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みんなにやさしい自作小説コミュの残滓

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仕事中は職場の管理人室で過ごすことが多い

しかし、この正月は、母の体調が優れないので、自宅に戻っていました

家で食事したり洗面台に立ったり、トイレに行ったりと、

ごく普通に暮らしていて、そしてふと、感じるもの

しばらく家を空けていて、もう何ヶ月もたっているのに、何かを感じる

自宅のちゃぶ台の前に座ってるとね、擦り寄ってくる錯覚に見舞われるんですよ

立ってると、足に擦り寄ってくる錯覚

柱の影や、戸の隙間、上に上がる階段のお気に入りだった場所に

それは、もう死んでしまった我が家のネコの記憶

足元にも、食卓の下にも、入り口の柱にも、彼女の痕跡がいたるところに残っている

そして、生前と同じように今も我が家住んでいるのだ

「ちびたま」

我が家に20年と6ヶ月の間家族の一員だった猫

そうだったね

お前は家族の一員だった

気性が荒く、機嫌が悪いとすぐ家から出て行って、ほとぼり冷めると

また近寄ってきてごろごろやるんだ

まだ家に、お前の記憶が今もと息を潜めている

不自由な体から抜け出した今も、お前にとっての居場所

あの汚い家の何処にそんなに愛着があるんだい?

もう、お前がいなくなって5ヶ月が過ぎた

そして、ご近所の人もお前のことをすっかり忘れたことだろう

お前を慕ってあれほど集まってきた猫達も、

今はすっかりあの町会からすがたをけしてしまったよ

蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまったんだ

小学校のときの先生は、ネコのような動物には、

人のような魂はないと言った

はたしてそうだったのだろうか

あの小さな猫の額には、明らかに好き嫌いを伝えるに十分な何かがあった

それを魂といってはいけないのか?

ここ数日、私は今も息づくあのネコの生きてたときの何かを感じた

おそらく、生き物は、人が考えるようなものじゃない

人となんら変わりはしないのだ

お前の子供たちはこの町内に伝説を残したんだよ

弓道場の陽だまりで寝ていたお前の子供「ぶち玉」が、

危ないからといって威嚇で飛ばした矢に憤慨し、それを銜えたまま、

藪の中に消えていったそうだよ。

「トラ」はよその家に上がりこんで違う名前で呼ばれて餌をもらって、

そこのうちの仏壇のご馳走を守っているんだってさ。

そんな彼らも、親より早く死んじゃったし。

今はゆっくり暖かい陽だまりの中でねていればいい。

だから、忘れたころに「にゃあ」なんて鳴き声立てないでおくれ。

「ちび玉」やすらかに

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