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黒澤明・スピルバーグ他研究会コミュの「七人の侍」を、7回観ました。(黒澤明)

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黒澤明監督の「七人の侍」を観ました。
9月に作品紹介をしようと思っていたのですが、内容が凄く分厚くて優れているので、結局7回観ないと全体を把握できずに、納得がいかなくて、結局10月まで、引っ張ってしまいました。
物語は、こうです。
野武士の襲撃を恐れる村の百姓が、町に下りて、米を腹一杯食べさせるという条件で、野武士退治を頼める侍を探します。
志村喬さんが演じる勘兵衛という侍が、それを引き受け、勘兵衛の魅力で、色んなタイプの侍を七人集めます。
勘兵衛達は村の百姓達を訓練し、百姓達は竹槍を持ち、七人の侍と百姓が一丸となって野武士達をついに退治し、村には平和が訪れるという、単純に語るとこういう話です。
何だそんな話かと言わずに見て欲しいです。とにかく凄い作品です。
作品批評するのに、七回も観ないといけないというのは、初めての経験で、それだけ脚本に、全く死に筋が無く、隙が全く無いのです。これでもかと、みっしり実が詰まっているのです。
しかも三時間半という長い上映時間もあっと言う間に終わります。見終わると狐につままれた様に呆けてしまい。一体、今の何だったんだろうと、また見たくなるんですよね。
全部語ると、とてつもなく長くなるので、この作品の三人の天才脚本家の、凄い脚本だと感心したところから、5つだけ語ることにします。

1.まず、僕は脚本も書くのですが、これはとても真似できないと感じた一番すごいシーンは、侍達がやっと集まり、はるばる歩いて、利吉と与平の案内で村に到着すると、意外や意外、村人達が、侍達を恐れて、全く出迎えに家から出てこないという辺りの話の展開です。
これは藤原釜足さん演じる万造が、侍達が到着する直前に「侍に見つかると、何されるか分からねえだ」と、美人の一人娘の志乃の髪の毛を無理やり切ってしまい男に変装させるという無謀な行動に出たのがきっかけで、その騒動を目にした村の百姓達が、侍達に恐れをなしてしまい、迎えにも出られなくなるのです。
利吉と与平は、間が持たず仕方が無いので、村の長老の所に侍達を連れていきます。
長老は、「百姓はビクビクするしか能が無いのです」と村人達の非礼を詫びます。
そしてその直後、カンカンカンカンカンと野武士の襲来を知らせる番木を叩く音がします。
百姓達は家を飛び出してうろたえ、「お侍様」「お侍様」と助けを求めて叫びます。
勘兵衛達は、うろたえる百姓達を鎮め、「野武士を見たものは前に出ろ」と命じます。誰も出ません。勘兵衛は「では番木を打った者は」と言うと、三船さん演じる、百姓上がりの侍の菊千代が「俺だ」と出てきます。
菊千代は、百姓達に「安心しろ、野武士なんか来やしねぇよ、何だその面は、お前ら俺達が来た時、どんな面で出迎えた!それが俺が、すりこ木、ぶっ叩くと、お侍様〜、お侍様〜と拝んでけつかる」と言い、村人達と侍達との初の面会の機会は、ここに作られるという話の展開です。
村の長老が出てきて「これで良いだ」と言います。
そして千秋実さん演じる平八が、その菊千代の機転に感心し、「これで七人、揃いましたな」と勘兵衛達も笑いながら、やっと菊千代を七人目の侍として認めることになります。
この話の展開すごいです。百姓が一人も迎えに出てこないという状態もなかなか思いつきませんよ。僕なら無難に、村人達が暖かく迎えると書くでしょうね。その上で何らかのエピソードを作ると思うのです。僕の頭では、平凡な展開しか考えられないです。そして、さらに菊千代に、野武士の襲来を知らせる番木を叩かせ、村人と侍の初対面の機会を演出します。この展開すごすぎです。
かつその機転により、やっと勘兵衛達に、七人目の侍の仲間として認められるという、わずか3シーンという短い間に、百姓の臆病さ、異様な初対面、菊千代の仲間入りというエピソードを盛り込んでいるのです。
この様に短い間に沢山のことを詰め込むというシーンの連続が「七人の侍」という作品なのです。
スピルバーグが、映画を作る前に必ず「七人の侍」を見るのも理解できます。
どこまで、自分がこれから作る作品が「七人の侍」に肉迫できるか、迫れるのか、見ながら考えるのでしょうね。
僕は「七人の侍」は、すごいと拝むことはできても、絶対に、この高いレベルの脚本は書けないと諦めています。もう完全に降参ですね。

2.次は、順番は前後しますが、最初、利吉と与平と万造達が、勘兵衛に野武士退治を頼み、勘兵衛が引き受けるまで、その最後の大事な所は、多々良純さん演じる人足に説明させている所です。これはうまいです。百姓直接より、人足経由が話として面白いです。
勘兵衛は、百姓から直接に頼まれた時には、一旦は断ります。無理も無いです。ただ米の飯が腹一杯食べられるというだけで、野武士40騎と命がけで戦うという話には乗れません。それはそうです。
しかし、多々良人足が、それを見かねて、「百姓達は、あんた達に米食わせて、自分達は稗食ってるんだ、百姓達には、それが精一杯なんだ」と、勘兵衛の心を突き動かします。勘兵衛は、その山盛りの飯を百姓達に向けて、「この米、おろそかに食わんぞ」と、野武士退治の話を引き受けます。
多々良人足には、実は、後にもう一役させています。ケンカの強い侍を見つけたということで、菊千代を、宿に呼んでくるところです。
脇の役の人まで、キッチリ脚本で使いきっているのですよ。これもすごいです。
この後の酔っ払った菊千代と侍達の掛け合いも最高に面白いのですが、ここでは
削除します。是非、作品の方を見て下さい。

