|
|
|
|
コメント(107)
どのくらい時が経っただろう！俺、つまり俺Cは柔らかいベッドの中で目覚めた！
「目が覚めましたか？タケミ◯君？それでミッションは進んだんですか？」
どわっ！！また、戻っている！！東京オベンジョースのナオ◯じゃねーか？ 俺はこの間のキッスを思い出し軽い眩暈と吐き気を感じた！
おぇ！！
だが、俺は答えた！
「稲葉山城は持ち堪えている！だがまだ絶対絶命には変わりない！」
突然、ナオ◯はいきりたつかと思ったが大丈夫だった！
「タケミ◯君！実は僕は正倉院宝物展に行ってきたんです！！」
いったい何の話だ！
さらに続けるナオ◯！
「その中に最近新しく見つかったローマの秘宝と言うのがあったんです！」
なに！ローマの秘宝？なんだ、そりゃ？正倉院と言ったらせいぜいペルシア止まりじゃないのか？ローマのものまで来てたのか？
「目が覚めましたか？タケミ◯君？それでミッションは進んだんですか？」
どわっ！！また、戻っている！！東京オベンジョースのナオ◯じゃねーか？ 俺はこの間のキッスを思い出し軽い眩暈と吐き気を感じた！
おぇ！！
だが、俺は答えた！
「稲葉山城は持ち堪えている！だがまだ絶対絶命には変わりない！」
突然、ナオ◯はいきりたつかと思ったが大丈夫だった！
「タケミ◯君！実は僕は正倉院宝物展に行ってきたんです！！」
いったい何の話だ！
さらに続けるナオ◯！
「その中に最近新しく見つかったローマの秘宝と言うのがあったんです！」
なに！ローマの秘宝？なんだ、そりゃ？正倉院と言ったらせいぜいペルシア止まりじゃないのか？ローマのものまで来てたのか？
ん、だが待てよ！戦の天才ローマの皇帝カルスはササン朝の都クテシフォンの隣村まで迫っていたというじゃないか？と言う事は正倉院の蔵の中にローマの秘宝があってもおかしくはないじゃないか？
「それで、それでどうしたんだ、ナオ◯？」
「その秘宝にははっきりわからないのですが、今の僕たちの状況を説明する様な内容が書いてあったんです！」
「なっ、なにっ、お前ラテン語読めるのか？」
「いや、読めないはずなんですけど、なんかわかるんです！」
「なっ、何だ、それ？眉唾じゃねーのか？」
「いや、確かです！そして、そこには、舌を左に回せと書いてあるようなんです！」
「舌を左にまわせ？？何だそれ？それって、キッスの事か？」
「多分、そうだと思います！試してみましょうタケミ◯君！」
「え、でも、試すってキッスの事だろ？」
俺は少し躊躇した！
突然、ナオ◯はいきりたった！
「稲葉山城を救って、織田軍のトップになるって言ってたじゃないですか？どうするんですか、タケミ◯君！これでは、また、姉は死んでしまう！！」
いまにも殴りかからんばかりのナオ◯！
わっ、また、これだ！！俺はちょっと躊躇した！
徐々に迫り来るナオ◯！
「姉の命がかかっているんです！」
俺はこのセリフに弱い！
その時、ちょうどナオ◯は床の敷物のへりに引っかかって、俺の方に怒涛のごとく倒れかかって来た！そして、ナオ◯と俺の唇が重なった！また、これだよ！次の瞬間、ニュルッと柔らかいものが俺の口の中に、そして、ざらっと俺の舌に触った！そして、左45度に回転が加わった！！ドワっ！！
途端に走る閃光！そして、俺は何故かローマに飛んだ！ なんでローマの秘宝に書いてある事を守るとローマに飛ぶんだ！タイムリープの引き金は俺とナオ◯のキッス！！大分気持ち悪いけど！ってか、作者いい加減にしろ！！なんだ、この展開！！おえぇぇぇぇぇ！！
ローマについた時、俺はゲロ吐いた！！
「それで、それでどうしたんだ、ナオ◯？」
「その秘宝にははっきりわからないのですが、今の僕たちの状況を説明する様な内容が書いてあったんです！」
「なっ、なにっ、お前ラテン語読めるのか？」
「いや、読めないはずなんですけど、なんかわかるんです！」
「なっ、何だ、それ？眉唾じゃねーのか？」
「いや、確かです！そして、そこには、舌を左に回せと書いてあるようなんです！」
「舌を左にまわせ？？何だそれ？それって、キッスの事か？」
「多分、そうだと思います！試してみましょうタケミ◯君！」
「え、でも、試すってキッスの事だろ？」
俺は少し躊躇した！
突然、ナオ◯はいきりたった！
「稲葉山城を救って、織田軍のトップになるって言ってたじゃないですか？どうするんですか、タケミ◯君！これでは、また、姉は死んでしまう！！」
いまにも殴りかからんばかりのナオ◯！
わっ、また、これだ！！俺はちょっと躊躇した！
徐々に迫り来るナオ◯！
「姉の命がかかっているんです！」
俺はこのセリフに弱い！
その時、ちょうどナオ◯は床の敷物のへりに引っかかって、俺の方に怒涛のごとく倒れかかって来た！そして、ナオ◯と俺の唇が重なった！また、これだよ！次の瞬間、ニュルッと柔らかいものが俺の口の中に、そして、ざらっと俺の舌に触った！そして、左45度に回転が加わった！！ドワっ！！
途端に走る閃光！そして、俺は何故かローマに飛んだ！ なんでローマの秘宝に書いてある事を守るとローマに飛ぶんだ！タイムリープの引き金は俺とナオ◯のキッス！！大分気持ち悪いけど！ってか、作者いい加減にしろ！！なんだ、この展開！！おえぇぇぇぇぇ！！
ローマについた時、俺はゲロ吐いた！！
ローマ、ローマ帝国内ではあるが、正確には408年8月22日のラヴェンナだ！402年にローマ帝国の首都はローマからラヴェンナに移された！
そこにはまさにヘラクリアヌスによって処刑されようとしているスティリコがいた！俺はローマ衛兵の隙をぬって、今にも処刑される目前のスティリコに駆け寄った！そして、キッス！いったい何回やればいいんだ！そして、舌を右側に回した！ナオ◯によると、これでスティリコを日本の戦国時代に連れ出す事ができるらしい！ドワっ！！途端に走る閃光！！
気がついたら、俺とスティリコは稲葉山城の近くにいた！天は俺たちに何をさせようとしているんだ！
おぇぇぇぇぇ！！ついた時、俺はゲロ吐いた！！
そこにはまさにヘラクリアヌスによって処刑されようとしているスティリコがいた！俺はローマ衛兵の隙をぬって、今にも処刑される目前のスティリコに駆け寄った！そして、キッス！いったい何回やればいいんだ！そして、舌を右側に回した！ナオ◯によると、これでスティリコを日本の戦国時代に連れ出す事ができるらしい！ドワっ！！途端に走る閃光！！
気がついたら、俺とスティリコは稲葉山城の近くにいた！天は俺たちに何をさせようとしているんだ！
おぇぇぇぇぇ！！ついた時、俺はゲロ吐いた！！
スティリコは何だか変な言葉を話していた！多分ラテン語だ！いきなりローマ帝国から戦国時代の美濃に飛んで、見るもの全てが仰天なのだろう？しきりに何か見るたびにラテン語で叫んでいる！スティリコに日本語がわかるのか？疑問だが、通りすがりの人に何か叫んでも、かえってくる言葉を聞いても唖然として立ち止まるばかりなので、多分日本語はわかっていない！まあ、向こうもいきなり見たこともないような恰好をしたローマ人が訳の分からない言葉で喚き立てているので、スティリコと声をかけられた人両方が唖然として見つめ合うばかり！ところで、それを言ったら戦国時代人と俺とが会話になるのかとは思うが、そこは何故か大丈夫なのだ！現代では現代語、ここでは話す言葉も結局戦国時代風になり、口からでる言葉も戦国時代なりになっている！お互いに意味もよく通じる！ただ、時々この時代になくて現代にあるものとか、この時代の理解を超えた科学や思想について語ると相手が困惑して、この時代にわかる様に言い換えなければならない事はある！ところで、不思議な事に、俺にはスティリコさんの言葉が訳のわからない言葉に聞こえるのだが、何故か脳内自動翻訳機のような、意味は解るのだ！では、俺の言葉はスティリコさんに解るのか？とりあえず、俺は今の状況説明を試みてみた！
「スティリコさん、ここはあなたが処刑されそうになっていた時からおよそ1150年後の未来だ！しかも、場所は日の本！アレクサンダー大王が遠征したインドよりさらに東方の小さな島国、そう、まあブリタニアみたいなところだ！」
急にスティリコさんが振り向いた！そして、問いを返してきた！
「ブリタニア？？」
「いや、ブリタニアではないんです！ブリタニアのような小さな島国なんです！場所はコンスタンティノープルからインドの倍くらいかなぁ？（これはちょっといい加減！）」
「なんでそんな事が起こったんだ！」
これからはもう質問攻め！まあ、それは無理もない！なにせ、俺も自分の置かれた状況すらよく理解していないのだ！だが、歴史を知っている俺は、スティリコさんはあそこで処刑されもう終わりになる事、ここは俺の生まれたより、約450年も前の俺の国で、そもそも俺が転生と言うかタイムリープしている原因がよくわかっていない事、美濃と斎藤龍興の事、やがて天下を統一するであろう織田信長が美濃を攻略しようとしている事、歴史では本来なら稲葉山城は落城しているはずだがそれを超えて数ヶ月持ち堪えている事などを話した！全部説明するのに、三日三晩かかっが、このスティリコさんと言う人は優しい人なのか、不可解な自分と俺に起きた話を途中で癇癪を起こす事もなく、熱心に聞いてくれた！さすがホノリウス帝に仕え最後まで裏切らなかった人だけの事はある！
最後に俺は言った！
「結局、稲葉山城が落ちてしまうと、俺の大切なひな◯の命がなくなってしまうのだが、これから守ろうしている斎藤龍興は、まあ、あまりいいと言うか優秀な戦国武将ではないんだ！協力してくれますか？」
「貴殿は命の恩人だ！力になろう！あと、暗愚にはなれている！」
あっ、そっか、「暗愚にはなれている！」、そっか、そうだよね！とにかくスティリコさんを連れてきたのらともかく、果たして力になってくれるのか？それが一番心配だったのだが、とりあえず第一関門は突破したようだった！
「スティリコさん、ここはあなたが処刑されそうになっていた時からおよそ1150年後の未来だ！しかも、場所は日の本！アレクサンダー大王が遠征したインドよりさらに東方の小さな島国、そう、まあブリタニアみたいなところだ！」
急にスティリコさんが振り向いた！そして、問いを返してきた！
「ブリタニア？？」
「いや、ブリタニアではないんです！ブリタニアのような小さな島国なんです！場所はコンスタンティノープルからインドの倍くらいかなぁ？（これはちょっといい加減！）」
「なんでそんな事が起こったんだ！」
これからはもう質問攻め！まあ、それは無理もない！なにせ、俺も自分の置かれた状況すらよく理解していないのだ！だが、歴史を知っている俺は、スティリコさんはあそこで処刑されもう終わりになる事、ここは俺の生まれたより、約450年も前の俺の国で、そもそも俺が転生と言うかタイムリープしている原因がよくわかっていない事、美濃と斎藤龍興の事、やがて天下を統一するであろう織田信長が美濃を攻略しようとしている事、歴史では本来なら稲葉山城は落城しているはずだがそれを超えて数ヶ月持ち堪えている事などを話した！全部説明するのに、三日三晩かかっが、このスティリコさんと言う人は優しい人なのか、不可解な自分と俺に起きた話を途中で癇癪を起こす事もなく、熱心に聞いてくれた！さすがホノリウス帝に仕え最後まで裏切らなかった人だけの事はある！
最後に俺は言った！
「結局、稲葉山城が落ちてしまうと、俺の大切なひな◯の命がなくなってしまうのだが、これから守ろうしている斎藤龍興は、まあ、あまりいいと言うか優秀な戦国武将ではないんだ！協力してくれますか？」
「貴殿は命の恩人だ！力になろう！あと、暗愚にはなれている！」
あっ、そっか、「暗愚にはなれている！」、そっか、そうだよね！とにかくスティリコさんを連れてきたのらともかく、果たして力になってくれるのか？それが一番心配だったのだが、とりあえず第一関門は突破したようだった！
どのくらい時が経っただろう！俺、つまり俺Cは柔らかいベッドの中で目覚めた！
「目が覚めましたか？タケミ◯君？それでミッションは進んだんですか？」
どわっ！！また、戻っている！！また、ナオ◯じゃねーか？ 俺はこの間の一連のキッスを思い出し軽い眩暈と吐き気を感じた！
おぇ！！
だが、俺は答えた！
「稲葉山城は持ち堪えている！信長はゲリラ戦で前進できず今年は兵を引いた！ローマからスティリコさんを連れてきたが、だがまだ絶対絶命には変わりない！」
突然、ナオ◯はいきりたつかと思ったが大丈夫だった！
「タケミ◯君！まだ、稲葉山側の戦略は不十分ですね
！！」
いったい何の話だ！
さらに続けるナオ◯！
「もう一度あれを試して見ましょう！タケミ◯君！」
「えー、またあれやんのー？」
俺は少し躊躇した！
突然、ナオ◯はいきりたった！
「稲葉山城を救って、織田軍のトップになるって言ってたじゃないですか？どうするんですか、タケミ◯君！これでは、また、姉は死んでしまう！！」
いまにも殴りかからんばかりのナオ◯！
わっ、また、これだ！！俺はちょっと躊躇した！
徐々に迫り来るナオ◯！
「姉の命がかかっているんです！」
俺はこのセリフに弱い！
その時、ちょうどナオ◯は床の敷物のへりに引っかかって、俺の方に怒涛のごとく倒れかかって来た！そして、ナオ◯と俺の唇が重なった！また、これだよ！次の瞬間、ニュルッと柔らかいものが俺の口の中に、そして、ざらっと俺の舌に触った！そして、左45度に回転が加わった！！ドワっ！！
途端に走る閃光！そして、俺は何故かまたローマ帝国？に飛んだ！タイムリープの引き金は俺とナオ◯のキッス！！しかも、ローマ帝国に飛ぶには舌を使わないといけない！大分気持ち悪いけど！ってか、作者いい加減にしろ！！何回やんの、これぇ〜！！おえぇぇぇぇぇ！！
ローマ帝国についた時、俺はまたゲロ吐いた！！
「目が覚めましたか？タケミ◯君？それでミッションは進んだんですか？」
どわっ！！また、戻っている！！また、ナオ◯じゃねーか？ 俺はこの間の一連のキッスを思い出し軽い眩暈と吐き気を感じた！
おぇ！！
だが、俺は答えた！
「稲葉山城は持ち堪えている！信長はゲリラ戦で前進できず今年は兵を引いた！ローマからスティリコさんを連れてきたが、だがまだ絶対絶命には変わりない！」
突然、ナオ◯はいきりたつかと思ったが大丈夫だった！
「タケミ◯君！まだ、稲葉山側の戦略は不十分ですね
！！」
いったい何の話だ！
さらに続けるナオ◯！
「もう一度あれを試して見ましょう！タケミ◯君！」
「えー、またあれやんのー？」
俺は少し躊躇した！
突然、ナオ◯はいきりたった！
「稲葉山城を救って、織田軍のトップになるって言ってたじゃないですか？どうするんですか、タケミ◯君！これでは、また、姉は死んでしまう！！」
いまにも殴りかからんばかりのナオ◯！
わっ、また、これだ！！俺はちょっと躊躇した！
徐々に迫り来るナオ◯！
「姉の命がかかっているんです！」
俺はこのセリフに弱い！
その時、ちょうどナオ◯は床の敷物のへりに引っかかって、俺の方に怒涛のごとく倒れかかって来た！そして、ナオ◯と俺の唇が重なった！また、これだよ！次の瞬間、ニュルッと柔らかいものが俺の口の中に、そして、ざらっと俺の舌に触った！そして、左45度に回転が加わった！！ドワっ！！
途端に走る閃光！そして、俺は何故かまたローマ帝国？に飛んだ！タイムリープの引き金は俺とナオ◯のキッス！！しかも、ローマ帝国に飛ぶには舌を使わないといけない！大分気持ち悪いけど！ってか、作者いい加減にしろ！！何回やんの、これぇ〜！！おえぇぇぇぇぇ！！
ローマ帝国についた時、俺はまたゲロ吐いた！！
ローマ帝国と言うか、実はエジプト！！船の上だ！正確には、紀元前48年9月29日、エジプトの港へ到着しつつあったポンペイウスの船の中だった！ポンペイウスはカエサルとの戦いに敗れエジプトに落ち延びてきたところだった！甲板でゲロを吐いている俺にポンペイウス麾下の兵士が話しかけてきた！
「ん、お前見ない顔だな？新入りか？船に酔ったか？しっかりしろ！」
いや、船つーか、ナオ◯とのキッスに異性愛者の俺はまだなれない！あれがヒナ◯とのキッスだったらいいのに！ああ、ヒナ◯、守りたい！おぇぇぇぇぇ〜！！また吐いた！
そんな事をしているうちに今にもポンペイウスは上陸のための小舟に乗り込もうとしていた！実はこの後ポンペイウスはエジプトに上陸するための小舟の中で殺されるのだ！俺は焦った！小舟に乗り込むポンペイウスに続いて、急いで飛び乗った！その瞬間勢いあまって小舟が軽く揺れ、小舟に乗り移ったばかりのポンペイウスが何事かと振り向きざまに俺の方に驚いて大口を開けながら倒れ込んできた！チャンス！！って言うか、また、連続だよ！もう耐えらるのかな俺？と、ポンペイウスと俺の唇が重なった！俺は厳かにも稀代の英雄ポンペイウスに舌を挿入して右に捻りを加えた！
ドワっ！！突然の閃光！そして、俺とポンペイウスさんは戦国時代に飛んだ！！
おぇぇぇぇぇ！！俺はまた吐いた！いったい何回やれば？と思ったが、これで稲葉山城下にローマの名将を2人も運んだ事になった！対信長戦の準備は着々と整いつつあった！！
「ん、お前見ない顔だな？新入りか？船に酔ったか？しっかりしろ！」
いや、船つーか、ナオ◯とのキッスに異性愛者の俺はまだなれない！あれがヒナ◯とのキッスだったらいいのに！ああ、ヒナ◯、守りたい！おぇぇぇぇぇ〜！！また吐いた！
そんな事をしているうちに今にもポンペイウスは上陸のための小舟に乗り込もうとしていた！実はこの後ポンペイウスはエジプトに上陸するための小舟の中で殺されるのだ！俺は焦った！小舟に乗り込むポンペイウスに続いて、急いで飛び乗った！その瞬間勢いあまって小舟が軽く揺れ、小舟に乗り移ったばかりのポンペイウスが何事かと振り向きざまに俺の方に驚いて大口を開けながら倒れ込んできた！チャンス！！って言うか、また、連続だよ！もう耐えらるのかな俺？と、ポンペイウスと俺の唇が重なった！俺は厳かにも稀代の英雄ポンペイウスに舌を挿入して右に捻りを加えた！
ドワっ！！突然の閃光！そして、俺とポンペイウスさんは戦国時代に飛んだ！！
おぇぇぇぇぇ！！俺はまた吐いた！いったい何回やれば？と思ったが、これで稲葉山城下にローマの名将を2人も運んだ事になった！対信長戦の準備は着々と整いつつあった！！
突然の轟音に驚いて部屋から飛び出すと、屋敷の中庭に一人の男が立っていた。
年の頃は三十代半ばぐらいか、中肉中背で整った理知的な顔立ちをしている。
そしてその男が手にしている黒い鉄製の筒のようなものは――
「鉄砲……」
思わずつぶやいた俺の言葉に男がこちらを振り向き、やや感心したような表情を見せた。
「確かこの辺りではまだ鉄砲は珍しいはずだが、にもかかわらずご存じとは。さすが藤吉郎殿の家臣でござるな」
そう言うと、男は軽く会釈した。
「申し遅れました。それがしは明智十兵衛光秀と申す。将軍足利義昭公の奉公衆の一人として越前からこの岐阜に参った。昨日から藤吉郎殿の屋敷で世話になっており申す。どうかお見知りおきを」
この男があの明智光秀か――俺はそう思いながら頭を下げた。
未来から来た俺は、この一見虫も殺さぬような男が、十数年後、本能寺の変を起こして信長を倒すことを知っている。
だがそのことを藤吉郎や他の誰かに伝えても一笑に付されるだけだろう。
それに将来信長を殺す男が現われてくれたのは俺にとってもっけの幸いだ。
こいつを上手く利用してやれば、俺は自分の手を汚さずして信長への復讐を果たせるかもしれない。
そんなことを考えながら、俺は全く別の言葉を口にした。
「それが噂に名高い火縄銃でござりまするか。話には聞いたことはありますが、実際にこの目で見るのは初めてでござる。どれ程凄い武器なのか、もしよろしければそれがしにもお見せいただけませぬか」
俺がそう言うと、光秀は「いいでしょう」といって小さくうなずき、中庭の隅に置かれた小さな的に向かって、銃を構えた。
光秀の立っている場所から的まで目算で五十メートルほどある。
再び雷のような轟音が中庭に響き渡り、小さな的が粉々に砕け散った。
初めて見るが、想像以上の威力だ。俺は思わず身震いがした。
「いかがでござるか」
光秀が再び話しかけてきた。
「凄まじい威力でござる。もしこの鉄砲が広まればこれまでの槍や弓矢に取って代わることは間違いないでしょう。しかし明智殿はどうやってこれを」
「近江の国友村というところである方から譲られましてな。その後越前にいた時に暇を見つけては撃ち方の修業を行なっておりました。それがしは刀も槍も不得手ゆえ、武士として成り上がるにはこれしかないと思いましてな」
「武士として成り上がる……」
「こう見えてそれがしにも人並みの野心ぐらいはござる。武士として生まれたからにはそれなりに名を上げ功を挙げたい。そう思いながらも生まれながら運が足りぬからか、それともおのれの才が足りぬゆえか、幕府の奉公衆となったものの、その幕府そのものが今やすっかり落ちぶれ、今や将軍とともに畿内を追われ、近江、越前を転々とした挙句、こうして今は織田家の厄介となり申しておる」
光秀はどこか遠いところを見るような目でそう言った。
「ところで聞き忘れていたが貴殿の名は」
「木下藤吉郎が家臣、赤鬼丸と申します」
「ほう、貴殿があの赤鬼丸殿で」
「ご存じなのですか」
「それがしも実は生国は美濃でしてな。かねてよりお噂は存じています。確か今は藤吉郎殿より小荷駄奉行として兵糧の買い付けを命ぜられておるとか」
「小荷駄奉行というほど大役ではござりませぬが……。ただ、今は上洛戦が迫っているため、織田家の他の武将も兵糧集めに奔走しており、米の価格が高騰して難儀しております」
俺がそう答えると、光秀はやや考え込む様子を見せ、やがてこう言った。
「ならば堺の商人を頼られるがよかろう」
「堺？」
「堺は日本一の商人の町。畿内だけでなく遠く中国や九州など西国の米が大量に運ばれ売り買いされています。ちょうどそれがしの旧知の堺の商人がこの岐阜まで来ているのでよろしければご紹介いたそう」
「あっ、ありがたき幸せ！」
俺は一気に運が開けたような気がした。
年の頃は三十代半ばぐらいか、中肉中背で整った理知的な顔立ちをしている。
そしてその男が手にしている黒い鉄製の筒のようなものは――
「鉄砲……」
思わずつぶやいた俺の言葉に男がこちらを振り向き、やや感心したような表情を見せた。
「確かこの辺りではまだ鉄砲は珍しいはずだが、にもかかわらずご存じとは。さすが藤吉郎殿の家臣でござるな」
