原節子コミュの原節子と小津安二郎

昨日は鎌倉駅そばの山内静夫さんのお宅に伺った。山内さんのことは何十回も書いているが、白樺派の文豪、里見弴先生の四男で小津安二郎の映画のプロデューサーだった方である。山内さんには昨日の産経新聞の書評に山内さんのことを書いたので届けるという名目だったが、実は重大なお願いがあった。
山内さんに「女優の香川京子さんと岸恵子さん、司葉子さんを紹介してほしい」と頼んだのである。三人とも小津映画に出演しており、山内さんとは昵懇の関係である。この三人に小津安二郎と原節子、笠智衆のことを取材しようというもくろみである。いま、執筆中の「鎌倉物語」は昭和の鎌倉文士が主人公だが、例外として小津安二郎と原節子、笠智衆のことも書くつもりである。三人とも鎌倉在住だからである。とくに小津安二郎と原節子についてはライフワークにしたいとも思っている。いつかそれぞれで一冊の本を書きたい。これまで「鎌倉物語」に関しては、小津と原節子と笠智衆のことは山内さんの取材と資料だけで書くつもりだった。しかし、先日から香川京子さんと岸恵子さん、司葉子さんを取材したいという発想に取り憑かれた。自分で自分の発想に酔ってしまっている面もあるが、いま聞いておかないと埋もれてしまうネタである。
山内さんはぼくの申し出を快諾してくれた。ついては先ず、来月、司葉子さんが鎌倉でトークショーをやるのでその席上で紹介してもらうことになった。実は日本の映画人で唯一、現在の原節子と接点を持っているのが、司葉子さんなのである。司さんにできる限り、原節子のことを聞こう。
いつも作家として固く自分を戒めていることがある。それは「二番煎じは絶対に書かない」ということ。自分にしか書けない独創的な原節子を書きたい。原節子ファンとして、そんなことが書ければ望外の喜びである。