城下町コミュの都城

　日向国都城は、薩摩・大隈両国を包含する巨大荘園島津荘の一角を成し、鎌倉時代には島津氏の支配下に入った。
　南北朝時代の島津家第４代当主島津忠宗の六男資忠が南朝方との戦で功を挙げ、第２代将軍足利義詮(ﾖｼｱｷﾗ)から日向国薩摩迫一帯(現宮崎県都城市山田町)の地を与えられて、郷名を取り北郷氏を称した。
　永和元(1375)年、資忠の子義久は薩摩迫から都城に移り、都城城を築いた。以後、都城城は北郷氏累代の居城ととなるが、その後、北原氏・伊東氏・新納氏・肝付氏といった周辺勢力に押され、北郷氏は戦国時代初期には僅かに都城城と安永城(現在の宮崎県都城市庄内町)を保つのみに衰えてしまった。
　だが、８代目の北郷忠相が、飫肥の島津豊州家と結んで周辺勢力を討ち、勢力を拡大、都城盆地周辺一帯を手中に治めた。
　さらに、９代目の忠親は日向国南半を支配下に置き、10代目時久の代には大隅国東部をも制する最大版図を築いた。
　北郷時久は島津義久の九州統一戦にも従軍して勇名を轟かせ、九州に攻め入った豊臣秀吉に対しても徹底抗戦を主張して、実際各外城に兵を入れ抗戦体制を取っていたが、結局、義久の命で降伏し、69000石の本領安堵を得た。
　11代忠虎は島津義弘に従って文禄の役に出征し、文禄３(1594)年、朝鮮で病没する。忠虎の子長千代丸(後の12代忠能)は幼かったため、忠虎の弟三久が家督代となり、兵を率いて朝鮮を転戦したが、従軍に遅滞があったと見做されて、秀吉の命で都城から薩摩国祁答院(現鹿児島県薩摩郡さつま町)37000石に減転封となってしまった。
　この結果、都城には島津家筆頭家老の伊集院忠棟が80000石で入ったが、慶長４(1599)年、島津義弘の子忠恒(家久)が伏見で伊集院忠棟を斬殺する事件を起こしたため、忠棟の子忠真が島津義弘に対して庄内の乱と呼ばれる乱を起こすに至った。
　慶長５(1600)年３月、伊集院忠真は降伏して頴娃10000万石へ移され、北郷忠能が旧領に復帰する事となった。但し、大隅国の領地は島津宗家の直轄地とされたため、忠能の所領は41300石となった。
　元和元(1615)年、一国一城令により都城城は廃城となり、北郷氏は領主館を築いて明治まで都城を領した。島津本家から養子に入った17代忠長の時に藩主の命により島津姓に復し、北郷氏嫡流の血統も断絶した。これより以後を都城島津氏と呼ぶ。
　26代当主島津久寛は慶応４(1868)年の戊辰戦争の際には、鳥羽伏見から会津若松まで転戦して功績を挙げたが、明治２(1869)年の版籍奉還の際、藩命で私領を返上し鹿児島へ移住する事となり、代わって都城地頭として鹿児島から三島通庸(ﾐｼﾏﾐﾁﾂﾈ)が赴任して来たが、旧領主を慕う都城島津氏の家臣や領民は知藩事の例に準じ久寛を地頭に任命するよう強く要望、かなりの混乱が生じた。
　明治10(1877)年の西南戦争に際し、都城からは1550名が西郷軍に参加したが、久寛は中立を保つため島津氏宗家の久光や忠義らとともに桜島へ避難、旧家臣105名も久寛を警護するためこれに随っている。
　久寛は、明治12(1879)年、旧家臣らの要請に応じ鹿児島から都城へ復帰したが、従来の領主館は小学校用地に提供していたので、早鈴町芳井崎に新たに邸を構えた。
　久寛の従兄弟で27代当主の久家は明治24(1891)年に男爵に叙され、その子の28代当主久厚は第23代学習院院長を務めた後、都城島津氏伝来の史料総計約10000点を都城市に寄贈した。
　都城城跡は、本の丸部分が城山公園として整備されている。公園入口には櫓門が建てられ、本の丸には櫓風建物の都城歴史資料館があり、都城島津氏に関する展示がされている。
　縄張りは、資料館のある本の丸、道路となっている空堀を挟んで西の丸(狭野神社境内)、その西側に池之上城、中尾城、日豊本線を挟んで南側に外城、中之城、南之城等の曲輪が配置されていて、現在でも地形から曲輪跡が良く判る。