そう言うと、男は軽く会釈した。
「申し遅れました。それがしは明智十兵衛光秀と申す。将軍足利義昭公の奉公衆の一人として越前からこの岐阜に参った。昨日から藤吉郎殿の屋敷で世話になっており申す。どうかお見知りおきを」
この男があの明智光秀か――俺はそう思いながら頭を下げた。
未来から来た俺は、この一見虫も殺さぬような男が、十数年後、本能寺の変を起こして信長を倒すことを知っている。
だがそのことを藤吉郎や他の誰かに伝えても一笑に付されるだけだろう。
それに将来信長を殺す男が現われてくれたのは俺にとってもっけの幸いだ。
こいつを上手く利用してやれば、俺は自分の手を汚さずして信長への復讐を果たせるかもしれない。
そんなことを考えながら、俺は全く別の言葉を口にした。
「それが噂に名高い火縄銃でござりまするか。話には聞いたことはありますが、実際にこの目で見るのは初めてでござる。どれ程凄い武器なのか、もしよろしければそれがしにもお見せいただけませぬか」
俺がそう言うと、光秀は「いいでしょう」といって小さくうなずき、中庭の隅に置かれた小さな的に向かって、銃を構えた。
光秀の立っている場所から的まで目算で五十メートルほどある。
再び雷のような轟音が中庭に響き渡り、小さな的が粉々に砕け散った。
初めて見るが、想像以上の威力だ。俺は思わず身震いがした。
「いかがでござるか」
光秀が再び話しかけてきた。
「凄まじい威力でござる。もしこの鉄砲が広まればこれまでの槍や弓矢に取って代わることは間違いないでしょう。しかし明智殿はどうやってこれを」
「近江の国友村というところである方から譲られましてな。その後越前にいた時に暇を見つけては撃ち方の修業を行なっておりました。それがしは刀も槍も不得手ゆえ、武士として成り上がるにはこれしかないと思いましてな」
「武士として成り上がる……」
「こう見えてそれがしにも人並みの野心ぐらいはござる。武士として生まれたからにはそれなりに名を上げ功を挙げたい。そう思いながらも生まれながら運が足りぬからか、それともおのれの才が足りぬゆえか、幕府の奉公衆となったものの、その幕府そのものが今やすっかり落ちぶれ、今や将軍とともに畿内を追われ、近江、越前を転々とした挙句、こうして今は織田家の厄介となり申しておる」
光秀はどこか遠いところを見るような目でそう言った。
「ところで聞き忘れていたが貴殿の名は」
「木下藤吉郎が家臣、赤鬼丸と申します」
「ほう、貴殿があの赤鬼丸殿で」
「ご存じなのですか」
「それがしも実は生国は美濃でしてな。かねてよりお噂は存じています。確か今は藤吉郎殿より小荷駄奉行として兵糧の買い付けを命ぜられておるとか」
「小荷駄奉行というほど大役ではござりませぬが……。ただ、今は上洛戦が迫っているため、織田家の他の武将も兵糧集めに奔走しており、米の価格が高騰して難儀しております」
俺がそう答えると、光秀はやや考え込む様子を見せ、やがてこう言った。
「ならば堺の商人を頼られるがよかろう」
「堺？」
「堺は日本一の商人の町。畿内だけでなく遠く中国や九州など西国の米が大量に運ばれ売り買いされています。ちょうどそれがしの旧知の堺の商人がこの岐阜まで来ているのでよろしければご紹介いたそう」
「あっ、ありがたき幸せ！」
俺は一気に運が開けたような気がした。
はい！俺C、タケミ◯だよ！
あれから何故かスティリコさんは毎日城下の貧しい人々のもとに握り飯を持って通い続けている！
ポンペイウスさんへの状況説明は面倒くさいのでスティリコさんに任せた！スティリコさんは会えたのがポンペイウスさんと知ると感動のあまり涙を流していた！曰く「俺は今もーれつに感動している！」だそうだ！ポンペイウスさんは自分の置かれた状況を理解するのにやや時間がかかった！助けてくれる気満々のスティリコさんと比較して、ファルサロスの戦いでカエサルさんに負けてエジプトに落ち延びてきたポンペイウスさんは人生いろいろあってかなり落ち込んでる！筋骨隆々なのにこの人戦えるんだろうか？と言う感じで精気がない！そして、時々空を見上げては「ユリア」と呟いてため息をついていた！
あれから何故かスティリコさんは毎日城下の貧しい人々のもとに握り飯を持って通い続けている！
ポンペイウスさんへの状況説明は面倒くさいのでスティリコさんに任せた！スティリコさんは会えたのがポンペイウスさんと知ると感動のあまり涙を流していた！曰く「俺は今もーれつに感動している！」だそうだ！ポンペイウスさんは自分の置かれた状況を理解するのにやや時間がかかった！助けてくれる気満々のスティリコさんと比較して、ファルサロスの戦いでカエサルさんに負けてエジプトに落ち延びてきたポンペイウスさんは人生いろいろあってかなり落ち込んでる！筋骨隆々なのにこの人戦えるんだろうか？と言う感じで精気がない！そして、時々空を見上げては「ユリア」と呟いてため息をついていた！
夜叉丸「うわあ！？…毎日俺Cの夢はきつい…」
楓「主！？…またなのか…悪夢に悩まされて。おれしー？？それは新しい敵なのか？」
夜叉丸「…いや、何でもない。多分、関係の無い事だ。だから、そのまま寝て大丈夫だ。」
まただ。夢で睡魔学習の様に見る。数日目からようやくあの同性愛者趣味の色の濃かった夢から解放されたが、ローマ人の顔がアップになる度に反射的に起きてしまう。だが、今回は少し為になる夢だった。この時点でなんとなくだが、俺は他2人分に分岐した世界を垣間見ている、という気がして来た。とりあえず、俺Bは赤鬼丸と呼ばれて兵糧米を買ってる光景が途切れて見えた。物価の高騰か。何となく経済学学ぶ事になった前世の先輩から株の話があったのを思い出した。空売り、他国からやったら儲けれるんじゃ？いや、少し頭が混乱してるな。
俺Cから学ぶ事は、最後の方だけだな。貧民を助けて恩を売る事で、味方になってもらう策、これ位か。明日も早い。いよいよ国友村ともおさらばだ。戦闘での疲れを癒す休息もそろそろ終わりだ。藤兵衛親方から貰った人員にも報奨金を分け合い終わった所だし。
こうして俺は何夜目か分からない飛び起きから、再び眠りに着いた。
朝ふと目が覚めると、楓が添い寝していた。気を使ってくれたのは分かるが、はっきり言ってすっごい恥ずかしい。
国友藤兵衛「いよいよ帰るのか？寂しくなるな。」
夜叉丸「我々の本拠は美濃の大宝寺です。一度、稼いだ金を渡しに行かねばなりません。」
国友藤兵衛「次は何処へ行くんだ？ってそれを聞くのは野暮か。」
夜叉丸「ええ。でも、またこの村には立ち寄るかもしれません。」
国友藤兵衛「その時は、また色んな話でもしようや。達者でな。」
夜叉丸「藤兵衛親方もお元気で。」
俺と親方は握手を交わして、俺達は今浜国友村を後にした。
沢彦宗恩「お主、商人の才があったのか？しかも、現地で鉄砲を全て学ぶとは、凄いのう。」
夜叉丸「物価にして5000貫(約1億円)、貯めましたので、お納めします。残りは元金として、持たさせて下さい。」
沢彦宗恩「…それなんじゃが、夜叉丸。お主はもう、独り立ちでいいと思っておる。お主の故郷の葬儀代もこれだけあれば、余ることはあっても不足はあるまい。むしろこちらが儲け過ぎじゃ。立ち上げに人が足りぬ様なら、更念か鎮念辺りをしばらく貸し出そう。どうじゃ？お主の気持ち次第ぞ？」
夜叉丸「…お受け致します。実は兼ねてより、諸国を旅したいと思っていました。」
沢彦宗恩「うむ。だが、これだけは言っておく。ここはお主の第二の故郷と思って気の向いた時に、戻って来なさい。」
こうして、俺は大宝寺から、行商しながら、旅をする者として独立を果たした。麾下に吉次と楓、後は初めての地は更念を、行った地には鎮念を呼ぶ事を選ぶ事を選択する方向に転換する転機となったのである。
…そして、翌日…
夜叉丸「…なあ？何で俺を付けてるんだ？そろそろ出て来たらどうだ？」
町人風の男「…バレていましたか。拙者、甲賀から来た者。折り合って頼みがあるのですが。」
夜叉丸「内容によるな。要件、分かりやすく言ってくれぬか？」
忍「今浜付近での爆発。某もみました。あれをモノにする方法を里に教えて欲しい。対価は弾みますぞ。」
夜叉丸「…少し考える時間をくれないか？仲間とも相談したい。んと、何日なら待てる？」
忍「占めて3日程。」
夜叉丸「分かった。では3日後、大宝寺で落ち合おう。言っておくが、敵対は勘弁してくれよ。」
忍びが消えた後、俺は早鐘を打つのを止められなかった。…え？甲賀って確か忍者の里のあそこだよな？
楓「主！？…またなのか…悪夢に悩まされて。おれしー？？それは新しい敵なのか？」
夜叉丸「…いや、何でもない。多分、関係の無い事だ。だから、そのまま寝て大丈夫だ。」
まただ。夢で睡魔学習の様に見る。数日目からようやくあの同性愛者趣味の色の濃かった夢から解放されたが、ローマ人の顔がアップになる度に反射的に起きてしまう。だが、今回は少し為になる夢だった。この時点でなんとなくだが、俺は他2人分に分岐した世界を垣間見ている、という気がして来た。とりあえず、俺Bは赤鬼丸と呼ばれて兵糧米を買ってる光景が途切れて見えた。物価の高騰か。何となく経済学学ぶ事になった前世の先輩から株の話があったのを思い出した。空売り、他国からやったら儲けれるんじゃ？いや、少し頭が混乱してるな。
俺Cから学ぶ事は、最後の方だけだな。貧民を助けて恩を売る事で、味方になってもらう策、これ位か。明日も早い。いよいよ国友村ともおさらばだ。戦闘での疲れを癒す休息もそろそろ終わりだ。藤兵衛親方から貰った人員にも報奨金を分け合い終わった所だし。
こうして俺は何夜目か分からない飛び起きから、再び眠りに着いた。
朝ふと目が覚めると、楓が添い寝していた。気を使ってくれたのは分かるが、はっきり言ってすっごい恥ずかしい。
国友藤兵衛「いよいよ帰るのか？寂しくなるな。」
夜叉丸「我々の本拠は美濃の大宝寺です。一度、稼いだ金を渡しに行かねばなりません。」
国友藤兵衛「次は何処へ行くんだ？ってそれを聞くのは野暮か。」
夜叉丸「ええ。でも、またこの村には立ち寄るかもしれません。」
国友藤兵衛「その時は、また色んな話でもしようや。達者でな。」
夜叉丸「藤兵衛親方もお元気で。」
俺と親方は握手を交わして、俺達は今浜国友村を後にした。
沢彦宗恩「お主、商人の才があったのか？しかも、現地で鉄砲を全て学ぶとは、凄いのう。」
夜叉丸「物価にして5000貫(約1億円)、貯めましたので、お納めします。残りは元金として、持たさせて下さい。」
沢彦宗恩「…それなんじゃが、夜叉丸。お主はもう、独り立ちでいいと思っておる。お主の故郷の葬儀代もこれだけあれば、余ることはあっても不足はあるまい。むしろこちらが儲け過ぎじゃ。立ち上げに人が足りぬ様なら、更念か鎮念辺りをしばらく貸し出そう。どうじゃ？お主の気持ち次第ぞ？」
夜叉丸「…お受け致します。実は兼ねてより、諸国を旅したいと思っていました。」
沢彦宗恩「うむ。だが、これだけは言っておく。ここはお主の第二の故郷と思って気の向いた時に、戻って来なさい。」
こうして、俺は大宝寺から、行商しながら、旅をする者として独立を果たした。麾下に吉次と楓、後は初めての地は更念を、行った地には鎮念を呼ぶ事を選ぶ事を選択する方向に転換する転機となったのである。
…そして、翌日…
夜叉丸「…なあ？何で俺を付けてるんだ？そろそろ出て来たらどうだ？」
町人風の男「…バレていましたか。拙者、甲賀から来た者。折り合って頼みがあるのですが。」
夜叉丸「内容によるな。要件、分かりやすく言ってくれぬか？」
忍「今浜付近での爆発。某もみました。あれをモノにする方法を里に教えて欲しい。対価は弾みますぞ。」
夜叉丸「…少し考える時間をくれないか？仲間とも相談したい。んと、何日なら待てる？」
忍「占めて3日程。」
夜叉丸「分かった。では3日後、大宝寺で落ち合おう。言っておくが、敵対は勘弁してくれよ。」
忍びが消えた後、俺は早鐘を打つのを止められなかった。…え？甲賀って確か忍者の里のあそこだよな？
先ずは、八咫を呼び寄せてみた。困った時の八咫頼み。
…あれ？八咫の動きがおかしい。しきりに辺りをキョロキョロしてる？でも、これ、何か法則性がある様な。うーん………………あ！コイツ、一定の角度で止まっては小刻みに移動してる。止まる位置は5箇所を動いては止まってる。これは、目的地が5つある、という事だろうか？当てずっぽうに言ってみる。
夜叉丸「もしかして、付近の忍びの里か？」
スリスリスリ…当たりっぽいな。
方角は南西側に3回動いて止まってるから…
夜叉丸「西側は甲賀、伊賀、根来辺り？」
スリスリスリ。うーん…
「では東は、透波、戸隠か？」
スリスリスリ。忍術の近隣マップの様だ。優先順位的にお誘いが来たのは甲賀だ。先ずは伊賀とセットで何か得て来るのが妥当か？確か、この二つは戦国時代は同盟関係の場所だった筈だ。
夜叉丸「うーん…掟までは詳しく無いが、あまり無い機会だろうしなあ…先ずは情報収集から、だな。主要な人員は？」
あれ？何か、足の数が前後してるぞ？里によって数を変えろ、という事だろうか？
「2〜4？」
スリスリスリ。うーん…悩ましい上に、今回のヒントは分かりにくいぞ。こんなので、忍術を色々ものに出来るのだろうか？
俺は甲賀者と思わしき忍と会った翌日、今の主要メンバーで相談する事にした。
吉次「甲賀に、ですか？あそこに特産品なんてあったかな？」
楓「…………。」
夜叉丸「最悪、売りに出すだけでも良いと思っている。火薬と火縄銃は少なくとも売れると見ている。」
楓「………………」
鎮念「私は、忍の武術を見てみたい気もするな。」
更念「美味い酒は無いのか？今回の旅は迷うな…」
楓「……………………」
はい、仲間からは事前情報全滅。確かにあまり詳しい者がいたら不自然か。いや、意外な人物が沈黙を保っている。ただ、やる気指数と技能を考えると、吉次、鎮念、楓と言った所だが…。
夜叉丸「楓？どうした？いつもより困った顔をして？」
楓「私の場合、抜け忍、という形になる。」
夜叉丸「それがどうしたんだ？」
楓「伊賀だと、抜け忍には死を、という掟、知ってる。私は多分駄目…な気がする。」
夜叉丸「えと、伊賀出身？？」
楓「分からない…私も気になったんで調べたけど、故郷の候補が2ヶ所ある。一つは伊賀。もう一つは、戸隠の流派。理由は単純。二つの里が連携していて、女が受け入れ可能な修行場所で、且つやってる事が近いのは、この二つ。」
夜叉丸「女性禁制がある所があるのか？」
楓「甲賀はそう。」
夜叉丸「ふうむ…。」
伊賀が二分の一の確率で楓にとっての危険地帯か。しかも、楓を近くに近付け無いと、心当たりがあるか確信が持てないという。賭け、になる訳か。これは楓は甲賀に行くなら、客人としてもてなして貰った方が良さそうだ。伊賀に不用意に知られるのは、不味い。抜け忍化したのが、ここで響くかもしれないのか、楓さんは…。
夜叉丸「…虎穴に入らずんば、虎子を得ず。今回の主要人物を言う。吉次、楓、鎮念さんは来てくれないか？少々危険な旅になるやもしれないが、皆んなついて来てくれるか？今回の報奨金は俺からも弾むと約束する。」
皆は神妙な顔をしながら、うなづいた。賊退治をしてあれだけのお金を大宝寺に出して以来、仲間と思ってるコイツらの顔つきもしっかり変わった気がする。鎮念はあまり見ない武術を、吉次は好奇心、楓は向上心から。俺も腹をくくるとしよう。
3日後、大宝寺にて。
忍「決意は決まったのですか？」
夜叉丸「ああ、共を3人連れて行くが良いか？協力者が何人か必要でね。」
忍「まあ、それなら致し方無しです。と、自己紹介がまだでござった。某の名は、鵜飼孫六と申す。」
夜叉丸「夜叉丸だ。道中、共の者をゆっくり紹介すると約束しよう。今日は荷造りして、明日出立とする。案内は、宜しく頼む。」
今度は、忍の世界を見に、いざ参る。
…あれ？八咫の動きがおかしい。しきりに辺りをキョロキョロしてる？でも、これ、何か法則性がある様な。うーん………………あ！コイツ、一定の角度で止まっては小刻みに移動してる。止まる位置は5箇所を動いては止まってる。これは、目的地が5つある、という事だろうか？当てずっぽうに言ってみる。
夜叉丸「もしかして、付近の忍びの里か？」
スリスリスリ…当たりっぽいな。
方角は南西側に3回動いて止まってるから…
夜叉丸「西側は甲賀、伊賀、根来辺り？」
スリスリスリ。うーん…
「では東は、透波、戸隠か？」
スリスリスリ。忍術の近隣マップの様だ。優先順位的にお誘いが来たのは甲賀だ。先ずは伊賀とセットで何か得て来るのが妥当か？確か、この二つは戦国時代は同盟関係の場所だった筈だ。
夜叉丸「うーん…掟までは詳しく無いが、あまり無い機会だろうしなあ…先ずは情報収集から、だな。主要な人員は？」
あれ？何か、足の数が前後してるぞ？里によって数を変えろ、という事だろうか？
「2〜4？」
スリスリスリ。うーん…悩ましい上に、今回のヒントは分かりにくいぞ。こんなので、忍術を色々ものに出来るのだろうか？
俺は甲賀者と思わしき忍と会った翌日、今の主要メンバーで相談する事にした。
吉次「甲賀に、ですか？あそこに特産品なんてあったかな？」
楓「…………。」
夜叉丸「最悪、売りに出すだけでも良いと思っている。火薬と火縄銃は少なくとも売れると見ている。」
楓「………………」
鎮念「私は、忍の武術を見てみたい気もするな。」
更念「美味い酒は無いのか？今回の旅は迷うな…」
楓「……………………」
はい、仲間からは事前情報全滅。確かにあまり詳しい者がいたら不自然か。いや、意外な人物が沈黙を保っている。ただ、やる気指数と技能を考えると、吉次、鎮念、楓と言った所だが…。
夜叉丸「楓？どうした？いつもより困った顔をして？」
楓「私の場合、抜け忍、という形になる。」
夜叉丸「それがどうしたんだ？」
楓「伊賀だと、抜け忍には死を、という掟、知ってる。私は多分駄目…な気がする。」
夜叉丸「えと、伊賀出身？？」
楓「分からない…私も気になったんで調べたけど、故郷の候補が2ヶ所ある。一つは伊賀。もう一つは、戸隠の流派。理由は単純。二つの里が連携していて、女が受け入れ可能な修行場所で、且つやってる事が近いのは、この二つ。」
夜叉丸「女性禁制がある所があるのか？」
楓「甲賀はそう。」
夜叉丸「ふうむ…。」
伊賀が二分の一の確率で楓にとっての危険地帯か。しかも、楓を近くに近付け無いと、心当たりがあるか確信が持てないという。賭け、になる訳か。これは楓は甲賀に行くなら、客人としてもてなして貰った方が良さそうだ。伊賀に不用意に知られるのは、不味い。抜け忍化したのが、ここで響くかもしれないのか、楓さんは…。
夜叉丸「…虎穴に入らずんば、虎子を得ず。今回の主要人物を言う。吉次、楓、鎮念さんは来てくれないか？少々危険な旅になるやもしれないが、皆んなついて来てくれるか？今回の報奨金は俺からも弾むと約束する。」
皆は神妙な顔をしながら、うなづいた。賊退治をしてあれだけのお金を大宝寺に出して以来、仲間と思ってるコイツらの顔つきもしっかり変わった気がする。鎮念はあまり見ない武術を、吉次は好奇心、楓は向上心から。俺も腹をくくるとしよう。
3日後、大宝寺にて。
忍「決意は決まったのですか？」
夜叉丸「ああ、共を3人連れて行くが良いか？協力者が何人か必要でね。」
忍「まあ、それなら致し方無しです。と、自己紹介がまだでござった。某の名は、鵜飼孫六と申す。」
夜叉丸「夜叉丸だ。道中、共の者をゆっくり紹介すると約束しよう。今日は荷造りして、明日出立とする。案内は、宜しく頼む。」
今度は、忍の世界を見に、いざ参る。
どのくらい時が経っただろう！俺、つまり俺Cは柔らかいベッドの中で目覚めた！
「目が覚めましたか？タケミ◯君？それでミッションは進んだんですか？」
どわっ！！また、かよ〜！！また、ナオ◯じゃねーか？ 俺は過去のキッスを思い出し大いに吐いた！
おぇぇぇぇぇ〜えぇぇぇぇぇ！！
だが、俺は答えた！
「とりあえず美濃と尾張の間にささやかな平和、安らぎが訪れている！稲葉山城は今は平和だ！だが、これはかりそめのもの！次の信長の侵攻に対して戦えるかが本当の勝負だ！スティリコさんはなんだかちょこちょこやっているが、ポンペイウスさんはまるで腑抜けだ！このままでは稲葉山も風前の灯火！」
また、ナオ◯はいきりたつかと思ったが今回は大人しく聞いていた！
「タケミ◯君！もっと仲間を増やしましょう ！！」
さらに続けるナオ◯！
「もう一度あれを試して見ましょう！タケミ◯君！」
「えー、またあれやんのー？」
俺は少し躊躇した！
「ところで、ナオ◯、どうやってローマの正確な時と場所に辿り着いているんだ？」
「それは、僕が調べて念じているんです！スティリコさんとポンペイウスさんは成功したようですね！次はアントニウスさんにしましょう！強いし！」
「あっ、ああ！だが、もうそろそろあんまりやりたくないなぁ！」
突然、ナオ◯はいきりたった！
「稲葉山城を救って、織田軍のトップになるって言ってたじゃないですか？どうするんですか、タケミ◯君！これでは、また、姉は死んでしまう！！」
いまにも殴りかからんばかりのナオ◯！
わっ、また、これだ！！どうしていつもこうなるんだ！俺はちょっと躊躇した！
徐々に迫り来るナオ◯！
「姉の命がかかっているんです！」
だが、俺はこのセリフに弱い！ てか、俺Cパートってループものじゃないよな？これじゃあ、俺Aパートよりこっちの方が余程ループものがかっているじゃないか？もしかしたら、俺A世界の出来事が、こちらの世界に干渉を与えているのかもしれない！
その時、ちょうどナオ◯は床の敷物のへりに引っかかって、俺の方に怒涛のごとく倒れかかって来た！そして、ナオ◯と俺の唇が重なった！また、これだよ！次の瞬間、ニュルッと柔らかいものが俺の口の中に、そして、ざらっと俺の舌に触った！そして、左45度に回転が加わった！！ドワっ！！
途端に走る閃光！そして、俺は何故かまたローマ帝国？に飛んだ！タイムリープの引き金は俺とナオ◯のキッス！！しかも、ローマ帝国に飛ぶには舌を使わないといけない！大分気持ち悪いけど！ってか、作者いい加減にしろ！！何回やんの、これぇ〜！！おえぇぇぇぇぇ！！
ローマ帝国についた時、俺はまたゲロ吐いた！
おえぇぇぇぇぇ！
「目が覚めましたか？タケミ◯君？それでミッションは進んだんですか？」
どわっ！！また、かよ〜！！また、ナオ◯じゃねーか？ 俺は過去のキッスを思い出し大いに吐いた！
