城下町コミュの宿毛

　高知県の宿毛(ｽｸﾓ)市街地は、宿毛湾に注ぐ松田川河口に形成された沖積平野に位置し、宿毛湾沿岸は複雑なリアス式海岸になっています。
　温暖な宿毛の地は太古から人間の居住に適していたようで、有須々木遺跡等の旧石器時代遺跡からナイフ形石器が出土しており、縄文時代には宿毛貝塚〔史跡〕が形成されました。貝塚形成時は、縄文海進の結果、現市街地の大半は海底でした。
　弥生時代には沖積平野が形成され、弥生遺跡も残りますが、古墳時代には市内東部内陸部の平田地区が波多(ﾊﾀ)国の中心になったと考えられ、波多国造(ｸﾆﾉﾐﾔﾂｺ)は都佐(ﾄｻ)国造よりも早い段階で大和朝廷に帰属したと推定されています。平田古墳群が波多国造の墳墓だと思われます。平田には延喜式内社の高知坐(ﾀｶﾁﾆﾏｽ)神社もあります。
　律令時代に入ると、土佐国幡多(ﾊﾀ)郡に属し、『和名抄』に拠ると牧田郷が平田地区に置かれました。牧田は枚田(ﾋﾗﾀ)の誤記だと考えられます。藤原純友の乱(939～941)の際には海岸部が純友軍の勢力下に置かれたようです。
　平家政権時代には左大臣藤原経宗が土佐知行国主となりましたが、経宗は猶子としていた宗実(ﾑﾈｻﾞﾈ)を治承２(1178)年に土佐守としています。宗実は内大臣平重盛の七男でしたが、当時、長岡郡介良(ｹﾗ)庄に平治の乱(1159年)で敗亡した源義朝の五男源希義(ﾏﾚﾖｼ)が配流されていたため、重盛は郎党の蓮池家綱を土佐権守に任じて高岡郡蓮池村に、平田俊遠を幡多郡平田村に置いて監視に当たらせました。俊遠は標高60ｍの山城である平田城を築いたとされます。治承４(1180)年、源頼朝が挙兵すると、希義も兄に呼応しようとしますが、察知した家綱と俊遠に討たれてしまいました。
　その後、平家が讃岐国屋島に拠っていた寿永３(1184)年11月に至り、頼朝の特命を受けた源有綱(頼政の孫)が土佐に上陸し、土豪夜須行宗(ﾔｽﾕｷﾑﾈ)の手引きで家綱・俊遠が希義殺害の下手人である事を確認、平家滅亡後の文治２(1186)年９月に梶原朝景が土佐に派遣されて、家綱・俊遠を撃滅しました。平田には俊遠の墓が残ります。
　平安朝の幡多郡は国衙領でしたが、承久の乱(1221年)後に関白九条道家を本所、参議・文章(ﾓﾝｼﾞｮｳ)博士の菅原為長(ｽｶﾞﾜﾗﾉﾀﾒﾅｶﾞ)を領家とする幡多荘となりました。幡多荘は幡多郡全域に高岡郡の一部も加えた広大な荘園で、摂関家の有力な財政基盤となったのです。
　その後、建長２(1250)年に道家が財産を嫡孫の九条忠家と三男の一条実経に分与した時に幡多荘は一条家の所領とされました。
　応仁２(1468)年、前関白一条教房が応仁の乱を避けて土佐に下向、中村に居館を設けて幡多荘直轄統治を始めると、宿毛の松田川西岸にある標高30ｍの丘に平山城の宿毛城が設けられました。松田兵庫が城主だったため松田城とも呼ばれます。平田城も機能を維持していたようです。
　土佐国司家第２代目の権大納言一条房家は、平田に曹洞宗見立山藤林寺を創建して、そこに葬られています。
　土佐国司家は第５代目の権中納言一条兼定が天正３(1575)年に長宗我部元親に敗れた結果、事実上滅亡し、当時、依岡(ﾖﾘｵｶ)伯耆守が城主を務めていた宿毛城も落城してしまいました。
　元親は、宿毛城に長宗我部右衛門太夫、平田城に兼松兵衛を入れ、伊予攻略の策源地としました。特に宿毛城は中村御所に代わって土佐西部支配の拠点となったのです。なお、土佐国司家家臣だった依岡左京進は元親に帰参して、宿毛南方の伊与野城主となっています。秀吉政権下に於ける宿毛城主は野田甚左衛門だったようです。
　慶長６(1601)年、長宗我部盛親が改易されて山内一豊が土佐に入ると、一豊の甥である山内可氏(ﾖｼｳｼﾞ)が7000石で宿毛城主となって城を改修しましたが、元和元(1615)年の一国一城令によって、宿毛城は平田城・伊与野城等と共に廃城になってしまいました。
　しかし、可氏は宿毛城の麓に宿毛土居と呼ばれる居館を設けて藩内領主として宿毛統治を続け、土佐藩重臣として藩政の中枢にありました。
　寛永７(1630)年、可氏が死去すると嫡男定氏が6800石で宿毛領主となり、以後、その子孫が代々宿毛領主を世襲する事となったのです。
