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西岡昌紀ですがコミュの大空襲と原爆は本当に必要だったのか

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 ドレスデン空襲に関して、以下の疑問が持ち上がる。ドレスデン空襲のおもな目的は、重要な軍事作戦の進行する地域に近い輸送拠点を叩くことだった。そうであれば、この都市の周辺にある、またはこの都市から東西方向に延びる重要な鉄道や道路を標的にしなかったのはなぜだろう。爆撃機集団に与えられた指令では、攻撃目標は鉄道操車場などではなく、この都市の中心に近いスタジアムだった。
 この都市は、進撃するソ連軍から逃げてきた何万人もの避難民であふれていることがわかっていた。それがここを爆撃する理由だったのだろうか。人道的見地から、それがここを爆撃しない理由にならなかったのは、いったいなぜだろうか。
 実際、(兵士や避難民の移動に関係した周辺の都市ではなく)この都市を爆撃する理由を尋ねるかわりに、爆撃しない理由を尋ねる者があれば、その答えはアメリカのヘンリー・スティムソン国務長官が原爆投下の標的候補から京都を外したときに述べられたものと同じかもしれない。

 アメリカが広島と長崎に原爆を投下したおもな目的の一つは、軍備開発で勝っているとソ連に誇示することだったと言われている。ドレスデン爆撃にも、残念ながら似たような部分がある。連合国による地域爆撃を痛烈に批判したマックス・ヘイスティングズは、ドレスデン爆撃に出動する爆撃機集団に宛てられた指令書を引用している。以下は、その最後の一節である。「攻撃意図は敵国の最も弱い部分、すでに一部が崩壊した前線の裏を叩くことで、この都市がさらなる進軍に利用されるのを防ぎ、副次的に、ソ連がここに到着したさいに爆撃機集団に何ができるかを誇示することである」。いま思えば、この「敵国の最も弱い部分を叩く」−−−つまり、伝統的な都市の一般市民を叩く−−−という考え方には、道義をまったく顧みていなかったことが明白にあらわれている。また、一般市民の生命および歴史と伝統を外交駆け引きの道具に使う計算高さには、驚きを禁じえない。

(A・C・グレイリング(著)鈴木主悦(訳)浅岡政子(訳)『大空襲と原爆は本当に必要だったのか』(河出書房新社・2007年)322〜323ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2%E3%81%A8%E5%8E%9F%E7%88%86%E3%81%AF%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-A%E3%83%BBC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/4309224601/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1392782290&sr=1-1&keywords=%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2%E3%81%A8%E5%8E%9F%E7%88%86%E3%81%AF%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B

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コメント(10)

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 ドレスデン空襲に関して、以下の疑問が持ち上がる。ドレスデン空襲のおもな目的は、重要な軍事作戦の進行する地域に近い輸送拠点を叩くことだった。そうであれば、この都市の周辺にある、またはこの都市から東西方向に延びる重要な鉄道や道路を標的にしなかったのはなぜだろう。爆撃機集団に与えられた指令では、攻撃目標は鉄道操車場などではなく、この都市の中心に近いスタジアムだった。
 この都市は、進撃するソ連軍から逃げてきた何万人もの避難民であふれていることがわかっていた。それがここを爆撃する理由だったのだろうか。人道的見地から、それがここを爆撃しない理由にならなかったのは、いったいなぜだろうか。
 実際、(兵士や避難民の移動に関係した周辺の都市ではなく)この都市を爆撃する理由を尋ねるかわりに、爆撃しない理由を尋ねる者があれば、その答えはアメリカのヘンリー・スティムソン国務長官が原爆投下の標的候補から京都を外したときに述べられたものと同じかもしれない。

 アメリカが広島と長崎に原爆を投下したおもな目的の一つは、軍備開発で勝っているとソ連に誇示することだったと言われている。ドレスデン爆撃にも、残念ながら似たような部分がある。連合国による地域爆撃を痛烈に批判したマックス・ヘイスティングズは、ドレスデン爆撃に出動する爆撃機集団に宛てられた指令書を引用している。以下は、その最後の一節である。「攻撃意図は敵国の最も弱い部分、すでに一部が崩壊した前線の裏を叩くことで、この都市がさらなる進軍に利用されるのを防ぎ、副次的に、ソ連がここに到着したさいに爆撃機集団に何ができるかを誇示することである」。いま思えば、この「敵国の最も弱い部分を叩く」−−−つまり、伝統的な都市の一般市民を叩く−−−という考え方には、道義をまったく顧みていなかったことが明白にあらわれている。また、一般市民の生命および歴史と伝統を外交駆け引きの道具に使う計算高さには、驚きを禁じえない。

