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ニヤリ系コミュのプロローグ 「おまつりのはじまり」

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 プロローグ おまつりのはじまり

 戦艦クロノスの艦橋は賑やかだった。
 艦橋の前方反面は巨大なスクリーンになっており、平常時は航路や艦外の映像、戦闘時にはレーダーや戦況モニター、通信映像、戦術、戦略図など様々な情報が投影される。そのメインスクリーンからは従来の映像が消え、代わりにアニメーションの映像が投影されていた。それも映像は奥行き感の欠片もない平面描画で、色もムラが目立ち手書きのような荒さが感じられる。立体投影方式が主流の現代から比べるとかなり古臭く四世紀以上は前の映像だ。だが隊員達は映像が投影されると興奮したような声を上げて盛り上がる。巨大なスクリーンに巨大なメイドが登場し、全周囲のスピーカーから可愛らしい声で挨拶されると一斉に挨拶を返し歓声が沸き起こる。
 観賞する隊員達からは様々な議論が交わされる。やはり立体映像より二次元の方がいい、ノイズが少なく色鮮やかなコンピューターグラフィックスもいいが暖かみを感じるアナログも捨てがたい。しかし立体じゃないとスカートの中が覗けないではないか。いやいや、かえって覗けないこのギリギリ感がいいんじゃないか。ギリギリズムっすね、ロマンっすね。メイドのスカートはロングであるべきだ、再現するにもベルベットは貴重だなぁ、フリフリは正義、えっちな事は良くないと思います。議論に入らぬ者達は悦に浸ったり悶えたり奇声をあげたりなどなど。
 アニメ以外ではサブスクリーンでシューティングゲームをしている者もいれば、索敵機器をネットワークで繋いで索敵ゲームをしている連中もいる。読書や音楽を楽しんでいる者もいれば寝ている者もいる。艦隊と兵士達の運命を担い、本来なら平常航行時であっても緊張感が漂うほど厳正な空間である艦橋は無法な遊び場へと化していた。この空間には軍務に勤しんでいる者は誰一人として存在しない。
 そんな中、ただ一人だけ何もしていない男がいた。
 艦長であり隊長の長谷川淳はどこか憂いを秘めた表情で周囲を眺め、目を伏せては大きなため息をつく。それを何度か繰り返すと艦長席から立ち上がり、ゆっくりとした足取りで艦橋中央の階段を降り始めた。そのまま中段のオペレーター層まで降りると、物思いに更けるような表情で惨状と化した環境を見渡す。やがて意を決したかのように唇を噛みしめると早足で歩き出し、オペレーター層の一角を占拠して脱衣麻雀で遊んでいた副官の側に歩み寄り、彼の軽く肩を叩いた。
「なぁ岡田」
「はい?」
「そろそろ帰ろうか」
 その発言を聞いた隊員たちの視線が一斉に淳へと集中した。途端にざわ・・ざわ・・と声に出してざわめきだす。集まる視線は驚きと嫌そうな二種類。岡田裕一は眉間にシワを寄せてため息を一つ。淳の言うことはいつでも唐突だと改めて思う。
「まだ一週間も経ってませんよ?」
「一週間もあれば時代は変わってしまう…」
「時代なんてそんなオオゲサな。そう簡単には変わりませんって」
「いや変わる! 少なくとも俺の中では変わってしまう!」
「具体的には?」
「今放映されているバニーハンター零の展開が気になるのだ!」
 アニメかよ、という複数の突っ込みが重なった。緊張感は一気に失せ、隊員達はやれやれといった様子で遊びの続きへと戻っていく。その様子を見て淳が周囲を指さし叫ぶ。
「なんだお前らその反応はー! このままではバニ零の最終話を見逃してしまうのだ! これは重大も重大、大問題なんだぞ!」
「そんなもん、放映後に何かしらの方法で配信されるんだから後で見ればいいじゃないですか」
 諭すように岡田は言う。だが淳は折れない。
「いやダメだ! バニ零フリークとしてはリアルタイムで観なければならん!」
「スターラインの放送受信圏内に入れば発見されて速攻で捕まって営巣入りです。リアルタイムはどう考えても不可能です。諦めてください」
「いーやーじゃー! 俺はリアルタイムで観たいのじゃー! この際画質は問わん! サヤカちゅわーん、何とかならないかねー?」
『ストリーミングなら出来なくはないけど、FTL(光速通信回線)を使って嗅ぎつけられたらマズいからねー。低速度のプライバシーラインを使った上、どこかしらの辺境惑星のサーバーで暗号化してごまかす事になるから、この距離だとどんなに早くても四週間後だよ? しかも圧縮するから画質も音声も酷くなるけどそれでいいなら』
 淳はがっくり項垂れた。ようやく諦めたかと隊員達は小さく溜息をつく。淳はふんがーと大きく一声叫ぶ。
「よしわかった! お前等、バニ零の新作を作れ!」
「そんな無茶な!」
「やだヤダかえるカエル帰るー! バニ零見るために俺は帰るんじゃー!」
 岡田の座っている椅子の背もたれを両手でバンバンと叩きながら喚くように叫ぶ。岡田は小さく溜息を一つ付いた。
「いいですか隊長。まずは現実を見てください。我々は先の会戦より行方不明になっていることを良いことに戦線を離脱して逃亡。しかも自軍が放棄した戦艦を拿捕して内部を私用に改造。現在は無断で長期休暇中。このまま戻ったらどうなるかぐらい想像がつきますよね? 間違いなく軍法会議ですよ。軍設備及び物資横領、偽装工作に逃亡容疑、隠蔽も絡むかな。ま、即決裁判で銃殺刑ものですな。隊長が」
「俺かよ!」
「当然ですよ、言い出しっぺなんですから。もし捕まったら僕は素直に白状しますよ。隊長に脅されて仕方なくって。なぁ?」
 岡田が促すとその場にいた隊員全員がニヤリとした笑みを浮かべる。顎にはもちろん部隊章にもなっている田舎チョキ。
 淳はがっくりと項垂れる。深夏と香澄はしょうがない人達だなぁと苦笑した。


