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みんなにやさしい自作小説コミュの衝動

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「もう、なんにもしたくない」

「あいつは俺を裏切った」

「人からえた恩を仇で返すなんて」

「今思えば、俺の心がささくれるのは、ほとんど人間の性だ」

「俺は人と関りたくない」

「何で世の中にはこんなに多くの人がいるんだよ!」

「もういい加減こいつら見るの見飽きたぜ」

「みんなぶっ殺して、この世界から視線をかき消さなきゃ成らないんだ」

「かあさん、俺を生んだことを恨まないでくれ」

「俺だってつらかったんだ」

「だから、だから」

男はバットを持つと、大通りにかけ出た。そして、手当たり次第に車のボディをたたいた。当然、驚いたドライバーは車中で恐怖した。

男はフロントガラスを何回も何回も叩き割って、穴を大きくすると、運転していた男に一撃加えた

そして野獣と化した男は手当たり次第に走れなくなってとまっている車めがけてバットを振り下ろした

多くのドライバーが、そのあまりの手早さと、男の手際よさに、誰も警察にすら電話することができなかった

男は車15台と、中にいたドライバーすべてに打撃を加え、近所のマンションに走りこんだ。

そこで男はすべてのドアをひん曲がったバットで叩き壊していった

男の手や足からは車を叩き割った破片で血だらけになっている

そのころには、さすがに警察もやってきて男の確保に回ったが、

ことごとくその捕獲の網を潜り抜けていった。

そのすばやさは、あの渋谷に現れたサルのようだった

男はマンションの駐車場に警官を誘い出した。

そして駐車場に誘導すると、ハロンガスの警報装置をバットで叩き割り、

非常扉から外にすり抜けていった。

駐車場のゲートのすべてがしまり、ハロンガスが噴出したのは言うまでもない

男は小窓から駐車場の中の様子をじっと見ていた

そのとき、一台の車の中に小さな子供が寝ているのを見かけた。

「畜生、何であんなとこにいやがるんだよ。おまえ、」

男はそういうと、天井を見上げた

中では多くの警官が苦しんでいる声が聞こえる

片手には外からノブが回せないようにバットで取っ手に引っ掛けて動かないよう

にしてある

しかし男は自分の幼少のころの記憶と戦っていた

「あのやさしい家族とのひと時を

おまえの親は何してるだよ。

そうか、お前も嫌われているのか

おまえ」

「そうか、わかったよ、

この世界はお前のような人間のためにあるんだよ

お前を俺は生かす」

男はそういうと、引っ掛けていたバットをはずし、

ハロンガスで真っ白にかすんだ駐車場内を見渡した。

そして、アクリルのドアをたたき出した。

何回も何回も。

たたいて少しずつ入ったひびが徐々に大きくなったとき、

一気にアクリルが割れて、内部からハロンガスが噴出してきた

中にいた警官は、その音に導かれてドアに殺到し、

男を取り押さえようとしたが、

相変わらず狂気のまなざしでバットを振り回していた。

その力は信じられないことに最初から衰えることはなかった。

コンクリートの柱をかち割り、蛍光灯をも叩き割った。

その音で車の子供は目を覚ますと、火がついたように泣き出した。

命絶え絶え生き残った警官たちはその泣き声のほうに注目した

男はそのとき、車のドアをこじ開けようとドアノブに手をかざした。

警官たちは、車中の子供が殺されると瞬時に思い、

いっせいに男に銃口を向けると、

数人が間髪を入れずに発射した。弾丸は男の頭部と胸部、

そして太ももを貫通し、即座にその場で沈黙した

子供は車中で意識を失っていた

警察官たちは、いまだに激しい動悸に見舞われていた

危うく自分たちも死ぬところだったからだ。

しかし検証するうちになぜ男がドアを壊して駐車場に入ったのかが疑問だった

ある刑事が、男の視線でドアに立ったとき、その意味がわかった

男は殺しに駐車場に入ったのじゃないということを

「あいつには見えていた。あの車の中で寝いっていた子供の姿を」

しかし刑事はそのことを伏せた

たぶん、狂気の男は正義を否定されたほうが間違いなく本望だと思っていたから

たった一人の理解者は、その男のために 銜えたタバコをそっと地面に供えた。

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