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ニヤリ系コミュのSTAGE1 「ニヤリ イン ワンダーランド」(1)

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お試し公開。まだあんま校正はやってません
宇宙科学的なことや文章周りのツッコミ募集です
今のところ当コミュ以外の公開は考えてません

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『ぴーんぽーんぱーんぽーん! はいはーい、毎度お馴染みサヤカの緊急連絡でーっす! 当艦は間もなくワープアウトしまーっす。何が起こるか判らないから衝撃体勢をとってねー。以上緊急連絡でしたー。ぽーんぴーんぱーんぽーん』
 重戦闘機ドラグーンのメインコンピューターであり、人格を持つバイオコンピューターである「サヤカ」のノンビリとした声がクロノス艦内を響いた。自室で読書をしていた神無月深夏は頬杖から顎が落ちそうになった。相変わらず緊張感のない緊急連絡だと思う。
 現在クロノスはUGSFの通信と監視、行動範囲であるスターラインネットワークの僅かに外側を航行している。つまり軍からは見つからず、かつ何時でも帰還できるギリギリの航路だ。今回のワープはその航路上にかなり高密度のアステロイドベルトと高濃度のガス星雲があった為だとか。信じられない事をするなと深夏は思う。
 ワープの技術はある一定範囲の空間である「宇宙座標」などに対しては正確だが、キロメートル単位での「精密座標」から見れば大きな誤差が発生する。それは宇宙空間に点在する不安定な重力場の影響によりズレが生じてしまうからである。影響を受ければ航路が逸れ、移動距離が増せば増すほど誤差は大きくなる。未知の空間ならば何かしら衝突する可能性だってある。その為、軍で行われるワープは緊急時などを除き、監視衛星などを利用してある一定条件の安全な空間が確認、もしくは確保されている事を事前に確認した後に行われる。一艦隊が事故を起こせば一瞬で数十から数百万の命が失われるのだ。慎重になるのも当然である。
 ところがニヤリ部隊はほとんどの場合を「勘」に頼る。軍事ネットワークが使えない状況であろうとなかろうと関係なく、大雑把に位置を決めて好き勝手に飛びまくる。今回のように目の前に厄介な壁があればワープで気軽に飛び越そうと考え、その先に何があるかを調べもしない。もしその先に惑星や隕石群があったり、ジェットの噴射一発で引火するほど高濃度のガスが存在すれば即終了である。普通ならまず事故る。何も無い空間に飛び込める事の方が珍しいくらいだ。迂回としては一つの手段だが慎重に行うべきなのだ。
 だがニヤリ部隊はワープ事故を不思議と思えるほど起こさない。過去に危なかった事例はいくつもあるが大抵は危険回避であり、結果として救われた事の方が多い。実際グラネバの爆発からの脱出も緊急ワープによるものだった。実績こそはあるが、それを日頃の行いだとか運の良さだと主張するのはどうかと深夏は思う。
 とりあえず艦橋に上がって様子を見ようかと、深夏は電子端末を腰のポーチにしまうと自室を出た。持ってきた書籍は当面の退屈を凌ぐには充分な量があったが、身体を動かさないと鈍りそうだと思う。もっとも自室に籠もっていたのは、他の隊員達のバカ騒ぎに加わるつもりがなかったからではあるが。
 艦橋に出ると丁度カウントダウンが終わり、メインスクリーンに束のように映っていた粒子の束は解け、目の前には宇宙空間が広がった。
「太陽だ」
 スクリーンに映った恒星を見て深夏は思わず呟いた。集まっていた隊員達からは歓声があがっている。
「この恒星は恐らく未確認ですね」
『うん、このあたりは隕石群とガス星雲が邪魔してスターラインからだと見えていないからね。軍や天体学会のデーターベースにも載ってないね』