おぇぇぇぇぇ〜えぇぇぇぇぇ！！
だが、俺は答えた！
「とりあえず美濃と尾張の間にささやかな平和、安らぎが訪れている！稲葉山城は今は平和だ！だが、これはかりそめのもの！次の信長の侵攻に対して戦えるかが本当の勝負だ！スティリコさんはなんだかちょこちょこやっているが、ポンペイウスさんはまるで腑抜けだ！このままでは稲葉山も風前の灯火！」
また、ナオ◯はいきりたつかと思ったが今回は大人しく聞いていた！
「タケミ◯君！もっと仲間を増やしましょう ！！」
さらに続けるナオ◯！
「もう一度あれを試して見ましょう！タケミ◯君！」
「えー、またあれやんのー？」
俺は少し躊躇した！
「ところで、ナオ◯、どうやってローマの正確な時と場所に辿り着いているんだ？」
「それは、僕が調べて念じているんです！スティリコさんとポンペイウスさんは成功したようですね！次はアントニウスさんにしましょう！強いし！」
「あっ、ああ！だが、もうそろそろあんまりやりたくないなぁ！」
突然、ナオ◯はいきりたった！
「稲葉山城を救って、織田軍のトップになるって言ってたじゃないですか？どうするんですか、タケミ◯君！これでは、また、姉は死んでしまう！！」
いまにも殴りかからんばかりのナオ◯！
わっ、また、これだ！！どうしていつもこうなるんだ！俺はちょっと躊躇した！
徐々に迫り来るナオ◯！
「姉の命がかかっているんです！」
だが、俺はこのセリフに弱い！ てか、俺Cパートってループものじゃないよな？これじゃあ、俺Aパートよりこっちの方が余程ループものがかっているじゃないか？もしかしたら、俺A世界の出来事が、こちらの世界に干渉を与えているのかもしれない！
その時、ちょうどナオ◯は床の敷物のへりに引っかかって、俺の方に怒涛のごとく倒れかかって来た！そして、ナオ◯と俺の唇が重なった！また、これだよ！次の瞬間、ニュルッと柔らかいものが俺の口の中に、そして、ざらっと俺の舌に触った！そして、左45度に回転が加わった！！ドワっ！！
途端に走る閃光！そして、俺は何故かまたローマ帝国？に飛んだ！タイムリープの引き金は俺とナオ◯のキッス！！しかも、ローマ帝国に飛ぶには舌を使わないといけない！大分気持ち悪いけど！ってか、作者いい加減にしろ！！何回やんの、これぇ〜！！おえぇぇぇぇぇ！！
ローマ帝国についた時、俺はまたゲロ吐いた！
おえぇぇぇぇぇ！
ローマ帝国と言うか、実はまたエジプト！！って言うかあれっ？お、やばっ！なんか半裸の女が！
「おぬしはなにものじゃ？どうやって王宮のわらわの部屋にたどり着いた！まっ、まさか、絨毯にくるまって運び込まれたんじゃあるまいな！！」
いや、それはあんただろって！
あれっ？ナオ◯「念」が間違ってるって！まさか、あの真面目なナオ◯が図解世界の歴史のクレオパトラの挿絵を見て邪念を起こしたのではあるまいな！
「おい！なにか答えろ！」
「うーん、ちょっと計画が狂ってしまったようだが、今回はまあいいか？てへっ！」
「なんだ、なにを言っている？なんか、ちょっと、気持ち悪いぞ！」
ちょっとたくましい男性とのキッスに飽きてきた俺は、なんとなくクレオパトラちゃんお持ち帰りしちゃおうかなぁ〜と言う変な邪心に駆られていた！
「あなたはあなたの運命を知っていますか？」静かに、邪心を隠して、俺はクレオパトラに話はじめた！いや、邪心じゃない！邪心じゃない！これは救済だ！
紀元前30年8月1日この日はアントニウスさんが死んでしまう日だった！アントニウスさんはオクタビアヌスさんとのアクティウムの海戦に敗れエジプトに落ち延びた！その後いろいろあったが、ひょんなことからクレオパトラさんが自決したと言う嘘情報がなぜかアントニウスさんのところに届けられた！歴史ではその嘘情報を聞いたアントニウスさんは絶望して、その情報を信じて自殺してしまうのだ！ところだった！
アントニウスさんの方に目を転じてみよう！
「なに！クレオパトラが死んだ？何が起こった！どう言う事だ！」
「クレオパトラが死んだのなら、俺はもう生きていても仕方ない！」
もうパニックの様になっていた！
アントニウスは胸に剣を突き立てようとした！その時足早にアントニウスさんの部下が近づいてきた！
「違います、違います！誤報です！クレオパトラさまは宮殿に！」
「おぬしはなにものじゃ？どうやって王宮のわらわの部屋にたどり着いた！まっ、まさか、絨毯にくるまって運び込まれたんじゃあるまいな！！」
いや、それはあんただろって！
あれっ？ナオ◯「念」が間違ってるって！まさか、あの真面目なナオ◯が図解世界の歴史のクレオパトラの挿絵を見て邪念を起こしたのではあるまいな！
「おい！なにか答えろ！」
「うーん、ちょっと計画が狂ってしまったようだが、今回はまあいいか？てへっ！」
「なんだ、なにを言っている？なんか、ちょっと、気持ち悪いぞ！」
ちょっとたくましい男性とのキッスに飽きてきた俺は、なんとなくクレオパトラちゃんお持ち帰りしちゃおうかなぁ〜と言う変な邪心に駆られていた！
「あなたはあなたの運命を知っていますか？」静かに、邪心を隠して、俺はクレオパトラに話はじめた！いや、邪心じゃない！邪心じゃない！これは救済だ！
紀元前30年8月1日この日はアントニウスさんが死んでしまう日だった！アントニウスさんはオクタビアヌスさんとのアクティウムの海戦に敗れエジプトに落ち延びた！その後いろいろあったが、ひょんなことからクレオパトラさんが自決したと言う嘘情報がなぜかアントニウスさんのところに届けられた！歴史ではその嘘情報を聞いたアントニウスさんは絶望して、その情報を信じて自殺してしまうのだ！ところだった！
アントニウスさんの方に目を転じてみよう！
「なに！クレオパトラが死んだ？何が起こった！どう言う事だ！」
「クレオパトラが死んだのなら、俺はもう生きていても仕方ない！」
もうパニックの様になっていた！
アントニウスは胸に剣を突き立てようとした！その時足早にアントニウスさんの部下が近づいてきた！
「違います、違います！誤報です！クレオパトラさまは宮殿に！」
夜叉丸「ここが、甲賀の里…」
鵜飼孫六「某について来て、集会所に来て貰いたく存じます。商人の方ですよね？事前に情報は掴んでいます。さあ、こちらに着いて来て下さい。」
一言で言えば、田舎の山城のある、目立たない村。そんな感じが漂う、一見何の変哲も無い場所に案内される。だが、見る人が見れば、普通の様で普通じゃない場所だと言うのが分かった。際たるものは、火薬の生成する時の匂いのする家が通りすがりにあった点。多分、火薬庫、あるな。探せば、火薬以外にも、火縄銃隠し持ってる家もあったりしてな。確か、前世のゲーム知識だが、織田信長を狙撃した忍者もいたんじゃ無かったか？
村長宅の様な、少し開けた場所に案内される。
多羅尾光俊「多羅尾四郎兵衛と申す。一応、ここの纏め役をしている身だ。そちらの者共がそうなのだな？孫六。」
鵜飼孫六「はい、間違いありませぬ。自己紹介、していって貰っても良いか？」
夜叉丸「夜叉丸です。」
吉次「吉次です。」
鎮念「鎮念です。」
楓「…楓です。」
多羅尾光俊「…ふむ？孫六、ここの女人禁制の掟の事は伝えて無いのか？」
鵜飼孫六「いえ、それが…」
夜叉丸「すまない、技術提供しようにも、出来る組み合わせが、今の所、この俺、夜叉丸と、楓だけなのです。詳細は対価を払うという約束を貰った時に話そうと言う所存です。」
多羅尾光俊「ふうむ……相分かった。多分、無いと思うが、間違っても、里の者に色仕掛けはせぬ様にな。」
楓「いえ、それは無いと思います。私の心は夜叉丸様の物です。」
辺りが間の抜けた様にしん、と静まり返った。俺は思わず、顔を覆った。楓め……即答、しやがった。
夜叉丸「…うちの楓が、無礼仕った。後で言い聞かせておく。」
多羅尾光俊「…ふ、ふはははは！モテる男は辛いのう！将来は嫁か？ははははははははは！」
は、恥ずかしい。穴があったら入りたいよう…。
多羅尾光俊「まあ、良い。旅の者から、何が得られるか正直、今から確かめる所だが、そちらは条件付きでこちらの条件を飲むと、そう言う訳だな？対価は何だ？」
夜叉丸「うーん…それなんだが、少し多いかもしれないので、悩んでいる。落とし所をこっちからも幾つか提案するかもしれないが、構わないか？」
楓から、ある程度は噂の詳細を聞いて、決めた内容だけど。
多羅尾光俊「面白い。言ってみよ。」
夜叉丸「薬学を、俺に仕込んでくれませぬか？具体的には、火薬を扱う道具の使い分けや内容比率と、兵糧丸の作り方を学びたいです。」
忍者屋敷行った時の知識、楓の密談の内容と擦り合わせると、確か甲賀は薬学が発達していた筈だ。特に、火薬道具と兵糧丸が有名。
多羅尾光俊「確かにそちらが多い気がする。特に火薬道具は高く付くぞ？」
夜叉丸「で、ありますか。うーむ…火縄銃、幾つか献上では駄目ですか？」
多羅尾光俊「材料持参なら10挺。出来ぬなら、15挺程いただくが。」
夜叉丸「それについては大丈夫です。こちらは火薬も売りに出す商いもしている。何なら、少し多めに出すので、売ってもいいです。」
多羅尾光俊「ふむ…なら、10挺だな。後、購入も出来ると言ったな？幾つまでなら出来る？」
夜叉丸「俺が鍛治師です。火薬は俺以外にも吉次と楓も作れます。なので、量は材料次第です。こんな事もあろうかと、準備だけはして来ました。」
多羅尾光俊「待て。ふうむ…硝石をこちらからも出すから、その分負けてくれないか？あれは少し高すぎる。」
夜叉丸「ん？そちらに宛てがあるので？」
多羅尾光俊「まあな。こちらでも作り方は心得ているのでな。」
夜叉丸「うーむ…作り方、教えてくれたら、足りない硝石分は少々負けてもいいですけど？こちらと違う製法で、有意義なものでしたら、ですが。」
多羅尾光俊「お前は知りたがり、なのだな。…まあ良い。技術交流、それが条件だと、そんなものか。良いだろう。火薬作りに長けた者を後日送ろう。それで良いな？」
夜叉丸「承りました。良い商談である事を願います。」
こうして、甲賀での忍者に関わる薬学修行が始まろうとしていた…。
鵜飼孫六「某について来て、集会所に来て貰いたく存じます。商人の方ですよね？事前に情報は掴んでいます。さあ、こちらに着いて来て下さい。」
一言で言えば、田舎の山城のある、目立たない村。そんな感じが漂う、一見何の変哲も無い場所に案内される。だが、見る人が見れば、普通の様で普通じゃない場所だと言うのが分かった。際たるものは、火薬の生成する時の匂いのする家が通りすがりにあった点。多分、火薬庫、あるな。探せば、火薬以外にも、火縄銃隠し持ってる家もあったりしてな。確か、前世のゲーム知識だが、織田信長を狙撃した忍者もいたんじゃ無かったか？
村長宅の様な、少し開けた場所に案内される。
多羅尾光俊「多羅尾四郎兵衛と申す。一応、ここの纏め役をしている身だ。そちらの者共がそうなのだな？孫六。」
鵜飼孫六「はい、間違いありませぬ。自己紹介、していって貰っても良いか？」
夜叉丸「夜叉丸です。」
吉次「吉次です。」
鎮念「鎮念です。」
楓「…楓です。」
多羅尾光俊「…ふむ？孫六、ここの女人禁制の掟の事は伝えて無いのか？」
鵜飼孫六「いえ、それが…」
夜叉丸「すまない、技術提供しようにも、出来る組み合わせが、今の所、この俺、夜叉丸と、楓だけなのです。詳細は対価を払うという約束を貰った時に話そうと言う所存です。」
多羅尾光俊「ふうむ……相分かった。多分、無いと思うが、間違っても、里の者に色仕掛けはせぬ様にな。」
楓「いえ、それは無いと思います。私の心は夜叉丸様の物です。」
辺りが間の抜けた様にしん、と静まり返った。俺は思わず、顔を覆った。楓め……即答、しやがった。
夜叉丸「…うちの楓が、無礼仕った。後で言い聞かせておく。」
多羅尾光俊「…ふ、ふはははは！モテる男は辛いのう！将来は嫁か？ははははははははは！」
は、恥ずかしい。穴があったら入りたいよう…。
多羅尾光俊「まあ、良い。旅の者から、何が得られるか正直、今から確かめる所だが、そちらは条件付きでこちらの条件を飲むと、そう言う訳だな？対価は何だ？」
夜叉丸「うーん…それなんだが、少し多いかもしれないので、悩んでいる。落とし所をこっちからも幾つか提案するかもしれないが、構わないか？」
楓から、ある程度は噂の詳細を聞いて、決めた内容だけど。
多羅尾光俊「面白い。言ってみよ。」
夜叉丸「薬学を、俺に仕込んでくれませぬか？具体的には、火薬を扱う道具の使い分けや内容比率と、兵糧丸の作り方を学びたいです。」
忍者屋敷行った時の知識、楓の密談の内容と擦り合わせると、確か甲賀は薬学が発達していた筈だ。特に、火薬道具と兵糧丸が有名。
多羅尾光俊「確かにそちらが多い気がする。特に火薬道具は高く付くぞ？」
夜叉丸「で、ありますか。うーむ…火縄銃、幾つか献上では駄目ですか？」
多羅尾光俊「材料持参なら10挺。出来ぬなら、15挺程いただくが。」
夜叉丸「それについては大丈夫です。こちらは火薬も売りに出す商いもしている。何なら、少し多めに出すので、売ってもいいです。」
多羅尾光俊「ふむ…なら、10挺だな。後、購入も出来ると言ったな？幾つまでなら出来る？」
夜叉丸「俺が鍛治師です。火薬は俺以外にも吉次と楓も作れます。なので、量は材料次第です。こんな事もあろうかと、準備だけはして来ました。」
多羅尾光俊「待て。ふうむ…硝石をこちらからも出すから、その分負けてくれないか？あれは少し高すぎる。」
夜叉丸「ん？そちらに宛てがあるので？」
多羅尾光俊「まあな。こちらでも作り方は心得ているのでな。」
夜叉丸「うーむ…作り方、教えてくれたら、足りない硝石分は少々負けてもいいですけど？こちらと違う製法で、有意義なものでしたら、ですが。」
多羅尾光俊「お前は知りたがり、なのだな。…まあ良い。技術交流、それが条件だと、そんなものか。良いだろう。火薬作りに長けた者を後日送ろう。それで良いな？」
夜叉丸「承りました。良い商談である事を願います。」
こうして、甲賀での忍者に関わる薬学修行が始まろうとしていた…。
多羅尾光俊「して、そちらの教えてくれる内容は爆発する方法だったの。材料は火薬か？」
夜叉丸「いえ、小麦粉…いや燃えるものなら何でも出来ます。但し、風はあまり強くない方が望ましいですが。もしくは風上側で使う感じでしょうか。後、雨の日は厳禁です。」
多羅尾光俊「ほう？あれは小麦粉でも出来るのか。上手く行くなら、予算を節約するのに、便利だな。だが、本日は曇天。今にも雨が降りそうである、か。いや、降り出したな。仕方ない、今日は泊まる場所を決めたら、兵糧丸作りの仕込みを見学して来るが良い。晴れた日、楽しみにしている。」
こうして、俺は楓と吉次に、荷物の運び込みと火薬作りの準備を指示し、鎮念を護衛手伝いに付けると、兵糧丸作りをしている家に案内された。ふむふむ…何を混ぜるかと言うと、
炭水化物として
晒米（水で晒した白米）
蕎麦粉
はったい粉
キビなど雑穀粉
きな粉
葛粉あるいはわらび粉
山芋粉もしくは里芋粉-山芋や里芋を一度干し粉に挽いたもの
タンパク質、海洋性ミネラル、動物性ビタミン類、油脂成分として
脂質及びタンパク質が豊富な穀物および豆類
鰹節およびにぼし粉などの魚粉
植物由来ミネラル、ビタミン類、食物繊維、油脂成分として
梅干（クエン酸）
松の実
ゴマ、エゴマ、ナタネ
地域で採れる薬草や野草・山菜・野菜を乾燥させたものや煮て干したもの
クチナシ粉末
はじかみ粉末などの栄養価の高い食品
これらの粉末またはペーストを一種類から数種類混ぜる。非常に一般的であった製法は、穀物粉に各種栄養成分の整った鰹節やにぼし粉などの魚粉を入れるものだった。
さらに添加物として
蜂蜜または水飴
甘草(糖類・矯味剤)
焼酎・日本酒・濁酒(溶出材及び栄養抽出材)
ゴマ油や菜種油等の植物油等(脂質と脂溶性ビタミンの摂取)
矯味剤 混ぜ合わせる材料によっては臭みがある魚粉など栄養は豊富だが風味に不協和音が生じ食べにくい場合がある。その場合矯味剤によって風味を整えることもある。
松の甘皮粉末(テルペン類による矯味剤)
肉桂
薄荷
生姜
山椒及び山椒の葉
擂りゴマ・ゴマ油
これらにより味を整え、つなぎとする。材料としてニンジンも一部で使われていたが、実際にはトチバニンジン等が中心であり、デンシチニンジン、オタネニンジン類はあまり使われることはなかった。こうした配合のもとに材料を混合し、こねて小さい球状にまとめる。
兵糧丸は主にカロリーの摂取に重きが置かれている。携行でき、非常食になることから、軍用レーションあるいはスナックバー (菓子類)、半生タイプのダイエットクッキーの原型と見ることもできる。
…この知識、転生して来る前に欲しかったな。非常食作りのアイデアに散々使えるじゃないか。考えてみると、兵糧丸は江戸時代に東北地方では飢饉の際の非常食としても活用された歴史を持っていたな。
農民でも使える材料は幾つかあるぞ。鰯は確か肥料の材料に使われてたから、魚粉がやろうと思えば作れる。正月料理の田作りの語源だし。豆は言わずもがな。山の幸も今の知識量なら、何を粉にして混ぜればいいかも分かる。はっきり言って、親父は知らな過ぎたんだな、と痛感してしまった。
そして、少ししんみりした雑念を振り払いながら、兵糧丸作りを手伝いながら、比率調整のイロハを学んで行った。春雨のしきる毎日。覚えるには充分な四日間であった。
夜叉丸「いえ、小麦粉…いや燃えるものなら何でも出来ます。但し、風はあまり強くない方が望ましいですが。もしくは風上側で使う感じでしょうか。後、雨の日は厳禁です。」
多羅尾光俊「ほう？あれは小麦粉でも出来るのか。上手く行くなら、予算を節約するのに、便利だな。だが、本日は曇天。今にも雨が降りそうである、か。いや、降り出したな。仕方ない、今日は泊まる場所を決めたら、兵糧丸作りの仕込みを見学して来るが良い。晴れた日、楽しみにしている。」
こうして、俺は楓と吉次に、荷物の運び込みと火薬作りの準備を指示し、鎮念を護衛手伝いに付けると、兵糧丸作りをしている家に案内された。ふむふむ…何を混ぜるかと言うと、
炭水化物として
晒米（水で晒した白米）
蕎麦粉
はったい粉
キビなど雑穀粉
きな粉
葛粉あるいはわらび粉
山芋粉もしくは里芋粉-山芋や里芋を一度干し粉に挽いたもの
タンパク質、海洋性ミネラル、動物性ビタミン類、油脂成分として
脂質及びタンパク質が豊富な穀物および豆類
鰹節およびにぼし粉などの魚粉
植物由来ミネラル、ビタミン類、食物繊維、油脂成分として
梅干（クエン酸）
松の実
ゴマ、エゴマ、ナタネ
地域で採れる薬草や野草・山菜・野菜を乾燥させたものや煮て干したもの
クチナシ粉末
はじかみ粉末などの栄養価の高い食品
これらの粉末またはペーストを一種類から数種類混ぜる。非常に一般的であった製法は、穀物粉に各種栄養成分の整った鰹節やにぼし粉などの魚粉を入れるものだった。
さらに添加物として
蜂蜜または水飴
甘草(糖類・矯味剤)
焼酎・日本酒・濁酒(溶出材及び栄養抽出材)
ゴマ油や菜種油等の植物油等(脂質と脂溶性ビタミンの摂取)
矯味剤 混ぜ合わせる材料によっては臭みがある魚粉など栄養は豊富だが風味に不協和音が生じ食べにくい場合がある。その場合矯味剤によって風味を整えることもある。
松の甘皮粉末(テルペン類による矯味剤)
肉桂
薄荷
生姜
山椒及び山椒の葉
擂りゴマ・ゴマ油
これらにより味を整え、つなぎとする。材料としてニンジンも一部で使われていたが、実際にはトチバニンジン等が中心であり、デンシチニンジン、オタネニンジン類はあまり使われることはなかった。こうした配合のもとに材料を混合し、こねて小さい球状にまとめる。
兵糧丸は主にカロリーの摂取に重きが置かれている。携行でき、非常食になることから、軍用レーションあるいはスナックバー (菓子類)、半生タイプのダイエットクッキーの原型と見ることもできる。
…この知識、転生して来る前に欲しかったな。非常食作りのアイデアに散々使えるじゃないか。考えてみると、兵糧丸は江戸時代に東北地方では飢饉の際の非常食としても活用された歴史を持っていたな。
農民でも使える材料は幾つかあるぞ。鰯は確か肥料の材料に使われてたから、魚粉がやろうと思えば作れる。正月料理の田作りの語源だし。豆は言わずもがな。山の幸も今の知識量なら、何を粉にして混ぜればいいかも分かる。はっきり言って、親父は知らな過ぎたんだな、と痛感してしまった。
そして、少ししんみりした雑念を振り払いながら、兵糧丸作りを手伝いながら、比率調整のイロハを学んで行った。春雨のしきる毎日。覚えるには充分な四日間であった。
そして晴れた日…
夜叉丸「風向き、よーし！敵の持った武器を想定した、尖った杭の設置よーし！巻き込まれぬ様、手伝い、見学者の皆様は適度に離れて下さーい！…楓、準備はいいね？」
楓が無言でうなづいたのを確認すると、俺はこの粉塵爆発の為に用意して貰った斜めに設置された遠くの馬防柵を睨み付ける。勿論、狙うは突き出た尖った部分。しっかり目標を確認した後、練習した通り、砲丸投げの要領で、小麦粉の入った袋を、投げた。
ザァー…………
いい感じに袋が破けながら、粉が舞っていく。タイミングを合わせて、楓の火矢が、粉が舞っている一帯に吸い込まれた。直後の爆発。おおっ！？と言った感じの響めきと共に、馬防柵が粉々に吹き飛んだ。周りも少し焦げている。
夜叉丸「…とまあ、こんな感じに、2人1組でやると、いい感じの威力の爆発を起こせます。コツは1人は炮烙(当時の爆弾)以上の物を身体全体で振り回す膂力を持った者、もう1人は火矢をしっかり狙える者が必要です。」
多羅尾光俊「うむ、これはこちらの飛火炬(とびひこ＊忍者専用の火矢。実は普通の火矢の射程よりも長いものもある)と組み合わせるのも面白そうだ。詳細は昨夜にも聞いたが、そなたらは、雷爆の術を実際には見ていないのであろう？よくぞこんなものを思い付いたものよ。驚嘆に値する。確かに、これは雷爆の術と称しても差し支え無いであろう。」
ワーオ、忍者の首領角から、お墨付きを貰ってしまった。この粉塵爆発、そんなに有意義なんだ。事故かなんかで、その内、思い付きそうな気もするんだけどな。今では、メカニズムが確立していない、って事か。
夜叉丸「お褒めに預かり、光栄です。まさか多羅尾様から直にお墨付きを貰えるとは思ってもいませんでした。」
