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みんなにやさしい自作小説コミュのR指定 「欲望」

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タチアナは子供をつれて繁華街に買い物に出かけた
彼女の母はロシア人。日本人の男性と結婚し、今は東京に住んでいる
ゆえに、肌は雪のように白く、ブロンドの髪が一層引き立て、彼女のふくよかなボディラインは街ゆく男たちも一度は振り向いた。
彼女の子供隼人ちゃんも、母親似の色白だった。
だが彼女はそんなことはよそ目に、自分のほしいものを買うと、さっさと家に戻った
彼女は外の世界がなじめなかった
日本に来てはや20年。言葉は問題なく誰とでも話せたものの、多くの者が彼女を稀有な目で見る。
その視線に耐えられなかった。
ある日タチアナが公園で遊んでいた子供を迎えにいくと、そこにわが子の姿はなかった。
タチアナはあたりを探した。行きそうな所すべても探した。
もちろん友達のうちも。しかし、わが子隼人の姿はなかった。
タチアナは雅之に電話をした。彼女の亭主である。
彼は「すぐ戻る」と言うと、会社の車を借りて帰ってきた。
二人は手分けして探したが、結局見つからず、その晩警察に捜索願を出した。
警察から戻ると、ポストにメッセージが届いていた。
開くと「iphoneにセカイカメラを入れて近所の公園を探せ。ただしこのことは警察には言うな」とかかれていた。
二人はその携帯を持っていなかった。其処で翌日、携帯会社に契約に行くと、雅之は早速セカイカメラをインストールし、公園に向かった。
そこは自宅から歩いて10分ほどの場所にあった 。
雅之が早速セカイカメラを起動し、公園のいたるところをくまなく覗いた。
しかし、手がかりは見つからない。其処で設定をいじって、距離と時間を最大にすると、公園の滑り台の上に、いなくなった日のタグが残っていた。
茶色のフレームに写る写真は隼人の姿だった。
タチアナは「隼人、見てこの子うちの子よ」と叫んだ 。
雅之は「ああそうだ」と言いながら、タチアナをなだめると、再びあたりをセカイカメラで見て回った。もしかしたらほかにもタグが残されているかもしれない。
そして公園の出口付近に白いフレームが揺れているのを見つけた。
二人は其処で驚愕の事実を知る。
そのフレームに残っていた画像は、テレビでおなじみの、あのグレイと呼ばれる宇宙人だった。
「まさか、こんなのに誘拐されたの」
「タチアナよく見ろ、これは作り物だよ」雅之は見抜いた 。
だが、そのフレームの裏にメッセージが残っていた。ピンクの枠を拡大すると、此処から先はタチアナ一人で来い。場所は東京タワーの第一展望台とだけ書かれていた 。
二人は何か稚拙さを感じたが、だんなとともに東京タワーの近くまで車で行くと、怪しまれないようにタチアナ一人で展望台に向かった 。
展望台には平日にもかかわらず、多くの人がいたが、タチアナは再びセカイカメラで展望台をくまなく探した。しかし、此処にタグはなかった
だが、タチアナが窓の外にフレームを振ると、あの宇宙人の姿が現れ、メッセージが残されていた。
『お前の携帯番号を、浜離宮の中池にある中島の御茶屋のどこでもいいから、お前の登録したGメールのメアドとともに其処にのこせ』
と書かれていた。
タチアナは言われたとおりに大門から地下鉄に乗ると、新橋で下車し、浜離宮を探した。公園は都心にあるにもかかわらず、とても静かな場所だった。四方は堀で区切られている。その公園の地図を見ると、言われたとおり茶屋があった。そこでタチアナは言われた通りにメッセージを残すと、あたりをふたたびセカイカメラで捜し歩いた。
一方雅之は、タチアナから公衆電話で浜離宮に向かうと言われて、芝から車を飛ばした。しかし道は渋滞し、ついた頃には既に閉園していた。其処でしばらく車を止めて待つが、タチアナは帰ってこなかった。
雅之はその足で築地警察に飛び込み、通報するなと言われていた約束を無視し、家族の安否を最重点に行動した。警察は浜離宮付近に非常線を張りタチアナの姿を探した。しかしどこにも彼女の姿はなかった。
警官はそれでも池の中に沈んでいる可能性もあると考え、ダイバーに池をさらわせた。しかし池にもその姿はない。
そのうち茶屋のほうで何かが発見されたようで雅之が呼ばれていくと、そこにはタチアナのiphoneが残されていた。
雅之はもしやと思いセカイカメラを起動させると、あの宇宙人の姿があった。
その横にはピンクのタグがあり、拡大すると
「タチアナはいただいた。隼人は自宅だ」とかかれていた。
警察は彼の子供の通報を受けた署に連絡を取り、隼人君が無事保護されたと報告を受けた。しかしなぜこんなことになったのか。
雅之は事のすべてを警察に話し、「なぜ知らせないのか」と注意を受け、今後犯人側からの情報が入ったときは必ず通報するよう注意を受けた。
暫くタチアナからのメッセージは何もなかった。翌日、雅之はセカイカメラで東京タワーにに残されたメッセージを探しにいった。

