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万葉集コミュの万葉集・979 ・980・981・982・983 ・984・985・986 ・987・988

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6 979;雑歌,作者:坂上郎女,大伴家持

[題詞]大伴坂上郎女<与>姪家持従佐保還歸西宅歌一首

吾背子我  著衣薄  佐保風者  疾莫吹  及<家>左右

我が背子が 着る衣薄し 佐保風は いたくな吹きそ 家に至るまで 

わがせこが けるきぬうすし さほかぜは いたくなふきそ いへにいたるまで
・・・・・・・・・・・
私のあの人の着ている衣は薄いから

佐保の風はきつく吹かないでね

家にあの人が帰りつくまでは
・・・・・・・・・・・
* 「佐保」
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/saho.html
* 「大伴坂上郎女 おおとものさかのうえのいらつめ」
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/sakanoue.html
* 「大嬢(おおいらつめ)」
http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/ootome.html
* 大伴坂上郎女の家を、甥の家持が訪ねた。帰り際に家持にあたえた歌か。
* 「我が背子」は、一般には「わたしの夫」とか「わたしの恋人」ということになるが、若き甥にもそう呼んだか。
* 「佐保風」は、佐保に吹く風という意味。
佐保は、平城京の北に広がる地のうち、その東側の地。
ここに大伴氏の邸宅があった。上記「佐保」参照。


6 980;雑歌,作者:安倍虫麻呂

[題詞]安倍朝臣蟲麻呂月歌一首

雨隠  三笠乃山乎  高御香裳  月乃不出来  夜者更降管

雨隠り 御笠の山を 高みかも 月の出で来ぬ 夜はくたちつつ 

[あまごもり] みかさのやまを たかみかも つきのいでこぬ よはくたちつつ
・・・・・・・・・・
三笠の山が高いからだろうか

月はなかなか出て来ないなあ

夜がますます更けてゆくというのに
・・・・・・・・・・
* 「雨隠り」あま‐ごもり。枕詞。
雨に降られて隠(こも)る笠の意から、「三笠(みかさ)」にかかる。
* 「を〜み」 山が高いので
* 「かも」は係助詞「か」に終助詞「も」で、疑問の意。・・・ダロウか。
* 「くたつ 降つ」は(自タ四)で「夜が更ける」「月がかたむく」かたむく、すえになる、など。
* 「つつ」、ここでは「夜が更ける」ことの重複、深まる意。ますます。


6 981;雑歌,作者:坂上郎女、奈良

[題詞]大伴坂上郎女月歌三首

猟高乃  高圓山乎  高弥鴨  出来月乃  遅将光

狩高の 高円山を 高みかも 出で来る月の 遅く照るらむ 

[かりたかの] たかまとやまを たかみかも いでくるつきの おそくてるらむ
・・・・・・・・・・
猟高の高円山が高いからなのね

山の端から出る月がこんな遅くになって照っています
・・・・・・・・・・
* 「猟高」は高円山周辺の旧地名か。
* 「高円山」は奈良市春日山の南の丘陵地帯。



6 982;雑歌,作者:坂上郎女、枕詞

[題詞](大伴坂上郎女月歌三首)


烏玉乃  夜霧立而  不清  照有月夜乃  見者悲沙

ぬばたまの 夜霧の立ちて おほほしく 照れる月夜の 見れば悲しさ
 
[ぬばたまの] よぎりのたちて おほほしく てれるつくよの みればかなしさ
・・・・・・・・・・
夜霧が立ちこめて

ぼんやり照っている月影の夜は

見る月も悲しいよ
・・・・・・・・・・
* 「おほほしく」おぼろに



6 983;雑歌,作者:坂上郎女

[題詞](大伴坂上郎女月歌三首)

山葉  左佐良榎<壮>子  天原  門度光  見良久之好藻

山の端の ささら愛壮士 天の原 門渡る光 見らくしよしも
 
やまのはの ささらえをとこ あまのはら とわたるひかり みらくしよしも
・・・・・・・・・・・
山の端に出てきた小さな月の美男子が

天の原を渡りつつ照らす光の何とすばらしい眺めでしょう
・・・・・・・・・・・
☆ あまの朝廷のおおきな門のすみっこから、
ちょっとのぞいて出てきたあの月の若者の
まあ なんて可愛いことかしら
ずーっと眺めていたいわねえ

* 「ささらえをとこ」は月の異名。「ささら」はこまかい、ほっそりした、意。「えをとこ」は愛すべきおとこの意。



6 984;雑歌,作者:豊前国娘子

[題詞]豊前<國>娘子月歌一首 [娘子字曰大宅姓氏未詳也]

