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訪問看護が大好きコミュのパリの開業訪問看護師についての情報です

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「開業看護師を育成する会」のMLから来た情報です。

Medical Research Information Center の記事から

インタビュー時に、1日平均60件訪問とあるのは、おそらくヨーロッパ各国における訪問看護は一軒当たりの平均滞在時間が15分〜20分だからだと思います。

滞在時間が短いのは、看護師の業務内容が日本のようにヘルパー、理学療法士、作業療法士、栄養士、言語治療士、歯科衛生士、カウンセラーなどなどとかぶることがないからでしょう。
つまり、日本の看護師は何でもやっていてジェネラルなことが看護師の専門性みたいなことになっているからでしょう。

HADおよび訪問看護師の採用と教育については
こちらの日記を参照してください
HAD::
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1057793263&owner_id=3977116
訪問看護師の採用と教育
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1057863569&owner_id=3977116


「パリの開業訪問看護師」


        東京大学医科学研究所
        先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門
        児玉 有子


 先日、パリで開業訪問看護師をしているクリストフ・ラセール氏を訪ね、訪問化学療法看護や実際の訪問に関してインタビューを行いましたので、ここに報告いたします。

 パリの看護師のキャリアパスとして、病院で一定期間勤務した後にHADの訪問看護師や、開業(開業訪問看護師)を選択する人たちが少なくありません。

自分の時間が確保しやすいことと経済的インセンティブがその主な動機です。

 開業のスタイルには、まったくの自由開業(自由診療体系)と公的な保険からの支払いを受けることができる保険機関としての開業の2種類があり、クリストフ・ラセール氏は後者の開業スタイルをとっています。

 クリストフ・ラセール氏は免許取得後9年目の看護師で、4年間の病院勤務の後に開業しました。

病院では日本のICUやHCUに相当するような、重症で透析や呼吸管理などを必要とする患者を専門に扱うユニットに勤務していました。

現在、開業して6年目を迎えます。
同氏は、自由時間や金銭的な理由の他に、「高度な医療を街でもしたい」という希望を持っていたこと、そして「患者およびその家族と深い関わりを持ち、質の高いケアを提供したい」という思いから、開業看護師の道を選びました。


【7時から23時まで、パリ17区内の特定地域を訪問】

 1日に約60人の患者の看護を担当し、月〜金曜日の7時から23時が通常の対応時間、23時から翌朝6時までと土日はオンコール体制で患者を看守ります。

 1日の内訳は以下のとおりです。7時に開始して13時までが午前の訪問、
13時に一度オフィスに戻り、ランチタイムを利用して患者を看ます。
その後14時から17時まで訪問看護、再び17時にオフィスへ戻り、
仕事からの帰宅途中に受診する患者のために外来を開けます。
そして19時からは夜間の訪問に出かけ、23時に1日の業務が終了します。

ちなみに私が訪問した前日に彼が看た患者数は、臨時訪問を含め86人、
16時間のうちに口にしたのは、バナナと患者からプレゼントされた3個のチョコレート(夜間に訪問した患者宅でバナナしか食べていないことを愚痴ったために頂いたもの)のみだったそうです。

 外来患者が訪れる同氏のオフィスはマンション1階の一室にあり、理学療法士や鍼灸師などの他のコメディカルとの共有となっています。

そのなかで彼は畳3畳程度を自分のブースとして確保し、狭いところに種々の医療用品やスケジュール管理等に使うPC、書類トレイなどを置いています。
書類トレイには保険機関へ届ける請求関連書類が山積みにされていました。

 開業看護師として7時から23時まで働き、60人以上の訪問し外来患者を看ることで、同氏は病院勤務時代に比べて3倍程度の収入を得ているようです。


【24時間365日、チームで対応】

 フランスでは訪問看護事業の開業に際し人数の規定がないため、一人で開業している看護師もいます。

しかし一人開業者の多くは自由診療体制での開業であり終業時間を過ぎたら電話にすら出ない、もちろんクリスマスや夏季休暇期間、土日は対応不能という営業形態が多いそうです。

