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みんなにやさしい自作小説コミュのREKIRIMA第二章 2−4

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            第二話 (4)貫く意志


「はぁっ!!」

迅雷のような勢いで細身の剣を一閃させる。

その一撃は、これまで繰り出してきた攻撃もかくやというほどの鮮烈に研ぎ澄まされた一撃だった


キィィンッ!!


しかし、目の前のオレンジ色のポニーテールにはあっさり受け止められてしまう。

たしかに、目の前の敵はこれまで戦ってきたやつらとは桁違いの実力だった。

「ヒョー! なんだやれるじゃねぇか!? もっと見せてみろよお前の力を!!」

力任せに受け止められていた一撃ごと押し返される。

その信じられない馬鹿力に悪態をつく。

「あんたそれでも本当に女!? ありえないぐらいの筋肉なんじゃない!?」

「はっ! だからどうしたっていうんだ!! 生きるための力さ! 誇りこそすれ恥じる必要なんてどこにある!!」

ブゥンと大鎌が勢いよく周囲を豪快に凪ぐ。

「女として終わってるって言いたいのよ!! この力馬鹿!!」

バックステップで間一髪かわす、が・・・

「お前はその力に負けるんだぜ!」

退いた分の間合いを一足で詰めた羅刹が勢いを乗せた蹴りを放ってきた。

(ぐッ!!?)

とっさに腕を交差して衝撃を凌ぐ。が、華奢なメイアの体はその場に踏みとどまれず

後方に大きく弾き飛ばされる。

「っちぃ〜〜〜〜〜〜っ!!!」

「・・・ほら、休んでる暇はねぇよ」

地面につくより速く羅刹は、吹っ飛ばしたメイアの体に追いつきその体を一息に両断しようと大鎌を振るう。

振りかぶられた大鎌に気づき、吹っ飛んでいる体制のまま慌てて雷を放つ。

「っと!」

完全に不意打ちになったかと期待したのだが・・・残念ながら大鎌を前に掲げることでその雷を無力化される

その間に受身を取り、何とか地面に両足をつけると上がる息を押し殺して冷静に羅刹と対峙する。

「・・・あんた、おもったよりやるじゃん、褒めてやるよ!」

「・・・そっちこそ、おつむの割にはずいぶん切れのある動きするじゃない、褒めてあげるわ」

「はん・・・それにしても、あんた動きの割りに剣さばきはいまいちだな・・・・なあ? まだ何か隠してるだろ?」

「・・・」

「・・・別に出し惜しみするならそれでかまわないけど・・・後悔するぜっ!!」


睨みあっていた羅刹が空高く、飛び跳ねる。

「・・・ブースト限定解除・・・設定進路・・・完了・・・鳴け! デスサイス!!」

羅刹の呟きがメイアに届くときには、すでにその獲物は独自の道をたどってメイアへと殺到していた

(なっ!?)

その独特の音を響かせながら、空間を裂くようにして大鎌が飛ぶ

咄嗟に防御しようかとも思ったが、あんな一撃剣を合わせただけで砕け散る。

恐ろしい軌道で迫り来る凶刃を、しかしメイアは瞬間的に集中力を高めることで見切り

まるで軽業師のようにバク転、側転、ムーンサルト(=空中で身を捻って着地すること)を決めて間一髪かわす。

「ははははは! 最高だよお前!! 次はどんなの見せてくれんだ!?」

戻ってきた大鎌を難なくキャッチする羅刹

その凶笑にたいして、メイアはポツリと呟く・・・

「わかった・・・『私の世界』にあんたを引きずり込むわ・・・」

「やってみろ!! できるもんならなぁっ!!」



二人は地を駆け、互いに衝突するようにしてぶつかり合う。



「・・・情報データの追加を記録、ターゲットの従者・・・」

銀髪の悪魔は氷のような冷たい眼差しでマナを見つめる

「貴方の情報、誤報が酷くて聞くに堪えます」

紅玉の杖を双剣に瞬時に変化させると互いに並走する。

「レイ様への侮辱、撤回させていただきます!!」

言って一気に間合いを詰める。

敵に向かって飛び掛り同時に斬撃を二条放つ。


ギィン! ギィン!!