　正保４(1647)年に第３代宿毛領主となった節氏(ﾄｷｳｼﾞ)は52年間も宿毛領主を務めましたが、この間、姻戚関係にあった奉行野中兼山(ﾉﾅｶｹﾝｻﾞﾝ)の指導で、明暦３(1657)年には宿毛湾干拓
工事を開始して1315石の増産に成功、万治２(1659)年には水害防止のための河戸堰(ｺｳﾄﾞｾﾞｷ)建設等の松田川改修工事や宿毛総曲輪(ｿｳｸﾙﾜ)構築工事を実施しました。また、節氏は明暦２(1656)年に宿毛の町割りを行い、元禄10(1697)年に完成させています。
　寛文３(1663)年に兼山が失脚して没すると、翌年、その８人の遺児は節氏が宿毛で預かる事となり、男子４人と女子１人は幽閉中に死亡、元禄16(1703)年に赦免された女子３人も既に40歳を超えていて兼山の血脈は絶えてしまいましたが、四女の婉(ｴﾝ)は名医として名を遺しました。
　第４代宿毛領主山内倫氏(ﾄﾓｳｼﾞ)統治下の宝永４(1707)年に大地震が起こり、宿毛の町は壊滅、復興には数年を要しました。
　第７代宿毛領主山内氏篤(ｳｼﾞｱﾂ)統治下の宝暦12(1762)年には、宿毛領内に琉球船が漂着する事件があり、土佐藩主山内豊敷(ﾄﾖﾉﾌﾞ)の命で取扱いを命じられた氏篤は、幕府との交渉の末、薩摩藩に船を引き渡しています。
　また、天明３(1783)年に始まる天明の大飢饉は宿毛でも深刻な事態を招き、氏篤は財政再建のため、廻船問屋の大目三郎兵衛を仕置役に抜擢して農民への苛斂誅求を強行しました。この結果、天明６(1786)年11月22日に800人の農民・町人が武装蜂起して氏篤の住む宿毛土居を襲撃する一揆が勃発しましたが、大目の解任と年貢半減で事態は収拾、一人の犠牲者も出さずに済みました。しかし、氏篤は事件の責任を感じて隠居、養子の保氏に家督を譲っています。
　第９代宿毛領主山内氏睦(ｳｼﾞﾑﾂ)は、文化５(1808)年異国船来襲に備えて、領内に砲台を築き、大筒を設置しています。
　文化８(1811)年、兄氏睦の急死で第10代宿毛領主となった山内氏固(ｳｼﾞｶﾀ)は、天保２(1831)年に郷学校たる講授館を設置、三宅大蔵を講授役として登用し、家臣子弟の教育・人材育成に当たらせました。また、三宅大蔵の公堂や酒井南嶺の望美堂等の私塾も設けられ、宿毛領子弟は昼は講授館、夜は私塾で学ぶようになりました。この結果、宿毛からは明治時代に活躍する俊才が輩出しています。即ち、農商務大臣岩村通俊男爵・農商務大臣林有造・貴族院議員岩村高俊男爵の三兄弟や、衆議院議員竹内綱・衆議院議員大江卓・実業家小野義真・法学者小野梓等は宿毛出身者なのです。
　天保９(1838)年には、宿毛土居が幕府巡見使平岩七之助の宿舎となり、氏固は供応に努めています。これらの功績が評価されて、氏固は嘉永２(1849)年に500石の加増を受け、宿毛領は7300石となりました。
　嘉永７(1854)年、安政南海地震で宿毛は大きな被害を受けましたが、氏固は迅速な復旧事業を行って、民生安定に努力しています。
　氏固は安政３(1859)年に隠居、嫡男の氏理(ｳｼﾞｻﾄ)が第11代宿毛領主となりました。氏理は岩村通俊・竹内綱等の講授館出身の俊英を登用して地震被害復旧や海防強化の費用負担で窮乏した財政再建を行わせました。特に竹内綱が大坂に蔵屋敷を建設した結果、宿毛領の財政基盤は飛躍的に強化されたのです。さらに竹内綱は、領内特産のクスノキから当時極めて高価に輸出されていた樟脳を製造して高利潤を上げる事にも成功、また、地租を旧来の煩雑な米納制から合理的計算に基づく金納制（３年間の平均収穫量に10年間の平均米価をかけてその4/10（従来は5/10であった）を金納する）に改革したため、農民に歓迎され、３年後には宿毛領の地租収入は倍増しています。
　文久３(1863)年、氏理は講授館を文館と改称して上村修蔵を講授役とし、読書・習字・算術・作文の四課を設け、助教役・句読役も置いて体制を強化しています。
　慶応２(1866)年７月、宿毛から16km程離れた阿満地浦に英国軍艦が停泊する事態が発生、氏理は竹内綱に攘夷を命じますが、綱は平和的解決を成功させました。
　慶応３(1867)年、氏理は文館を廃して、新たな郷校日新館を設置、酒井南嶺を教授役に任命しています。
