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猪口敏平コミュの『戦艦武蔵のさいご』

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渡辺清氏の『戦艦武蔵のさいご』。
渡辺氏は少年兵として武蔵に乗り組んだ方。レイテ沖海戦に参加し、生還されています。そこでの体験を著したのがこの作品。児童文学ということなので創作箇所がいくつもあるかとは思いますが、武蔵と猪口少将について参考になる作品だと思います。(ちなみに同氏の『戦艦武蔵の最期』を児童向けにしたものが同書ということらしいです)
この作品から、猪口少将について記述された部分をピックアップ、要約して紹介します。

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◆猪口艦長について

・長身でやせ形。
・禅のはなしが好き。「なにごとも、感謝の気持ちがあれば、人生はたのしくくらすことができる」というような説教を乗組員に聞かせていた。
・話し方はものやわらかで、ちょっと軍人ばなれしていた。
・砲術にかけては日本にふたりとない大家。


◆戦闘開始前

戦闘艦橋にて。
胸に双眼鏡をさげ、片手に伝声管。猪口艦長は、大きなひとえまぶたの目をじっと沖の方に向けて、両足をこまたに開いて立っている。伝声管の脇に、ひとふりの軍刀。
艦が左に回りすぎるくせがあることを航海長に指示。砲術長に乱射しないよう指示。
スピーカーで全乗員に告示。「敵機来襲の公算大なり、われに天佑神助あり、各自戦闘部署において最善をつくせ。」


◆第二波

三本の魚雷が殺到。
猪口艦長は面舵を命令。魚雷と艦の回頭速度をくいいるように目でおった。やせてあごのとがった顔は、緊張のため赤黒くふくらんでみえた。
魚雷、武蔵に二本命中。
主砲射撃方位盤故障。第二方位盤に切り替え。


◆第三波

左舷中部に三本の魚雷が命中。主砲の弾火薬庫を保護している甲鉄が露になり、火炎の熱気が弾火薬庫に伝わった。弾火薬庫の温度が上がったら、もしくはそこに魚雷が命中したら、膨大な火薬に引火し、武蔵はひとたまりもない。
猪口艦長は主砲を捨てて艦を救うことを決断した。
一、二番主砲の弾火薬庫に注水。
防空指揮所の囲いから猪口艦長は主砲を見守った。艦長の顔には血の気がなかった。


◆第四波後

栗田長官から武蔵に引き返すよう命が下った。
猪口艦長は、長官の命令を受け取ってから、しばらく両手を組んで旗艦・大和の艦橋をじっと見つめていた。余程残念だったに違いない。
コロン湾に引き返し、再起を期すことを猪口艦長は命令。
「われ命により、これより帰投す。僚艦各位の健闘をいのる。」という信号を進航中の各艦に送った。


◆第五波

防空指揮所にて。
白い指揮棒を片手に、猪口艦長は雷跡を追って操艦を指示。艦長のカーキ色の戦闘服は、飛まつと汗で乾いたところはなかった。
武蔵はほとんど回避能力を失っていた。
艦尾に魚雷命中。
舵、故障。
司令塔付近で炸裂した爆弾の破片が、猪口艦長の左肩を引き裂いた。艦長付きの佐野少尉が治療室へ下りるよう進めたが、猪口艦長は看護兵を呼び、その場を一歩も動こうとしなかった。


◆沈没前

第一艦橋にて。
猪口艦長は、鉄カブトをとり、防毒面を肩から外し、略帽をかぶりなおした。副長以下首脳部が艦橋にあがり、艦長の前に並んだ。
生存者の退避を猪口艦長は命じた。そして責任は自分がとることを伝えた。
みな顔を青くして目をふせた。
猪口艦長は、艦長用の水筒から水を湯飲みに注いでまず自分が飲み、それをみんなに回した。「別れのさかずき」だ。
そして、黒い皮表紙の手帳を上着のポケットから出し、副長に司令長官へ渡すよう託した。それから胸のポケットにさしてあったペンシルを抜いて副長へ形見として渡した。ペンシルは、猪口艦長が大尉だった頃にアメリカで買い求めたものだった。六角形の金属製のペンシルを猪口艦長は愛用していた。
猪口艦長は自分から丁寧に敬礼をし、総員退去を命じた。
砲術長の越野中佐と、艦長付きの野崎中尉と佐野少尉が艦橋に残り、艦長のおともをさせてほしいと言ったが、猪口艦長は許さなかった。
羅針盤の前に石像のように立っている猪口艦長に別れを告げて、三人はラッタルを降りていった。


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猪口少将が傷を負ったのが左肩だったり、資料によって異なる事柄がいくつかあるのが気になりますが、それについては後日改めて比較検討したいと思います。

私は、この『戦艦武蔵のさいご』こそが非戦教育に最も相応しいテキストではなかろうかと思っています。戦争の悲惨さ、恐ろしさ、愚かしさがここに表わされています。けして目を背けてはいけない事実がここにある、そう思いました。たくさんの人に読んでほしい一冊です。

多くの人の目に触れてもらうために、いっそ映像化してほしい。
映画では興行収入を鑑みると難しいと思うので、NHKでドラマ化してほしい。
そう思ったとき、それでは猪口少将は誰が演じるのだ?という疑問も湧いてきました。
猪口敏平少将、享年48歳。
このくらいの年齢の俳優。誰が相応しいでしょう。

コメント(1)

中井貴一氏、なんて、どうでしょう。
猪口少将役。

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