一人で24時間365日対応するとなれば、ハードワークになり、継続が難しくなることは想像に難くありません。
したがって、フランスでも複数人で開業するのが一般的で、ラセール氏も他の2名の看護師とともにチームを組んでいます。

 これについて同氏は、「自身のQOLが低下している人が良いケアを提供できるとは思えない。
その意味で、一人体制に違和感を憶える。
適切な休息を入れてリフレッシュでき、自身のQOLを高める時間も確保できる体制でケアに当たることが重要。

すなわち、24時間365日の対応を実現させつつ患者および提供者のあらゆるQOLを考えるならば、何人かでチームを組み、開業する必要がある」と主張します。私自身もこの点には強く共感しました。


【開業看護師が患者宅を訪問するまでの流れ】

 開業看護師と訪問看護を希望する患者が出会う経路は、主に3つです。

退院後すぐ訪問看護が必要な場合には、在宅入院連盟(以後HAD: Hospitalisation A Domicile, Paris)の担当看護師から連絡が来ます。

その場合、大半はHADでの枠が埋まっているために依頼を受けたもので、言うなればHADの下請け的役割として訪問看護を開始するものです。
それ以外はかかりつけ医からの依頼や、プライベート保険機関からの依頼です。

 ラセール氏の場合は、対象疾患や対象年齢は特に定めず、あらゆる疾患、あらゆる年齢層の患者を訪問しています。
現在は生後3週間の新生児から107歳の患者までを受け持っています。

彼が担当する地域は、パリ17区の限られたエリア(約1キロメートル四方の住宅地)です。
パリの街はとても入り組み、交通・建物事情が日本より不便な環境です。

この範囲を同氏はバイクで、それ以外のメンバーは自転車で移動しますが、「効率よく訪問すること、そのための順路決めがなにより大変だ」 と言っていました。

移動時間を最小限にし、いかに効率的に訪問件数を増やすかは、どこの国でも共通の課題のようです。


【訪問看護についての患者負担】

 フランスの場合、訪問看護に関する費用について基本的に患者負担は無く、
ソーシャルセキュリティーと呼ばれる公的保険より支払われるか、患者が個人的に加入しているプライベート保険のいずれかから支払われます。

HADの訪問看護には包括払いで、開業訪問看護師の支払いは出来高払いで支払われます。
個人開業者がHADからの紹介で下請け的に訪問する場合は、HADに出来高の費用を請求し、HADから個人開業訪問看護師に出来高払いの満額が支払われる仕組みになっています。


【訪問看護で提供しているケア】

 訪問看護でも様々なケアが提供されていますが、多いのは血液検査、皮下注射、静脈注射、ガーゼ交換など診療の補助に分類されるものです。

フランスでは、入院期間の短縮のため、術後早々に退院し、抜糸などは家で訪問看護師が実施しています。

これらのケアの詳細な指示は、退院時に紙面(処方箋)で届きます。
その処方箋に従って訪問看護師が必要な薬や物品を請求し、患者宅へ届くように手配します。

したがって、訪問時には最低限の予備物品のみを携帯して訪問することになります。
以前はこの物品や薬の請求に医師の介在が必要でしたが、法が改められ看護師の手で可能になったことで、非常に仕事の効率が上がったそうです。
もちろん、精神的心理的ケア等の教育を含めた家族ケアも提供されています。


【在宅化学療法の実際】

 在宅化学療法の流れも他の疾患と同様です。

処方箋に基づき薬品や必要物品の請求を行い、それらが患者宅に直接届けられた上で患者宅を訪問、抗がん剤の投与と投与時の観察、ゴミの始末、その後の様子観察までが訪問看護師の仕事になります。

 化学療法に関しては、ラセール氏は現在、ゾメタの点滴投与のみを実施しています。
しかしHADでは、20を超える種類の抗がん剤の在宅化学療法が実施されています。
なぜ開業看護師は1種類しか実施していないのか。
その理由は訪問件数の差にあるのではないでしょうか。