多羅尾光俊「うむ、しかし、あの独特な炮烙投げは色々と計算された投げ方なのは分かるが、力が強い者が必要、というのが難儀よの…今度の伊賀との合力訓練で共に練習を提案してみるかの？あやつらの方が力の強い者も多いし。」
この発言で俺はハッとした。そう言えば、伊賀は体術に長けていた、という話を聞いた事がある。
夜叉丸「その件、指南役を務めても構いませぬが、条件が２つ、あります。今話しても宜しいでしょうか？」
多羅尾光俊「申せ。俺もそれ次第で伊賀との訓練を考えよう。」
夜叉丸「１つは伊賀者が何か言って来ても、楓の身の安全の保証をして頂きたい。実は楓は昔、心を壊した結果、抜け忍になった身。故郷は歳が歳故、未だ分からぬ身なれど、万一があると恐ろしい為、多羅尾様等甲賀者が保証人になって欲しいのです。」
多羅尾光俊「ふむ。事情を聞くと確かに必要な処置の様に感じるものよ。相分かった。その様に致そう。しかし、成る程の…」
夜叉丸「えと、何か？」
多羅尾光俊「…お主への奉公ぶり、並々ならぬと思っておったが、それはお主を心の拠り所となったからであるか。羨ましい程の忠節ぶり、2人共、くれぐれも大切にするのだぞ？」
楓「ははーっ！私にとって、夜叉丸様は信ずる神も同然！神名にかけてもお仕え致します。」
夜叉丸「え！？神！？は、初めて聞いたぞ！？か、楓、大袈裟過ぎるって！？た、たまたまそうなっただけだぞ！？…多羅尾様も何とか言って下さい！笑って無いで、話の腰を折っていますし！」
多羅尾光俊「はっはっはっはっは！すまんすまん。予想の斜め上を行かれてな！成る程。忠臣でもあり、嫁候補でもあるのか！っとそうだったな。話は２つあったのだったのだな？…だからそう睨むな。話は聞いてやるから。そろそろ落ち着いて申せ。」
俺は深呼吸をして、息を整えると、２つ目の条件を語った。
夜叉丸「合力訓練の際、伊賀者から体術を学びたく存じます。こちらに関しては、金子を払ってでも、少なくとも、我らの男衆全員を鍛えて頂きたい。流派の違う者と手合わせする事で、より高みを目指したいのです。その為の取り次ぎをお願いしとうございます。」
多羅尾光俊「ほう？商人であると同時に武辺者としても高みを目指すと言うのか？その意義や良し！ただまあ…そうだな。事情を聞くと楓はあまり目につかぬ所に置く方が良さそうであるな。匿う場を合力訓練の時は用意するとしよう。相分かった！どちらも面白そうな話ぞ。伊賀者の驚く顔が目に浮かぶわ。」
夜叉丸「ありがとうございます！」
…いや、本音を言うと楓の事で伊賀者に驚かれると困るんだが。無理なのかな？忍者だから。むう…上手く行きづらいものだ。
夜叉丸「風向き、よーし！敵の持った武器を想定した、尖った杭の設置よーし！巻き込まれぬ様、手伝い、見学者の皆様は適度に離れて下さーい！…楓、準備はいいね？」
楓が無言でうなづいたのを確認すると、俺はこの粉塵爆発の為に用意して貰った斜めに設置された遠くの馬防柵を睨み付ける。勿論、狙うは突き出た尖った部分。しっかり目標を確認した後、練習した通り、砲丸投げの要領で、小麦粉の入った袋を、投げた。
ザァー…………
いい感じに袋が破けながら、粉が舞っていく。タイミングを合わせて、楓の火矢が、粉が舞っている一帯に吸い込まれた。直後の爆発。おおっ！？と言った感じの響めきと共に、馬防柵が粉々に吹き飛んだ。周りも少し焦げている。
夜叉丸「…とまあ、こんな感じに、2人1組でやると、いい感じの威力の爆発を起こせます。コツは1人は炮烙(当時の爆弾)以上の物を身体全体で振り回す膂力を持った者、もう1人は火矢をしっかり狙える者が必要です。」
多羅尾光俊「うむ、これはこちらの飛火炬(とびひこ＊忍者専用の火矢。実は普通の火矢の射程よりも長いものもある)と組み合わせるのも面白そうだ。詳細は昨夜にも聞いたが、そなたらは、雷爆の術を実際には見ていないのであろう？よくぞこんなものを思い付いたものよ。驚嘆に値する。確かに、これは雷爆の術と称しても差し支え無いであろう。」
ワーオ、忍者の首領角から、お墨付きを貰ってしまった。この粉塵爆発、そんなに有意義なんだ。事故かなんかで、その内、思い付きそうな気もするんだけどな。今では、メカニズムが確立していない、って事か。
夜叉丸「お褒めに預かり、光栄です。まさか多羅尾様から直にお墨付きを貰えるとは思ってもいませんでした。」
多羅尾光俊「うむ、しかし、あの独特な炮烙投げは色々と計算された投げ方なのは分かるが、力が強い者が必要、というのが難儀よの…今度の伊賀との合力訓練で共に練習を提案してみるかの？あやつらの方が力の強い者も多いし。」
この発言で俺はハッとした。そう言えば、伊賀は体術に長けていた、という話を聞いた事がある。
夜叉丸「その件、指南役を務めても構いませぬが、条件が２つ、あります。今話しても宜しいでしょうか？」
多羅尾光俊「申せ。俺もそれ次第で伊賀との訓練を考えよう。」
夜叉丸「１つは伊賀者が何か言って来ても、楓の身の安全の保証をして頂きたい。実は楓は昔、心を壊した結果、抜け忍になった身。故郷は歳が歳故、未だ分からぬ身なれど、万一があると恐ろしい為、多羅尾様等甲賀者が保証人になって欲しいのです。」
多羅尾光俊「ふむ。事情を聞くと確かに必要な処置の様に感じるものよ。相分かった。その様に致そう。しかし、成る程の…」
夜叉丸「えと、何か？」
多羅尾光俊「…お主への奉公ぶり、並々ならぬと思っておったが、それはお主を心の拠り所となったからであるか。羨ましい程の忠節ぶり、2人共、くれぐれも大切にするのだぞ？」
楓「ははーっ！私にとって、夜叉丸様は信ずる神も同然！神名にかけてもお仕え致します。」
夜叉丸「え！？神！？は、初めて聞いたぞ！？か、楓、大袈裟過ぎるって！？た、たまたまそうなっただけだぞ！？…多羅尾様も何とか言って下さい！笑って無いで、話の腰を折っていますし！」
多羅尾光俊「はっはっはっはっは！すまんすまん。予想の斜め上を行かれてな！成る程。忠臣でもあり、嫁候補でもあるのか！っとそうだったな。話は２つあったのだったのだな？…だからそう睨むな。話は聞いてやるから。そろそろ落ち着いて申せ。」
俺は深呼吸をして、息を整えると、２つ目の条件を語った。
夜叉丸「合力訓練の際、伊賀者から体術を学びたく存じます。こちらに関しては、金子を払ってでも、少なくとも、我らの男衆全員を鍛えて頂きたい。流派の違う者と手合わせする事で、より高みを目指したいのです。その為の取り次ぎをお願いしとうございます。」
多羅尾光俊「ほう？商人であると同時に武辺者としても高みを目指すと言うのか？その意義や良し！ただまあ…そうだな。事情を聞くと楓はあまり目につかぬ所に置く方が良さそうであるな。匿う場を合力訓練の時は用意するとしよう。相分かった！どちらも面白そうな話ぞ。伊賀者の驚く顔が目に浮かぶわ。」
夜叉丸「ありがとうございます！」
…いや、本音を言うと楓の事で伊賀者に驚かれると困るんだが。無理なのかな？忍者だから。むう…上手く行きづらいものだ。
〜甲賀の里、火器工房にて〜
今日から、火器関係を見学しながら、作り方を実践する事になった。やはり里を探すと、簡易な鍛冶場があった為、俺がやりやすい様に改良して貰うのと、同時進行でやっている。献上分は既に荷物に持って来てるしな。そして今学んでる、ラインナップが、これだ。
・狼火（のろし）
擲弾筒のこと。
狼煙と狼火どちらものろしであるが、
秘伝書の伝える狼火は、一般的な携帯用の狼煙ということではなかったらしい。
材料は、硝石と硫黄と灰であるが、
これを鉄砲薬のように竹筒に入れて用いるという。
固く突き込んでから玉を入れる。その際固く突き込むほどよい。
少しでも透間があれば竹は破れるといっている。
このことから狼火と言ってはいるが今日でいえばまさに
擲弾筒そのもので、通信用ではないとわかる。
・火口（ほくち）
ホソクズ、ホスヒ、ホクソなどと呼んだ。
燵石を打って出た火花を移し取るためのもの。
火口には古くから朽木や柔らかい木の消炭などの粉末などが
用いられてきたが、後には、アサ、イチビなどの草の幹を焼いて消炭
を作りこれを粉末にして火口を作るようになった。
・鉄砲打薬（てっぽううちやく）
鉄砲打薬とは鉄砲に込める火薬のこと。当時の広く知られて
いた標準的な火薬のこと。
打薬と言ったり、火薬と言ったり、ただ単に薬という場合もある。
・袖火（そでび）
携帯することができる火。袖の中に入れておくことが普通だったため、
当時の忍者は袖火と呼んだ。
火器としては最も一般的な火器のひとつで忍者たちにとっては必需品であった。
目的はあらゆる火器の点火用である。
ただし、発火性はそう鋭くない。
現在の懐炉のようなものを想像するとわかりやすい。
・銅火（どうび）
点火や発光を目的とした携帯用火器。
・水鉄砲（みずでっぽう）
名前は水鉄砲でも、火器である。
火薬の力を持って高速に水を射ち出し、敵を気絶させようというもの。
・剛盗提灯（がんどうちょうちん）
剛盗とちょうちんは一般に広く用いられた明かりとりである。
苧桶ほどの大きさの曲物の底に鉄の取っ手を付ける。
曲物の中には鉄の輪が三つある。
端の輪は曲物に付いて動かない。
中の二つの輪はクルクルと回るようにし、
三方から鉄針で釣って真中にくるようにする。ここに蝋燭を釣っておき、
中に油を入れて火を点す。曲物の底には空気抜きの穴をあけておく。
・抛火矢（ほうりびや）
現代でいう、手榴弾。
矢の字がついているが矢ではない。
土器を容器に使った投擲用火器。
・埋火（うずめび）
うめびとも。現代戦でいうところの地雷。
雷管のない時代の地雷であるから、
瞬間的に発火するわけではなかったと考えられる。
・鳥の子（とりのこ）
夜討鳥の子、忍び鳥の子といって夜間攻撃には重宝したらしい。
鳥の子とは形態から名づけたものであろう。
投げて用いる目的であったから、現代では一種の手榴弾と理解すべきである。煙玉の原型。
・捕火方（とりびほう）
現代の火器でいえば、火焔放射器。
当時の技術水準では現代のもののように何十メートルも届く火で
あったわけではないが、優れたものであったとされる。
・巻火矢（まきびや）
竹筒の中に火薬を詰めるだけではなく、
外側にも縄で巻きしめて圧力を高めたもの。
竹筒の後ろに羽根がついていてバランスを取る。
攻撃用投榔火器のひとつ。
・飛火炬（とびひこ）
飛火炬は忍者たちが用いた多くの火器の中で最も効果のある火矢であった。
小さなものから長射程を持つものまで、さまざまな種類がある。
ロケット堆進の火矢と考えればよい。
この飛火炬の大型のものを大国火炬という。
・焙烙火矢（ほうろくひや）
現代の手榴弾と同じく、手で投げる爆弾である。
豆や銀杏等を煎る素焼きの陶器で、ほうろくと呼ぶ、
碗状の生活用具がある。
この砲状のほうろくを二個あわせて球状にし、
その中に炎硝と榴弾（小鉄片や小石等殺傷力のある物）を交ぜ入れ、
火縄を口火としてつける。
・火矢（ひや）
戦陣で使用される焼打ち用の火矢はかぶら矢（鳴り笛のかぶらをつけた矢）
の笛の空胴の中に、が火照った炭火か、おきを詰めて射出するものをいう。
忍びの使う火矢は、矢に焔硝を仕込み火縄をつけ、
火縄に点火して弓で射出す。火縄の長さの調節によって、
思いのままの時刻に、爆発燃焼させることができる。
現代の時限爆弾のような使用法もできるわけである。
焔硝の仕込み方に種々な様式がある。
・大国火矢（おおくにひや）
現代のロケットのように、火薬の噴射によって矢を堆進させるアイデアの物で、
大国火矢と呼ぶ太く短い矢がある。
これは弓で射出せず、手で投げて方向を定める。
今日から、火器関係を見学しながら、作り方を実践する事になった。やはり里を探すと、簡易な鍛冶場があった為、俺がやりやすい様に改良して貰うのと、同時進行でやっている。献上分は既に荷物に持って来てるしな。そして今学んでる、ラインナップが、これだ。
・狼火（のろし）
擲弾筒のこと。
狼煙と狼火どちらものろしであるが、
秘伝書の伝える狼火は、一般的な携帯用の狼煙ということではなかったらしい。
材料は、硝石と硫黄と灰であるが、
これを鉄砲薬のように竹筒に入れて用いるという。
固く突き込んでから玉を入れる。その際固く突き込むほどよい。
少しでも透間があれば竹は破れるといっている。
このことから狼火と言ってはいるが今日でいえばまさに
擲弾筒そのもので、通信用ではないとわかる。
・火口（ほくち）
ホソクズ、ホスヒ、ホクソなどと呼んだ。
燵石を打って出た火花を移し取るためのもの。
火口には古くから朽木や柔らかい木の消炭などの粉末などが
用いられてきたが、後には、アサ、イチビなどの草の幹を焼いて消炭
を作りこれを粉末にして火口を作るようになった。
・鉄砲打薬（てっぽううちやく）
鉄砲打薬とは鉄砲に込める火薬のこと。当時の広く知られて
いた標準的な火薬のこと。
打薬と言ったり、火薬と言ったり、ただ単に薬という場合もある。
・袖火（そでび）
携帯することができる火。袖の中に入れておくことが普通だったため、
当時の忍者は袖火と呼んだ。
火器としては最も一般的な火器のひとつで忍者たちにとっては必需品であった。
目的はあらゆる火器の点火用である。
ただし、発火性はそう鋭くない。
現在の懐炉のようなものを想像するとわかりやすい。
・銅火（どうび）
点火や発光を目的とした携帯用火器。
・水鉄砲（みずでっぽう）
名前は水鉄砲でも、火器である。
火薬の力を持って高速に水を射ち出し、敵を気絶させようというもの。
・剛盗提灯（がんどうちょうちん）
剛盗とちょうちんは一般に広く用いられた明かりとりである。
苧桶ほどの大きさの曲物の底に鉄の取っ手を付ける。
曲物の中には鉄の輪が三つある。
端の輪は曲物に付いて動かない。
中の二つの輪はクルクルと回るようにし、
三方から鉄針で釣って真中にくるようにする。ここに蝋燭を釣っておき、
中に油を入れて火を点す。曲物の底には空気抜きの穴をあけておく。
・抛火矢（ほうりびや）
現代でいう、手榴弾。
矢の字がついているが矢ではない。
土器を容器に使った投擲用火器。
・埋火（うずめび）
うめびとも。現代戦でいうところの地雷。
雷管のない時代の地雷であるから、
瞬間的に発火するわけではなかったと考えられる。
・鳥の子（とりのこ）
夜討鳥の子、忍び鳥の子といって夜間攻撃には重宝したらしい。
鳥の子とは形態から名づけたものであろう。
投げて用いる目的であったから、現代では一種の手榴弾と理解すべきである。煙玉の原型。
・捕火方（とりびほう）
現代の火器でいえば、火焔放射器。
当時の技術水準では現代のもののように何十メートルも届く火で
あったわけではないが、優れたものであったとされる。
・巻火矢（まきびや）
竹筒の中に火薬を詰めるだけではなく、
外側にも縄で巻きしめて圧力を高めたもの。
竹筒の後ろに羽根がついていてバランスを取る。
攻撃用投榔火器のひとつ。
・飛火炬（とびひこ）
飛火炬は忍者たちが用いた多くの火器の中で最も効果のある火矢であった。
小さなものから長射程を持つものまで、さまざまな種類がある。
ロケット堆進の火矢と考えればよい。
この飛火炬の大型のものを大国火炬という。
・焙烙火矢（ほうろくひや）
現代の手榴弾と同じく、手で投げる爆弾である。
豆や銀杏等を煎る素焼きの陶器で、ほうろくと呼ぶ、
碗状の生活用具がある。
この砲状のほうろくを二個あわせて球状にし、
その中に炎硝と榴弾（小鉄片や小石等殺傷力のある物）を交ぜ入れ、
火縄を口火としてつける。
・火矢（ひや）
戦陣で使用される焼打ち用の火矢はかぶら矢（鳴り笛のかぶらをつけた矢）
の笛の空胴の中に、が火照った炭火か、おきを詰めて射出するものをいう。
忍びの使う火矢は、矢に焔硝を仕込み火縄をつけ、
火縄に点火して弓で射出す。火縄の長さの調節によって、
思いのままの時刻に、爆発燃焼させることができる。
現代の時限爆弾のような使用法もできるわけである。
焔硝の仕込み方に種々な様式がある。
・大国火矢（おおくにひや）
現代のロケットのように、火薬の噴射によって矢を堆進させるアイデアの物で、
大国火矢と呼ぶ太く短い矢がある。
これは弓で射出せず、手で投げて方向を定める。
火薬の噴封で進み、目標に命中すると爆発するという物である。
・暗薬（あんやく）
ヒハツを使う。口薬を加減して敵前に投げつける煙幕発生薬。現代の煉幕の古典。
結構多岐に渡る。火を使う火器だけでこれだ。正確に使いこなせる比率を覚えるのに、2ヶ月を要した。
鍛冶場での話だと、現在、手甲鈎(てこうかぎ)の作り方を試行錯誤してる様だった。城壁を登る為の爪の付いた武器である。他、同時進行で鉄拳という、今で言うメリケンサックの様な武具も考案中の模様。鋳型作りで苦戦してる様だった。世話になってるし、こちらは共同開発としよう。
因みに、甲賀流？の硝石の作り方はヨモギの根本に小便を毎日かける、というものだった。ヨモギが上手く化学反応を起こして生成を早める模様。牛舎の土よりは若干早そうだ。約束通り、硝石代は安くした。ただ、何か硝石が小さい気がするんだよな。2割引きが良い所だろう。
そんな感じで、更に1ヶ月後、何とか手甲鉤と鉄拳の鋳型が完成し、何とか形になって来た辺りで別の忍びの集団がやって来た。
甲賀者「来たぞー！俺はお頭に伝えてくる！」
伊賀者「約定により、参上仕った！」
そんな声が入り口辺りで聞こえた。はてさて、俺の選択は、凶と出るか、吉と出るか。そろそろ賽が投げられた状態になって来たかね？
・暗薬（あんやく）
ヒハツを使う。口薬を加減して敵前に投げつける煙幕発生薬。現代の煉幕の古典。
結構多岐に渡る。火を使う火器だけでこれだ。正確に使いこなせる比率を覚えるのに、2ヶ月を要した。
鍛冶場での話だと、現在、手甲鈎(てこうかぎ)の作り方を試行錯誤してる様だった。城壁を登る為の爪の付いた武器である。他、同時進行で鉄拳という、今で言うメリケンサックの様な武具も考案中の模様。鋳型作りで苦戦してる様だった。世話になってるし、こちらは共同開発としよう。
因みに、甲賀流？の硝石の作り方はヨモギの根本に小便を毎日かける、というものだった。ヨモギが上手く化学反応を起こして生成を早める模様。牛舎の土よりは若干早そうだ。約束通り、硝石代は安くした。ただ、何か硝石が小さい気がするんだよな。2割引きが良い所だろう。
そんな感じで、更に1ヶ月後、何とか手甲鉤と鉄拳の鋳型が完成し、何とか形になって来た辺りで別の忍びの集団がやって来た。
甲賀者「来たぞー！俺はお頭に伝えてくる！」
伊賀者「約定により、参上仕った！」
そんな声が入り口辺りで聞こえた。はてさて、俺の選択は、凶と出るか、吉と出るか。そろそろ賽が投げられた状態になって来たかね？
多羅尾光俊「…これより、甲賀者と伊賀者の合力訓練を行う！甲賀は兼ねてより、忍術の虎の巻に書ける内容がまた幾つか加わった。現物使用披露を来てくれた者にもしようと思っておる。それに付き、技術協力をしてくれた客員が此度の訓練参加を申し出ておる。来てくれた伊賀者の者達よ！甲賀の進展を通常の訓練の後、特とご覧あれ！では、こちらの客将の師匠とその仲間達を紹介する。代表、夜叉丸殿、前へ。」
夜叉丸「こんにちは、客将の夜叉丸です。噂に聞く伊賀者との交流訓練に混ぜて頂き、感謝に絶えませぬ。此度は我々の要望に応えて頂き、ありがとうございます。他、2名の参加をここで表明します。体術の御指南、御鞭撻の程、宜しくお願い致します！その後は、俺が指南役として、雷爆の術の改良指南や、協力開発した新しい忍具の情報を是非、皆さんも確認して持ち帰って下さい。同盟に改革による、進展がある事を願います！」
伊賀者の上官「質問宜しいだろうか？」
夜叉丸「ええと、失礼ですが、どなたでしょうか？」
植田光次「植田光次と申す。此度の伊賀者の代表でござる。失礼ですが、貴方は抜け忍ですか？」
夜叉丸「違います。俺はその…生は農民上がりですが、寺での修行後、商いの出来る聖として、大宝寺方に付いた行商人です。今浜国友村にて、国友藤兵衛親方にも師事して頂き、鍛治と加工の出来る行商人と、相成りました。忍者と言うよりは、持てる術を駆使した結果、ここでは技術協力者として滞在しています。勿論、多少、武術の心得もありますよ。忍具全てはまだ無理ですが、鎖鎌、苦無等以外は大体使い熟せます。
ただ、今は乱世。旅を生き抜くには、様々な武術をものにする事こそ、近道とは心得ています。よって、そちらの体術指南が協力の見返りです。不足だと言うのでしたら、その分は金子も収めようと考えています。」
植田光次「そちらの事情、承知した。3人分の体術訓練であるな？金子の交渉、承った。某が窓口となろう。そちら方の実力の程を今から教えて欲しい。状況次第では、金子を少し水増しして頂きたく、存ずる。」
夜叉丸「やはり、そうなりますか。分かりましたお教えします。先ず、もう1人のこの者、吉次はですね…(以下略)」
何とか、伊賀者との武術指南は上手く行きそうだ。
伊賀者「伊賀流体術を学ぶにおいての基礎訓練も同時進行でお教えする。先ず、基本は心を上手く鎮め、常に冷静である事が求められる。何か、辛い局面になった時、心を鎮める時間がある時は、我々は早九字を唱えている。では、実践してみるとしよう。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前(リン・ピョウ・トウ・シャ・カイ・チン・レツ・ザイ・ゼン)！復唱！」
3人「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前！」
これ、前世のTV番組やマンガでも見た気がする。仏教でもかなり短い念仏だ。
伊賀者「よし、覚えたな？次はこちらがやってる体力作りを伝授しよう。私の動きについて参れ。」
この後、山城の道では無く、急斜面等を走らされた。悪路の動き方等を幾つか覚えて行く。習得には後の終了時の2ヶ月後だが、一言で言うなら、何処でも走れる「早駆け」を習得した感覚があった。
勿論、その間、体術訓練も同時進行でやり、体捌きに更にキレが増した感じもあった。俺なんか、更に鎖鎌や苦無も少し習ったぞ。苦無が兎に命中した時は、軽く感動を覚えたね。
吉次は鎖鎌での動きが更に良くなった。鎮念は忍具や体術配りの対処法が少し分かって来た模様。そんなある日…
厠(トイレの事)から戻って来た楓が隔離場所の部屋に戻って来た。その時…
楓「…！？」
忍「！？」