 参謀であるヴォルテスが呟くと、サヤカがそれを裏付ける。最前方でスクリーンに映った太陽を食い入るように眺めている操舵士の麻見真がメインオペレーターの神里香澄に尋ねる。
「これって地球の太陽と一緒か?」
「どうでしょうー。距離が判らないからどのぐらいの規模かは判りませんが、ここからでも黒点やプラズマ大気層が観測できますし、太陽風と同質の影響も確認できていますので、太陽系の太陽と同質だとは思われます。ここまではっきりとした太陽のような恒星は珍しいですねー」
 コンソールに触れて分析しながら香澄が答える。
『距離なら太陽光を計測すれば大雑把にならわかるわよ。およそ二億キロ。地球と火星の中間ぐらいかしらね。太陽の大きさは地球の太陽と同じか少し大きいぐらいかな』
 香澄の姉でありドラグーンのコンピューターでもあるサヤカが情報を付け足す。そのサヤカに香澄が訪ねる。
「ねぇお姉ちゃん。これって太陽系みたいな天体構成になっているのかな? 知的生命体とかいると思う?」
『これ程の規模なら考えられるかな』
 会話を聞いていた隊員達から「おー」と感嘆の声が漏れる。
「見慣れてはいるけどさ、エクシアや地球と別の物だと思うと凄ぇって思うわ」
「んだな。俺ちょっと感動」
「俺も俺も」
 隊員達はその場に立ち尽くしながら、美しく輝く恒星を眺めている。
 深夏は太陽が好きだ。在り来たりな存在ではあるが、いつでも雄大で偉大で広大で見ているだけで安心できる圧倒的な存在感。全ての生命を生み出したと行っても過言ではなく、歴史の中で太陽が悪の象徴とされたことは無い。学生時代の気分転換と言えば太陽を眺めて物思いに更けたり、日光浴をしながらの読書だった。そんな趣味がある事は他のメンバーには内緒だ。安っぽいとか女っぽいとか冷やかされるのが目に見えてるから。
「珍しくても美しくても何でもいいけどさー。俺は太陽よりバニ零の方が見たいんだけどなー」
 その感動的な雰囲気を拗ねたような一声がブチ壊した。今度は「あー」と台無し感に溢れた嘆き声が至る所から漏れる。
『じゅーんちゃーん…。こーゆー時ぐらい感動しようよー』
「俺は恒星発見ぐらいじゃ感動できんのじゃよー。バニ零のエンディングかお宝発見ぐらいのインパクトが無いとさー」
 いやぁ、その基準はどうかと思うんだけどなぁと深夏は心の中で苦笑する。隊長らしいとも思う。
「バニ零ってそんなに面白いんですか?」
 好奇心が優ったのか、香澄が質問をすると彼女に視線が集中した。余計な質問をするなとそういう視線。そんな空気を全く読まずに淳の表情がぱぁっと輝く。
「今回の話は凄かったんじゃよ! 秘密結社ブラックバニーからプリンセスバニーを救出! 感動のクライマックス! お姫様とかメルヘンじゃね!?」
「プリンセスバニーとかどんなだよ」とりんとく、「まさにメルヘンだなぁ」と櫂海、「姫なんて見た事も聞いた事も食べた事もないにょ」とペケジェー。「ああもぅ台無しー」と思うのがその他大勢。
「で、どうするよ。とりあえず航路は恒星方面にあるわけだけど突っ切る? 迂回する?」
「つっきるべ。じゃないと航路が判らなくなる」
 操舵をする麻見の質問に語部雪乃丞が答える。
「いや、止めた方がいい。迂回しよう」
『岡田ちゃんに賛成ー』
 それをすかさず良識派の岡田とサヤカが止めた。なんでさ? と麻見。
『先にも話したけど、知的生命体が存在する可能性が高いからね。万が一にも遭遇したら厄介な事になる。文明レベルが低ければいいけど、高ければ侵略者と見なされる。私達が宇宙戦争の引き金になるなんて事になったら目も当てられなくなるわ。地球人類と近い科学力を持っていればもう発見されている可能性だってある。ここは面倒な事になる前に離脱した方がいいかも』
「それは逆に考えればここらへんに地球型の惑星があって、そこで姫と遭遇してメルヘンな展開になると言う可能性もあると言う事か!?」
『ねーよ!!!』