(A・C・グレイリング(著)鈴木主悦(訳)浅岡政子(訳)『大空襲と原爆は本当に必要だったのか』(河出書房新社・2007年)322〜323ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2%E3%81%A8%E5%8E%9F%E7%88%86%E3%81%AF%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-A%E3%83%BBC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/4309224601/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1392782290&sr=1-1&keywords=%E5%A4%A7%E7%A9%BA%E8%A5%B2%E3%81%A8%E5%8E%9F%E7%88%86%E3%81%AF%E6%9C%AC%E5%BD%93%E3%81%AB%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B

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容赦なき戦争―太平洋戦争における人種差別 (平凡社ライブラリー) [単行本]
ジョン・ダワー (著), John W. Dower (原著)
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%B9%E8%B5%A6%E3%81%AA%E3%81%8D%E6%88%A6%E4%BA%89%E2%80%95%E5%A4%AA%E5%B9%B3%E6%B4%8B%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%BA%BA%E7%A8%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5-%E5%B9%B3%E5%87%A1%E7%A4%BE%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AF%E3%83%BC/dp/4582764193/ref=cm_cr-mr-title

116 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

5つ星のうち 2.0

この本は、アメリカ人の人種偏見を正当化して居る, 2005/5/8

By 西岡昌紀 - レビューをすべて見る


 ちょっと読むと、良心的な本の様に思へるかも知れない。だが、良く読むと、およそ、そうとは言へない本である。この本は、第二次大戦中の日米双方のプロパガンダを比較して居て、そうした日米双方の戦時宣伝、特にマンガ、のカタログとして読む分には、悪い本ではない。(だから、星二つにした)しかし、良く読むと、この本は、戦時中の日本のプロパガンダをアメリカ側のプロパガンダと並列に提示する事で、「確かにアメリカ人には、日本人に対する人種的偏見が有った。しかし、日本人もアメリカ人に対して人種的偏見を持って居たのだからお互い様だった」と言おうとして居る様に思へてならない。確かに、日本人にも、人種的偏見は有る。しかし、当時のアメリカの白人が日本人に対して持って居た人種的偏見に較べれば、それは、物の数ではない。それは、この本に提示された原資料(日米双方の戦時プロパガンダ)を較べれば明らかな事で、敵を悪魔化する手法は双方お互い様でも、アメリカ人の日本人に対する人種偏見の深さが、日本人のポンチ絵とは比較に成らない、本当に根深い物であった事を、この本の資料は、逆証明して居る。それにも関わらず、著者は、日米双方の人種偏見を同等(イーヴン)であったかの様に印象ずけようとして居る。即ち、著者は、そうしたアメリカ人の側の人種偏見が、日本人の人種偏見などより遥かに根深い事を知りながら、それを認めたくないのである。そこに、アメリカのリベラルの偽善性が感じられる。わざわざ買って読む値打ちは全く無い。

(西岡昌紀・内科医/ヨーロッパで第二次世界大戦が終結して60年目の日に)





フィリップ ナイトリー (著), Phillip Knightley (原著), 芳地 昌三 (翻訳) 「戦争報道の内幕―隠された真実」 (中公文庫) [文庫]
http://www.amazon.co.jp/%E6%88%A6%E4%BA%89%E5%A0%B1%E9%81%93%E3%81%AE%E5%86%85%E5%B9%95%E2%80%95%E9%9A%A0%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/412204409X/ref=cm_cr-mr-title