何となく気配を感じた楓は天井の穴に向かって苦無を投擲。何かが逃げる気配を感じたという。…どっちの曲者なんだろうな？伊賀者だと、バレたという事だろうか？だとしたら、という不安をよそに、伊賀者からの何らかのアクションはそれ以来？何も無かった。何だか不気味だ。
そうこうしてるうちに、甲賀での、伊賀者との粉塵爆発をさせる訓練、手甲鉤、鉄拳の実践お披露目を伊賀者に焼き付けさせ、無事、訓練を終了してしまった。そして伊賀者が帰る前日。1人の伊賀者が俺が1人になった時にすれ違った時にアクションが来たと感じた。見えにくい感じて、小さく畳んだ、手紙をこっそり渡された。
「「拝啓、こうして手紙を渡すのは初めてだろうか？こっそり隠している娘の事で話がしたい。奈良の街の、某酒場に、合力訓練が済んだ後、来て欲しい。一月待つ。」」と、手紙に書いてあった。勿論、個室でこっそり読んだ。ふむ、どうしたものか。これは、伊賀者の罠？帰った頃を見計らって、仲間で相談せにゃ、ならないな、これは。
夜叉丸「こんにちは、客将の夜叉丸です。噂に聞く伊賀者との交流訓練に混ぜて頂き、感謝に絶えませぬ。此度は我々の要望に応えて頂き、ありがとうございます。他、2名の参加をここで表明します。体術の御指南、御鞭撻の程、宜しくお願い致します！その後は、俺が指南役として、雷爆の術の改良指南や、協力開発した新しい忍具の情報を是非、皆さんも確認して持ち帰って下さい。同盟に改革による、進展がある事を願います！」
伊賀者の上官「質問宜しいだろうか？」
夜叉丸「ええと、失礼ですが、どなたでしょうか？」
植田光次「植田光次と申す。此度の伊賀者の代表でござる。失礼ですが、貴方は抜け忍ですか？」
夜叉丸「違います。俺はその…生は農民上がりですが、寺での修行後、商いの出来る聖として、大宝寺方に付いた行商人です。今浜国友村にて、国友藤兵衛親方にも師事して頂き、鍛治と加工の出来る行商人と、相成りました。忍者と言うよりは、持てる術を駆使した結果、ここでは技術協力者として滞在しています。勿論、多少、武術の心得もありますよ。忍具全てはまだ無理ですが、鎖鎌、苦無等以外は大体使い熟せます。
ただ、今は乱世。旅を生き抜くには、様々な武術をものにする事こそ、近道とは心得ています。よって、そちらの体術指南が協力の見返りです。不足だと言うのでしたら、その分は金子も収めようと考えています。」
植田光次「そちらの事情、承知した。3人分の体術訓練であるな？金子の交渉、承った。某が窓口となろう。そちら方の実力の程を今から教えて欲しい。状況次第では、金子を少し水増しして頂きたく、存ずる。」
夜叉丸「やはり、そうなりますか。分かりましたお教えします。先ず、もう1人のこの者、吉次はですね…(以下略)」
何とか、伊賀者との武術指南は上手く行きそうだ。
伊賀者「伊賀流体術を学ぶにおいての基礎訓練も同時進行でお教えする。先ず、基本は心を上手く鎮め、常に冷静である事が求められる。何か、辛い局面になった時、心を鎮める時間がある時は、我々は早九字を唱えている。では、実践してみるとしよう。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前(リン・ピョウ・トウ・シャ・カイ・チン・レツ・ザイ・ゼン)！復唱！」
3人「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前！」
これ、前世のTV番組やマンガでも見た気がする。仏教でもかなり短い念仏だ。
伊賀者「よし、覚えたな？次はこちらがやってる体力作りを伝授しよう。私の動きについて参れ。」
この後、山城の道では無く、急斜面等を走らされた。悪路の動き方等を幾つか覚えて行く。習得には後の終了時の2ヶ月後だが、一言で言うなら、何処でも走れる「早駆け」を習得した感覚があった。
勿論、その間、体術訓練も同時進行でやり、体捌きに更にキレが増した感じもあった。俺なんか、更に鎖鎌や苦無も少し習ったぞ。苦無が兎に命中した時は、軽く感動を覚えたね。
吉次は鎖鎌での動きが更に良くなった。鎮念は忍具や体術配りの対処法が少し分かって来た模様。そんなある日…
厠(トイレの事)から戻って来た楓が隔離場所の部屋に戻って来た。その時…
楓「…！？」
忍「！？」
何となく気配を感じた楓は天井の穴に向かって苦無を投擲。何かが逃げる気配を感じたという。…どっちの曲者なんだろうな？伊賀者だと、バレたという事だろうか？だとしたら、という不安をよそに、伊賀者からの何らかのアクションはそれ以来？何も無かった。何だか不気味だ。
そうこうしてるうちに、甲賀での、伊賀者との粉塵爆発をさせる訓練、手甲鉤、鉄拳の実践お披露目を伊賀者に焼き付けさせ、無事、訓練を終了してしまった。そして伊賀者が帰る前日。1人の伊賀者が俺が1人になった時にすれ違った時にアクションが来たと感じた。見えにくい感じて、小さく畳んだ、手紙をこっそり渡された。
「「拝啓、こうして手紙を渡すのは初めてだろうか？こっそり隠している娘の事で話がしたい。奈良の街の、某酒場に、合力訓練が済んだ後、来て欲しい。一月待つ。」」と、手紙に書いてあった。勿論、個室でこっそり読んだ。ふむ、どうしたものか。これは、伊賀者の罠？帰った頃を見計らって、仲間で相談せにゃ、ならないな、これは。
伊賀者が甲賀から去って4日目。皆であれから相談したものの、伊賀者の目的が分からない以上、相手の出方を伺うより他無い、という結論になり、甲賀からは、狙撃手として杉谷善住坊という方を借り受けて早掛けを駆使しながら、奈良の町に到着した。確かこの坊さん忍者は、織田信長を狙撃した事があるとか言う忍者じゃ無かったかな？当然、誰も欠かす事無く連れて来た。確か酒場だったな？
夜叉丸「…ここか？」
何となく、待ち合わせ有りの場所は、ここしか無い気がした。
酒場の女将「あら、いらっしゃい。何をご注文で？」
夜叉丸「この町の酒場で人と待ち合わせをしている。心当たりは無いか？」
酒場の女将「ふーん、お客様はどちらから？」
夜叉丸「東の山の方から来たな。」
酒場の女将「山！…………………。」
女将が急にこう言ったまま、真顔で睨みつけられた。ん？これってまさか、忍者の合言葉の掛けすぐり、聞きすぐりじゃ…？俺は答えになりそうなワードの合言葉を答えた。
夜叉丸「川。」
酒場の女将「…へえ。一応は習ったんだねえ。お待ちのお客様はあちらだよ。」
指差した先には、酒場の隅で、ずっとこちらを眺める町人風の男がいた。俺は杉谷善住坊さんに周囲の警戒をと外に出て貰うと、その男に近付いて行く。
夜叉丸「ええと、あんたか？俺を手紙で呼び出したのは…」
町人風の男「そうだ。そこの娘と、少し話がしたくてな。………楓………」
夜叉丸一行「「「！？」」」
この男が立ち上がりながら、楓の名を読んだ。思わず警戒を露わにしたが、即座に、次の言葉で思わず霧散してしまった。
町人風の男「よくぞ、無事に、育って…正気に、戻って来てくれたんだな…」
楓「……え？」
夜叉丸「一つ確認する。お前は一体、何者なんだ………？」
新堂小太郎「新堂小太郎と申す。楓の母、こほは、俺の部下、だったんだ。」
夜叉丸「…確認する。それは真か？罠では無いんだな？」
新堂小太郎「ああ、だから甲賀者に外の警戒に行かせたのか。大丈夫だ。これは俺個人の問題だ。伊賀全体とは関係ない。もしや楓、掟の事を覚えていたのか？」
夜叉丸一行「「「……………。」」」
衝撃的な展開に言葉を皆、失った。だが、これは楓の過去を引き出す為に、必要な事かもしれない。俺はこっそり、楓を肘で着いた。読唇術で、合図する。話を、してやれ、と。
楓「私は貴方の事をあまり覚えていない。掟も、噂で知ったのみ。でも、何処かで聞いた声の様な気もする。」
新堂小太郎「ははは…一度しか会っていないので当然だ。俺は君を誰も害する事の無い様、縋る想いで美濃の寺に連れて行ったからな。」
楓「母上のいた家から、送り届けた？」
新堂小太郎「ああ、そうだ。当時の君は、母を失ったからか、すっかり抜け殻の様だった。尊敬する、目上の者を失った者に時々見られる状態だ。しばらく観察したが、このまま忍として生きるには無理だ、と思った。
本来なら、母の墓の側で共に果てる事になる筈だったが、俺は、何だかそういうのを見るのも、作るのも嫌になってた頃でな…俺の我儘でもいい、この娘にも生きる機会を、と思って思い切って近くの奈良では無く、美濃の寺に預けよう、と思った。丁度、美濃…いや、もう岐阜か。岐阜が荒れる直前だったので、寺に金子を渡せば直ぐだったさ。」
楓「…そう。」
夜叉丸「成る程な。新堂殿とか言ったか？それで楓をどうしたいんだ？」
新堂小太郎「いや、楓が無事である事を確認したかっただけの事よ。俺からも一つ確認だ。今の楓は、辛い思い出を振り切ったのか、正気に戻った様には見える。そう見た上で、敢えて確認させて貰う。楓よ、今が幸せか？何か不満は無いか？」
楓「私は…夜叉丸様がいるなら、夜叉丸様が目指して生きる、戦国乱世を間近で、ずっと側で見て行きたい。それが私の、今の幸せです。」
新堂小太郎「…そうか。君にも…お前にも大志が出来たんだな…よがった…よがったなあ…」
新堂小太郎はそこで大粒の涙を溜めて漢泣きしだした。伊賀の抜け忍成敗の掟は、逆を返すと、里の者皆家族、という考えの裏返しなんじゃないかと思った。
夜叉丸「新堂殿は、誠に良いやつ、であるな。俺は楓に合わせて良かった、とは思った。正直、この話を聞いた後で、これを聞くのは憚るのだが、一つ聞いても良いか？」
新堂小太郎「良い。何でも申せ。」
楓「主には言ってない事があったのか？」
夜叉丸「楓の母上、こほと言ったか？病で亡くなったのまでは聞いている。聞きそびれたのだが、唐瘡とはどの様な病気なのだ？何が原因で起きるものなのだ？」
新堂小太郎「そうか。楓は詳しく知らないのだな。然もありなん。そうだな、端的に言えばな…」
ふむふむ、何！？性病！？まさか…いやまさかな…。
夜叉丸「…ここか？」
何となく、待ち合わせ有りの場所は、ここしか無い気がした。
酒場の女将「あら、いらっしゃい。何をご注文で？」
夜叉丸「この町の酒場で人と待ち合わせをしている。心当たりは無いか？」
酒場の女将「ふーん、お客様はどちらから？」
夜叉丸「東の山の方から来たな。」
酒場の女将「山！…………………。」
女将が急にこう言ったまま、真顔で睨みつけられた。ん？これってまさか、忍者の合言葉の掛けすぐり、聞きすぐりじゃ…？俺は答えになりそうなワードの合言葉を答えた。
夜叉丸「川。」
酒場の女将「…へえ。一応は習ったんだねえ。お待ちのお客様はあちらだよ。」
指差した先には、酒場の隅で、ずっとこちらを眺める町人風の男がいた。俺は杉谷善住坊さんに周囲の警戒をと外に出て貰うと、その男に近付いて行く。
夜叉丸「ええと、あんたか？俺を手紙で呼び出したのは…」
町人風の男「そうだ。そこの娘と、少し話がしたくてな。………楓………」
夜叉丸一行「「「！？」」」
この男が立ち上がりながら、楓の名を読んだ。思わず警戒を露わにしたが、即座に、次の言葉で思わず霧散してしまった。
町人風の男「よくぞ、無事に、育って…正気に、戻って来てくれたんだな…」
楓「……え？」
夜叉丸「一つ確認する。お前は一体、何者なんだ………？」
新堂小太郎「新堂小太郎と申す。楓の母、こほは、俺の部下、だったんだ。」
夜叉丸「…確認する。それは真か？罠では無いんだな？」
新堂小太郎「ああ、だから甲賀者に外の警戒に行かせたのか。大丈夫だ。これは俺個人の問題だ。伊賀全体とは関係ない。もしや楓、掟の事を覚えていたのか？」
夜叉丸一行「「「……………。」」」
衝撃的な展開に言葉を皆、失った。だが、これは楓の過去を引き出す為に、必要な事かもしれない。俺はこっそり、楓を肘で着いた。読唇術で、合図する。話を、してやれ、と。
楓「私は貴方の事をあまり覚えていない。掟も、噂で知ったのみ。でも、何処かで聞いた声の様な気もする。」
新堂小太郎「ははは…一度しか会っていないので当然だ。俺は君を誰も害する事の無い様、縋る想いで美濃の寺に連れて行ったからな。」
楓「母上のいた家から、送り届けた？」
新堂小太郎「ああ、そうだ。当時の君は、母を失ったからか、すっかり抜け殻の様だった。尊敬する、目上の者を失った者に時々見られる状態だ。しばらく観察したが、このまま忍として生きるには無理だ、と思った。
本来なら、母の墓の側で共に果てる事になる筈だったが、俺は、何だかそういうのを見るのも、作るのも嫌になってた頃でな…俺の我儘でもいい、この娘にも生きる機会を、と思って思い切って近くの奈良では無く、美濃の寺に預けよう、と思った。丁度、美濃…いや、もう岐阜か。岐阜が荒れる直前だったので、寺に金子を渡せば直ぐだったさ。」
楓「…そう。」
夜叉丸「成る程な。新堂殿とか言ったか？それで楓をどうしたいんだ？」
新堂小太郎「いや、楓が無事である事を確認したかっただけの事よ。俺からも一つ確認だ。今の楓は、辛い思い出を振り切ったのか、正気に戻った様には見える。そう見た上で、敢えて確認させて貰う。楓よ、今が幸せか？何か不満は無いか？」
楓「私は…夜叉丸様がいるなら、夜叉丸様が目指して生きる、戦国乱世を間近で、ずっと側で見て行きたい。それが私の、今の幸せです。」
新堂小太郎「…そうか。君にも…お前にも大志が出来たんだな…よがった…よがったなあ…」
新堂小太郎はそこで大粒の涙を溜めて漢泣きしだした。伊賀の抜け忍成敗の掟は、逆を返すと、里の者皆家族、という考えの裏返しなんじゃないかと思った。
夜叉丸「新堂殿は、誠に良いやつ、であるな。俺は楓に合わせて良かった、とは思った。正直、この話を聞いた後で、これを聞くのは憚るのだが、一つ聞いても良いか？」
新堂小太郎「良い。何でも申せ。」
楓「主には言ってない事があったのか？」
夜叉丸「楓の母上、こほと言ったか？病で亡くなったのまでは聞いている。聞きそびれたのだが、唐瘡とはどの様な病気なのだ？何が原因で起きるものなのだ？」
新堂小太郎「そうか。楓は詳しく知らないのだな。然もありなん。そうだな、端的に言えばな…」
ふむふむ、何！？性病！？まさか…いやまさかな…。
顔が赤くなる楓をよそに、俺はしきりに考え込んでしまった。前世で医者になれないか、と思ってた時期があった時に、マンガで習った病気を思い出した。あれは江戸時代に医者がタイムスリップする話だったか？症状の擦り合わせが記憶違いでなければ、楓の母の病気は、ほぼ間違いなく梅毒だ。
思い出せ、これは性感染症の一つで、確か感染者を治す方法は限定的だが、あった筈。エゴなのは分かるが、新堂さんの為に何かアドバイスは出来ないだろうか？俺はふと、酒場の隣に生えてるビワの木が目に入った。そうだ、あのマンガは、確かあるカビの生えたミカンで…。
新堂小太郎「おい、夜叉丸とか言ったか？早く思考の渦から帰って来い。大丈夫だ。楓はまだ初物だろ？唐瘡は感染ってない筈だ。だから、お前が案ずる必要は無い筈だぞ。それともお前、感染す事に心当たりがあるのか？」
楓が茹で蛸の様に赤くなったり、青くなったりと忙しい様を横目に、新堂さんが頓珍漢な事を言って来る。だが、考えて見ると、この時代なら、そういう考え方が一般的だ。俺は考えてた事を、いつ知ったかを誤魔化しながら、言葉を選んで語る事にした。
夜叉丸「新堂さん。もしかすると、唐瘡は治るかもしれない病気だ、と言ったら信じる事は出来る？？」
新堂小太郎「…嘘だろ？いやまさかそんな…ここ50年位で流行り始めた病だぞ？何処でそんな話を聞いた？」
夜叉丸「これは食事に困った南蛮人の経験談です。俺は、今浜から少し離れた地で偶然その男と話す事があったのですが、金に困る時期があった際に青い黴び(カビ)の生えた果物を食った事があるそうですが、どうも、その後、気付くとお腹こそ壊したものの、性病を感染さなくなった、という経験をした者がいる様です。
以来、その南蛮人は、この経験を持ち帰り、青黴から特効薬が作れないか、研究する気だ、と話していました。もしかすると…」
新堂小太郎「おいおい…本当に青黴でか…？俄かには信じられないが…。」
夜叉丸「忍びは色々試してこそ、では有りませぬか？甲賀は俺の協力で、日進月歩ですが、少しながら発明に成功しました。確かめる為に伊賀も体術以外に色々着手してみてはどうでしょう？俺の勘ですが、青黴は形が違うだけで、納豆や味噌、醤油と煮た何等かの変化によるものだと思います。
つまり、逆を返すと、味噌や醤油を作る施設と同じものを使えば、薬効のあるものを作り出す事も可能になる事もあり得るのでは？残念ながら、俺にはそのやり方を朧げながらしか知りませぬ。ですが、病人の膿等を使えば、効果のある部分に反応するものを見つける事は出来るやも、しれません。」
新堂小太郎「そんな事が…いや、でも、面白そうだ。俺も持ち帰って実験場を作ってみてえ。お前、その様子だと、ある程度腹案はあるんだろ？言ってみな。」
俺は案を幾つか覚えてる範囲の事を語った。
(1)青カビの培養作業をする。 芋の煮汁と米のとぎ汁を合わせた液体を容 器に入れ、液体培地を作る。その上に、集め た青カビを移植する。
(2)ペニシリンの抽出作業を行う。
蓋つきの陶器の樽の上に綿をつめたじょうご を置きその上からアオカビの培養液を流し入 れ、培養液をろ過する。ろ過した液体に、菜 種油を注ぎ、樽の中を棒でかき混ぜる。 樽の栓を抜き、一番下に溜まった水の部分(水 溶性物質)だけを別の容器に移す。 ペニシリン溶液からさらに不純物を取り除く。 煮沸消毒して砕いた炭を入れた甕(かめ)にペ ニシリン溶液を流し込み、再びかき混ぜる。炭のみを取り出し、容器(※注ぎ口と排出口のつ いたもの)に詰めかえる。 煮沸蒸留したきれいな水を注ぎ口から流し込 み、不純物を洗い流す。さらに純度を上げるた め、今度は酸性水(お酢と蒸留水を混ぜたも の)を注ぐ。 最後に、容器の排出口に綿をつめた(フィルタ ーの働きをする)器具を取り付け、受け皿とな る容器を用意。注ぎ口から重曹を溶かした蒸 留水(※アルカリ性)を通す。
(3)ペニシリン抽出液の薬効を調べる。 半合ずつに分けたペニシリン抽出液を、患者 の膿から採取したブドウ球菌をなすりつけた 寒天培地に少しずつたらす。蓋をして数日待 つ。
これで、病原菌のコロニーがあまり増えない所があったら薬効がある筈。とした。ぺにしりん？と疑問が湧いていたが、青黴を喰った人の名から取った。あくまで仮称だ、という事にした。
もし、発明に成功してしまうと、新堂薬、とかになってしまうのだろうか？まあ、それは良い。嫌に新堂さんに感謝された。お礼を、というものの、ペニシリンが完成した訳でも無いので、と断りつつ、押し問答の落とし所作りの結果、奈良の町の情報を色々教えて貰った。え？ここは剣豪、柳生荘厳がいる？？槍では、宝蔵院胤栄(ほうぞういん いんえい)？？
思い出せ、これは性感染症の一つで、確か感染者を治す方法は限定的だが、あった筈。エゴなのは分かるが、新堂さんの為に何かアドバイスは出来ないだろうか？俺はふと、酒場の隣に生えてるビワの木が目に入った。そうだ、あのマンガは、確かあるカビの生えたミカンで…。
新堂小太郎「おい、夜叉丸とか言ったか？早く思考の渦から帰って来い。大丈夫だ。楓はまだ初物だろ？唐瘡は感染ってない筈だ。だから、お前が案ずる必要は無い筈だぞ。それともお前、感染す事に心当たりがあるのか？」
楓が茹で蛸の様に赤くなったり、青くなったりと忙しい様を横目に、新堂さんが頓珍漢な事を言って来る。だが、考えて見ると、この時代なら、そういう考え方が一般的だ。俺は考えてた事を、いつ知ったかを誤魔化しながら、言葉を選んで語る事にした。
夜叉丸「新堂さん。もしかすると、唐瘡は治るかもしれない病気だ、と言ったら信じる事は出来る？？」
新堂小太郎「…嘘だろ？いやまさかそんな…ここ50年位で流行り始めた病だぞ？何処でそんな話を聞いた？」
夜叉丸「これは食事に困った南蛮人の経験談です。俺は、今浜から少し離れた地で偶然その男と話す事があったのですが、金に困る時期があった際に青い黴び(カビ)の生えた果物を食った事があるそうですが、どうも、その後、気付くとお腹こそ壊したものの、性病を感染さなくなった、という経験をした者がいる様です。
以来、その南蛮人は、この経験を持ち帰り、青黴から特効薬が作れないか、研究する気だ、と話していました。もしかすると…」
新堂小太郎「おいおい…本当に青黴でか…？俄かには信じられないが…。」
夜叉丸「忍びは色々試してこそ、では有りませぬか？甲賀は俺の協力で、日進月歩ですが、少しながら発明に成功しました。確かめる為に伊賀も体術以外に色々着手してみてはどうでしょう？俺の勘ですが、青黴は形が違うだけで、納豆や味噌、醤油と煮た何等かの変化によるものだと思います。
つまり、逆を返すと、味噌や醤油を作る施設と同じものを使えば、薬効のあるものを作り出す事も可能になる事もあり得るのでは？残念ながら、俺にはそのやり方を朧げながらしか知りませぬ。ですが、病人の膿等を使えば、効果のある部分に反応するものを見つける事は出来るやも、しれません。」
新堂小太郎「そんな事が…いや、でも、面白そうだ。俺も持ち帰って実験場を作ってみてえ。お前、その様子だと、ある程度腹案はあるんだろ？言ってみな。」
俺は案を幾つか覚えてる範囲の事を語った。
(1)青カビの培養作業をする。 芋の煮汁と米のとぎ汁を合わせた液体を容 器に入れ、液体培地を作る。その上に、集め た青カビを移植する。
(2)ペニシリンの抽出作業を行う。
蓋つきの陶器の樽の上に綿をつめたじょうご を置きその上からアオカビの培養液を流し入 れ、培養液をろ過する。ろ過した液体に、菜 種油を注ぎ、樽の中を棒でかき混ぜる。 樽の栓を抜き、一番下に溜まった水の部分(水 溶性物質)だけを別の容器に移す。 ペニシリン溶液からさらに不純物を取り除く。 煮沸消毒して砕いた炭を入れた甕(かめ)にペ ニシリン溶液を流し込み、再びかき混ぜる。炭のみを取り出し、容器(※注ぎ口と排出口のつ いたもの)に詰めかえる。 煮沸蒸留したきれいな水を注ぎ口から流し込 み、不純物を洗い流す。さらに純度を上げるた め、今度は酸性水(お酢と蒸留水を混ぜたも の)を注ぐ。 最後に、容器の排出口に綿をつめた(フィルタ ーの働きをする)器具を取り付け、受け皿とな る容器を用意。注ぎ口から重曹を溶かした蒸 留水(※アルカリ性)を通す。
