なぜ、10代の性行動はこのように急激に変化したのであろうか? 日本では、1980年代なかばからテレクラやヘルス、ポルノビデオ、ポルノコミックなどの性風俗産業が急増し、急速に「性の商品化」がすすめられた。それと相俟って、「性の自己決定権」や「コンド-ムなど安全な性行為」を教えることを主眼とした性教育が推進された(safe sex message)。
未熟な性的体験(premature sexual activity)が非常に危険な行動であり、アルコールやドラッグ依存に結びつきやすいということは、今や世界的コンセンサスとなっている8。
また、アメリカ人の評論家カーリイ トーマス氏が「コンドームは安全、などというメッセージは本当の脅威を覆い隠す偽薬にすぎない」と言っているように、9これまでの「安全な性行為」を教える性教育(safe sex approach)のあり方が、本当に有効であったのかということも厳しく問われている。
U.S. Department of Health and Human Servicesでは、欲望をコントロールする」性教育プログラム(Abstinence-based education--、A.E)に対して、1998年から2002年までに、年に5000万ドルを52の州に与えようというプロジェクトを、現在進行中である10。
また、1997年のUSA Todayによる28000人の世論調査の結果でも56%の成人がA.Eを支持し、「安全な性交の推進safe sex message」が最も良い性教育であると考える人は31%に過ぎなかったという12日本の性感染症の蔓延はすでに危険レベルに達している。無責任なメデイア、性風俗産業の市民社会への侵食、極端な「性の自己決定論」に基づく誤った性教育が、どれほど若者の心と身体を蝕んでいるか、今、真剣に議論されなければならない。
8 Kay LE :Adolescent sexual intercourse. Strategies for promoting abstinence in teens Postgrad Med, 1995 Jun, 97:6, 121-7, 132-4)(Orr DP; Beiter M; Ingersoll G: Premature sexual activity as an indicator of psychosocial risk. Pediatrics, 1991 Feb, 87:2, 141-7 [Back]
9 Cal Thomas, "Free Love Is a Free Ride to Destruction," Los Angeles Times, 11 November 1991, B11 [Back]
10 A National Strategy to Prevent Teen Pregnancy ANNUAL REPORT 1998-99 [Back]
11 the London Times Thursday Dec. 16, 1999 [Back]
12 National Coalition for Abstinence Education P.O. Box 536 / Colorado Springs, CO 80901-0536、(719) 531-3492 [Back]