食塩対策はこのテーマに沿った話題の1つ。初日の招待講演では、英国St George大学ロンドン校のGraham A. MacGregor氏が、「食塩:エビデンスから国際的な対策へ」と題した講演を行った。同氏は、一般人口の減塩対策を訴えるエバンジェリスト(伝道者)として世界的に知られている。 一般演題では、従来通り臨床研究、基礎研究が大部分を占めるが、特別セッションでは、会長講演が「疫学的エビデンスをどう作りどう理解するか」、特別講演の1つが、Framingham研究に基づくリスクチャートを構築した米Emory大学のPeter W. E. Wilson氏による「心血管疾患予測の最新動向」、特別企画1が「日本のエビデンスをつくる:JALS(The Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study)」など、疫学的な演題が目立つ。昨年開催のJSH2008は5年ぶりの高血圧ガイドライン改訂で盛り上がったが、今期は疫学的な視点を軸に、腰を据えた議論を目指しているようだ。
3日目の高血圧・FJSH特別企画セッションで、街のレストランで減塩・低カロリー食をという「こだわりのヘルシーグルメダイエットレストラン in 呉」プロジェクトについて報告した日下医院院長の日下美穂氏も、「今回のランチョン弁当をどう思うか」との問いに、「減塩メニューはダシを効かせるのが大切で、ただ塩を減らすだけではだめ。ただし、今回の弁当についてはノーコメントです」と答え、会場の苦笑を誘っていた。