(3)ペニシリン抽出液の薬効を調べる。 半合ずつに分けたペニシリン抽出液を、患者 の膿から採取したブドウ球菌をなすりつけた 寒天培地に少しずつたらす。蓋をして数日待 つ。
これで、病原菌のコロニーがあまり増えない所があったら薬効がある筈。とした。ぺにしりん？と疑問が湧いていたが、青黴を喰った人の名から取った。あくまで仮称だ、という事にした。
もし、発明に成功してしまうと、新堂薬、とかになってしまうのだろうか？まあ、それは良い。嫌に新堂さんに感謝された。お礼を、というものの、ペニシリンが完成した訳でも無いので、と断りつつ、押し問答の落とし所作りの結果、奈良の町の情報を色々教えて貰った。え？ここは剣豪、柳生荘厳がいる？？槍では、宝蔵院胤栄(ほうぞういん いんえい)？？
新堂小太郎「…御免。夜叉丸一行はおるか？」
夜叉丸「どうした？新堂さ…！？」
新堂さんは血を流しながら、こちらに来ていた。
夜叉丸「何があった！？」
新堂小太郎「はは…ドジっちまった。話すと長いが、俺が新しい、ぺにしりんだか？あの薬を作ろうとしてるのを聞き付けてか、甲賀が嫉妬して、銃撃事件が起きた。一見そうなんだが…」
夜叉丸「お、おい、何か引っ掛かるのか？…いや、者共、この者の止血を！」
新堂小太郎「案ずるな。これは返り血よ。急いで伝えに来たので、この格好なのは、許せ。先程、襲撃を喰らってな。少し、疲れているだけの事。ええと、話は何処まで進んだんだったか？」
夜叉丸「紛らわしい…分かった。続きを聞こう。甲賀から伊賀に銃による襲撃があったのだな？だが、何か妙だ、という話までだ。何が妙なんだ？」
新堂小太郎「火縄銃の種類が、心なしか違う気がするんだ。現物を運良く抑えて来たんだが、射程が心なしか低かった。甲賀に聞くと、今の主流に集めてる銃じゃない、と。多分だが、伊賀と甲賀を仲違いするのが目的に相違あるまい。何者かが扮してやっておるのだ。」
夜叉丸「…他に何か特徴は無いのか？」
新堂小太郎「よくぞ申してくれた。俺が尋ねて来たのは、そこだ。そこから何か知らないか、知りたい。狙撃手なのだがな、動き方が妙だった。癖がある。まるで共から、銃を貰おうとしてる様な動きを仕掛けておった。実際は1人だったのだがな。お前、諸国を放浪しておるのだろ？何か知らぬか？」
夜叉丸「共から鉄砲…まさか…！…いや…でも、特徴からすると…！」
新堂小太郎「何か知っておるのだな？何処だ？」
夜叉丸「根来、かもしれな「危ない！」」
ズドーン
銃声が鳴った。新堂さんを庇った吉次が倒れる。即座に楓が、苦無を銃の向けられた方へ放った。しばらくしてうめき声が聞こえる。
鎮念さんが吉次の容態を確認したが、首を横に振られた。首に、当たってやがる。
新堂小太郎「…な！？おいおい、付けられてた、って事か…！？チッここも安全じゃねえ、一旦逃げるぞ！」
夜叉丸「何処に行く！？当てはあるのか！？まさか伊賀とか言うのでは無いな！？」
新堂小太郎「京へ落ち延びる。馬鹿を言うな。お前の仲間に楓がいるのだろ？下手をすると殺される。放っておいても伊賀者は来るだろう。それなら、隠れ家が幾つかある、京がまだ確実だ。」
夜叉丸「分かった。やむを得ない。俺達は、京へ落ち延びる！」
即座に出て行く一行。俺も吉次の前で、短く黙祷を捧げると、素早く借り屋を後にした。済まない…吉次………。
一行は道中、俺が話そうとした内容を問い詰めながら、京に急ぐ。俺は心当たりを話した。
新堂小太郎「成る程な。根来か。銃を使う時は4人1組で戦うというのか。お前、よくそんな事を知ってたな。だが、付け狙う鉄砲衆が何者かも分かった。恐らく、里に現れたのは、甲賀者と勘違いさせる為の偽造であろう。」
夜叉丸「あくまで噂ですがね。それより、急がないと！」
勿論、本当は前世のTV番組の知識だ。確か、大河に出て来た顔が時々ゲストで出るヤツ。
不意に背後から、金属のぶつかる音がした。振り返ると、楓と鎮念さんが苦無を弾き返し、楓に至っては反撃していた。
新堂小太郎「おいおい…追いつくのが早過ぎるな…参ったぜ。」
夜叉丸「く…伊賀者まで来てしまったか。」
楓「鎮念…やばい…火薬の匂い！」
俺達は咄嗟に身を低くして、火縄銃の玉を避ける。だが、数秒で第二射が来た。間違いない。これは、根来だ…！根来も来ている。
夜叉丸「散開！」
咄嗟にそれと同時に新堂さんの苦無が飛ぶ。3射目からは、来なくなった。4射目は来ない。どうやら仕留めた様だ。
鎮念「ぐ！？」
夜叉丸「鎮念！？」
鎮念「大丈夫だ。何のこれしき！」
鎮念に突然当たった矢は、すぐに抜かれる。だが、それから数歩動いた所で、鎮念は、膝を付いた。
鎮念「力が…出ぬだと…？」
新堂小太郎「チッ、毒矢か！？すぐ解毒薬を…！」
西側からいたぞー！という声が聞こえた。不味い、追っ手か！？
鎮念「置いて行け…」
夜叉丸「だが…」
鎮念「いいから！急げ…！」
新堂小太郎「俺は囮になる！夜叉丸、楓を連れて逃げろ！鎮念の気持ちを無駄にするな！！」
夜叉丸「…くそ！！！行くぞ！！」
俺は鎮念と新堂さんとも分断されながら、楓と共に落ち延びた。
〜サイド新堂〜
付近の村にて。井戸に石を投げ入れる新堂小太郎。そのまま、走って逃走を図る。
新堂小太郎「…へへ。(後は町人に化けて襲撃を乗り切ってやる。翌朝にでも、夜叉丸と、落ち合えば…)」
忍「…お前の手口等、バレて無いとでも思ったのか？新堂小太郎。」
夜叉丸「どうした？新堂さ…！？」
新堂さんは血を流しながら、こちらに来ていた。
夜叉丸「何があった！？」
新堂小太郎「はは…ドジっちまった。話すと長いが、俺が新しい、ぺにしりんだか？あの薬を作ろうとしてるのを聞き付けてか、甲賀が嫉妬して、銃撃事件が起きた。一見そうなんだが…」
夜叉丸「お、おい、何か引っ掛かるのか？…いや、者共、この者の止血を！」
新堂小太郎「案ずるな。これは返り血よ。急いで伝えに来たので、この格好なのは、許せ。先程、襲撃を喰らってな。少し、疲れているだけの事。ええと、話は何処まで進んだんだったか？」
夜叉丸「紛らわしい…分かった。続きを聞こう。甲賀から伊賀に銃による襲撃があったのだな？だが、何か妙だ、という話までだ。何が妙なんだ？」
新堂小太郎「火縄銃の種類が、心なしか違う気がするんだ。現物を運良く抑えて来たんだが、射程が心なしか低かった。甲賀に聞くと、今の主流に集めてる銃じゃない、と。多分だが、伊賀と甲賀を仲違いするのが目的に相違あるまい。何者かが扮してやっておるのだ。」
夜叉丸「…他に何か特徴は無いのか？」
新堂小太郎「よくぞ申してくれた。俺が尋ねて来たのは、そこだ。そこから何か知らないか、知りたい。狙撃手なのだがな、動き方が妙だった。癖がある。まるで共から、銃を貰おうとしてる様な動きを仕掛けておった。実際は1人だったのだがな。お前、諸国を放浪しておるのだろ？何か知らぬか？」
夜叉丸「共から鉄砲…まさか…！…いや…でも、特徴からすると…！」
新堂小太郎「何か知っておるのだな？何処だ？」
夜叉丸「根来、かもしれな「危ない！」」
ズドーン
銃声が鳴った。新堂さんを庇った吉次が倒れる。即座に楓が、苦無を銃の向けられた方へ放った。しばらくしてうめき声が聞こえる。
鎮念さんが吉次の容態を確認したが、首を横に振られた。首に、当たってやがる。
新堂小太郎「…な！？おいおい、付けられてた、って事か…！？チッここも安全じゃねえ、一旦逃げるぞ！」
夜叉丸「何処に行く！？当てはあるのか！？まさか伊賀とか言うのでは無いな！？」
新堂小太郎「京へ落ち延びる。馬鹿を言うな。お前の仲間に楓がいるのだろ？下手をすると殺される。放っておいても伊賀者は来るだろう。それなら、隠れ家が幾つかある、京がまだ確実だ。」
夜叉丸「分かった。やむを得ない。俺達は、京へ落ち延びる！」
即座に出て行く一行。俺も吉次の前で、短く黙祷を捧げると、素早く借り屋を後にした。済まない…吉次………。
一行は道中、俺が話そうとした内容を問い詰めながら、京に急ぐ。俺は心当たりを話した。
新堂小太郎「成る程な。根来か。銃を使う時は4人1組で戦うというのか。お前、よくそんな事を知ってたな。だが、付け狙う鉄砲衆が何者かも分かった。恐らく、里に現れたのは、甲賀者と勘違いさせる為の偽造であろう。」
夜叉丸「あくまで噂ですがね。それより、急がないと！」
勿論、本当は前世のTV番組の知識だ。確か、大河に出て来た顔が時々ゲストで出るヤツ。
不意に背後から、金属のぶつかる音がした。振り返ると、楓と鎮念さんが苦無を弾き返し、楓に至っては反撃していた。
新堂小太郎「おいおい…追いつくのが早過ぎるな…参ったぜ。」
夜叉丸「く…伊賀者まで来てしまったか。」
楓「鎮念…やばい…火薬の匂い！」
俺達は咄嗟に身を低くして、火縄銃の玉を避ける。だが、数秒で第二射が来た。間違いない。これは、根来だ…！根来も来ている。
夜叉丸「散開！」
咄嗟にそれと同時に新堂さんの苦無が飛ぶ。3射目からは、来なくなった。4射目は来ない。どうやら仕留めた様だ。
鎮念「ぐ！？」
夜叉丸「鎮念！？」
鎮念「大丈夫だ。何のこれしき！」
鎮念に突然当たった矢は、すぐに抜かれる。だが、それから数歩動いた所で、鎮念は、膝を付いた。
鎮念「力が…出ぬだと…？」
新堂小太郎「チッ、毒矢か！？すぐ解毒薬を…！」
西側からいたぞー！という声が聞こえた。不味い、追っ手か！？
鎮念「置いて行け…」
夜叉丸「だが…」
鎮念「いいから！急げ…！」
新堂小太郎「俺は囮になる！夜叉丸、楓を連れて逃げろ！鎮念の気持ちを無駄にするな！！」
夜叉丸「…くそ！！！行くぞ！！」
俺は鎮念と新堂さんとも分断されながら、楓と共に落ち延びた。
〜サイド新堂〜
付近の村にて。井戸に石を投げ入れる新堂小太郎。そのまま、走って逃走を図る。
新堂小太郎「…へへ。(後は町人に化けて襲撃を乗り切ってやる。翌朝にでも、夜叉丸と、落ち合えば…)」
忍「…お前の手口等、バレて無いとでも思ったのか？新堂小太郎。」
新堂小太郎「お前は…野村孫太夫！？お前…なのか？雑賀を引き入れたのは！？」
野村孫太夫「何の話だ？俺はお前が何か取り引きをして、抜け忍を庇ってるという根来からの噂の真偽を確めようと来た所、忍びの餓鬼の様な小娘と一緒に行動していたのを確認しただけだぞ？動きが怪しかったので、仲間の多い所に、誘い込んでやったがな…！」
新堂小太郎「この…！変声野郎…！てめえだけは許さねえ！」
野村孫太夫「それはこっちの台詞だ。裏切り者には、死を！」
この後、2人の忍びは、武器を構えた。素早い武器の応酬の後、僅差で致命傷を与えたのは、野村孫太夫だった。新堂から鮮血が舞う。
新堂小太郎「ぬ…ぐ！？(チッ…へへ…完全に、ドジッちまったぜ。俺は、こほの様な犠牲を出さねえ様、罪滅ぼしがしたかっただけなんだがなぁ…欲を掻きすぎた、のか…すまねえ…こほ…楓…夜叉、丸………)」
それ以降、彼の視界は暗転した。
＊名前付きの忍者はオリジナルでは無く、実在か、実在説のある忍者を活用しています。
〜サイド夜叉丸〜
2度目のいたぞ〜！の別人の声がした際に、この声自体が敵方の誘導だと気付かされた。やられた！どう見ても、敵が多い所に誘い込まれた様だ。
楓「…主、どうする？数が多いぞ！？」
夜叉丸「…俺達を見つけた声のした方角に戻る。恐らくだが、そちらの方が手薄の筈だ。囲われる前に、突っ切るぞ。」
俺達は目の前の敵を斬り伏せると、誘導した声の方角へ、引き返した。全力で走って撒いたか？と思ったタイミングで、ふいに楓に突き飛ばされた。！？楓の腕に矢が刺さっている！チッもしや毒か…！
楓「主…私をおいて、お逃げ下され。そうすればきっと…」
俺は無言で冷や汗をかいている楓から刺さった矢を引き抜くと、軽く刺さった周りを抉り、血を吸い出して、思いっきり吐き出した。毒が回っては、不味い。荒っぽいが応急処置だ。女の子なのに、傷を残してすまん…！軽く傷口の止血をする。道中、何度緩めたり、縛ったりを繰り返す、が正しかった筈。
夜叉丸「馬鹿を申すな。ここまで来たなら、俺とお前は一連托生だ。俺は、お前となら、最後まで諦めん…！」
俺は軽い拒絶をしようとした楓を無視して、お姫様抱っこすると、再び全力で掛けた。
夜叉丸「見えた。あれが、京の都か…！」
篝火の感覚から、かなり広い都市が薄らと見えて来た。恐らくあれが京。
夜叉丸「…楓、生きておるか？」
意識が朦朧としているのか、かなりゆっくり目に楓がうなづいたのが見えた。これは、急がないとヤバそうだ。再び急ごうと足に力を込めようとした矢先、太ももに苦無が掠った。このテカリ具合、またも、毒…か…？
野村孫太夫「…やっと追い付いたぞ？その娘、やはり何処かで見た様な気がするのだが、抜け忍、では無いのか…？」
夜叉丸「…お前にそれを言うと思うか？急に襲撃してくる、不埒者が…！」
野村孫太夫「…無理をするな。毒が回るのが早くなるぞ？早く白状した方が身の為だと思うが？」
夜叉丸「それは…やってみないと、分らんよ！」
俺は楓を降ろすと、反転しながら、毒の苦無を片手に納めながら、もう片方の手で懐の苦無を投げた。残念ながら、コイツは誘導。避けた隙を突いて近づきながら、今度は毒苦無を本人に投げ返す。こうすれば、当てるのも造作もない。
夜叉丸「…残念だったな。これで互角だ…！」
野村孫太夫「この…！死に損ないがー！」
その後は、お互いが毒に怯えながら体力勝負と言わんばかりに、飛び道具の応酬となった。幸か不幸か、俺は手甲が金属製だったので、敵の攻撃を弾きながら、相手の傷を増やすのに成功している。そして、相手の動きが鈍った所で、背中に付けてた槍を思いっきり、投げつけた。腹部を貫く。
野村孫太夫「ぐふ！？…忍びの掟…むざむざ敵に、屍を「ガッ！」」
何か不審な事をしようとした気配を感じたので、咄嗟に額にも苦無を投げつけた。どうやら目玉から脳に達したのか、そのまま、倒れた。自爆をしようとしたのだろうか？悪いが、させてはやれない。新堂さんの言葉を思い出す。解毒薬がどうとか言っていた筈だ。
俺は、毒と疲れで動きが鈍りながらも、ヤツの骸を弄った。………これの様だ。俺も、甲賀で毒の対処法の薬を見せて貰ったしな。しかし参った。1人分。俺は作成する時間が無かった。楓は作り方をまだ知らない。万事休す、か。この際、ヤケだ。
俺は身体を毒のせいで引き摺りながら、解毒薬を持って楓に近付く。彼女の口に、それを無理矢理捩じ込んだ。こくんと、飲む感覚を確認した後、俺の意識も徐々に遠ざかって来た。今回は、ここまでの様、だ。
野村孫太夫「何の話だ？俺はお前が何か取り引きをして、抜け忍を庇ってるという根来からの噂の真偽を確めようと来た所、忍びの餓鬼の様な小娘と一緒に行動していたのを確認しただけだぞ？動きが怪しかったので、仲間の多い所に、誘い込んでやったがな…！」
新堂小太郎「この…！変声野郎…！てめえだけは許さねえ！」
野村孫太夫「それはこっちの台詞だ。裏切り者には、死を！」
この後、2人の忍びは、武器を構えた。素早い武器の応酬の後、僅差で致命傷を与えたのは、野村孫太夫だった。新堂から鮮血が舞う。
新堂小太郎「ぬ…ぐ！？(チッ…へへ…完全に、ドジッちまったぜ。俺は、こほの様な犠牲を出さねえ様、罪滅ぼしがしたかっただけなんだがなぁ…欲を掻きすぎた、のか…すまねえ…こほ…楓…夜叉、丸………)」
それ以降、彼の視界は暗転した。
＊名前付きの忍者はオリジナルでは無く、実在か、実在説のある忍者を活用しています。
〜サイド夜叉丸〜
2度目のいたぞ〜！の別人の声がした際に、この声自体が敵方の誘導だと気付かされた。やられた！どう見ても、敵が多い所に誘い込まれた様だ。
楓「…主、どうする？数が多いぞ！？」
夜叉丸「…俺達を見つけた声のした方角に戻る。恐らくだが、そちらの方が手薄の筈だ。囲われる前に、突っ切るぞ。」
俺達は目の前の敵を斬り伏せると、誘導した声の方角へ、引き返した。全力で走って撒いたか？と思ったタイミングで、ふいに楓に突き飛ばされた。！？楓の腕に矢が刺さっている！チッもしや毒か…！
楓「主…私をおいて、お逃げ下され。そうすればきっと…」
俺は無言で冷や汗をかいている楓から刺さった矢を引き抜くと、軽く刺さった周りを抉り、血を吸い出して、思いっきり吐き出した。毒が回っては、不味い。荒っぽいが応急処置だ。女の子なのに、傷を残してすまん…！軽く傷口の止血をする。道中、何度緩めたり、縛ったりを繰り返す、が正しかった筈。
夜叉丸「馬鹿を申すな。ここまで来たなら、俺とお前は一連托生だ。俺は、お前となら、最後まで諦めん…！」
俺は軽い拒絶をしようとした楓を無視して、お姫様抱っこすると、再び全力で掛けた。
夜叉丸「見えた。あれが、京の都か…！」
篝火の感覚から、かなり広い都市が薄らと見えて来た。恐らくあれが京。
夜叉丸「…楓、生きておるか？」
意識が朦朧としているのか、かなりゆっくり目に楓がうなづいたのが見えた。これは、急がないとヤバそうだ。再び急ごうと足に力を込めようとした矢先、太ももに苦無が掠った。このテカリ具合、またも、毒…か…？
野村孫太夫「…やっと追い付いたぞ？その娘、やはり何処かで見た様な気がするのだが、抜け忍、では無いのか…？」
夜叉丸「…お前にそれを言うと思うか？急に襲撃してくる、不埒者が…！」
野村孫太夫「…無理をするな。毒が回るのが早くなるぞ？早く白状した方が身の為だと思うが？」
夜叉丸「それは…やってみないと、分らんよ！」
俺は楓を降ろすと、反転しながら、毒の苦無を片手に納めながら、もう片方の手で懐の苦無を投げた。残念ながら、コイツは誘導。避けた隙を突いて近づきながら、今度は毒苦無を本人に投げ返す。こうすれば、当てるのも造作もない。
夜叉丸「…残念だったな。これで互角だ…！」
野村孫太夫「この…！死に損ないがー！」
その後は、お互いが毒に怯えながら体力勝負と言わんばかりに、飛び道具の応酬となった。幸か不幸か、俺は手甲が金属製だったので、敵の攻撃を弾きながら、相手の傷を増やすのに成功している。そして、相手の動きが鈍った所で、背中に付けてた槍を思いっきり、投げつけた。腹部を貫く。
野村孫太夫「ぐふ！？…忍びの掟…むざむざ敵に、屍を「ガッ！」」
何か不審な事をしようとした気配を感じたので、咄嗟に額にも苦無を投げつけた。どうやら目玉から脳に達したのか、そのまま、倒れた。自爆をしようとしたのだろうか？悪いが、させてはやれない。新堂さんの言葉を思い出す。解毒薬がどうとか言っていた筈だ。
俺は、毒と疲れで動きが鈍りながらも、ヤツの骸を弄った。………これの様だ。俺も、甲賀で毒の対処法の薬を見せて貰ったしな。しかし参った。1人分。俺は作成する時間が無かった。楓は作り方をまだ知らない。万事休す、か。この際、ヤケだ。
俺は身体を毒のせいで引き摺りながら、解毒薬を持って楓に近付く。彼女の口に、それを無理矢理捩じ込んだ。こくんと、飲む感覚を確認した後、俺の意識も徐々に遠ざかって来た。今回は、ここまでの様、だ。
くそ…また、大宝寺からか。流石に道のりが長過ぎる。何処か途中から、やり直せないものか…と言っても無いもの強請り、かなあ…？
そんな事を考えると、鴉の声が聞こえて、近付いて来ている。ち、屍肉漁りでもする気か…させねえ…俺が生きてる内は…。
そう思うと、俺はなけなしの力を振り絞って、楓を護る様に、手を握ると、覆い被さった。そこからは、よく覚えていない。何となく、背中から、ニュルっと音がした様な気がした。
…久しぶりの暗黒の謎空間に戻って来た。何だ？謎空間で、謎の声からまたお説教か？
八咫『違うよ、オイラだよ、夜叉丸！八咫だよ！』
夜叉丸「八咫…？お前何処から話し掛けてんだ…？………俺の、中…？」
八咫『ようやく、気付いた、カ？死ぬ直前だったから、焦ったぞ？何とか間に合った様だガッ！』
よく見ると、俺は、俺自身が薄らと、明滅してる事に気付いた。八咫が入ると、こうなる、という事だろうか？
夜叉丸「てか、八咫、お前、実は喋れたんだな。」
八咫『お前のお陰で、オイラの封じられた力(ちから)幾つか解放されたお陰で、な！こうしてお前の中に入れば、会話も出来るゾ。今回は、それ以外に出来るものを説明する為にここに呼んだ。』
夜叉丸「何が出来るんだ。」
八咫『まず、お前が強い魂を狩った事で、今までの思い出から、記憶に鮮明に残った場面に幾つか戻れる様になったゾ？』
夜叉丸「…マジか。で、具体的に、何処なんだ？」
八咫『大宝寺で、鬼子と呼ばれる頃と、国友村を経つ時だ。』
見ると、ステージセレクトの様に、二つの画像がカーソルで選べる様な画面が見えた。別の色で、使えない感じの表示も見える。
夜叉丸「おいおい…まだ２つかよ。」
八咫『五月蝿いナ！出来る様になったばっかで、お前もまだ何も弄ってないからだヨ！これから説明して…やれそうに無いな。そろそろ時間ダ。』
夜叉丸「時間？それってどう言う…」
不意にピピピピピピ…とアラームの様な音が聞こえた。メニュー画面の様なステージセレクトの右下に、ログアウト、という表示が点滅し始める。あれ？アラーム音を聞く内に、何か忘れてる情報が…来る！？思わず膝をついてしまった。
夜叉丸「！？………くっ………(荒い深呼吸の音)………思い出したぞ。そろそろ、βテスト用の特殊電脳空間に行かないと。俺、美濃(岐阜)ブロック代表のホストプレーヤーじゃん。第一回の定期報告が始まってしまう…！」
八咫「…思い出したカ。そうだ、お前、仕事で来てるんダロ？続きはそれが終わってからだ。ログアウトダ。」
俺は立ち上がると、迷わずログアウトを念じた。機械的な音声が聞こえる。
＊「これより、時間短縮用の超高速思考空間を移動し、報告会用のルームへ移動します。尚、これもβテストの一環なので、移動時等で体調の不調等を感じたら、直ちにルームで通知して下さい。改善を図ります。それでは移動を開始します。」
俺はその後、大量の0と1で構成されたデジタル暗号数字に身体が構成されると、光と共に、何処かへとワープして行った。
そんな事を考えると、鴉の声が聞こえて、近付いて来ている。ち、屍肉漁りでもする気か…させねえ…俺が生きてる内は…。
そう思うと、俺はなけなしの力を振り絞って、楓を護る様に、手を握ると、覆い被さった。そこからは、よく覚えていない。何となく、背中から、ニュルっと音がした様な気がした。
…久しぶりの暗黒の謎空間に戻って来た。何だ？謎空間で、謎の声からまたお説教か？
八咫『違うよ、オイラだよ、夜叉丸！八咫だよ！』
夜叉丸「八咫…？お前何処から話し掛けてんだ…？………俺の、中…？」
