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みんなにやさしい自作小説コミュの「地球にないものを売るお店 1件目」

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「地球にないものを売るお店 1件目」
2009年01月08日02:46




第二次世界大戦さなかに、とある国で秘密裏にUFOが作られていたと、

よく少年誌に書かれていた。

少年ハルトは好奇心旺盛で、自分の街にも何かの痕跡が無いかと、

よくお友達と話していた矢先、

友人が不思議なお店を見つけたと言ったのでした。





『怪しい骨董屋』



街の片隅に、一件の骨董屋さんがあった。

その店はいかにも昔からそこにあるような佇まいで、

何年もその土地で老舗のような店構えなのだが、

ハルトには生まれ育った自分の街に、

こんなお店があったことを最近までまったく知らなかった。

男の子なら、大抵の子なら「探検」と称して、街の隅から隅まで知ってて、

子供同士知識を自慢するのが生業だったからだ。

でも、そのお店の怪しい雰囲気に彼はすぐ虜になっていきました。

そこで、疼く興味を抑えきれなくなったそんなある日、

こっそり覗きに行ってみようと思ったのです


しかし、ハルトはお店に入ってすぐに骨董品の並ぶ陳列ケースの中にあるものを見つました。

表面には放射性物質を示すマークが張られているライター。

店の店主の話では、

「これは宇宙人が落としたもので、この地球のものではないがこれはライターだ。確か異国の言葉で、アマテラス・・・とかいってたな」

というのだ。

ハルトはそんな馬鹿なと思いながらも、

このライターが見たことも無い形であり、

あまりにもカッコイイので子供ながらにも無性にほしくなりました。


「ねえ、親父さん、これいくらでうるの」?


店の店主は、

「これは子供には売るつもりは無いし、お前に買える金額じゃないから」

と左手を横に振って答えた。

そして、こう付け加えました。

「お前さん、それが危険なものだと知っているのか?

横にガイガーカウンターがある。針をよく見なさい。

それでも君は買うのか」



そういわれて、彼はアルミのカバーが真っ白に腐食したセンサーの先をライターのほうに向けると、スイッチを入れた。

針はぐんぐん0から遠のき、危険を示す赤のエリアにいとも簡単に振りあがった。

ハルトは青ざめて鉛ガラスのドームをおろした。


「おやじさん・・・

なぜこんなものがここに 」



「世の中には不要なものはないんだよ。

人にとって使い道さえあれば、善も悪も関係ない。

それがたとえ人を蝕むものであってもな」



「だって、触ることもできないじゃないか」


「いや、あれは承知でおいてある。今にきっとあれが必要になって、

買い求めに来るものがいる。わしにはそれがわかるんだ」

ハルトは息を呑みました

「さ、ここは子供の来るところじゃない、さっさと帰ってくれ」

そういうと、まるで鶏を追うようにハルトを店先に追い出してしまいました。

「ちぇ、なんだよ。このお店」

ハルトはいい加減馬鹿くさくなり、店を出てゆきまた。

しかし、子供たちの間では、そのお店のことがすっかり注目され、

あの店主の親父も、どこかの国のスパイじゃないか?

だとかテロリストが出入りしていたなどとデマが飛び交うようになり、

子供たちはいったい誰が、あの原子炉ライターを誰が買うのか気になりはじめました。

そして、「そいつがUFOと関係ある組織のメンバーに違いない」

ということになった。

それからというもの、常に誰かがお店を監視しに出かけて、見張ることになりました。

この時代の子供たちの遊びは、スパイ映画の影響か、主人公のスパイの真似がはやっていたのです。

見張ったり、尾行したりすることが、遊びとして子供らの間では大変はやっていたのです。

張り込みごっこは何日も続きました。

だけど結局誰もあれを買いに来るものはいませんでした。

そんなある日、店主の親父の姿が急に見なくなったので、

ハルトは通りすがりに気になると、店の中をのぞいてみました。

そこにいた人は、最初テロリストかと思いましたが、

放射性物質の耐塵スーツを着た兵隊らしい人々でした。


「おい、君。ここは子供が来るところじゃない。危険だから立ち去りなさい」


「何かあったんですか?」


「これを見なさい」


耐塵スーツを着たその人は、ガイガーカウンターの異常な数値を彼に見せた。


「とにかくここは危険なんだ。立ち去りなさい」

すると、もう一人の兵隊が言いました。

「骨董屋の親父さんは被爆し、あたり一面が汚染されてしまったのだそうだ。

君はおじさんのこと、何か知らないか?」

「ぼく・・・しらないよ」

また、もう一人の兵隊が言いました。

「放射性物質が研究施設から今まで紛失した記録は新聞にも発表されていない」と。

「まして、核分裂が起こるほどの量を研究施設から持ち出された記録も公表されてないのだ」

「むずかしくてわからないよ・・」

もう、子供の頭では彼らが何を言っているか理解不能でした。

「あの店主の親父はいったいどこからあれだけの量を」


ハルトはだんだん怖くなっていきました。

(もしあの時、僕がライターの火を着火させていたとしたらどうなっていたことだろう)



店の天井は焼け焦げて鉛のガラスのフードは無残にとけて大穴が開き、地面に解け落ちていました。

大型ショベルが自力では上がれないほどの大きな穴を開けてどこまでもどこまでも掘り進んで何かを探しているようでした。

ハルトは足が震えてきて、おとなしく家に帰ることにした。

ハルトがお店を出るころには、

行き違いに何人もの黒い服を着た大きな男があわてて店の裏口からでて、

ハルトの横を通り過ぎていったのです。

どうやら大事のようでした。

そのとき、自分の頭上に何かがよぎりました。

地面には黒い影が出来ています。

ふと空を見ると、其処には見たこともない空飛ぶ乗り物がふわふわと舞っていた。

ハルトは、「ほ、本当にあれを必要とするものが買いにきたんだ」

とおもいました。

そして、自分の推理が的中したことが怖くなり、急いで家に帰りました。


どうやらあのライターは、本当はライターじゃなく、UFOの部品の一部だったようです。

あの親父さんはいったい何処からそんなものを買ってきたのでしょう。

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