　氏理の嫡男陽太郎氏成は慶応４(1868)年１月の戊辰戦争勃発時、京都遊学中でしたが、岩村通俊に説かれて戦争に参加、一箇中隊を率いて北陸・羽越地方を転戦しています。
　明治２(1869)年の版籍奉還に伴ってともなって氏理は高知城下へ移住し、伊賀姓に改めました。これにより、初代山内可氏以来、268年に及ぶ安藤山内家の宿毛統治は終焉したのです。明治４(1871)年の廃藩置県後、氏理は東京に移住しましたが、12代当主伊賀陽太郎氏成は宿毛に戻りました。氏成の養子で13代当主となった伊賀氏広は日本に於ける飛行機開発の先駆者として知られ、明治33(1900)年に男爵に叙されています。
　さて、廃藩置県後の宿毛は、高知県幡多郡宿毛村となりましたが、明治９(1877)年から土佐藩が禁止していた珊瑚採取が解禁になり、従来鰹漁で生計を立てていた宿毛の漁民は珊瑚漁で大きな利益を上げるようになりました。
　明治10(1878)年、西南戦争が勃発すると、林有造・竹内綱・大江卓等の立志社幹部が呼応して宿毛で武装蜂起を企て、逮捕・投獄される立志社の獄が起きています。
　林有造は釈放後、自由党幹部として重きを成す事になりますが、明治20(1887)年に宿毛湾の干拓事業を実施して新田を開発、この時に片島が本土と陸続きになりました。
　宿毛村は明治22(1889)年には周辺８ヶ村を併合、明治24(1891)年には片島に大型船の入泊可能な港が開かれたため、宿毛は四国と九州を結ぶ窓口として交通の要衝となりました。
　明治25(1892)年の第二回衆議院総選挙に自由党から再選を目指した林有造に対し、長州藩出身の内務大臣品川弥二郎子爵は露骨な弾圧を実施、警官を先頭に1000人もの壮士を動員して、宿毛焼打ちと有造誅殺を企てましたが、薩摩藩出身の陸軍大臣高島鞆之助子爵中将の命を受けた憲兵隊が介入したため、死者は数人で済み、有造は当選を果たしています。この時、壮士達が「サイサイ」と叫んでいたため、この事件はサイサイ騒動と呼ばれます。
　宿毛村は明治31(1898)年に宿毛町となり、大正３(1914)年には政界を引退していた林有造が伊賀氏広男爵と組んで宿毛湾で真珠養殖事業を開始、かなりの利益を上げました。しかし、大正９(1920)年の大洪水で真珠は全滅して会社は倒産してしまいます。それに加え、珊瑚も乱獲で激減してしまったため大正12(1923)年に禁漁となり、宿毛の経済は危機的状態に陥りましたが、水深が深くて大型船の入港に適した宿毛湾は帝國海軍の注目を集める事となり、大正末期から聯合艦隊が入港する機会が増加、宿毛の経済は息を吹き返したのです。戦艦大和の海上公試も宿毛湾で行われています。また、昭和に入って真珠養殖も再開されました。
　昭和18(1943)年４月には第１艦隊附属の水上戦闘機・水上偵察機補充要員養成航空隊として宿毛海軍航空隊が発足し、宇須々木漁港に設けられた宿毛基地に水上戦闘機12機・水上偵察機12機が配備されました。この部隊は、昭和19(1944)年１月に実戦部隊に転換されて第453海軍航空隊と改称、鹿児島県指宿基地に本拠を移して佐世保鎮守府の管轄下に置かれましたが、同年２月には海上護衛総司令部隷下に転属、水上戦闘機隊を廃止して14機から成る水上偵察機隊に変更され、九州沖の対潜哨戒に当たりました。同年12月、第453海軍航空隊は第951海軍航空隊に編入されて消滅しましたが、宿毛基地は終戦まで維持されていました。
　なお、昭和20年代に内閣総理大臣を務めた吉田茂は竹内綱の五男でであり、吉田内閣で内閣官房長官・副総理・衆議院議長等を歴任した林譲治は林有造の次男です。
　昭和29(1954)年、宿毛町は小筑紫町・平田村等と合併して宿毛市となり、真珠養殖で利益を上げましたが、昭和37(1962)年頃からハマチ養殖も開始され、昭和40年代には巨大な利益を上げて宿毛は歴史上最も繁栄した時期を迎えたのです。
　また、昭和46(1971)年に大分県佐伯市と片島を結ぶフェリーが就航したため、海の玄関としても活況を呈しましたが、昭和50年代以後、海洋汚染と価格低迷でハマチによる利益は激減、過疎化が進展しています。
　冬季には宿毛湾に沈む「だるま夕日」が見られます。