火花が虚空に舞い散る、交差された剣と刀によって緊迫に包まれた空気を甲高い金属音が鳴り響く

「ふっ!」

気合を入れて渾身の一撃を振り下ろす。


ギィィィンッ!!!


一際大きな火花が生まれ、両者は一歩も引かずに剣をぶつけ合う。

「・・・データ更新、従者の評価ランクB・・・」

「はぁっ!!」

絶え間ない剣戟の間でさえ顔色一つ変えずに敵の戦闘能力を測っている刹那・・・

そこに裂帛の気合を込めて、双剣が煌く。

激しい応酬、一秒の間に何合、何十合と切り合わせていく二人・・・

ふと、示し合わせたかのようにして互いに間合いを開ける。

「・・・」

「・・・」

互いに無言でにらみ合う

あれほど激しい動作を数分の間にこなした言うのに、互いに呼吸を乱していなかった。

「・・・理解不明、貴方ほどの実力者がなぜあのような軽率な男に従っているのですか?」

ふと、口をあけたのは以外にも銀髪の悪魔、刹那だった。

だが、それに答えるようにして矢が飛んでくる。

「レイ様の侮辱は許しません!!」

双剣をアーチェリーに変え、油断なく矢を構えたままマナが睨む。

「あの方を、軽んじる発言は私が絶対に許しません!!」

きりきりと絞られた弓が、正確に刹那を捉えている。

「・・・理解不明・・・」

双刀を構え、再び刹那が地を駆ける。

ビュンッ!

こめかみをかすって飛んでいった矢を完全に無視して前に突っ込んでくる。

それを迎え撃つべく弓を双剣に変え、再びぶつかっていく。

一度でも気を抜けば、瞬時に命を刈り取られる戦いへと、互いに承知で赴く・・・




「はあああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

メイアの握る剣が先ほどより速度をさらに上げて迫る。

もはや、常人では反応することさえ不可能だと言える速度を、だが羅刹は巧みに、かわし・受け流し・反撃に転じる。

「はっはっはぁっ!! かすりもしないぜそんな攻撃!!」

ゆがんだ笑みのまま大鎌を振るう。

信じられない速度で振るわれる大鎌の一撃を、しかしメイアも見ないままサイドステップでかわす。

「ふん、私が本当に得意なのは・・・」

呟くメイアの手のひらに急激に精霊達が集まる。

「こっちよ!!!」

「チッ!?」

突然突き出された手に反応して、密着するような距離で戦っていた羅刹が、咄嗟に手と自分の間に大鎌を掲げる。


次の瞬間


カァッ!!

っと、膨大な光とともに雷が迸る。

そのまばゆい光に飲み込まれるほどの至近距離にいて、羅刹は笑っていた。

「忘れたか!? あたい達には精霊の攻撃は効かないんだって―――」

「知ってるわ!!」

「なにっ!?」

不意に光の中で動く気配があった。

羅刹からは精霊を吸収することで手を負われ何をしているのか見えない。

っと、突然後ろに大きく吹っ飛ばされるほどの衝撃を受ける。

「(掌打か!?)くっそ!!」

大きく吹っ飛ぶ羅刹に、空中においても響く寒気のするような声が届く。


「・・・アインツ・ツヴァイ・ドライ・フィーア・フュンフ・ゼクス・ズィーベン・アハト・ノイン!! 天空より舞い降り、大地を縛れ!! その世界は汝の世界、ならば協力者たる我に更なる力を!! ・・・『ナインズボルト』っ!!!」