8 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

5つ星のうち 5.0

故ロッゲンドルフ教授の言葉--民主主義国家の方が、世論操作は圧倒的に上手い

2005/5/8

By 西岡昌紀


 かつて、上智大学に、ヨーゼフ・ロッゲンドルフ教授(故人)と言ふドイツ人の教授がおられた。この教授は、人生の大半を日本で暮らし、戦争中も日本に居た人物である。そのロッゲンドルフ教授が、戦争中の日本を思ひ出して、こんな興味深い事を言っておられるので、紹介したい。--「憎悪というものはね、そう簡単に命令して植えつけるわけにはいかんですよ。ちょっとでも教養のある人や良識のある庶民なら、わかっていたと思う。その点、民主主義の国の方が、世論操作は圧倒的に上手いですよ。敵に対して戦う意味を見出すには、憎悪を抱かせなければならない。社説、ニュース、いかにももっともらしい話、その他あらゆる事を動員して、頭のいい、筆の立つ記者たちの協力で、憎悪を少しずつ盛り上げて行くんです。民主主義の国では、納得の行く話でなければ憎悪を作り出す事はできません。しかし、怖いのは、そうやって作られた憎悪なり偏見なりは、なかなか消えないんですね。」(ヨーゼフ・ロッゲンドルフ・加藤恭子「和魂・洋魂」講談社より)--戦時中、日本の新聞やラジオが、戦況の報道などにおいて、国民を騙した事は、誰もが知って居る。では、戦後の今、私達は、騙されていないと言へるのだろうか?この本(「戦争報道の内幕」)は、過去の戦争報道における情報操作を具体的な事例を挙げて紹介し、分析した一書であるが、この本を読むと、民衆を騙す戦争報道は、ロッゲンドルフ教授がいみじくも指摘した通り、むしろ、民主主義国家において、洗練され、狡猾な物に成って居る事を実感させられる。その事は、この本が扱って居ないボスニア紛争や湾岸戦争、それに最近のイラク戦争でも明らかだが、こうした事を、「民主主義」社会に生きる私達は、もっと意識するべきなのである。その為に、私は、この本を全ての日本人に推薦する。--ロッゲンドルフ教授の言葉の意味を実感する為に、一人でも多くの人に、この本が読まれる事を希望してやまない。

(西岡昌紀・内科医/ヨーロッパで第二次世界大戦が終結して60年目の日に)


(書評)フィリップ ナイトリー (著), Phillip Knightley (原著), 芳地 昌三 (翻訳) 『戦争報道の内幕―隠された真実』 (中公文庫・2004年)
http://www.amazon.co.jp/%E6%88%A6%E4%BA%89%E5%A0%B1%E9%81%93%E3%81%AE%E5%86%85%E5%B9%95%E2%80%95%E9%9A%A0%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/412204409X/ref=cm_cr-mr-title

8 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。

5つ星のうち 5.0

故ロッゲンドルフ教授の言葉--民主主義国家の方が、世論操作は圧倒的に上手い

2005/5/8

By 西岡昌紀


 かつて、上智大学に、ヨーゼフ・ロッゲンドルフ教授(故人)と言ふドイツ人の教授がおられた。この教授は、人生の大半を日本で暮らし、戦争中も日本に居た人物である。そのロッゲンドルフ教授が、戦争中の日本を思ひ出して、こんな興味深い事を言っておられるので、紹介したい。--「憎悪というものはね、そう簡単に命令して植えつけるわけにはいかんですよ。ちょっとでも教養のある人や良識のある庶民なら、わかっていたと思う。その点、民主主義の国の方が、世論操作は圧倒的に上手いですよ。敵に対して戦う意味を見出すには、憎悪を抱かせなければならない。社説、ニュース、いかにももっともらしい話、その他あらゆる事を動員して、頭のいい、筆の立つ記者たちの協力で、憎悪を少しずつ盛り上げて行くんです。民主主義の国では、納得の行く話でなければ憎悪を作り出す事はできません。しかし、怖いのは、そうやって作られた憎悪なり偏見なりは、なかなか消えないんですね。」(ヨーゼフ・ロッゲンドルフ・加藤恭子「和魂・洋魂」講談社より)--戦時中、日本の新聞やラジオが、戦況の報道などにおいて、国民を騙した事は、誰もが知って居る。では、戦後の今、私達は、騙されていないと言へるのだろうか?この本(「戦争報道の内幕」)は、過去の戦争報道における情報操作を具体的な事例を挙げて紹介し、分析した一書であるが、この本を読むと、民衆を騙す戦争報道は、ロッゲンドルフ教授がいみじくも指摘した通り、むしろ、民主主義国家において、洗練され、狡猾な物に成って居る事を実感させられる。その事は、この本が扱って居ないボスニア紛争や湾岸戦争、それに最近のイラク戦争でも明らかだが、こうした事を、「民主主義」社会に生きる私達は、もっと意識するべきなのである。その為に、私は、この本を全ての日本人に推薦する。--ロッゲンドルフ教授の言葉の意味を実感する為に、一人でも多くの人に、この本が読まれる事を希望してやまない。

(西岡昌紀・内科医/ヨーロッパで第二次世界大戦が終結して60年目の日に)


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