HADの看護師は7人程の患者を1日で看ています。
一方、先に述べたとおり開業看護師の同氏は1日に60人以上の患者を看ています。
これほどの訪問件数を抱えていては時間のかかる化学療法は引き受けづらい状況と言えます。

抗がん剤投与中は原則立ち会い(3時間内は終了まで立ち会うことが義務づけられている。
それ以上の時間がかかるものは翌日以降も訪問)などの制約があり手間もかかる在宅化学療法は、個人経営でかつ出来高払いである開業看護師よりも、公的機関かつ包括払い分にプラスして薬剤費を請求できるHADがその役割の大半を担っているということがわかりました。

ラセール氏が引き受けることをためらっているというよりも、むしろ現場の状況に応じたすみ分けが自然にできてきているのだと思われます。


【看護師の現任教育制度】

 訪問看護に関する話題以外に非常にも興味深い話を聞くことができました。

それはラセール氏が自身の知識と技術のアップデートのために勉強会に盛んに参加しているということです。
さらに2009年2月から2年間は、ツボ/指圧のトレーニングを受けるため学校にも通うといいます。

同氏はこのような勉強会で得た最新の知識と技術で患者を看守り、時には主治医が出す古い治療方法に対して、彼の持つ抜群の交渉力、コミュニケーション力で新しい治療や薬への変更を申し出て、それを踏まえた新しい処方・指示箋が発行されることも珍しくないそうです。

 フランスではツボ/指圧に限らず、現役の看護師向けの様々なトレーニングコースが用意されています。
通常、週末の2〜3日に学校に通い、理論と実践の両方を学びます。
期間はコースにより異なるそうですが、いずれのコースも学費は年間1,000ユーロ程度かかるそうです。

組織に属している看護師がそのプログラムを受ける場合にはその組織が学費を負担しますが、同氏のように独立した開業看護師の場合は自己負担となります。

しかしながら、この学費は必要経費として控除の対象になりますし、通学のために休業しなくては行けない場合には1日200ユーロの休業補償も支給されるそうです。

何より、これらの学習システムは限られた人のみ受けられるのではなく、受けたいと思ったすべての人に平等に提供され、その権利があります。

また、そのため完全に離職するのではなく、仕事と学習を両立できるシステムとなっています。
フランスでもまだ看護師のステータスは低いそうですが、高学歴を要求するのではなく現場でキャリアアップしていく形をとっています。

看護師のキャリアアップの方法にはアメリカ型とフランス型どちらも長所短所がありますが、発展途上の日本の看護師のキャリアアップを考える上でも参考になる箇所が非常に多いようです。


【フランスの悲しいところ】

 在宅を継続しながら最終的に入院し、死を迎える人の中には、最期の短い期間を治験の厳しい治療を受けて無くなる人も少なくはないようです。

治験にはたくさんのメリットもありますが、必ずしもQOLの向上に通じない治験に加わって亡くなる人もいて、ラセール氏も「しょうがないけど“つらい”と感じながら入院の準備を援助することも少なくない」「治験大国であるフランスでは、それがゆえに終末期医療については疑問を感じる部分も多くあります」と言っていました。

これは日本ではあまり見られないことではないでしょうか。「最期にモルモットになるために入院するんだよ。信じられない」と悲しそうな顔で訴えていたのがとても印象的でした。

 このような入院をしなくてはいけない1つの原因として、終末期患者を受け入れる入院施設が少ないこともあるようです。
日本も同じ問題を抱えています。今後の医療供給体制においては、急性期だけでなく、拡大してきた在宅医療をバックアップする施設の確保がますます必要となってくるでしょう。
家庭での介護力が低下している日仏両国が、ともに解決に向けて新たなアプローチを行わねばならない。かかる認識をあらたにした視察となりました。


 今回の訪問は、「通院治療・在宅医療等、地域に根ざした医療システムの展開に関する研究」(班長:湯地晃一郎、東京大学医科学研究所 助教)の一環として、フランスにおける在宅看護の実際と病院と在宅の連携について現地調査を行ったもので、これはその報告の一部です。

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