-坂本龍馬-コミュの気概が失われる、日本の若者たち

気概が失われる、日本の若者たち
～教育再生会議の議論に思う～

　共同通信配信の記事が地元紙に載った、東大教授の苅部直氏の論文「失われる気概　政治家までが「平穏さ」装う」を読みました。昨年末に実施された高校生の「意欲」に関する日本・米国・中国・韓国の比較の報告を検証したものでした。

～熊本日日新聞、5月15日の記事から～
　・多少退屈でも平穏な生涯を送りたい
　・一生懸命頑張っても、必ず報われるとはいえない
という選択肢に、「とてもそう思う」と答えた高校生の割合が、日本はぬきんでている。
　・偉くなる
については、偉くなりたいと考えない高校生が、日本では過半数を占めた。なまじ出世するとろくなことがないと思っている気配である。
　自由民主政治の確立は、多くの人が生存の心配をせずに生きることができ、だれもが平等な市民の一人として認められる社会を作り出した。しだいに人材が小粒になり、気概に満ち溢れる人に、お目にかかれなくなるのは、程度の差こそあれ、先進諸国が共通して抱える傾向であろう。（以上、本文から抜粋）

　この2日前に、アメリカのジャーナリストの故デービッド・ハルバースタム氏の功績について、早稲田大学客員教授の藤田博司氏の論評が掲載されていました。

～熊本日日新聞、5月13日の記事から～
　1962年にベトナムに（ニューヨークタイムズ誌記者）派遣された。若きハルバースタムが戦場から伝えた戦争の実相は、米軍当局や米政府の楽観的な説明と大きく食い違っていた。
　ハルバースタムの報道を目の敵にしていた米政府は63年、当時のケネディ大統領が彼をベトナム取材から外すように同誌の社首脳に働きかけたが成功しなかった。
　彼を同時代のジャーナリストのなかで際立たせているのは、権力にこびることなく一貫して「真実の追求」を実践してしたことだろう。2005年にコロンビア大学で行った講演で、彼は若いジャーナリストの卵にこう諭した。「有名になろうと思うな、賞を取ろうと思うな」。そして「権力をおそれるな」。（以上、本文から抜粋）

～熊本日日新聞、5月15日の記事から～
　ただ、平等がいち早く進んだはずのアメリカでは、偉くなりたいと思っている高校生がまだ多いし、「やりたいことにいくら困難があっても挑戦してみたい」の割合も高い。

　日本人の「気概なさ」の現状は、ただ闇雲に知識を詰め込み、有名大学に行き、安定志向の職能、職場に付くことだけが尊重される教育観にあるように感じます。ハルバースタム氏の生き方で示した「気概」の基は、゛どう生きるか゛を教える（学ぶ）教育にあるように感じます。

　ハーバード大学では、成績が良い人ばかりでなく、何かの分野で秀でた学生を何割が入学させて、互いに刺激を与える環境を用意すると聞きます。関西のある小学校では、「おててつないで、かけっこ」の徒競走があると聞きます。平等と言う意味が違うように思います。それぞれの特性を生かせる教育環境こそが、平等と言えると考えます。

　最近の日本の政治家も「穏やかで親しみやすい雰囲気を装った方が支持があつまる」と思っている人もいるようです。ただ、この「気概のなさ」は、程度の差こそあれ、先進国共通の傾向のようです。

　これからの日本に、アメリカ・ジャーナリズムの象徴と言われた故ハルバースタム氏のような、世を思い、独立独歩のリーダーが出ないようになるのは、少しさびしい気がします。教育再生が新聞紙上を賑わす中で、教育の仕組み論議より、「どう生きるか」の教育を重視する教育観を広げて欲しいと思います。

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＜今日の一言＞
「人間の潜在能力は、各人そんなに変わらない。しかし、そろぞれの特異な才能において天地の差が出る。」
（植田正也著「電通『鬼十則』」三章より）

コメント(8)

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[1] mixiユーザー 05月28日 11:09

確かに今の日本人は、平和ボケしていて弛んでいる部分が多いにあると思います。懸念すべき点かもしれません。
でも
「多少退屈でも平穏な生涯を送りたい」
「偉くなりたくない｣
と言う意見が他の国に比べて多いというは、そこが日本人のよさなのではないかと思います。