八咫『ようやく、気付いた、カ？死ぬ直前だったから、焦ったぞ？何とか間に合った様だガッ！』
よく見ると、俺は、俺自身が薄らと、明滅してる事に気付いた。八咫が入ると、こうなる、という事だろうか？
夜叉丸「てか、八咫、お前、実は喋れたんだな。」
八咫『お前のお陰で、オイラの封じられた力(ちから)幾つか解放されたお陰で、な！こうしてお前の中に入れば、会話も出来るゾ。今回は、それ以外に出来るものを説明する為にここに呼んだ。』
夜叉丸「何が出来るんだ。」
八咫『まず、お前が強い魂を狩った事で、今までの思い出から、記憶に鮮明に残った場面に幾つか戻れる様になったゾ？』
夜叉丸「…マジか。で、具体的に、何処なんだ？」
八咫『大宝寺で、鬼子と呼ばれる頃と、国友村を経つ時だ。』
見ると、ステージセレクトの様に、二つの画像がカーソルで選べる様な画面が見えた。別の色で、使えない感じの表示も見える。
夜叉丸「おいおい…まだ２つかよ。」
八咫『五月蝿いナ！出来る様になったばっかで、お前もまだ何も弄ってないからだヨ！これから説明して…やれそうに無いな。そろそろ時間ダ。』
夜叉丸「時間？それってどう言う…」
不意にピピピピピピ…とアラームの様な音が聞こえた。メニュー画面の様なステージセレクトの右下に、ログアウト、という表示が点滅し始める。あれ？アラーム音を聞く内に、何か忘れてる情報が…来る！？思わず膝をついてしまった。
夜叉丸「！？………くっ………(荒い深呼吸の音)………思い出したぞ。そろそろ、βテスト用の特殊電脳空間に行かないと。俺、美濃(岐阜)ブロック代表のホストプレーヤーじゃん。第一回の定期報告が始まってしまう…！」
八咫「…思い出したカ。そうだ、お前、仕事で来てるんダロ？続きはそれが終わってからだ。ログアウトダ。」
俺は立ち上がると、迷わずログアウトを念じた。機械的な音声が聞こえる。
＊「これより、時間短縮用の超高速思考空間を移動し、報告会用のルームへ移動します。尚、これもβテストの一環なので、移動時等で体調の不調等を感じたら、直ちにルームで通知して下さい。改善を図ります。それでは移動を開始します。」
俺はその後、大量の0と1で構成されたデジタル暗号数字に身体が構成されると、光と共に、何処かへとワープして行った。
幾つかのプレイ動画の様な画面が浮かんでいる様な会議場が見える。そこには何人かが既に到着していた。そこに、デジタル暗号化された0と1だらけで構成された人型が出現しては、人の姿になって、次々と召喚されたかの様に出没。自分の名前の書かれた席に着席していた。決まって機械音声により、
＊「○○地区のホストプレイヤーが到着しました。一時的に同地区のプレイヤーとのリンクを遮断します。」
とのアナウンスがやって来る度に聞こえる。そこに、俺も現れた。
宮居左近「美濃(岐阜)地区代表、宮居左近(みやいさこん)です。アラームによる招集により、来ました。えと、これで全員なのかい？」
機械音声が説明してくれる。
＊「解、後、体感時間、3分程で残り3名が到着します。超高速思考空間の為、実質時間は1秒にも満たないですが。」
残った座席を確認する。どマイナーな地区代表が見当たらない。蝦夷(北海道)地区と、那覇(沖縄)地区、後は長崎特別区域の対馬地区代表がいないな。…何かあったか？？
機械音声が説明してくれる。
＊「ゲームにログインする際に不具合発生。いずれも、異民族との交流をする際に、何度か、軽度のフリーズが発生しました。バグの除去の為、しばらく時間を要しています。」
VRMMO(バーチャル・リアルティー・マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲームの略)、『戦国立志伝』。今俺達はそのβテストプレイを受けながら、第一回の改善点の洗い出し作業をこれからする事が、この、代表者会議である。
え？他のプレイヤーとの交流が無いって？リンクさせるのは、もう少し己のストーリー進行後だ。本来の俺達は、ゆったりとしたスペースで、皆専用のヘッドギアを被り、あの長く感じる電脳空間で実質１日を掛けて何度かのテストプレイヤーの代表者会議を開いて、改善点や課題の見直しを図り、ようやく本格的な発売に繋がる、というのがあの『世界』の実態だ。勿論、この会議場も同じ超高速思考空間上でのオンライン会議場である。
＊「○○地区のホストプレイヤーが到着しました。一時的に同地区のプレイヤーとのリンクを遮断します。」
とのアナウンスがやって来る度に聞こえる。そこに、俺も現れた。
宮居左近「美濃(岐阜)地区代表、宮居左近(みやいさこん)です。アラームによる招集により、来ました。えと、これで全員なのかい？」
機械音声が説明してくれる。
＊「解、後、体感時間、3分程で残り3名が到着します。超高速思考空間の為、実質時間は1秒にも満たないですが。」
残った座席を確認する。どマイナーな地区代表が見当たらない。蝦夷(北海道)地区と、那覇(沖縄)地区、後は長崎特別区域の対馬地区代表がいないな。…何かあったか？？
機械音声が説明してくれる。
＊「ゲームにログインする際に不具合発生。いずれも、異民族との交流をする際に、何度か、軽度のフリーズが発生しました。バグの除去の為、しばらく時間を要しています。」
VRMMO(バーチャル・リアルティー・マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲームの略)、『戦国立志伝』。今俺達はそのβテストプレイを受けながら、第一回の改善点の洗い出し作業をこれからする事が、この、代表者会議である。
え？他のプレイヤーとの交流が無いって？リンクさせるのは、もう少し己のストーリー進行後だ。本来の俺達は、ゆったりとしたスペースで、皆専用のヘッドギアを被り、あの長く感じる電脳空間で実質１日を掛けて何度かのテストプレイヤーの代表者会議を開いて、改善点や課題の見直しを図り、ようやく本格的な発売に繋がる、というのがあの『世界』の実態だ。勿論、この会議場も同じ超高速思考空間上でのオンライン会議場である。
因みに、プレイヤー達にゲームプレイ中、これらの記憶が無いのは、ゲームに没入する為に、余計な記憶を一時的にゲーム器具で忘れさせているからである。今回の招集の様な、ログアウトが必要になった際にだけ、記憶が戻る仕様になっている。まあ、食事、排泄等は、特殊なカプセルの中に入ってる為、必要無い契約になっているのが、制作会社の凄い所だろうか？実質、βテストは現実時間では、１日しか経過しない仕様。
歴史考察、監修は○oei社、VRMMO機材は、バ○ンダイアルティメット、とかいう会社の共同開発、だったかな？
キャッチフレーズは、『あなたは、気付くと戦国時代に転生していました。あなたなら、戦国時代を、どう生きる道を模索して行きますか？』
だった筈。記憶を弄るのは、臨場感を出す演出なのだとか。ただ、このゲーム、プレイヤーの持ってる現実の技能や知識に合わせて自動的に難易度調整されて作られる。その為、プレイヤーにとっては、千差万別の解釈プレイが出来るって寸法だ。問題は自由度の多様性により、プレイヤーが予期したのと、AIが割り出した結論に剥離が無いかが、最初から疑問視されていた。
その為、会社はお金を使って千人のβテストプレイヤーを雇い、各地区代表者プレイヤーをその中から選出。所謂、各地区の様子を垣間見える、マザーサーバー的な役割を担うプレイヤーを作ってゲームに混ぜて、一定時間経過後に、ゲームとは別の電脳空間に移動させ、そこで報告。改善点の捻出に時間を割いて貰う事になった。
これから第一回の報告会かあ…俺は実は、制作会社側のスタッフから選出された作業班の一人でもあったりする。主に戦国時代当時の技能習得関連に不備が無いかの洗い出し専任の。
男「左近、久しぶりだな。と言っても昨日ぶりか。」
宮居左近「坂本か。久しぶり。そっちは順調？？」
坂本竜司「ああ、こっちはバッチシ。変な所は無かったぞ。そっちは？」
宮居左近「俺自身は問題無かった。が、他のプレイヤーであったと言えばあったな。」
俺は、ゲームプレイ中に夢で見た光景を思い出しながら、不具合かを脳内検証していた。
歴史考察、監修は○oei社、VRMMO機材は、バ○ンダイアルティメット、とかいう会社の共同開発、だったかな？
キャッチフレーズは、『あなたは、気付くと戦国時代に転生していました。あなたなら、戦国時代を、どう生きる道を模索して行きますか？』
だった筈。記憶を弄るのは、臨場感を出す演出なのだとか。ただ、このゲーム、プレイヤーの持ってる現実の技能や知識に合わせて自動的に難易度調整されて作られる。その為、プレイヤーにとっては、千差万別の解釈プレイが出来るって寸法だ。問題は自由度の多様性により、プレイヤーが予期したのと、AIが割り出した結論に剥離が無いかが、最初から疑問視されていた。
その為、会社はお金を使って千人のβテストプレイヤーを雇い、各地区代表者プレイヤーをその中から選出。所謂、各地区の様子を垣間見える、マザーサーバー的な役割を担うプレイヤーを作ってゲームに混ぜて、一定時間経過後に、ゲームとは別の電脳空間に移動させ、そこで報告。改善点の捻出に時間を割いて貰う事になった。
これから第一回の報告会かあ…俺は実は、制作会社側のスタッフから選出された作業班の一人でもあったりする。主に戦国時代当時の技能習得関連に不備が無いかの洗い出し専任の。
男「左近、久しぶりだな。と言っても昨日ぶりか。」
宮居左近「坂本か。久しぶり。そっちは順調？？」
坂本竜司「ああ、こっちはバッチシ。変な所は無かったぞ。そっちは？」
宮居左近「俺自身は問題無かった。が、他のプレイヤーであったと言えばあったな。」
俺は、ゲームプレイ中に夢で見た光景を思い出しながら、不具合かを脳内検証していた。
坂本竜司「へえ？後で報告会で聞いても？」
宮居左近「多分、少し笑える状態だぞ。君こそ、見落としとかしてないだろうな？」
坂本竜司「ひっでぇな。同じ同僚だろ？」
この男は坂本竜司。俺こと、宮居左近と同じβテストプレイヤーに忍ばせたスタッフの一人だ。地区は近畿地区。因みに、俺が入った地区は人気が高かった関係で俺の地区は、斎藤方の美濃地区スタートのシナリオ、織田家の尾張スタートのシナリオ、徳川家方の三河スタートのシナリオの３つに別れていた。
雑談をしている内に全員が揃う。機械音声、AI擬似人格の通称YAEが議長役として語る。
＊「全員が揃ったので、これより報告会とします。尚、日本国外の異民族交流をしたメンバーには、何らかの不具合をこちらでも確認しています。その為、時間が若干押した事をお詫び申し上げます。では、第一回、定例報告会を始めます。」
こうして、第一回、βテスト報告会が始まる。
坂本竜司「(中略)…以上がゲーム中、俺がした事でっす。特に異常は無かったです。」
＊「了解しました。次、宮居左近さん、お願いします。」
坂本竜司「…年代時間が足りないんで、ループプレイせざるを得なくなった、お前の報告、楽しみにしてるぜ？死に戻り王？」
宮居左近「五月蝿い、黙っていろ。」
俺は深呼吸をして、立ち上がる。
宮居左近「こちら、美濃(岐阜)地区。俺自身はAIの最適化により、死に戻りプレイをしている。俺個人の状態としては、あまり問題は無かった。強いて言えば、ログアウトで記憶が戻る際に、
宮居左近「多分、少し笑える状態だぞ。君こそ、見落としとかしてないだろうな？」
坂本竜司「ひっでぇな。同じ同僚だろ？」
この男は坂本竜司。俺こと、宮居左近と同じβテストプレイヤーに忍ばせたスタッフの一人だ。地区は近畿地区。因みに、俺が入った地区は人気が高かった関係で俺の地区は、斎藤方の美濃地区スタートのシナリオ、織田家の尾張スタートのシナリオ、徳川家方の三河スタートのシナリオの３つに別れていた。
雑談をしている内に全員が揃う。機械音声、AI擬似人格の通称YAEが議長役として語る。
＊「全員が揃ったので、これより報告会とします。尚、日本国外の異民族交流をしたメンバーには、何らかの不具合をこちらでも確認しています。その為、時間が若干押した事をお詫び申し上げます。では、第一回、定例報告会を始めます。」
こうして、第一回、βテスト報告会が始まる。
坂本竜司「(中略)…以上がゲーム中、俺がした事でっす。特に異常は無かったです。」
＊「了解しました。次、宮居左近さん、お願いします。」
坂本竜司「…年代時間が足りないんで、ループプレイせざるを得なくなった、お前の報告、楽しみにしてるぜ？死に戻り王？」
宮居左近「五月蝿い、黙っていろ。」
俺は深呼吸をして、立ち上がる。
宮居左近「こちら、美濃(岐阜)地区。俺自身はAIの最適化により、死に戻りプレイをしている。俺個人の状態としては、あまり問題は無かった。強いて言えば、ログアウトで記憶が戻る際に、
少し酔った位だ。しかしながら、他のプレイヤーの方で、不具合らしきものを発見した。一つ確認する。このプレイヤーは同性愛者か？」
俺は、担当地区のプレイヤーの中から、金髪の元ヤン風の男の写真映像を公開する。名前は、何だったか？赤福タケミチ？まあ、それは良い。
情報開示を求めた結果、やっぱり違う様だ。
宮居左近「このプレイヤー、別の歴史上のお助けキャラありにしていた様だが、呼び出し方がどうもおかしい。同性愛者向けのやり方になっている。」
辺りがざわついた。マジ…何か気持ち悪いんですけど、等と言った声が聞こえる。
＊「プレイヤーの現実上でも、何度かうなされてる光景が脳波からキャッチしています。AIの不具合予想を開始…現在原因解明に調査中…ヒット。東京オベンジャーズという、過去の名作の薄い本が確認されました。恐らく、本人が間違えてタイトルを覚えていた為に、この同性愛エロ本ともAIが内容をリンクしてしまった様です。」
更にざわつく。
＊「静粛に。プレイヤーの記憶違いも良くある事です。賢い変換が出来なかったのを認めます。現象は具体的に、ローマの英雄を呼ぶ時等のタイムリープが起きている時に起きている。相違ありませんか？」
宮居左近「間違いない。仮に試練を与えるとしても、別の方法になる様、変換してくれないだろうか？あれでは、本人が可哀想だ。実際、見ていた俺も気分が悪くなった。」
＊「了解。以降は手段を変えないか模索して行くとします。他は特には？」
宮居左近「無い。モニター映像に、直るまでは、出さない事をオススメする。視聴者もいるしね。時間が足りなければ、代わりに、なりきりプレイをしているこの人物を推そう。」
俺は、白髪混じりのナイスミドルをチョイスした。犬神博士(ひろし)？とかいう名前だったか。事前情報によるとだが。
＊「情報提供、感謝します。では、引き続き、次の報告者、(以下略)」
報告会は続いて行く…。
俺は、担当地区のプレイヤーの中から、金髪の元ヤン風の男の写真映像を公開する。名前は、何だったか？赤福タケミチ？まあ、それは良い。
情報開示を求めた結果、やっぱり違う様だ。
宮居左近「このプレイヤー、別の歴史上のお助けキャラありにしていた様だが、呼び出し方がどうもおかしい。同性愛者向けのやり方になっている。」
辺りがざわついた。マジ…何か気持ち悪いんですけど、等と言った声が聞こえる。
＊「プレイヤーの現実上でも、何度かうなされてる光景が脳波からキャッチしています。AIの不具合予想を開始…現在原因解明に調査中…ヒット。東京オベンジャーズという、過去の名作の薄い本が確認されました。恐らく、本人が間違えてタイトルを覚えていた為に、この同性愛エロ本ともAIが内容をリンクしてしまった様です。」
更にざわつく。
＊「静粛に。プレイヤーの記憶違いも良くある事です。賢い変換が出来なかったのを認めます。現象は具体的に、ローマの英雄を呼ぶ時等のタイムリープが起きている時に起きている。相違ありませんか？」
宮居左近「間違いない。仮に試練を与えるとしても、別の方法になる様、変換してくれないだろうか？あれでは、本人が可哀想だ。実際、見ていた俺も気分が悪くなった。」
＊「了解。以降は手段を変えないか模索して行くとします。他は特には？」
宮居左近「無い。モニター映像に、直るまでは、出さない事をオススメする。視聴者もいるしね。時間が足りなければ、代わりに、なりきりプレイをしているこの人物を推そう。」
俺は、白髪混じりのナイスミドルをチョイスした。犬神博士(ひろし)？とかいう名前だったか。事前情報によるとだが。
＊「情報提供、感謝します。では、引き続き、次の報告者、(以下略)」
報告会は続いて行く…。
〜幕間、親父よ生きよ、forever1〜
気付くと俺は、例の暗黒空間に再び戻って来ていた。
八咫『おかえり、夜叉丸。休憩は済んだかい？』
夜叉丸「ああ、八咫、準備はバッチリだ。そういや、何で俺はここで休憩しようと思ったのだろう？」
八咫「さあ？仲間が次々と倒れて、少し疲れちゃったんじゃないの？心を少し沈めるとか言っていたし。』
夜叉丸「そうだったか？」
よく思い出せない。そう言えばそうだった様な？思い出せない事を気にしても仕方がない、か。
夜叉丸「そう言えば、俺はこの表示、まだ弄って無いとか言っていたな？具体的に、どうするんだ？」
八咫『仕留めた鬼の魂を贄に捧げるのさ。君は結構な悪鬼羅刹となった者達を屠ったんだろ？数に応じて、移動出来る所を増やしてあげるよ。』
夜叉丸「そんな所、あったかな？」
俺は試しに、悪鬼羅刹の魂を捧げる場所がないか探す様に念じた。ん？一箇所ヒットしたぞ？ここは…
夜叉丸「…は？生まれた瞬間？？」
詳しく情報を確認する。何々、リーチ、所持物は出た当時のまま。技能、能力等がそのまま引き継げる。習得技能は…持ってないのか？？？？と表示されている。
夜叉丸「うーん…」
はっきり言って、行くべきか迷う。得るものなんてあったかな？農村で、赤ん坊から幼児の格好だろう？でも、技能、能力は引き継ぎ。
夜叉丸「まあ、いいか。失敗すればやり直せば良いだけのことだ。」
俺は、生まれた瞬間を解放して、そこに行く様、念じた。
母親の産道を出た瞬間、引っ張る人の手が滑ってゴチン、と頭を打った様な激痛が走る。
左近(仮称)「ウギャ！？」
痛みで震えが止まらない。
産婆？「…あ、これは失礼を。おーよしよし、痛かったね？」
左近(仮称)「撫で…るな…それより…温めて、くれ…寒い…」
産婆「あ、赤子が喋った！？」
母「…うう…これは、夢…？」
そんな感じで、初日は即、意識を失った。
一年後。俺は、初日から死に掛けた教訓を活かし、ひたすら、身体が全盛期に近付ける様、訓練した。結果、森林や付近の山にて…
左近(仮称)「た〜お〜れ〜る〜じょ〜！！！」
メキメキと音を立てながら、斧で木を切り倒していた。その後、怪力を持ってして、切り株を引っこ抜く。隠し畑や、棚田を作る為だ。１日に、10本は軽く出来る。半年目から、親や村人の手伝いをして、俺は開墾を習得した。簡単に言えば、木を片付ける→畑、田んぼを作る→水源確保の繰り返しだ。
親父「…相変わらず思うんだが、オラ、夢でも見てるんだべか？」
左近(仮称)「金太郎みたいでしょ？」
親父「だーかーらー、金太郎とか言うのが、何かよく分かんねーって。妖怪か何かか？」
会心のボケもこの通り。日本昔話を知らない。農民だから、当時は仕方ないのだろうか？だが、これで、来年分の米等は隠した分が浮く筈だ。逃げる時の隠し財産にはなる筈。これで兵糧丸を作る事にして行こう。実験的作物として。余りは土鍋と交換して、硝石を作る。そんな感じで、徐々に村が破壊される瞬間のタイムリミットに備えて準備をして行った……………。
気付くと俺は、例の暗黒空間に再び戻って来ていた。
八咫『おかえり、夜叉丸。休憩は済んだかい？』
夜叉丸「ああ、八咫、準備はバッチリだ。そういや、何で俺はここで休憩しようと思ったのだろう？」
八咫「さあ？仲間が次々と倒れて、少し疲れちゃったんじゃないの？心を少し沈めるとか言っていたし。』
夜叉丸「そうだったか？」
よく思い出せない。そう言えばそうだった様な？思い出せない事を気にしても仕方がない、か。
夜叉丸「そう言えば、俺はこの表示、まだ弄って無いとか言っていたな？具体的に、どうするんだ？」
八咫『仕留めた鬼の魂を贄に捧げるのさ。君は結構な悪鬼羅刹となった者達を屠ったんだろ？数に応じて、移動出来る所を増やしてあげるよ。』
夜叉丸「そんな所、あったかな？」
俺は試しに、悪鬼羅刹の魂を捧げる場所がないか探す様に念じた。ん？一箇所ヒットしたぞ？ここは…
夜叉丸「…は？生まれた瞬間？？」
詳しく情報を確認する。何々、リーチ、所持物は出た当時のまま。技能、能力等がそのまま引き継げる。習得技能は…持ってないのか？？？？と表示されている。
夜叉丸「うーん…」
はっきり言って、行くべきか迷う。得るものなんてあったかな？農村で、赤ん坊から幼児の格好だろう？でも、技能、能力は引き継ぎ。
夜叉丸「まあ、いいか。失敗すればやり直せば良いだけのことだ。」
俺は、生まれた瞬間を解放して、そこに行く様、念じた。
母親の産道を出た瞬間、引っ張る人の手が滑ってゴチン、と頭を打った様な激痛が走る。
左近(仮称)「ウギャ！？」
痛みで震えが止まらない。
産婆？「…あ、これは失礼を。おーよしよし、痛かったね？」
左近(仮称)「撫で…るな…それより…温めて、くれ…寒い…」
産婆「あ、赤子が喋った！？」
母「…うう…これは、夢…？」
そんな感じで、初日は即、意識を失った。
一年後。俺は、初日から死に掛けた教訓を活かし、ひたすら、身体が全盛期に近付ける様、訓練した。結果、森林や付近の山にて…
左近(仮称)「た〜お〜れ〜る〜じょ〜！！！」
メキメキと音を立てながら、斧で木を切り倒していた。その後、怪力を持ってして、切り株を引っこ抜く。隠し畑や、棚田を作る為だ。１日に、10本は軽く出来る。半年目から、親や村人の手伝いをして、俺は開墾を習得した。簡単に言えば、木を片付ける→畑、田んぼを作る→水源確保の繰り返しだ。
親父「…相変わらず思うんだが、オラ、夢でも見てるんだべか？」
左近(仮称)「金太郎みたいでしょ？」
親父「だーかーらー、金太郎とか言うのが、何かよく分かんねーって。妖怪か何かか？」
会心のボケもこの通り。日本昔話を知らない。農民だから、当時は仕方ないのだろうか？だが、これで、来年分の米等は隠した分が浮く筈だ。逃げる時の隠し財産にはなる筈。これで兵糧丸を作る事にして行こう。実験的作物として。余りは土鍋と交換して、硝石を作る。そんな感じで、徐々に村が破壊される瞬間のタイムリミットに備えて準備をして行った……………。