雲隠  去方乎無跡  吾戀  月哉君之  欲見為流

雲隠り 去方をなみと 我が恋ふる 月をや君が 見まく欲りする 
 
くもがくり ゆくへをなみと あがこふる つきをやきみが みまくほりする
・・・・・・・・・・
月が雲に隠れてしまってどこに行ったのか分からない

私の思い慕うその月を貴方は見たいとおっしゃるでしょうか
・・・・・・・・・・
雲に隠れてゆくえがわからないので、私が見たいと 心引かれている月を、あなたは見たいとおっしゃるのですか
* 「を‐や」
[連語]《格助詞「を」+係助詞「や」》疑問を表す。…を…(だろう)か。
・・・・・・・
人目に逢わずに合えるわよ、か?
抱いていても暗くてあなたが見えない、あなたも私が見たいとお望み?!
雲隠れして見えない月をまさか他の誰かさんに逢うのに好都合?
それははないでしょうね・・・。


6 985;雑歌,作者:湯原王

[題詞]湯原王月歌二首

天尓座  月讀<壮>子  幣者将為  今夜乃長者  五百夜継許増

天にます 月読壮士 賄はせむ 今夜の長さ 五百夜継ぎこそ
 
あめにます つくよみをとこ まひはせむ こよひのながさ いほよつぎこそ
・・・・・・・・・
天におられる月読のおのこさま

精一杯お供えをいたしましょう

どうか今夜の長さを五百夜分も

継ぎ足してくださいな 

いつまでも美しい月かげのあなたを見ていたいから
・・・・・・・・・
* 湯原王は志貴皇子の子。秀歌を残している。
次の一首と共に女の立場で詠んで宴席に艶を添える。
* 「月読壮士」は月の神、月読命。



6 986;雑歌,作者:湯原王、題詠,恋情,相聞

[題詞](湯原王月歌二首)

愛也思  不遠里乃  君来跡  大能備尓鴨  月之照有

はしきやし 間近き里の 君来むと おほのびにかも 月の照りたる
 
[はしきやし] まちかきさとの きみこむと おほのびにかも つきのてりたる
・・・・・・・・・・・
ま近い里にいるいとおしいあのお方が

やっと来てくださるというしるしね

遍く照りはえているお月がさま
・・・・・・・・・・・
* 「おほのびに」、原文は「大能備尓」語義未詳ながら「あまねく」意か。
* 「はしきやし」は、形容詞「はし(愛)」の連体形に、間投助詞「や」と強意の副助詞「し」の加わったもの。いとおしい。「きみ」にかかる。単に「ああ」とも。


6 987;雑歌,作者:藤原八束,比喩,奈良,枕詞

[題詞]藤原八束朝臣月歌一首

待難尓  余為月者  妹之著  三笠山尓  隠而有来

待ちかてに 我がする月は 妹が着る 御笠の山に 隠りてありけり 

まちかてに わがするつきは [いもがきる] みかさのやまに こもりてありけり

・・・・・・・・・・
私がこんなに待ちかねていた月は

(あの子が着る“笠”という)御笠の山に隠っていたのだなあ
・・・・・・・・・・



6 988;雑歌,作者:市原王,安貴王、寿歌,父,儒教,永遠

[題詞]市原王宴祷父安貴王歌一首
市原王の宴に父安貴王を祷(ほ)く歌一首

春草者  後<波>落易  巌成  常磐尓座  貴吾君

春草は 後はうつろふ 巌なす 常盤にいませ 貴き我が君 

はるくさは のちはうつろふ いはほなす ときはにいませ たふときあがきみ
・・・・・・・・・
春に萌え出る若草は美しいけれども

後になれば枯れてしまいます

大岩に根差した常盤のように

おかわりなきようおいでください

尊い我が父君よ
・・・・・・・・・・
市原王 いちはらのおおきみ 生没年未詳 

天智天皇五世の孫。安貴王の子。志貴皇子または川島皇子の曾孫。春日王の孫。光仁天皇の皇女、能登内親王(733〜781)を妻とし、五百井女王・五百枝王の二人の子をもうけた。大伴家持とは私的な宴で二度にわたり同席しており、親しい友人だったと推測される。

天平宝字七年(763)年正月、摂津大夫。同年四月、恵美押勝暗殺未遂事件で解任された佐伯今毛人の後任として造東大寺長官に再任される。同年五月、御執経所長官。
以後は史料に見えず、翌天平宝字八年正月には吉備真備が造東大寺司長官となっていることから、これ以前に引退または死去したかと推測される。

しかし年齢はおそらく四十代だったことを考えれば、何らかの科により官界から追放されたのではないかとも疑われる。恵美押勝の乱に連座したかとも考えられる。

万葉集に八首の歌を残す。佳作が多く、万葉後期の代表的歌人の一人に数えられる。

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