＊宿毛貝塚
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・宿毛城跡
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・伊賀家墓地
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・野中兼山遺族の墓地
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・河戸堰と宿毛水門
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コメント(44)

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[5] mixiユーザー 03月14日 08:26

宿毛土居ジオラマです。

[6] mixiユーザー 03月14日 08:30

宿毛歴史館です。

左・中；江戸時代の宿毛絵図
右；山田八幡宮金銅大鍬形〔高知県指定文化財〕

[7] mixiユーザー 03月14日 08:33

宿毛歴史館の長宗我部元親書状です。

[8] mixiユーザー 03月14日 08:37

　宿毛歴史館の北方様遺品〔宿毛市指定文化財〕です。北方様とは、初代土佐藩主山内一豊の姉で、初代宿毛領主山内可氏の母であるお通(1533～1606)の事です。

[10] mixiユーザー 03月14日 08:45

　宿毛歴史館の野中兼山遺族への下知状です。

[11] mixiユーザー 03月14日 08:47

　宿毛歴史館にある赤穂四十七士の一人大高源五の遺墨です。吉良邸討ち入り事件直後、義士達が芝高輪の泉岳寺にある浅野内匠頭の霊前に上野介の首を供えに来た際、土佐出身で修行中の僧白明(1683～1764)が給仕を行い、木村岡右衛門貞行・茅野和助・岡野金右衛門・大高源五に書を所望して貰いうけました。源五は「山をさくちからも折れて松の雪」の句を記しています。その後、白明は宿毛領主菩提寺の曹洞宗南泉山東福寺住持となったため、宿毛に四義士の遺墨が伝わる事となったのです。

[12] mixiユーザー 03月14日 08:51

　宿毛歴史館にある林有造(1842～1921)の書です。宿毛出身で逓信大臣・農商務大臣等を歴任しました。

[13] mixiユーザー 03月14日 08:54

　宿毛歴史館にある内閣総理大臣吉田茂(1878～1967)の書と銅像です。銅像は本山白雲(1871～1952)作です。吉田も本山も宿毛出身です。

[14] mixiユーザー 03月14日 09:13

左；郷校講授館跡
中；宿毛城下町史跡地図
右；郷校文館跡

[15] mixiユーザー 03月14日 09:23

左；竹内綱(1840～1922)
中；竹内綱・吉田茂邸跡
右；竹内明太郎(1860～1928)

　竹内綱は宿毛領家臣竹内庄右衛門吉管の子として生まれ、講授館で学んだ後、宿毛領の行財政改革に尽力、特に大坂に蔵屋敷を設けた事は宿毛領の財政難解決に大きな効果がありました。さらに領内特産のクスノキから当時極めて高価に輸出されていた樟脳を製造して高利潤を上げる事にも成功、また、地租を旧来の煩雑な米納制から合理的計算に基づく金納制（３年間の平均収穫量に10年間の平均米価をかけてその4/10（従来は5/10であった）を金納する）に改革したため、農民に歓迎され、３年後には宿毛領の地租収入は倍増しています。
　このように理財家としての才を示した綱でしたが、慶応２(1866)年に英国軍艦が宿毛領内に来航した時には平和的解決に成功、外交面でも敏腕を発揮しました。
　戊辰戦争の際には宿毛領主山内陽太郎氏成と共に北陸・奥羽地方を転戦して戦功を挙げ、明治３(1870)年に大蔵省へ出仕しますが、上司と衝突して辞職、以後は実業界に転じました。そして、長崎県の高島炭鉱の経営を行って巨富を得ましたが、明治10(1877)年の立志社の獄に連座して、盟友の林有造等と共に逮捕、投獄されてしまいました。
　明治12(1879)年に釈放された後は、板垣退助の愛国社、次いで自由党の結成に参加しますが、高島炭鉱は盟友の後藤象二郎の借財返済のため三菱財閥の岩崎弥太郎に売却しています。明治15(1882)年に岐阜で板垣退助が暴漢に襲撃された際には、その傍らにおり、負傷した板垣の介抱に当たっています。
　明治23(1890)年の第一回衆議院議員選挙に立候補して当選、自由党土佐派幹部といて活躍しますが、一期限りで政界を引退、実業家として芳谷炭坑や茨城炭鉱を経営し、大韓帝国での鉄道建設にも尽力しています。

　竹内綱の長男が実業家の竹内明太郎(1860～1928)です。小松製作所（現コマツ）や唐津鉄工所、更には日産自動車の前身の快進社等を設立、また、早稲田大学理工学部・高知県工業高等学校（現高知県立高知工業高等学校）等を創設し、工業立国に尽力しました。ちなみに国産第１号車のダットサン（DAT）のTは竹内明太郎の頭文字です。大正４(1915)年の第12回衆議院議員総選挙に立憲政友会から出馬して当選し、２期務めています。TBSテレビの報道局記者・ニュースキャスターである竹内明(ﾀｹｳﾁﾒｲ；1969～)は明太郎の曾孫です。