〜幕間、親父よ生きろforever〜
〜サイド、とある父親〜
おらあ、農民のたご作だ。…皆には秘密だが、金欲しさに村の事をぺらぺら喋った事のある男だ。そんな俺だが、一つだけ、自慢？出来る事がある。色々と何か凄すぎて、俺が混乱する怪男児の息子を持っている点だ。まさか、生まれて一年目で開墾技術を習得してしまうたあなあ…出来る膂力と、知恵を既に身につけてるってのもそうだが、切った木を薪にした後、木炭にしたり、灰と土を材料に、煮出して、よく分かんねー石を作り出すなんて離れ業までやっておる。
本当にコイツは幼子か？仏か妖怪でも憑いておるのではないかと不安になる。何せ、会話も出来るしな。相変わらず、「金太郎」とは誰か分かんねーが。御伽話？知らん。家には書物を買う金も無いし。
2年目はとうとう、棚田、隠し畑で作物を作りおったわ。怖い位によく働く。しかも、いつの間にか、頑丈な荷車を手に入れて来ておるでは無いか。最早、訳が分からん。俺、金で村を武士に売ったのが馬鹿では無いかと薄々思って来た。
そしてこの子が生まれて2年半頃…とうとうコイツは正真正銘の、化け物だと思う、出来事が起きた。織田家の村への襲撃じゃあ…。その時に、倅は荷車を指差して、こう言い放ったわ。「乗れ」と。
訳が分からぬまま、持ち上げられたと思うと、即座に荷物の様に荷車に乗せられ、ソイツは荷車を引きおったよ。「超、爆速」で。
親父(たご作)「ちょっと、待て、何処へ行く…うおっぷ…ウェロウェロウェロウェロ………」
碌に会話をする余裕もなく、荷車の揺れでモロに酔ったわ。後ろには俺の吐瀉物と、嫌そうに足を止める織田家の追手らしき足軽が見えた様な気がするが、それ以外、よう覚えとらん。前からは悲鳴も聞こえる様な？…ああ…気持ち悪い…。
気がつくと、妻も一緒にウェロウェロ吐きながら運び込まれた様だった。荷車が止まった時に、ようやく分かった。ちあの…何だ、よく分からない言葉を聞いた様な気がするが、妻が先に運ばれて道を通って行くのが見えた様な気がする。おい、父親を置いて何処へ行く…？ここは神社の前…？おえっぷ…朦朧とする意識の中、それだけは分かった。
夢を見たよ。何だか聞いた事の無い、童歌の様だった。何故か鮮明に覚えておる。確か、最初だけ少し肝が冷えた。冒頭は、
「農村の、怖い噂(野太い声)」だったか。歌が聞こえて来る。
＊花子さんが来たを参照にしています。イントロが流れる。
〜♪〜ウェロウェロウェロウェロ幼児く〜ん♪
ウェロウェロウェロウェロ幼児く〜ん♪
いたら助けてく・れ・る・よ☆
乗せてってく・れ・る・よ☆
親父「怖いよ…荷車が…」
た〜すけて〜♪た〜すけて♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
だい・じょおーぶ♪こわーくないよ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ゲロ吐くだ〜け♪すぐなれ〜る♪
ウェロウェウェロウェロ♪
いたらた・す・け・て・く・れ・る・よ☆
す・くっ・て・く・れ・る・よ☆
母「こわーいよ、荷車が…」
たーすけて♪たーすけて☆
…どれくらい寝ただろうか？記憶が曖昧だ。しかし、目が覚めた時には、神社から村の様子が見えた。焼け出される村。息子は…どうやら、見張りをしてくれた模様。妻と起きたのに気付いたのか、その後、少し妙な玉を取り出した。「食え」と言う。
そうして、息子は自分の分を、喰んだ。正直、半信半疑だったが、食べてみて分かった。これ、一応非常時の食料の様だ。
それからはあっという間だった。焼け落ちた村から、物資を手に取ると、息子が俺達を荷車に乗せて再び爆走。酔いが覚めた夜は、息子が用意した携帯食の玉を無理矢理流し込んで、泥の様に眠る。この繰り返し。今更だが、何を言ってるか、分からないだろうが、俺も分からん。2日後、気付くと、鍛治屋町に着いていた。妻とぐったりしてる俺らに、ヒソヒソと周りの話声が聞こえる。「あんな小さな子に、荷車を引かせて…あの親は何なんだ」と言った感じだ。これが村を売った罰か…。因みに、息子の事は訳が分からんから、もう考えるのを放棄したい…。
気付くと、俺達には仕事が回って来た。鍛冶場町の小さな畑を耕して、副業に木炭を作る仕事だ。全て息子が手配した。意味が分からないが、感謝しないと、罰が当たる、それだけは思った。息子に感謝して、また共に暮らそう？と言ったら、悲しそうな顔をして、それは出来ない、と言われた。神社で信託の様なものを聞いたという。大宝寺という寺で更に学問を学びなさい、と。金は分けるから、と大金を渡された。
〜サイド、とある父親〜
おらあ、農民のたご作だ。…皆には秘密だが、金欲しさに村の事をぺらぺら喋った事のある男だ。そんな俺だが、一つだけ、自慢？出来る事がある。色々と何か凄すぎて、俺が混乱する怪男児の息子を持っている点だ。まさか、生まれて一年目で開墾技術を習得してしまうたあなあ…出来る膂力と、知恵を既に身につけてるってのもそうだが、切った木を薪にした後、木炭にしたり、灰と土を材料に、煮出して、よく分かんねー石を作り出すなんて離れ業までやっておる。
本当にコイツは幼子か？仏か妖怪でも憑いておるのではないかと不安になる。何せ、会話も出来るしな。相変わらず、「金太郎」とは誰か分かんねーが。御伽話？知らん。家には書物を買う金も無いし。
2年目はとうとう、棚田、隠し畑で作物を作りおったわ。怖い位によく働く。しかも、いつの間にか、頑丈な荷車を手に入れて来ておるでは無いか。最早、訳が分からん。俺、金で村を武士に売ったのが馬鹿では無いかと薄々思って来た。
そしてこの子が生まれて2年半頃…とうとうコイツは正真正銘の、化け物だと思う、出来事が起きた。織田家の村への襲撃じゃあ…。その時に、倅は荷車を指差して、こう言い放ったわ。「乗れ」と。
訳が分からぬまま、持ち上げられたと思うと、即座に荷物の様に荷車に乗せられ、ソイツは荷車を引きおったよ。「超、爆速」で。
親父(たご作)「ちょっと、待て、何処へ行く…うおっぷ…ウェロウェロウェロウェロ………」
碌に会話をする余裕もなく、荷車の揺れでモロに酔ったわ。後ろには俺の吐瀉物と、嫌そうに足を止める織田家の追手らしき足軽が見えた様な気がするが、それ以外、よう覚えとらん。前からは悲鳴も聞こえる様な？…ああ…気持ち悪い…。
気がつくと、妻も一緒にウェロウェロ吐きながら運び込まれた様だった。荷車が止まった時に、ようやく分かった。ちあの…何だ、よく分からない言葉を聞いた様な気がするが、妻が先に運ばれて道を通って行くのが見えた様な気がする。おい、父親を置いて何処へ行く…？ここは神社の前…？おえっぷ…朦朧とする意識の中、それだけは分かった。
夢を見たよ。何だか聞いた事の無い、童歌の様だった。何故か鮮明に覚えておる。確か、最初だけ少し肝が冷えた。冒頭は、
「農村の、怖い噂(野太い声)」だったか。歌が聞こえて来る。
＊花子さんが来たを参照にしています。イントロが流れる。
〜♪〜ウェロウェロウェロウェロ幼児く〜ん♪
ウェロウェロウェロウェロ幼児く〜ん♪
いたら助けてく・れ・る・よ☆
乗せてってく・れ・る・よ☆
親父「怖いよ…荷車が…」
た〜すけて〜♪た〜すけて♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
だい・じょおーぶ♪こわーくないよ♪
ウェロウェロウェロウェロ♪
ゲロ吐くだ〜け♪すぐなれ〜る♪
ウェロウェウェロウェロ♪
いたらた・す・け・て・く・れ・る・よ☆
す・くっ・て・く・れ・る・よ☆
母「こわーいよ、荷車が…」
たーすけて♪たーすけて☆
…どれくらい寝ただろうか？記憶が曖昧だ。しかし、目が覚めた時には、神社から村の様子が見えた。焼け出される村。息子は…どうやら、見張りをしてくれた模様。妻と起きたのに気付いたのか、その後、少し妙な玉を取り出した。「食え」と言う。
そうして、息子は自分の分を、喰んだ。正直、半信半疑だったが、食べてみて分かった。これ、一応非常時の食料の様だ。
それからはあっという間だった。焼け落ちた村から、物資を手に取ると、息子が俺達を荷車に乗せて再び爆走。酔いが覚めた夜は、息子が用意した携帯食の玉を無理矢理流し込んで、泥の様に眠る。この繰り返し。今更だが、何を言ってるか、分からないだろうが、俺も分からん。2日後、気付くと、鍛治屋町に着いていた。妻とぐったりしてる俺らに、ヒソヒソと周りの話声が聞こえる。「あんな小さな子に、荷車を引かせて…あの親は何なんだ」と言った感じだ。これが村を売った罰か…。因みに、息子の事は訳が分からんから、もう考えるのを放棄したい…。
気付くと、俺達には仕事が回って来た。鍛冶場町の小さな畑を耕して、副業に木炭を作る仕事だ。全て息子が手配した。意味が分からないが、感謝しないと、罰が当たる、それだけは思った。息子に感謝して、また共に暮らそう？と言ったら、悲しそうな顔をして、それは出来ない、と言われた。神社で信託の様なものを聞いたという。大宝寺という寺で更に学問を学びなさい、と。金は分けるから、と大金を渡された。
〜親父よ生きよForever3〜
〜サイド夜叉丸〜
夜叉丸「はっくしゅん！…誰の噂だ？それにしても、長かった…驚く程苦労させられたなあ…。」
俺は親父達を生かしたまま別れる事の難しさを振り返った。まさか、やり直しを3周もさせられるとは…何でここまでやる羽目になったかは、凄く分かりやすい。親父一人だけ生存させても、直ぐにメンタルに来て、死んでしまうのだ。織田家の足軽を見掛けたり、噂を聞くだけでも同様。その為、あの焼き討ちで死んでしまう母まで、無理矢理生き延びさせる必要があった。…まあ、煙で窒息死の様だったので、いかに親父を生存させながら、窒息死のタイムリミットまでに母を救出させるかが鍵だった。
試行錯誤した結果、この2人は余計な事を考える暇をあまり与えないのが正解、と言う事になった。農民に足軽から上手く逃げさせよう、という考え自体が愚かな感じだった。何故ならそれでどう転んでも死ぬから。体験済み。よって何も考えさせず、高速移動させる必要がある。色々考えた末に、俺は人力車として、走る事にした。
残念ながら、本物の人力車の確保は無理だった為、代用品に人を乗せられる荷車を確保する事を決意。村襲撃と同時に、親父を荷物の様に押し込め、自宅に全力疾走で荷車を引く。
以降は進行上、どうしても邪魔な織田兵を鋳型で準備した忍具で怯ませた後、跳ね飛ばしたりして、手薄な所を通り、母親の救出のトライアンドエラー。これで、一回余計に失敗した。
3度目の正直でタイムアタックで新記録を樹立した後は、準備した兵糧丸を確認。乗り物酔いが醒める夜に無理矢理食わせて、カロリー等の栄養を確保しつつ、疲れで熟睡させる。これを繰り返す様にしながら、荷物を持って移動。後は、安全圏でかつ、1番近かった鍛冶場街に連れて行くのみ。何故ここかと言うと、周回で毎度ここのお世話になったので、ここでの交渉事にも慣れてしまった、という部分も大きい。
思わず、愚痴りたい気持ちを抑える為に、コメディソングを彼らが寝ている間に口走ったら、何故か酔いでうなされてる、親父も母も合いの手を打った。何故だあ…？
以降はアフターケアで鍛冶場街で彼らの職を用意させた後、大宝寺に向けて気楽な一人旅をして、寺に預けられれば、ミッションコンプリート、といった流れである。まあ、3回もやり直したお陰で、開墾の仕方は完璧に覚えた。後、歌の時にノリノリだったせいか、オマケで裏声の使い方のコツが分かって来た気がする。小さい時からの訓練が大事なのかもしれない。
大宝寺での手続き後、八咫に身体に入って来いと念じて、次は何処に行くか考えながら、このループを後にした。
〜サイド夜叉丸〜
夜叉丸「はっくしゅん！…誰の噂だ？それにしても、長かった…驚く程苦労させられたなあ…。」
俺は親父達を生かしたまま別れる事の難しさを振り返った。まさか、やり直しを3周もさせられるとは…何でここまでやる羽目になったかは、凄く分かりやすい。親父一人だけ生存させても、直ぐにメンタルに来て、死んでしまうのだ。織田家の足軽を見掛けたり、噂を聞くだけでも同様。その為、あの焼き討ちで死んでしまう母まで、無理矢理生き延びさせる必要があった。…まあ、煙で窒息死の様だったので、いかに親父を生存させながら、窒息死のタイムリミットまでに母を救出させるかが鍵だった。
試行錯誤した結果、この2人は余計な事を考える暇をあまり与えないのが正解、と言う事になった。農民に足軽から上手く逃げさせよう、という考え自体が愚かな感じだった。何故ならそれでどう転んでも死ぬから。体験済み。よって何も考えさせず、高速移動させる必要がある。色々考えた末に、俺は人力車として、走る事にした。
残念ながら、本物の人力車の確保は無理だった為、代用品に人を乗せられる荷車を確保する事を決意。村襲撃と同時に、親父を荷物の様に押し込め、自宅に全力疾走で荷車を引く。
以降は進行上、どうしても邪魔な織田兵を鋳型で準備した忍具で怯ませた後、跳ね飛ばしたりして、手薄な所を通り、母親の救出のトライアンドエラー。これで、一回余計に失敗した。
3度目の正直でタイムアタックで新記録を樹立した後は、準備した兵糧丸を確認。乗り物酔いが醒める夜に無理矢理食わせて、カロリー等の栄養を確保しつつ、疲れで熟睡させる。これを繰り返す様にしながら、荷物を持って移動。後は、安全圏でかつ、1番近かった鍛冶場街に連れて行くのみ。何故ここかと言うと、周回で毎度ここのお世話になったので、ここでの交渉事にも慣れてしまった、という部分も大きい。
思わず、愚痴りたい気持ちを抑える為に、コメディソングを彼らが寝ている間に口走ったら、何故か酔いでうなされてる、親父も母も合いの手を打った。何故だあ…？
以降はアフターケアで鍛冶場街で彼らの職を用意させた後、大宝寺に向けて気楽な一人旅をして、寺に預けられれば、ミッションコンプリート、といった流れである。まあ、3回もやり直したお陰で、開墾の仕方は完璧に覚えた。後、歌の時にノリノリだったせいか、オマケで裏声の使い方のコツが分かって来た気がする。小さい時からの訓練が大事なのかもしれない。
大宝寺での手続き後、八咫に身体に入って来いと念じて、次は何処に行くか考えながら、このループを後にした。
…気付くと、俺は国友藤兵衛親方と握手をした瞬間に戻っていた。
(…とうとう、戻って来てしまったか。)
俺は自分がした忍者の経験を振り返る。甲賀流、伊賀流はほぼモノにしたと言えよう。さて、岐阜に帰って金を宗恩さんに金を渡したら、次は何をしよう？それを心の中で整理しながらの帰り道だった。
岐阜に戻る。淡々と今までの成果を報告し、5千貫を納める。
(…よし、先ずは伊賀流体術を皆に仕込みながら、薬学、火器の勉強会を開こう。)
こうして、死に戻り後の出出しは、伊賀流体術を付近の山を活用して吉次、楓、鎮念、更念に伝授しながら、甲賀流の火器作りに関する講習会を開いた。権兵衛君達、仲のいい生産職チームの中にも何人か適性のある者が出たのは嬉しい誤算だ。平馬と周平か。覚えた。後は、物覚えが1番良かったのが楓なのは、言うまでもない。
実に岐阜に戻って3ヶ月の出来事。そして、暖簾分けの準備も進めていた。そんなある日。
楓「主、気になる一座を見つけたぞ？」
夜叉丸「どれどれ…歩き巫女か。…なあ、楓、あれってもしかして…くノ一の一座、という事は無いよな？」
前世のくノ一候補は何かを何となく調べた時に、最も多い候補の一つだったのを思い出した。楓は目を見開いた後、口の前に指を一つ立てた。静かにしていろ、という合図だ。…うん、当たり臭いな。奴らの出所次第だが、1番恐らく…あそこだな。
町人「大変面白い見せものをありがとうございました。」
歩き巫女「いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。…あら？」
歩き巫女の1人がこちらにやって来て、話しかけて来た。
歩き巫女「お兄さん、商人みたいだけど、お強そうね。良かったら、今夜、少しお話でもどう？」
そう良いながら、握手のつもりか、手を握って来た。一見さりげない動作だが、握手の際に、それとなく、小さく畳んだ手紙が来てるんだよね。うん、間違い無さそうだ。
夜叉丸「俺は夜叉丸という。商団を最近結成した身だ。お会い出来て光栄です。一応確認しますが、貴女方はどちらから？」
歩き巫女「信濃から来ました。それを聞いて何をするおつもりで？」
夜叉丸「信濃か。いや、そちらに赴き、商談をいずれしようかと。詳しくは、明日の夜にでもお越しいただきたい。話を煮詰める必要があるかと見ております。」
歩き巫女と、ぽつぽつと雑談を交わして俺達は引き上げた。手には、例の手紙。人気が少なくなった所で、楓と一緒に読む。
「拝啓、お初にお目に掛かります。風の噂にて、忍びの様な術で、爆発を敵に仕掛けた、という噂を耳にしました。もし、ご本人でありますれば、対価は弾むので、伝授願いたく存じます。詳しくは夜にでも。 千早」
夜叉丸「…戸隠。楓、もしや奴らはあそこの出ではないか？」
楓「主は博学ですね。私も同じ事を考えてました。」
やはりか。戸隠は信濃地方に見られる忍の流派だ。くノ一伝説もあり、恐らく活用されていたのは、歩き巫女が怪しいとされる。つまり、本物と遭遇、という事だ。
楓「して、主。どうされます？」
夜叉丸「戸隠の里にいずれ行くのも面白かろうと思ってな。俺の祖父は抜け忍だったのでな。伊賀流と甲賀流は人に教える位には出来たと、この前の修行で実感した。ついでに、出来るものなら素っ波とも交流を結んで色々学んでみたいのだ。仲間を引き連れてな。」
楓「夜叉丸様にその様な事情が。お供しとうございます。」
今回は戸隠、素っ波辺りに行って修行出来ないか交渉をしてみるとしよう。そして、あわよくばの情報収集回としよう。伊賀の出来事には、少し情報集めをしながら、様子を見た方が良い気がする。今は力を蓄えねば。
俺はそう心に決めながら、仲間を招集して今夜は話し合う事にした。
(…とうとう、戻って来てしまったか。)
俺は自分がした忍者の経験を振り返る。甲賀流、伊賀流はほぼモノにしたと言えよう。さて、岐阜に帰って金を宗恩さんに金を渡したら、次は何をしよう？それを心の中で整理しながらの帰り道だった。
岐阜に戻る。淡々と今までの成果を報告し、5千貫を納める。
(…よし、先ずは伊賀流体術を皆に仕込みながら、薬学、火器の勉強会を開こう。)
こうして、死に戻り後の出出しは、伊賀流体術を付近の山を活用して吉次、楓、鎮念、更念に伝授しながら、甲賀流の火器作りに関する講習会を開いた。権兵衛君達、仲のいい生産職チームの中にも何人か適性のある者が出たのは嬉しい誤算だ。平馬と周平か。覚えた。後は、物覚えが1番良かったのが楓なのは、言うまでもない。
実に岐阜に戻って3ヶ月の出来事。そして、暖簾分けの準備も進めていた。そんなある日。
楓「主、気になる一座を見つけたぞ？」
夜叉丸「どれどれ…歩き巫女か。…なあ、楓、あれってもしかして…くノ一の一座、という事は無いよな？」
前世のくノ一候補は何かを何となく調べた時に、最も多い候補の一つだったのを思い出した。楓は目を見開いた後、口の前に指を一つ立てた。静かにしていろ、という合図だ。…うん、当たり臭いな。奴らの出所次第だが、1番恐らく…あそこだな。
町人「大変面白い見せものをありがとうございました。」
歩き巫女「いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。…あら？」
歩き巫女の1人がこちらにやって来て、話しかけて来た。
歩き巫女「お兄さん、商人みたいだけど、お強そうね。良かったら、今夜、少しお話でもどう？」
そう良いながら、握手のつもりか、手を握って来た。一見さりげない動作だが、握手の際に、それとなく、小さく畳んだ手紙が来てるんだよね。うん、間違い無さそうだ。
夜叉丸「俺は夜叉丸という。商団を最近結成した身だ。お会い出来て光栄です。一応確認しますが、貴女方はどちらから？」
歩き巫女「信濃から来ました。それを聞いて何をするおつもりで？」
夜叉丸「信濃か。いや、そちらに赴き、商談をいずれしようかと。詳しくは、明日の夜にでもお越しいただきたい。話を煮詰める必要があるかと見ております。」
歩き巫女と、ぽつぽつと雑談を交わして俺達は引き上げた。手には、例の手紙。人気が少なくなった所で、楓と一緒に読む。
「拝啓、お初にお目に掛かります。風の噂にて、忍びの様な術で、爆発を敵に仕掛けた、という噂を耳にしました。もし、ご本人でありますれば、対価は弾むので、伝授願いたく存じます。詳しくは夜にでも。 千早」
夜叉丸「…戸隠。楓、もしや奴らはあそこの出ではないか？」
楓「主は博学ですね。私も同じ事を考えてました。」
やはりか。戸隠は信濃地方に見られる忍の流派だ。くノ一伝説もあり、恐らく活用されていたのは、歩き巫女が怪しいとされる。つまり、本物と遭遇、という事だ。
楓「して、主。どうされます？」
夜叉丸「戸隠の里にいずれ行くのも面白かろうと思ってな。俺の祖父は抜け忍だったのでな。伊賀流と甲賀流は人に教える位には出来たと、この前の修行で実感した。ついでに、出来るものなら素っ波とも交流を結んで色々学んでみたいのだ。仲間を引き連れてな。」
楓「夜叉丸様にその様な事情が。お供しとうございます。」
今回は戸隠、素っ波辺りに行って修行出来ないか交渉をしてみるとしよう。そして、あわよくばの情報収集回としよう。伊賀の出来事には、少し情報集めをしながら、様子を見た方が良い気がする。今は力を蓄えねば。
俺はそう心に決めながら、仲間を招集して今夜は話し合う事にした。
- mixiユーザー
- ログインしてコメントしよう！
|
|
|
|
日本史・戦国・幕末歴史好き 更新情報
日本史・戦国・幕末歴史好きのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています
人気コミュニティランキング
- 1位
- 楽天イーグルス
- 31948人
- 2位
- 千葉 ロッテマリーンズ
- 37152人
- 3位
- 一行で笑わせろ！
- 82527人