3.その次は、利吉の設定が素晴らしいですね。
利吉には、妻が居たのですが、野武士(百姓達の間では、野伏せりと罵ってます)に拉致され、陵辱の毎日を送っているのです。利吉は、村の中で、最初からずっと臆病な百姓の中で、野武士に対して抗戦派でいて、異彩を放っている所は、そのシーンで、やっと納得するのです。
それを、野武士の秘密の砦に火をつけ、侍達と共に戦い、久々に元女房と再会する所まで、なぜ利吉がこうも野武士と戦いたがるのか、ずっと観客の興味を引っ張り続けるのです。これも憎いほど、うまい展開ですね。
また利吉と再会した妻が、とたんに表情を変えて、燃え盛る砦の中に飛び込んで死んでしまいます。いかに、野武士達に、今更、利吉に申し訳が立たないほど、陵辱されてきたか、その表情で説明しています。この黒澤さんの映像演出は見事です。その妻のそれまでの日々を全て語ってますね。こんなサブキャラもしっかり描ききっているところが、凄いです。

4.次は百姓のことを、菊千代が説明しているシーンが絶品ですね。これも素晴らしいです。
菊千代は、藤原釜足さん演じる万造の家から、百姓達が落武者狩りで、突っ殺して(この言葉好きです)得た鎧、弓矢、刀などを、勘兵衛の所に持ってきます。
勘兵衛は、嫌な顔をします。「落武者になり、竹槍に追われたことのあるものしか、この気持ちは分からん」と不快感を、菊千代以外の正統な侍達はあらわにします。剣客の久蔵などは、「俺は、この村の者を切りたくなった」とまで言います。
百姓上がりの三船さん演じる菊千代は、それを聞いて落胆し、「百姓を何だと思ってんだ、仏様だとでも思ってたのか。ふん、百姓ぐらい悪面した生き物は居ねぇんだぜ、米出せ言っちゃあ無え、麦出せって言っちゃあ無え、何でもかんでも無ぇって言うんだ。ところがあるんだ。床下掘ってみろ、無ければ納屋の隅だ。出てくる出てくる、甕に入った米、塩、豆、酒、何だってあるんだ」そして「百姓はなぁ、臆病で間抜けで、人殺しだ」と言うところ、今までの戦国時代の百姓のイメージをくつ返す、新しい情報ですね。そこまで調べ上げ、言い切ってる脚本が素晴らしいです。

5.最後は、いよいよ野武士との戦い方のシーンです。4.の新しい百姓観を見せつけられた後で、戦国時代の実践の戦い方というものを新たに知ることです。
野武士を一騎村に入れると、百姓と侍達でビシッと槍衾を作り、その後に続く騎馬武者の野武士を、村に入れないという戦法です。
村に入った一騎は、百姓達と侍達でなぶり殺しにするという戦法です。
これも、なるほどこんな戦い方をするものなのか、ということを映像を知ったのは新鮮でした。

5点に絞って紹介しましたが、これらの素晴らしい新鮮な情報が、三時間半ビッシリと詰まっているのが、「七人の侍」という作品です。
本当に、一つ一つ紹介しだすと切りが無いですよ。百個はあるでしょうね。
それと字数が意外と余ったので、書きますが、この時代に、白い飯を食うということが、いかに大変だったか、この作品の底に流れています。それも素晴らしいです。
今月は、「七人の侍」を観るのに疲れてしまいましたので、11月に、キューブリックの作品を一作紹介させてもらいますね。
今月は、劇場で「容疑者?の献身」を観て、DVD購入で押井守の「イノセンス」を見ないといけないし、BSの黒澤の作品は見れずに、貯まっているし、ちょっとキューブリックの作品紹介は来月にさせてもらいます。
僕も、三人以外の作品も、沢山見てるんですよ。
じゃあまた。

コメント(4)

ありがとうございます!もう一度じっくり観てみます。
僕もいろいろな映画が大好きですよ^^
Shotaさん、コメントありがとうございます。
とても嬉しいです。リアルホラショーです。
じっくり見てください。
「七人の侍」は本当に凄い作品ですよ。
何回観ても発見がありますよ。
力道さん。長い間、放置すいません。全然気づきませんでした。32回はすごいですね。僕は、10回くらいです。でも、グリーでの、力道さんの邦画のオールタイムベストのご意見から、黒澤さんを語るには、小津さん、成瀬さん、溝口さんを見なければいけない、と思ってます。それらの巨人の方々との比較をしないと、黒澤さんの作品というは、客観的にどうか、というのが見えてこないんだろうな、と思ってます。とりあえずは、小津さんの作品を、友達から何作かもらったので、それから見てみます。あとは、ツタヤに置いてある作品は、全部チェックしようと思ってます。そして、その後に黒澤さんを再び見ることにします。

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