　吉田茂は綱が芸者に産ませた子で、誕生直前に父が西南戦争に呼応した武装蜂起を企てて逮捕・投獄されたため、父の親友である元越前福井藩士の貿易商吉田健三(1849～89)の養子となったのです。東京帝國大学卒業後、外交官となり、内大臣牧野伸顕伯爵の婿となった事で出世の糸口を掴みました。異母兄の明太郎とはあまり関係が良好ではなかったようです。

[16] mixiユーザー 03月14日 09:29

左；林有造(1842～1921)
中；林有造・譲治邸跡
右；林譲治(1889～1960)

　林有造(1842～1921)は宿毛領家臣岩村英俊の次男として生まれました。兄に岩村通俊、弟に岩村高俊がいます。幼年期に林茂次平の養子になり、戊辰戦争では板垣退助麾下で活躍しました。維新後、初代高知県令を務めますが、板垣と共に下野して立志社を設立、明治10(1877)年の西南戦争に呼応して、盟友の竹内綱・大江卓や元老院議官陸奥宗光等と共に宿毛で武装蜂起を企てたため逮捕・投獄されてしまいました。
　出獄後、板垣の自由党結成に参加し、自由党土佐派の領袖として重きを成しました。明治23(18902)年の第１回衆議院議員総選挙で当選し、以後８回当選を果たしています。明治31(1898)年、第１次大隈内閣に逓信大臣として入閣、明治33(1900)年には第４次伊藤内閣の農商務大臣となっています。明治41(1908)年、政界を引退して宿毛に戻り、大正３(1914)年には旧宿毛領主家当主の伊賀氏広男爵と共に予土水産株式会社を設立、真珠養殖業を起こしました。また、林新田・片島港を開発するなど故郷の発展に尽力した事で知られます。

　林有造の次男が林譲治(1889～1960)です。京都帝國大学卒業後、三菱倉庫に就職しますが政界に転じ、宿毛町長・高知県会議員を経て、昭和５(1930)年の第17回衆議院議員総選挙に立候補して当選、以後11回当選していますが、政党解消後は大政翼賛会に批判的な同交会に所属し、昭和17(1942)年の翼賛選挙では非推薦で立候補したものの落選してしまいました。
　昭和20(1945)年の総選挙で政界に復帰し、翌年、父の盟友だった竹内綱の子吉田茂が首相となると、内閣書記官長・内閣官房長官を務め、第二次・第三次吉田内閣では副総理兼厚生大臣となって、大野伴睦(ｵｵﾉﾊﾞﾝﾎﾞｸ)自由党幹事長・益谷秀次(ﾏｽﾀﾆｼｭｳｼﾞ)建設大臣と共に内政・党務に弱い吉田を支え、吉田内閣党人御三家と呼ばれました。親子二代に亙って盟友同士だった訳ですね。昭和26(1951)年から翌年にかけては第41代衆議院議長を務めています。長男の林迶(ﾊﾔｼﾕｳ；1924～94)は参議院議員となり、第二次中曽根内閣で労働大臣を務めました。　

[17] mixiユーザー 03月14日 09:32

　実業家小野義眞(1839～1905)と邸跡です。
　義眞は大庄屋の家柄で、岩村通俊・林有造・岩村高俊兄弟とは従兄弟に当たります。慶応２(1866）年、宿毛領仕置役小頭として、大阪と宿毛の間を帆船「宿毛丸」で行き来するようになり、同郷の陸援隊幹部大江卓に資金を調達した事もあります。明治３(1870)年に設立された後藤象二郎の商社「蓬莱社」の組合員となりましたが、翌年から工部省、次いで大蔵省に出仕し、大蔵省土木頭に至りました。明治７(1874)年に退官、三菱財閥の顧問となって岩崎弥太郎の絶大な信任を得ました。
　明治10(1877)年の西南戦争に際し、汽船を購入して軍需輸送で三菱財閥に巨富を得させたのも義眞の進言によるものだったのです。明治14(1881)年に日本鉄道が設立されると弥太郎の個人代表として送り込まれ、明治20(1887)年には副社長、明治25(1892)年には社長となっています。
　この間、明治24(1891)年）には三菱財閥社長岩崎彌之助・鉄道庁長官井上勝と共に近代農場創設に尽力、三名の頭文字から小岩井農場と名付けられましたが、義眞は経営には参加しませんでした。

