DOG HUNTのページコミュの13th hunt (1)

咲かせよう曼珠沙華


「ドンッドンッドンッ」
今朝もこの呪われた音で起こされた。早速隣で寝ているイワンを蹴り飛ばし起こしコーヒーを淹れさせ、俺は簡単に着替えながら客を迎えた。イワンにはいつもソファーで寝ろと躾けている。しかし俺が目を覚ますと俺のベッドで寝息をかいている。これが美女なら俺も文句は無い。
　入ってきたのは５０代後半の男で身長は１７５ｃｍ、筋肉質でガッチリしており年相応の肉体では無い感じだ。格闘技をやっている臭いがする。
　俺は席に案内し名刺を渡すとイワンがコーヒーを持ってきた。男は俺をじっと見据え名前を名乗り依頼内容を話した。

　依頼内容は人間の捜索。人を数人見つけ居場所を告げるだけ。依頼人の目的は復讐でその相手を探すのが俺の今回の仕事。男はクラウドと名乗っていた。復讐の理由は息子とその嫁の敵討ち。彼の息子とその嫁が傷つけられ自殺に追い込まれたと俺に告げると大金を置いて出て行った。彼はスーツ姿で左脇が膨らんでいたのを見ると銃を携帯していたのだろう。歩き方が特殊で振っている手が握られている。これは軍人の癖だ。退役軍人なのだろう。早速俺はクラウドの話を確かめるために友達の所に行くことにした。

　向かった先は警察署。途中でお土産も忘れずに買った。
刑事課の部屋に入りゲヒに声をかけた。
「っよ色男。元気か。あれだって、最近コレ出来たんだって。このスケベ。」
ゲヒが顔を赤らめながら
「うっせー。お前警察になんのようだ。なめてると檻にぶち込むぞ。」
「まぁ、そう怒らないで。今日はお祝いにプレゼント持ってきたんだ。」
俺はサングラスを取り出しゲヒにつけた。
「おぉ。似合ってる似合ってる。名刑事現るってか。でさちょっと資料室行きたいんだけど。」
ちょっとお願いした。
「何言ってんだ。ダメだダメだ。帰れ。これはワイロのつもりか。とりあえず証拠として没収だ。」
じゃあ返せよ、返すもんかと揉めている所にウズが登場し俺はゲヒからサングラスを奪いウズに同じ手を使った。
ゲヒが止めたがウズは快く資料室に入れてくれた。
「でドッグよお前いったい何がしりたいんだ。」
資料室のパソコンの前でウズが聞く。俺はクラウドとその息子の名前で何か見つかるかお願いする。
案の定クラウドは元軍人だったし息子も軍部に所属していた。彼らはクラウドの言うとおりの事件の被害者だった。その事件は悲惨なものだ。

今から三年前。クラウドの息子ケーチは２１才アビリョー軍の第六部隊に所属していた。事件は彼の長期休暇の時だった。ケーチは婚約者のレナと海にドライブしていた。季節は秋でレジャー日和の日。ケーチは滅多に家に帰るどころかレナにも会えなかったので二人はこの日を心待ちにあいていた。レナはお嬢さん育ちの１９才で少しお転婆な性格だった。その日の朝ケーチはレナの実家に向かえに行き彼女の両親に挨拶をして出かけた。二人の仲は両家の親も認めており時期が来れば結婚というぐらいで親同士も親交していた。
二人は帰りに車を海辺の町から少し離れた人通りも車もあまり通らない道を行き脇に停車した。彼らは車中にて情事を始めた。これが悲劇の始まりだった。

キスからはじまり行為はしだいに激しくなる。クライマックスを迎える時に突然運転席と助手席の窓を割られ鍵を開けられ二人は六人のグループに引きずり出された。いくら軍人でも半裸で銃も無く、あっという間の出来事に対応できなかった。ケーチとレナは激しく殴打されレナはすぐにぐったりとした。ケーチも反抗しようとしたがそれは徒労に終わった。薄れいく意識の中で隣のレナが犯されているのを見た。ケーチは意識がはっきりし喚き暴れたが両手両足を拘束され何も出来ない。レナは泣き喚いていたがそれもしなくなり虚ろな表情になった。犯している男はそんな表情が気に食わないと怒り何度も殴ったが虚ろな表情のままだった。手の空いている男達がケーチを犯し始めた。それをレナに見せると今までにない喚き方をして半狂乱となり男達は喜び、次第に何をされてもケーチとレナは反応しなくなり気絶をした。二人は明け方に目を覚ますと無言で車に乗り帰った。この事は二人とも誰にも話さなかった。数日後レナが自殺をすると彼女の両親とケーチの両親が彼に問い詰めた。彼は事件を告白し訴えに出ることにした。ケーチは軍でも情報を扱う部署にいたため自分でも手掛かりを探しそれも手伝って間もなく犯人グループが逮捕起訴された。しかし判決は甘かった。せっかく集めた証拠もいつのまにか無くなり刑も軽くなり旅行程度の懲役しか出なかった。しかもその判決が下されたのは犯人グループの一人だけであとは無罪放免になった。しばらくの後ケーチ軍施設の自室にて自殺。