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カナダの歴史と政治コミュのアザラシ製品、EUで禁輸措置

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 欧州議会(定数785議席)は5月5日、フランスのストラスブールで本会議を開き、アザラシの毛皮製品の輸入や取引を域内27か国で禁止する法案を550対49で可決した。今後は、加盟諸国の承認を経て施行される見込み。なおイヌイットなど先住民が非営利で捕獲したアザラシ製品は、規制から除外される。

 (1) カナダの反応
 欧州議会による禁輸措置は、カナダに衝撃を与えた。ストックウェル・デイ貿易大臣は、採決はカナダがガイドラインに従ってアザラシ猟を行っているという事実を無視しており、ノルウェーなどアザラシ猟を行う他国政府と協力し世界貿易機関(WTO)に異議申し立てすると発表した。
 保守党のジェイ・ヒル下院院内総務は、「アザラシ猟は人道的で合法的な経済活動であり、欧州議会でこのたび決定されたアザラシ製品禁輸措置は、誤解に基づく、扇動的な、逆効果の、撤回されるべきものである」と語った。
 ケベック連合のジル・デュセップ党首は「欧州議員たちは、みな藁で編んだ靴を履いているのだろうか。彼らの中には、革靴を履いている人が何人かいるのではないか。それには動物が必要だ」と疑問を呈した。さらに、4月23日にバルセロナのカナダ領事館前でアザラシ猟抗議デモが行われたことについて「闘牛を行っているスペインがアザラシ猟に反対するのは、完全に異常である」と述べ、彼らを偽善者だと非難した。
 カナダ国際人道協会(HSI)のレベッカ・オルドワース代表は「これは、世界の商業アザラシ猟反対運動にとって歴史的な瞬間だ。何十年もの間叫び続けてきた者たちにとっての、真の勝利である」とコメントした。

 (2)  バンクーバー・オリンピックへの介入
 欧州議会におけるアザラシ製品禁輸措置の衝撃覚めやらぬ翌5月6日、カナダの下院はケベック連合が提出した、2010年のバンクーバー・オリンピックにおいて、連邦政府に対しアザラシ製品の宣伝に努めるよう求めるとともに、カナダ・オリンピック委員会に対し選手のユニフォームをアザラシの革で作るよう求める動議を、全会一致で採択した。
 だがカナダ・オリンピック委員会のクリス・ラッジ会長は、2004年のアテネ・オリンピックが野犬問題に、また2008年の北京オリンピックがチベット民族問題に巻き込まれた事実を指摘して、「これは政府が扱う社会的・政治的問題であり、オリンピック・チームの役割ではない。スポーツマンを政治的なスポークスマンに変えようとする、いかなる動きにも抵抗する」と述べ、オリンピックへの政治介入を拒否した。またユニフォームについては、選手とスタッフのためのユニフォーム500着は、国際オリンピック委員会の承認を得てすでに生産に入っており、遅すぎるとコメントした。

 (3)  アザラシ猟禁止法案却下
 これに先立ち5月3日、マック・ハーブ上院議員(自由党)が提出したカナダでの商業アザラシ猟を禁止する法案は、取り下げられた。
 党幹部会で採択された法案には党議拘束がかかるが、ここで採択されない法案も、議員による個人提出の途が残されている。ただしこの場合は、党議拘束はなく自由投票となる。
 ハーブ議員の提出した法案は、自由党を含めいかなる会派の誰一人として支持が得られず、第一読会にも上程されることなく取り下げられた。ケベックは環境への関心が高い地域として知られているが、革新政党であるケベック連合ですら同調しなかったのは、ケベック領内でアザラシ猟が行われているからだろう。なお緑の党は、2008年総選挙で議席を失っている。

