太極拳最高コミュの簡化二十四式太極拳　１２７

　ここで太極拳を演舞するときの向きについて申し上げておきたいと思います。演舞と舞いを使いましたが、私が習った楊名時老師は、太極拳は「鶴の舞い」だといわれ、指導員以上は空手着の胸に鶴のマークを付けたものです。
　閑話休題。立つときには原則北を背にして、南を向いて立ちます。起勢では南をむいているわけです。次の野馬分鬃(イエマフェンゾン)では東を向くことになります。
　武禹(ぶう)㐮(じょう)の太極拳論の最後の部分に、「掤捋擠按(ポンリージアン)、即坎離震兌四正方也」とあります。
　掤捋擠按は、即ち
　坎(かん)　　北の意味、穴、埋める、陥る、易では水を意味する
　離(り)　　　南の意味、離れる、散らばる、背く、失う、断つ意、順を
　　　　　　　守れば物事みな成就する様子
　震(しん)　　東の意味、雷、長男、木、土、いきおい、揺れ動く、
　　　　　　　威光などの意
　兌(だ)　　　西の意味、通る、通ずる、換える、集まる意。易では
　　　　　　　沢、秋、少女を意味します。　
　四正方は四つの正方向、つまり東西南北です。
　「採(ツァイ)、手偏に列(リェ)、肘(ゾウ)、靠(カオ)、即乾坤艮巽四斜角也」
　乾(かん)　　北西の意味、易の八卦の一つで、上にあって強い、
　　　　　　　　治める、はじめる
　坤(こん)　　南西の意味、全て陰の要素から成る地、母、女、下、
　　　　　　　　臣をいう
　艮(こん)　　東北のこと、止まって動かない形
　巽(たつみ)　　東南のこと、謙遜、従順、具える、従う、恭しい、
　　　　　　　譲るなどの意

　北を背にして立つ理由
　それは自然の摂理にかなっているからです。
　地球は北が上になっています。言い伝えの中で北枕はいけないといいますが、その昔死人を北枕で寝かせたら、生き返ったという話もあります。
　陰陽の立場からみて、北は陰、南は陽ということになります。