その頃、タチアナは真っ暗な部屋に閉じ込められていた。そしてベッドに伏せたままの状態で手足を縛られたのだろう、体を動かすことができない。ベットの上で体中に焼けるような激痛を受け、何度も意識を失った。いったい自分に何が起こっているのか。このまま殺されてしまうのか今までにない恐怖に見舞われていた
頭には念入りに真っ黒に塗られたシールドつきのフルフェイスヘルメットがかぶせられていた。そのヘルメットの中には音楽が流れ、まったく外の様子がわからない。そして、気がつくと仰向けにされていた。そして再びあの激痛。誘拐されてから何日たったのだろう、彼女にはもう曜日の感覚がなくなっていた。しかし、口にはチューブで流動食が与えられていた。そのおかげで体力が失われることはなかった
だがある日、彼女は解放された。最後に覚えているのは暗闇にたたせられ、おそらく半裸のままだろう、とても明るい光源が照射され、長時間寝かされ、ふらふらだった彼女はなすがままだった。
犯人は何枚も写真を撮ると、彼女をおいたまま立ち去った。そしてGメールにメッセージが届いた。
警察はただちに指定された場所に向かった。彼女は東京湾に浮かぶクルーザーの中にいた。
浜離宮の指定の理由はそこにあった。ここは陸の孤島なのだ。
閉園後、犯人はこの船でタチアナをさらっていったのだ。
警察が船室のドアを開けると、彼女はまぶしさのあまり叫んだ。
警官はその姿に驚いた。タチアナは半裸にされていて、その素肌のほとんどにボディペイントのようにタトゥが施され、数千に及ぶ高価な貴金属で作られたボディピアスで体は飾られていた。
タチアナはしばらくショック状態だった。
だが、それから半年後、犯人は捕まった。
男はタトゥアーティストで、かなり前からタチアナの体に刺青をしたいと言う願望に駆られていたのだ。
刺青を施すには、それなりに条件があるらしい。タチアナの肌を見たとき、その欲望はとても抑え切れなかった。しかし彼女の警戒はどんな男をも寄せ付けることがなかった。いままで何度かモデルになってほしいと彼女に話を試みたものの、ことごとく無視され、仕方なく男は子供がいたことを知って、隼人君を誘拐し、タチアナを誘い出した。男はそこまでしても彼女の体に自分の作品を彫りこんでみたかったのだ。
男は惜しげもなく、銀座の貴金属商から数十億もの24金やらプラチナにダイヤをちりばめたボディピアスを買い込み
全部を彼女の体に埋め込んだのだ。
その数は数千個にもおよんだ。おなかにちりばめた輝くピアスはまるでスワロフスキー製のシャンデリアのようなドレスを纏った姿のようだった。
そして背中から肩にかけて蛍光色の花々がちりばめられ、巨大な生きるアートを作ることに成功したのだ。

だが男は捕まった。
彼はその写真を自分のネットに史上最高の作品として公開したのだ。

タチアナにはその姿を見せられなかった。
彼女はそれからもずっとショックから抜けきっていなかったのだ。
その上、誘拐され、何日も激痛を与えられたのだ。
彼女が正常に戻るまでそれから5年かかった。
雅之は彼女の装飾品すべてをはずして売りさばき、タトゥを消し去ると、家族の絆は一層深まり、末永く幸せに暮らしました 。
あの男がやったことで唯一よかったことは、タトゥの技術がすばらしく、ごく浅くしか掘らなかったため、放って置いても3年後にはタトゥはきれいに消えていたことくらいだろう。

その後彼は獄死したそうだ。

おしまい

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