 その場にいた全員が淳の発言に突っ込みを入れた。だがそれに臆すことなく淳は熱弁する。
「どこぞの惑星の姫さんが逃げてきて、それを悪の何かから守って戦う! どーよこのシチュエーション! 燃えるべ!」
「悪の何かとか何ですか。ゲームと現実を混同しないでください。だいたい何処にそんな国があるとでも言うんですか?」
「わっかんねーぞ? この宇宙は俺達には想像すらできない事が起こるからな! プリンセスが我々に助けを求めてやってくる事だって絶対無いとは言いきれない」
「いくら何でも無いですって」
「じゃあお前作れ!」
「そんな無茶な!」
 淳と岡田のやりとりに隊員達は呆れ、大笑いした。笑い飛ばされた淳は面白くなさそうな表情で艦橋中央の階段を昇り、艦長席に腰を下ろしてふんぞり返る。
「あーあー、ひまだなー。どっかからお姫さんでも逃げてこないかなー」
 そしてみんなに聞こえるように大声でぼやいた。
「まだ言ってるよ…」
「どうしてそういう発想になるんだろうねぇ」
 香澄が苦笑混じりに呟きながら視線を向けてきたので、深夏は肩を竦めて返した。
「折角ですから少しばかり太陽光エネルギーを頂いていきましょう。このあたりの星域を軽く探査しておけば後々役に立つかも知れません。万が一発見されたとしても、クロノスの性能なら大丈夫かと思います。警戒しつつ補給と周辺探査を提案します」
「最悪、軍に戻ったときの言い訳と土産にもなるしな」
『岡田ちゃん黒い! とか言いつつ私もその意見に賛成賛成さんせーい』
「反対、反対、はんたーい! プリンセス捜索…じゃなくて知的生命体を探す旅をしたいでーす!」
「参謀長の提案に賛成多数なので、これより充電と星域探査を行います。警戒レベル、フェーズ1。香澄君達は情報収集を頼む」
「岡田! キサマ横暴だぞ! 隊長の言う事を聞けー」
「多数決です。諦めてください」
「ぎゃわー! それは民主主義と言う名の暴力じゃよー!」
 淳が腕を目元に泣き真似をする。そして艦橋の階段を一気に駆け下り、スクリーンに映った太陽に向かって「太陽のバカやろー! プリンセスを返せー!」と叫んだ。隊員達が大笑いする。
 このような重大な判断は淳、岡田、サヤカの三首脳が判断する。意見が割れれば多数決という事になっている。淳が負けるのは概ね「いつもの事」である。
「では周辺探査を開始します。ソーラーパネル展開、各種センサー作動開始。とりあえず仮定で座標をだしますね。語部さんはデータチェックを、真田さんは念のため索敵を」
「らじゃ−」
「了解。センサーオープン、オールレンジスキャン開始しまー」
 オペレーター兼情報統括の香澄、索敵士の真田秀樹、解析担当の語部達三人は席に着き、各々の業務を始める。
「フェーズ1ってなんだっけ?」
「準待機だな。何して待機する?」
「カタンやりたーい」
「随分古いボードゲームだなー。まぁいいか。やんべやんべ。達郎カモーン」
「へーい」
 隊員達は再びいつもどおりの待機状態に入った。
『しっかしまぁ、凄いところに飛び込んじゃったわね。情報を見る限り、ここって巨大ガス星雲のど真ん中よ。そんな所にこれほど広い空間があるのも驚きだし、太陽系のような小天体が有った事にもびっくりだわ。ホント、宇宙って不思議よねぇ』
「まさしく宇宙の神秘だな」
 感嘆が籠もったサヤカの独り言に岡田が反応する。その岡田は艦長席にふんぞり返って不貞腐れている淳を目の端で確認すると苦笑した。まぁ隊長には悪いけど万が一の事を考えるとこれが正しい判断だろう。人類の歴史には異星人が地球人類の活動範囲内を無断占拠して宇宙戦争にまでなってしまったボスコニアン戦争などの例もある。その逆の事態を招くような行動は
「あっ」
 慎むべきだろうと思った途端、岡田には短い叫び声が聞こえた、ような、気がした。だがさっきまでの賑やかさが途端に静まっており、振り返ると隊員達の視線が香澄に集中していた。当の香澄は片手で口元を覆い、少し困惑したような表情でモニターを眺めている。