[18] mixiユーザー 03月14日 09:35

　彫刻家本山白雲(1871～1952)と邸跡です。
　白雲の本名は辰吉で、宿毛領家臣本山茂武の次男として生まれましたが、明治の秩禄処分後は貧困に苦しみ、小学校の代用教員となりますが、彫塑を志して明治21(1888)年に郷里を出奔、旧宿毛領主伊賀陽太郎氏成の推薦で東京美術学校主任教授高村光雲(1852～1934)の門弟となります。辰吉の才能を見抜いた光雲は、正式に美術学校へ入学して基礎から彫塑を学ぶ事を薦め、明治23(1890)年に辰吉は東京美術学校に入学します。学費は同郷の岩村通俊農商務大臣の援助を得ました。
　白雲は在学中から光雲の『大楠公の銅像』や『西郷南州翁の銅像』の製作の助手を務め、明治27(1894)年の卒業時には前代未聞の実技100点の成績を修めたため、そのまま同校の講師として奉職、高村光雲から「雲」の一字を貰い白雲と号しました。
　明治28(1895)年、恩人の岩村通俊が「本邦古今偉人傑士」の銅像建立を計画したため、白雲はその銅像製作の主任となるべく東京美術学校を退官、先ずは元土佐藩執政で農商務大臣も務めた後藤象二郎伯爵(1838～1897)の銅像を品川の芝公園に建立しましたが、これが大好評だったため全国から引く手数多(ｱﾏﾀ)となり、土佐のミケランジェロと呼ばれるに至りました。中でも高知市の桂浜に立つ坂本龍馬の巨像は最高傑作と言われています。なお、漫画家の横山隆一(1909～2001)は白雲の弟子でした。

[19] mixiユーザー 03月14日 09:37

　河戸堰(ｺｳﾄﾞｾﾞｷ)〔宿毛市指定史跡〕です。

[20] mixiユーザー 03月14日 22:32

　宿毛城(松田城)跡〔宿毛市指定史跡〕です。

[21] mixiユーザー 03月14日 22:37

　宿毛城跡には石鎚毘古命(ｲﾜﾂﾞﾁﾋﾞｺﾉﾐｺﾄ)を祭る石鎚神社が建ち、石垣も残ります。

[22] mixiユーザー 03月14日 22:39

　宿毛城跡からの眺望です。

左；松田川上流
中；河戸堰
右；宿毛土居方面

[23] mixiユーザー 03月14日 22:42

左；木立アロエ
中；宿毛土居跡
右；素心蝋梅(ｿｼﾝﾛｳﾊﾞｲ)

[24] mixiユーザー 03月14日 22:55

左；岩村通俊男爵(1840～1915)
中；岩村英俊邸跡
右；岩村高俊男爵(1845～06)

　岩村家は権中納言平教盛の子孫と称し、長宗我部元親に仕えていましたが、山内一豊の入国後は宿毛領主安東山内家に仕える郷士となりました。その後、正武の代に理財の才を発揮して宿毛領士分に取り立てられ、正武の孫である英俊(1804～82)は理財の才のみならず、和漢の学に通じ、槍術の達人としても知られました。そして、英俊の子の岩村通俊男爵(1840～1915)・林有造・岩村高俊男爵(1845～06)は明治政府の顕官となって活躍したのです。
　通俊は、若い頃は土佐勤王党に属して岡田以蔵から剣術を学びました。明治４(1871)年から明治６(1873)年まで開拓判官として札幌の街造りを主導します。その後、鹿児島県令・元老院議官・会計検査院長・沖縄県令・司法大輔等を歴任しますが、北海道を政府直轄地として開拓する必要性を説き、これが認められて明治19(1886)年に内務省直属の北海道庁が設置されると、その初代長官に任命されました。明治21(1888)年まで長官として北海道開拓を推進、その後、第１次山縣有朋内閣の農商務大臣も務めています。
　岩村高俊男爵(1845～06)は、郷校文館で学んだ後、中岡慎太郎の陸援隊に入隊し、中岡が坂本龍馬と共に暗殺されると、陸奥宗光等と共に犯人と噂された紀州藩士三浦休太郎を襲撃する天満屋事件を起こしています。戊辰戦争では、新政府軍の東山道先鋒総督府監察として各地を転戦しますが、越後長岡藩家老河井継之助との談判を高圧的態度で一方的に決裂させ、激烈な長岡戦争を惹起せしめてしまった事で有名です。さらに、明治７(1874)年に佐賀権県令に任命されると、佐賀県人に対して侮蔑的な言動を繰り返して佐賀の乱勃発を招いています。要するに軽挙妄動の多い小人物だったんですが、その後は石川・愛知・福岡・広島の県令や知事を無難に歴任し、明治25(1892)年には貴族院議員となっています。

[25] mixiユーザー 03月15日 03:09

　野中兼山一族幽閉の地です。

[26] mixiユーザー 03月15日 03:24

　歌人北見志保子(1885～1955)誕生地です。
　北見志保子は宿毛領家臣から自由民権活動家となった川島享一郎の娘で、本名は川島朝野です。古泉千樫(ｺｲｽﾞﾐﾁｶｼ)・徳田秋声・北原白秋・折口信夫等に師事して教養を高め、女人短歌会を結成して中心人物となりました。
　志保子は歌曲の作詞者としても名を遺し、特に昭和10(1935)年に平井康三郎作曲で発表された『平城山』(ﾅﾗﾔﾏ)は戦後も長く愛唱されました。

