を豊かにしてくれるのではないか」と話している。

 ■「外来種の駆除が急務」石井信夫・東京女子大教授(哺乳類生態学)

 ニホンカワウソはかつて捕獲で数が減った上、高度成長期の開発を乗り切ることができず絶滅した。エゾオオカミとニホンオオカミも駆除が主因で絶滅したが、現在の日本では、捕獲が原因で絶滅の恐れがある哺乳類はほとんどいない。

 里山で農業がすたれて耕作放棄地が増えた結果、一部の哺乳類の生息地はむしろ拡大しており、ニホンジカやイノシシは爆発的に増加して食害などの問題を引き起こしている。ヒグマや、九州では絶滅したツキノワグマも全体的には心配ない。

 絶滅危惧種の保護でいま最も重要なことは外来種の駆除だと考えている。特にマングースは、奄美大島でアマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、沖縄島でヤンバルクイナなどを捕食しており、根絶に向けた努力が続いている。対馬に放たれたイノシシはツシマヤマネコの生息環境を悪化させている。小さな島ではもともと生息数が少ないので絶滅が起こりやすい。

 外来種の駆除は、心理的に抵抗を抱く人もいるが、将来の絶滅を未然に防ぐ大事な取り組みだ。野生生物の保全に対する国民の意識は以前と比べて高まっているが、対策についての理解は不十分。正確な知識と考え方の普及が重要だ。(談)

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