「うわー、嫌な声聞いちゃったよ…」
「香澄嬢のこの声はろくな事にならないんだよな…」
「嫌な予感しかしねぇ」
 隊員達は動揺を隠せない。そのぐらいインパクトと実績のある声である。その香澄は真剣な目でモニターを眺めている。
「真田さん! 語部さん!」
「俺も気付いた、確認してる」
「違和感があったからレーダーは止めた。有視界ではまだ確認できてない」
 オペレーター陣の表情や会話は明らかに緊張を帯びている。突然の空気の変化に隊員達は動揺する。岡田が香澄の元まで駆け寄る。
「何があった?」
「光学レーダーによる動態反応です。距離約九千…近いです。小型の物体、数量は四以上でそれ以外の詳細は不明」
「隕石じゃないか?」
「そうだと良いのですが進路が当艦方面なのが気になります」
「真田、どう思う?」
「まだ見えない。だが強い違和感はある。それぞれの位置はバラバラだけど方向は一致してる」
「サヤカの意見は?」
『これだけの情報だとなんとも。けど警戒はしておいた方がいい』
「どうする岡田さん、もう一発スキャンする? 万が一敵だった場合、この距離だと見つかる可能性があるけど…」
 オペレーター陣の視線が岡田に集中する。その岡田は艦長席を見上げた。全員の視線がそのまま淳へと推移する。その淳は真顔で艦橋を見下ろして自信満々に言い放つ。
「任せた」
『ですよねー』
 全員の声が重なり失笑が漏れた。岡田はヴォルテスに視線を向ける。
「参謀長はどう思う?」
「亜空間に潜宙するのがよろしいかと思います」
「よし、潜宙準備! もう一度スキャンをかけ、その結果次第で潜宙しよう。警戒レベルフェーズ2に移行。万が一の戦闘に備え各員は戦闘待機!」
「へーい」
 隊員達は床に散らばった遊び道具の片付けを始め、オペレーター達は忙しなく機器を操作する。
「潜宙準備開始、ソーラーパネル撤収。メインスクリーンにレーダーを表示します」
 艦橋上部の空間に浮かび上がったスクリーンに球状のレーダーが投影される。香澄は視線の先で語部が頷ずくのを確認し告げる。
「スキャン及び潜宙準備完了。いつでも」
「放て!」
 岡田の号令と同時に球状の中心から緑色のレーダー波が広がる。画面の端まで広がりきる直前に幾つかの赤い点が点灯した。
「物体確認、数量七、距離七千八百、当艦に向けて急接近!」
「望遠映像出します」
 語部と香澄の声に続いてメインスクリーンが平面映像に切り替わる。そこには複数の戦闘機らしき姿が投影されている。岡田はヴォルテスに視線を向ける。
「五角形とはずいぶん奇抜な形状だな」
「見た事がない機体ですね。表面は金属なのでしょうか? 真っ黒でよくわかりませんね…。新勢力の可能性が高いと思われます」
『形状パターンからも既知の敵勢力に該当するデータは無いね。未確認勢力と判断、万が一に備え撤退を強く提案』
「僕も撤退が最良だと思う。隊長、よろしいか?」
「俺のプリンセスはー?」
「そんなの絶対いませんから諦めてください」
「えー」
「えーじゃ無くて…」
「ぜ、絶対いない?」
「いません!」
「いたらバニー服を着てくれる?」
 隊員達は一斉に吹き出した。数人がむせて咳き込んでいる。名指しされた岡田はそれほど動揺する事もなく軽くあしらう。
「はいはい、いたら着ますから逃げますよ?」
「よし決まった! じゃあ早速確かめに」
『淳ちゃん、そろそろお黙り』
 艦橋内を凄みの利いたサヤカの声が響く。淳は力なく「はい…」と呟くと深く項垂れた。失笑が漂う中、岡田は片手を揚げて注目を集め声を張り上げる。
「未確認知的生命体発見の可能性に伴い撤退を開始する。各員ショック体制、潜宙開始せよ!」
「いや、潜宙待った!」
 岡田が号令を飛ばそうとしたところを真田が制した。
「どうした?」
「少し様子がおかしい。香澄、戦闘機の進路方向、少し前方を望遠できるか?」
「あ、はい」
 映像がゆっくりと動き出すと、そこには岩石質の物体が映し出された。
「隕石、っぽいですよね、これ」
