自由、平等、平和コミュの自由と“天上のパン”

　ドストエフスキイの絶筆『カラマーゾフの兄弟』の中にこんな1節があります。

　――「たとえ幾百人、幾千人の人間が、“天上のパン”を求めてお前（イエス・キリスト）の後の付き従おうとも、“地上のパン”をあきらめることのできない幾百万、幾千万の人間はどうなるのだ。俺様（悪魔）は、地上のパンをあきらめることのできない人間どもにパンを与えてやる。そのかわり、奴らから自由を奪ってやるのだ。ごく平凡な人間にとっては、自由は苦痛でしかない。“天上のパン”に満足できる、ごくわずかな人間しか、自由という苦痛に耐えることはできないのだ。」

　ここには、みごとなまでに人間の本質が描かれていると思います。自由には責任が伴う。その責任は限りなく重い。餓えた人間が、目の前にあるパンを他人に与えることができるでしょうか･･･。自分自身を振り返ってみても、確固たる自信はありません。

　もっとおいしい物が食べたい、もっといい家に住みたい、もっといい服を着たい･･･、人間の欲望には限りがありません。これらはすべて“地上のパン”にすぎません。私達はいつも“地上のパン”を求めて生きているのではないでしょうか。言い換えれば、私達人間は「地上のパンの奴隷」です。

　私は勿論キリスト教徒でも何でもありませんが（無神論者です）、人間が人間である限り、自由且つ平等な世界は訪れないのではないか･･･、時折そんな気持ちになります。

　皆さんはいかがですか？