「日本人は現実主義だ｣
という意見を本の中でよく見ます。
島国で資源もなく、農耕民族として発展してきた日本人は
小さなことからコツコツと励み、その結果として自分は偉くなるのだという考えが染み付いているのではないでしょうか。
禅宗のお坊さんの仰っていたことで、
「欧米ではボランティアにどれだけ参加したかがその人の評価に繋がる。日本でもそれを取り入れているようだが、ボランティアも立派なことだが、それ以前に自分の親にボランティアをしているかどうかの方が大事だよ。お母さんに、ご飯を作ってあげたり、お父さんにマッサージをしてあげたりしているかい？」
壮大なことを考えることも素晴らしい。
でも、「僕は、好きな仕事をそれなりにやって、あとは趣味と家族があれば良い」という考えも素敵なことだと思います。
他の国には真似できない日本の細やかなサービスや、精密で頑丈な機械などは、そういう日本人の現実的精神から来るものなのではないでしょうか。
これは、あくまでも私の考えですが、私はそういう日本人を誇りに思います。

[3] mixiユーザー 06月01日 14:47

海外の、または偉人達に学ん己の糧にする事は大事な事だと思います

しかし、その前にまず自分の周りのことから学んでいくべきかと思います
私は子供達と一緒になることが多いのですが、その子供達に
「君のお父さんは、とても勉強ができたんだよ」
「君のお母さんは、若い時はバスケットのスター選手だったんだよ」
「近所のあの叔父さんは、昔こんな事をした人なんだよ」といった話しをしています

そしたら、その親御さんたちが「この頃よく言う事を聞いてくれる様になりました」と言われます

日本人が日本文化の事も知らずに外の事ばかり勉強しても
あまり意味がないように思います

まず自分の事を知って、そして周りの事を・・・
そうしないと比較も出来ませんからね
比較できる物があるからこそ、あぁだからこれは凄い事なんだ
と考える事が出来るんだと思います

ちょっと話しがずれちゃいましたね＾＾；すいませんｗ

[4] mixiユーザー 06月03日 05:15

僕の家はみな坂本竜馬の大ファンで僕も竜馬についての色々な本を読み最近考え片が変わりはじめました。みなさんのコメントを読んで、そんなに専門的な知識も持っていないし、行ってる大学も三流ですが、日本人が気概を失っているというのわ同意見です。幕末にかけて日本人の武士達は日本を変えるために大勢死にました。みな日本の未来が変わる事だけを考え平気で腹を切りました。他の国の人達も陸上戦では日本のサムライには勝てないと腰がひけていたそうです。それを初めて読んだ時、色んな面がダラダラしている日本が大嫌いだった僕が日本人に生まれてよかったなと誇りが持てました。僕も偉そうな事が言える立場ではないですが、今の日本の政治家や若者を見ていると寂しくなります。みんな武士のような大和魂を忘れずしっかりした生き方をみつけてほしいですね。しゃしゃりました

[5] mixiユーザー 06月03日 09:06

はじめるとするならば、正しい歴史認識と、戦前のような精神教育が必要だと思います。

[6] mixiユーザー 06月03日 10:13

みなさんの意見を大変興味深く読ませて頂いてます。
様々な角度からの視点、大変勉強になります。
ありがとうございます。
個人的な意見として...
幕末の当時は風潮として、幕府に対して、そして世間、
未来に－(マイナス)を抱き、それをモチベーションと
してたように思います。このままじゃイカンと。
そう考えると、それだけ今の高校生にとっては、
現状の日本というのが、ある程度の欲求(特に物欲?)が、
基準を満たしてて、住み心地が良いと感じているのでは？
国策レベルとして、ある意味で成功、ある意味で危機感を
鈍らせてしまったのかな。というのが僕の見方です。
過去を振り返った時、じゃあ当時高校生だった自分が
“気概”を持って精進していたのかと考えた時に、
胸を張って「ハイ」とは言えないので
今更偉そうに言えないのですが...
結局“何に感化され、何に憧れるか”っていう事を、
若い頃にちゃんと理解する、恥ずかしがらずに受け留める事で、
今後の人生が大きく変わるという事。
そのアンケートに答えた日本の高校生は
まだそうゆう“何か”に出会ってないのでしょう。
情報がこれだけ氾濫してますし、何をせずとも飯には
困らない状況の中で「気概」を持つ、夢を持って直向に生きる事は、
ある意味で難しい事なのかなと思います。

なにかに夢を持ち、それを実現する為に精進する。
人の生涯ってようはその繰り返しにより自身を
高みに上げていく事にこそ意味があるのでは？！

その事に僕は高校卒業後に、やっと気づけました。
頑張れ高校生。熱く生きてほしいですね。

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