「いや、それ多分宇宙船だ」
「宇宙船? あれが?」
 真田の見解に驚き、岡田は岩石質の物体を見る。岡田の目にはどう見ても隕石のようにしか見えない。
「進路を計測すると少し軌道がブレていて直進ではない。戦闘機はあの隕石を追いかけているように感じられるな」
『さなちゃんの言うとおりかも知れない。確かに少し様子がおかしい。宇宙船の疑いがあるね』
 サヤカが裏付けると、すかさず師走が疑問の声をあげる。
「素朴な疑問なんだけど、仮にあの隕石が宇宙船だったとして、ジェットのような噴射を無しで移動は出来るの?」
『宇宙で移動をする事だけならそれほど難しい事じゃないよ。あの質量でもイオン粒子や空気などのわずかな噴射程度でも動いちゃうよ。太陽光をミラーやプリズムで熱に変えれば空気の膨張や水蒸気で移動する事だって可能。宇宙なら一度加速しちゃえば止まることもないしね』
 サヤカが即答すると、へーとかほーとか感心したような声が所々で漏れる。お前等座学サボっただろーとサヤカが毒づく。
「つまりそーすると、隕石の形をした宇宙船が戦闘機の集団から逃げてるって事になるんかのー?」
 嵐が呟くと、その場にいた全員が「あ」と声を漏らす。途端、艦橋の上部でバァンと何かを叩くような大きな音がした。見上げると隊長である淳が卓の上に右足を踏み込み、背中を見せつけるほど右肩を前に突き出しながらも肩先から艦橋下にいる隊員達を見下ろす。もちろん顎には田舎チョキ。何だかもの凄いポーズだと深夏は思う。
「…時は来た!」
 どこからともなく「キュピーン☆」という効果音が聞こえた。
「諸君、見るが良い! あの隕石を、あの宇宙船の姿を! 宇宙船の姿を隠したカムフラージュなのか、それとも調達の限界だったのか、辛うじて悪の組織から抜け出した姫が広大な宇宙の海を、あのような船で漂わなければならなかった事にはただ事ならぬ事情があったのだろう…」
 いや、姫だと決めつけるのはまだ早いって突っ込む岡田のつぶやきは、ますます熱の籠もる淳の演説にかき消される。
「しかぁーーーし! 先の映像の通り戦闘機の集団が追ってきている! 悪の手先は情けも容赦も無く圧倒的な戦闘力をもって逃亡を阻止しようとしているのだ! 我々が見る限り、捕まるのはもはや時間の問題である! そしてあの宇宙船は我々の存在に気付き、我々に助けを求めに来たに違いないのだ!」
 そんなバカなと岡田とサヤカが叫ぶ。語部と真田と参謀長が絶句する。隊員達は拳を突き上げて雄叫びを上げ、一緒になって拳を突き上げる香澄の表情は楽しそうで、深夏は開いた口が塞がらない。
「我々に出来る事は何だ? 保身に走り見殺しにする事が正義か? 違う! ここでの正義とは救う事だ! ここで我々が立たなければ正義は死ぬ、死んだも同然であーる! さぁ同志よ! 我が精鋭達よ! 立ち上がれ! ネオバニーの手先からプリンセスを守るのだ!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
 雄叫びが上がった。大声が艦橋内の空気を奮わせ、「くたばれネオバニー!」「ニヤリ部隊万歳!」などという叫びと共にいくつもの拳が突き上がる。そして誰かが駆けだしたのをきっかけに艦橋の出口に向けて隊員達が殺到する。その様子を見て真っ青になったのは岡田。大慌てで隊員達を止めにかかる。
「いや、落ち着けお前等ちょっと待て! それはマズいだっ、ろっ…あああ…」
『あー岡田ちゃん、無理、もう無理…。こういう流れになったらもう止まらない…』
「う…うん…わかってる…そんな気はしてるけど、僕にも一応立場ってものがだな…」
 隊員達が立ち去った後には複数の足跡を背中に残して倒れている岡田がいた。

コメント(1)

よし行け!頑張れ!細かいことは任せた!
オレの姫に失礼の無いようにな!

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