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君島三郎・死力回復センターコミュのカレーライスの女。

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カレーライスの女がやってきた

裸にエプロンというその出で立ちは
男子の劣情をそそるには最上のものだが
気になる点がひとつあった

台所に立つその下半身が
ある角度からだと
向こうが透けてしまうのだ

換気扇にまとわりつく
油汚れのように
天に昇れぬ未成仏霊が出張コスプレとは

どうしてここへ来たの? と訊ねれば
「あなた有りきの私だったから」と繰り返すのみ
WHY に対してはBECAUSEという論法は備えているものの
肝心の「あなた」がとてもこの俺には思えてこないその調子

この世に未練があって
その残念が幽霊という形態をとらせるはずなのに
この女にはその念の凝縮が足りない

女は下半身を透かせたまま台所に立つ
台所に立って
東京に来てからの
たったひとつの財産だという料理をつくる

財産としての料理
それはカレーライス
料理と呼ぶにはあまりに軽い

なあんもない
なあんもない

女のつくるカレーには
具がなあんもなかった

そんな女のつくる希薄なカレーに
文句ひとついえず
かりそめの男をなんとなく演じる俺もまた
人にも霊にも満たない仮象であった

わかってます
わかってます

死にたどりつけぬ男と
生にたどりつけぬ女が
具のないカレーを二皿のせて
消えかかるちゃぶ台を囲む

魔性の夏と呼ぶには
なにもかもが足りないのであった

inspired by 膳任『カレーライスの女』






「死力回復センターML」2002/08/28

コメント(11)

君島氏は晩年、ソニンの大ファンだったそうです。
しかし、それにしてもこの強度には驚かされます。
>まーぼーさん
君島氏の文章はどれも、長い時間をかけた遺書としても読めますね。
生と死を連想させられるような要素が多いです。
ふははは。この足りていない感が、ポップであると思います。
コミカルに狂ってますよね。
足りないことで空間を埋め尽くすという。
ソニンでいちばん盛り上がってたのは
「走れソニン」でした。高知〜韓国を
なきながら走る壮絶ドキュメント。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/lightyear/sonim_10.htm
片岡さんの育った須崎市も走ってた。
どうも、こちらでは初めまして。

ソニンで思い出しましたが、君島さんはポンチャックにもハマってましたね〜。カセットを持ってたような。

この文、確かにリアルタイムで読みましたが、この頃になるとレスができなかったっす。
>ズートさん
走れソニンは凄かったですね。後半死にそうな顔で走るんですよ、ソニン。
ハロプロでないのに限りなくハロプロに近い立ち位置というのが異端ぽくて好きでした。

>LAMFさん
どもです!
ポンチャックは強烈でしたからね〜。片岡さんがはまったのにも頷けます。
寒いおでん〜のサウンドは先取りポンチャックだったのかもしれません。。。

>まーぼーさん
誤植もまた可能性です☆
うむ。全く好みであります。
ちょっとずつ読みたい感じ。
>notanさん
ちょっとづつ上げていきますね〜♪

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