天に両手を掲げ、一気にそれを振り下ろす。

その光景を見て、慌てて体制を上に向ける。

気がつけばすでに間近まで九条の雷が舞い降りるところだった・・・・

「(間に合うかっ!?)アアアッ!!!」

なんとか大鎌を構えることができ、これで精霊の攻撃は受けきることができる

そう安堵した瞬間だった

「・・・言ったでしょ、『私の世界に引きずり込む』って!」

雷は羅刹の体を貫くことなく大地に突き刺さる。

「な・・・!?」

羅刹は困惑する。

雷はメイアを含め二人を囲むようにして地面に突き立ち、周囲を雷結界がたちどころに覆いこむ。

「なんだ・・・これ!?」

動揺する羅刹の前に、一人女帝がたたずむ・・・

「・・・いくわよ!!」

宣言したメイアの姿が、次の瞬間視界から消える。

「!?」

慌てて勘に任せて大鎌を振るう。

読みどおり、真後ろにメイアは移動していた。

完全に死角から襲い掛かる大鎌を、しかしメイアは読んだように屈みこんでかわし応酬として渾身の一撃を大鎌に叩き込む。

「邪っ魔だあああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

振り上げる剣

その一撃についに、耐え切れなくなった細身の剣が砕け散る。

「ちぃっ!!」

しかし、悪態をつくのは羅刹であった

剣は砕け散り使い物にならなくなったが、そのあまりの衝撃に鎌を空高く舞い上げられてしまった。

「私が得意なもの、知りたがってたわね。おしえてあげるわ!!」

柄だけとなった剣を無造作に放り捨てると、メイアは両の拳を握って神速の連撃を見舞っていく。

「な!?」

羅刹はその速度に言葉をなくしていた。

それまでのどの剣撃よりも、拳の速度は上回っていた。

それは得意分野へとスタイルを変えたからだけではない・・・

もっと、ほかに決定的なな要因が・・・

そこまできて、不意に気づく

この雷の結界・・・中に取り込んだ自分に害がないとすれば

ほかにいったいどんな能力があるのか?


術者の身体能力の上昇・・・・・・


それがメイアの張った結界の正体だった

今のメイアはレイと互角かそれ以上に身体能力が上昇しており、この地を誰より速く駆け抜けることを可能としていた。

「くっそ!!」

気づき慌てて結界範囲外へと退避しようとして、不意に真横から声をかけられる。

「・・・逃がさないわ。あんた達がやったこと・・・あいつにたいしてやったこと!! 思い知りなさい!!!」

雷鳴のような一撃が次々に繰り出される。

羅刹とて、生半可な人間ではない

これまで幾多の戦場を駆け抜け、おぞましい調整にも身をゆだねてきた

もはや強化人間という言葉ですら生ぬるいほどに強制的に外部の手によって生まれ変わった羅刹は

人の反射神経を凌駕している。

・・・しかし・・・

「がっ!? ぐっ!? げっ!?」

メイアから繰り出される攻撃はそれらすべてをことごとく上回っていた。

これまで鍛え上げられてきた体も、養ってきた知識も、身につけた勘も

すべてを凌駕した連撃が、羅刹を追い詰めていく。

「あんたがやったこと・・・七回後悔してぶっとべぇーーーーーっ!!!!!」

そのときメイアの体が視界から突如消える。

地を踏み砕かんばかりに跳躍し、雷のように宙を舞いその身を捻り、蹴り足一点に集中した一撃を羅刹のど真ん中、腹部に突き刺す勢いで繰り出した


胴回し回転蹴り・・・・


さすがのメイアも強化された体で全力で叩き込んだ妙技に、着地に失敗するが

その威力はすべて羅刹へとカマスことができた。

そのあまりの威力に、雷結界を突き破って羅刹は飛んでいく・・・・・・



「・・・羅刹!」

視界の隅に信じられない光景が映った。

自分の妹が体をくの字に折り曲げて吹っ飛んでいたのだ。

一瞬動揺してしまい、その目に初めて戸惑いが映った瞬間をマナは見逃さなかった

「油断禁物です!!」

「・・・っ!!」

完全に不意をつかれ、目の前を二条の線が迫り来る。

刹那は咄嗟に首をかしげることで一撃をかわし、もう一撃をぎりぎりのところで二刀で受け止める。

「さっき貴方は言いましたね。『なぜ従っているのか』と、私の一族はこれまで代々聖光の一族に仕えてきました・・・」

「!! では貴方はルーン一族のっ!!」

刹那の表情に、驚愕の色が浮かぶ。

しかしそれをまったく気にせずマナはさらに踏み込んでいく。

「私の名前は『マナ・ルーン』。代々聖光の一族の盾として生きた一族・・・」

そこまで言い、マナの瞳に一層輝きが燈る。

「ですが、今の私は聖光の一族ではなく『レイ・ジーニアス』様に仕えています!! これは使命でもなければ宿命でもない! たんに私がレイ様を『お慕いしている』から自分でそうしているんです!!」