[27] mixiユーザー 03月15日 03:29

　大江卓邸跡です。
　大江卓(ｵｵｴﾀｸ；1847～1921)は、宿毛領家臣大江弘の子で、父が柏島勤務を命じられていた時に島で生まれました。慶応３(1867)年に陸援隊に入って陸奥宗光と親しくなり、天満屋事件にも参加しています。明治元(1868)年１月の鳥羽伏見の戦いの直後には紀州藩を説いて新政府側へ寝返らせる大功も立てました。その後、神戸外国事務所勤務となったため、豊富な国際法知識を習得しました。
　卓は明治３(1870)年に官を辞して神戸に移り住みますが、その際、近隣の被差別部落の惨状に衝撃を受け、参議大隈重信に賤民平等論を説いて賛同を得ます。この結果、卓は民部省に出仕し、明治４年８月28日に「穢多非人ノ称ヲ被廃候条、自今身分職業共平民同様タル可キ事。」との太政官布告を出す事に成功したのです。
　卓は明治４(1871)年に神奈川県令陸奥宗光によって県参事に引き抜かれ、翌年、横浜港停泊中のペルー共和国船籍船の清国人苦力(ｸｰﾘｰ)が脱走して奴隷労働からの解放を求めたマリア・ルス号事件が発生すると、外務卿副島種臣から権県令に抜擢されて清国人奴隷232人を自ら裁判長となって解放、声望を高めました。更に神奈川や横浜の街の土台造りに奔走し、近代日本を維持するための警察制度を作り上げました。
　卓は明治８(1875)年に官を辞し、前参議後藤象二郎の娘婿となって、象二郎が経営する高島炭鉱の経営再建に尽力しました。
　ところが、明治10(1877)年の西南戦争に呼応して、陸奥宗光・竹内綱・林有造等が宿毛で武装蜂起を企てた立志社の獄の首謀者として、逮捕され７年間も岩手県の監獄へ投獄されてしまったのです。
　出獄後、明治23(1890)年の衆議院議員選挙では「第二の故郷」となった岩手５区から当選、自由党土佐派幹部として予算委員長に就任し、第１次山縣有朋内閣の軍事予算を強引に削減しています。しかし、明治25(1892)年の第二回総選挙で落選したため政界を引退して実業界に転じ、初代東京株式取引所理事長・帝国商業銀行や日本興業銀行の創立委員・大韓帝国京釜鉄道株式会社設立発起人等を務め、水平社運動にも深く関わりました。

[28] mixiユーザー 03月15日 03:33

　「北方様」お通(1533～1606)の菩提寺だった日蓮宗法雲山妙栄寺跡です。妙栄寺は昭和36年に市役所北側へ移転しました。
　山内一豊の姉お通は、西美濃三人衆の一人安東守就の弟である北方七間城主安東郷氏(ｻﾄｳｼﾞ)に嫁ぎ、可氏(ﾖｼｳｼﾞ)を産みましたが、守就・郷氏兄弟は織田信長に疎まれて所領を没収された上、本能寺の変直後に明智光秀に呼応したと見做されて討たれれしまいました。
　この結果、お通は幼い可氏を連れて一豊の下に身を寄せ、一豊が土佐藩主になると、可氏は山内姓を許されて家老となり、宿毛7000石を与えられたのです。お通は可氏と共に宿毛城に入り、妙栄寺に葬られました。

[29] mixiユーザー 03月15日 03:44

　宿毛領主安東山内家(伊賀家)の菩提寺である臨済宗東福寺派南泉山東福院です。

[30] mixiユーザー 03月15日 03:53

　東福院の伊賀家(山内家)墓地〔宿毛市指定史跡〕です。

左　左；野中兼山養母よめ(山内可氏の娘)墓　右；山内可氏室(堀尾吉晴の養女)墓
中　初代宿毛領主山内可氏(ﾖｼｳｼﾞ；1571～1629)墓
右　野中兼山正室市(山内可氏孫)の墓

[31] mixiユーザー 03月15日 03:57

　東福院の野中兼山遺族墓地〔宿毛市指定史跡〕です。

左；　手前；野中兼山次男明継墓　左奥；四男行継墓　右奥；三男業継墓
中；　左；野中兼山側室美濃部氏の墓　中；三女将の墓　右；長女寛の墓
右；　野中兼山長男清七墓

[32] mixiユーザー 03月15日 04:02

　後藤環爾（ｺﾞﾄｳｶﾝｼﾞ；1871～1936）邸跡です。
　環爾は宿毛の浄土真宗本願寺派清宝寺の住職でしたが、林有造の門人となって幅広い学問を身に付けました。日露戦争に際しては乃木希典伯爵大将麾下の第３軍司令部付従軍布教僧となって旅順攻防戦で戦死した将兵の菩提を弔っています。大正時代には本願寺派東京出張所長として東京築地本願寺別院に入り、大正12(1923)年の関東大震災で灰燼に帰した同別院を３年後に再建する事に成功しました。その手腕が評価されて、昭和４(1929)年に西本願寺執行長に就任、武蔵野女子大学の前身である千代田高女や武蔵野女子学園を創設した事でも知られます。