 時は二十四世紀。地球人類が新天地を求めて宇宙へと旅立ってから四世紀が過ぎ、地球外知的生命体との存亡を賭けた戦いの続く戦乱の時代。銀河連邦宇宙軍『UGSF』の第六特殊攻撃部隊、ディビジョン「N」、通称「ニヤリ部隊」が知的機械生命体UIMS(ウイムズ)を絶滅し、人類に伝説と歴史に悪名を残す事になった「ラグナロク戦役」が勃発する少し前の話。
 「第二次コーネウス戦役」に於いてUIMSη(イータ)との戦いに勝利を収めたUGSFが戦後の処理に追われていた頃、UIMSηの本拠地「機工惑星グラネバ」の爆発に巻き込まれたニヤリ部隊だったが辛うじて脱出に成功し、行方不明になっている事を良い事にそのまま逃亡。その後、活動不能に陥って放棄された戦艦クロノスを偶然発見し占拠。そしてUGSFの捜索の手が届かぬ星域まで離脱し無期限のバカンスを楽しんでいた。

 これはニヤリ部隊が惑星エクシアに帰投する二ヶ月の間に、銀河の果てで起こった小さな事件。


 ナムコワンダーエッグ生誕二十周年気まぐれ企画
   The Legend of Dragoon. extra mission.
       〜 姫と魔法とニヤリ部隊 〜






 …Coming Soon?

コメント(9)

気づかれたw
誰も見てないと思ったのに!www
パ:
ちなみにドキュメントに清書前の第1話があがってるぞw
ありゃ、きがつかなかった。
デフォルトのドキュメントフォルダの位置がルートだと勘違いしてた。

軽く添削しておく?
ちょこちょこ修正してるのでもうちっと待ってw
週末にはUPするー
一話の流れは確定。ほとんど変わってないっす
さーて年内に何話まで書けるかなー
読んでくれてさんきゅ。活力になるわ
そしてその空目は想定外だー

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