このとき、マナは完全に自分の生き方を決めた。

その無垢な翼で、己が信じる者のためにその命を使うことを、マナ自身が決意したのだ。

鍔迫り合いになっている最中に突如マナの握っている双剣が輝きを放つ。

「うああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

輝きは収まるどころかさらに強大な物へと変貌を遂げていく。

その姿をみすみす間近で見ていながら、刹那には抜け出ることができなかった。

「(・・・なに!?)・・・っ」

敵は容易に逃がすような相手ではない。

今離れようとすれば、間違いなく目の前の紅玉の光に貫かれるだろう・・・

警戒しながらチャンスをうかがっていた刹那の前に、ついにマナの手にしていた双剣が変貌を遂げる。

鍔競り合いとなっていた双剣が、真紅の大剣へと変わっている。

突如、交差させて受け止めていた二刀への重みが桁違いに増す。

あまりの重さに長くは耐えれないと判断した刹那が、即座にその大剣をいなしにかかる。

「・・・っ!」

綺麗に力のベクトルを逸らし、大地に大剣を深々と突き刺す。

「(・・・おわり!!)・・・」

無言で隙だらけの少女に二刀を走らせる。 しかし・・・

「・・・なっ!?」

マナは深々と地面に突き刺さった大剣を一息のうちに引き抜くと

まるで羽を扱うような滑らかさで刹那に向けて一撃を繰り出す。

その重量感をまるで感じさせない鋭い攻撃は、飛び掛っていた刹那を正反対の方向に軽々弾き飛ばす。

「(・・・馬鹿な、あれほどの大剣。なぜあんな風に軽々と扱える? 一撃一撃などの重みは先ほどまでに比べて格段に向上してるというのに、重量感がまるで感じられない・・・)・・・っ」

自慢の二刀を油断なく構えながら、ちらりと妹に視線を送る。

どうやら、地面に落ちていた大鎌のところまで偶然にも吹っ飛ばされたようだ。

即座に大鎌を拾うと、よろよろと杖の代わりにして立ち、敵を睨んでいた。



「・・・」

「あ!!」

刹那が一瞬考慮するような表情を見せた後、すばやく羅刹の隣まで走っていた。

慌ててそれを追いかけメイアの隣まで駆け寄る。

こうして、改めて四人はそれぞれ戦っていた相手とにらみ合う。

「さあ、これで終わりよ。観念するのね」

「誰がっ!! まだ戦いはこれからだぜ・・・」

「・・・羅刹・・・」

いきりたつ羅刹を、冷静に刹那が手で制する。

「・・・貴方達がまだやるというのでしたらいいでしょう。相手になります・・・ですがもし、退くと言うのでしたら追いません」

マナがちらりとキースの傍らに立つ人物を見やる。

今レイは必死でキースの治癒力を高めようと自身の力と精霊達の力を総動員して対処している。

当初よりはキースの顔色はだいぶよくなっているようだが、それでも楽観的にいられる状態ではない。

「ふざけんじゃねぇ! あたい達がおめおめと・・・」

「・・・!! 羅刹!!」

さらに罵るために口を開いた羅刹に、突然刹那が警告の声を上げた。

「!? っと!!」

羅刹はその声を瞬時に聞き入れ、理解し後方に下がる。

羅刹のいた空間を、入れ替わるようにして何かが振り降ろされる。

一跳びで十分に間合いを取った双子が今までいた空間を睨みつける。

「・・・そこにいるのはわかっています。姿を見せなさい・・・」

あくまで動揺の色を見せない刹那が冷たい声で虚空を睨む。

果たして、何も存在しなかった空間が歪曲し二人の男が姿を見せた・・・・・・


        (4)完

                            (5)に続く・・・・・・

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