[33] mixiユーザー 03月15日 04:05

　小野梓（ｵﾉｱｽﾞｻ；1852～86）誕生地です。
　梓は、宿毛領の軽輩で土佐勤王党メンバーでもあった小野節吉の息子として生まれ、９歳の時に酒井南嶺の門下に入りますが勉強嫌いで怠けてばかりいました。しかし、文久３(1863)年に設けられた郷学たる文館に入学すると、一念発起して勉学に励むようになり、慶応３(1867)年に文館が日新館に改められる頃には学校一の俊英と見做されるに至りました。
　17歳で戊辰戦争に従軍後、明治４(1871)年から三年間に亙って米英両国に留学して法学や経済学を学び、帰国後は司法省に出仕しますが、やがて参議大隈重信の知己を得てその側近となり、明治14(1881)年の政変で大隈が失脚すると共に下野、明治15(1882)年３月の立憲改進党結成に際しては最高幹部となります。続いて同年10月に早稲田大学の前身である東京専門学校が設立されると、重信の養子秀麿を名目上の校長としながら、梓が事実上の学校運営責任者となりました。こうして、政治家としても教育者としても期待されていた逸材でしたが、肺結核のため35歳で早逝してしまいました。

[34] mixiユーザー 03月15日 04:08

　酒井南嶺(1828～1881)邸跡です。
　南嶺は宿毛領家臣酒井栄(永)三郎の次男として生まれ、幼少の頃から学を好みんで天才と言われました。少壮の頃、江戸の佐藤一斎・大阪の後藤松陰・京都の岩垣月州等に師事して帰り、文久３(1863)年に宿毛の郷校文館の助教役となって、慶応元(1865)年には私塾望美楼(望美堂)も開いています。次いで慶応３(1867)年に日新館が設けられると教授役に進み、明治３(1870)年には土佐藩の準大得業生に挙げられて高知城下で教鞭を取る事となりました。岩村通俊・竹内綱・大江卓・小野梓等、明治時代に活躍した宿毛出身者の多くは南嶺の薫陶を受けた面々でした。しかし、廃藩置県後は不遇な晩年を送ったようです。

[35] mixiユーザー 03月15日 04:10

　酒井融(1840～1920)邸跡です。
　融は、宿毛領家臣酒井俊拙の子として生まれ、宿毛領御典医羽田文友に医学を学んで、戊辰戦争には軍医として従軍しましたが、帝國陸軍創設後は主計将校となりました。明治10(1877)年の西南戦争に際しては熊本鎮台司令長官谷干城少将(土佐藩出身)の下で主計主任となっており、薩摩軍包囲下の熊本城に於いて糧秣が底をつく中、巧みに遣り繰りして一人の餓死者も出さずに済ませる大功を立てています。
　その後、主計中佐で軍を退役し、会計検査院検査官を経て故郷で隠棲していましたが、明治27(1894)年に日清戦争が勃発すると、谷干城子爵中将の推挙で野津道貫子爵中将麾下の第１軍糧廠部長に抜擢されました。軍糧廠部長は少将相当官のため、少将待遇となって出征し、見事な兵站管理を行った事で知られました。

[36] mixiユーザー 03月15日 04:12

　箸拳発祥の地です。箸拳とは宴席の座興として行われるもので、２人が相対して３本ずつの赤箸を前面に突き出し、箸の合計本数（自分のものと相手のもの）を威勢よくリズミカルな調子で当てる競技です。これを土佐では「箸拳をうつ」と言います。嘉永２(1849)年頃、宿毛に宿泊した九州の船頭連中から薩摩拳が伝えられたのが始まりとされています。

[37] mixiユーザー 03月15日 04:16

　小野梓邸跡に設けられた小野梓記念公園です。小野梓生誕150周年を記念して、早稲田大学が梓邸跡を買い上げ、公園化して宿毛市に寄贈した物で、平成15(2003)年に開設されました。

左；竹内明太郎胸像
中；小野梓胸像
右；坂本嘉治馬(ｻｶﾓﾄｶｼﾞﾏ；1866～1938)の胸像

　嘉治馬は宿毛出身で、明治・大正時代を代表する出版社である冨山房(ﾌｻﾞﾝﾎﾞｳ)を創設した人物です。

[38] mixiユーザー 03月15日 04:21

　小野梓邸跡です。

[39] mixiユーザー 03月15日 04:25

　中村重遠(1840～84)邸跡です。
　中村進一郎重遠は、宿毛領家臣小野弥源次の子として生まれ、中村儀平の養子となりました。戊辰戦争で勲功を挙げた後、帝國陸軍に奉職、佐賀の乱や西南戦争の鎮圧に従い、工兵大佐に至りましたが、明治11(1878)年に荒廃していた兵庫県姫路城の修復と保存を陸軍卿山縣有朋中将に具申、認可を受けました。即ち、彼の具申が無ければ、国宝・UNESCO世界文化遺産の姫路城天守閣は破却されていたかもしれないのです。