 (4) カナダの商業アザラシ猟
 カナダのアザラシ猟には350年の歴史があり、和歌山県太地町で捕鯨が始まったのが1606年だから、それに匹敵する歴史がある。当初は脂の採取が目的で、脂需要の低下とともに衰退したが、第二次大戦後に毛皮需要が高まり、再び繁栄の時代を迎えると、1970年代に最初の反対運動が起こった。当時は「ホワイトコート」と呼ばれる生後間もないタテゴトアザラシの純白の毛皮が珍重されていたが、愛くるしいアザラシの赤子が撲殺されるシーンがメディアで報じられると、EC が1983年ホワイトコートの輸入を禁止し、カナダのアザラシ猟はほとんど壊滅した。これを機にカナダ政府はアザラシ猟の見直しに着手し、1986年親離れしていないアザラシの捕獲禁止などを盛り込んだガイドラインを設定した。
 アザラシ猟は現在、世界で年間約90万頭を捕獲しているが、カナダは主にセントローレンス湾の、ニューファンドランド&ラブラドル州やケベック州マドレーヌ(英名:マグダレン)諸島などで約30万頭を捕獲し、世界最大規模の猟を行っている。カナダ東部の漁民約6000人にとって、年収の35%を占める冬のアザラシ猟は貴重な収入源となっており、2006年にはカナダからEUへ毛皮・肉・脂・オメガ3サプリメントなどを輸出し550万カナダドルの収益を上げた。
 アザラシ猟に従事しているのは、先住民を別にすればほとんどが東部の漁民で、流氷・極寒・強風と戦いながら小さな漁船で航行し、ハカピックという棍棒を用い人力で行う。どの保険会社も、アザラシ猟での事故について補償していない。2008年には、アザラシ猟師の船が流氷に衝突して4名が死亡する事故が起こり、CTVの選ぶ十大ニュースの8位にノミネートされている。

 (5) 狩猟と文化
 イヌイット協会のメアリ・サイモン代表は、オリンピック委員会がイヌイットの石の道標「イヌクシュク」をオリンピックのロゴに採用したことを指摘し、「アザラシ猟も我々の文化だ」と語った。アザラシの肉は脂肪を多く含み、アザラシの体内に海鳥を入れて発酵させる伝統料理「キビヤック」は、貴重なタンパク源・ビタミン源となっている。イヌイットにとってアザラシの肉を食しその皮を剥ぐことは、文化の根幹をなしている。これを「残酷」と言うのは、彼らの文化の否定そのものではないだろうか。
 自国領内で行い、赤子が対象で、零細業者が人力によって行うという相違点はあるものの、アザラシ猟問題は捕鯨問題に似ている。アメリカ・カナダは捕鯨に反対しているが、イヌイットには「先住民捕鯨」として特例的に認めている。いっぽう日本は「科学に基づく鯨資源管理が重要であり、操業者が原住民であるか否かは問題ではない」という立場から、先住民捕鯨に反対している。ここに反捕鯨国が先住民捕鯨を推進し、捕鯨国がこれに反対するという奇妙なねじれが生じている。近年では反捕鯨団体が、捕鯨するイヌイットの村に押しかけデモを行い、新手の人種差別の様相を呈している。北米では先住民優遇政策に対し、反感を抱く人も少なくない。「鯨の保護と先住民の保護のどちらが大切なのか」という声も挙がっている。

 日本人の中には「捕鯨は日本の文化だ」と称し、捕鯨の崩壊はすなわち日本文化の崩壊だとさえ主張する人もいる。だが捕鯨は伝統的に和歌山県太地町や高知県室戸市など一部の漁村で行われてきたもので、交通の発達していなかった江戸期以前は、内陸部の日本人は海産物をあまり食べず、山菜などを食べてきたはずだ。日本で鯨食が盛んになるのは、実は戦後のことである。空襲で陸上輸送ルートが破壊され、農産物を都市に送ることが困難になったが、海のルートは健在だった。そこでマッカーサーは、極度の食糧難の時代に捕鯨船の南氷洋出漁を認め、給食などを通して多くの国民が鯨食を経験することになったというのが事実である。
 鯨食は多くの日本人にとっては文化ではなく、実はグルメの趣味に過ぎない。日本人の文化とは肉を食べないことだったのであり、肉を食し皮を剥ぐ人々を蔑視してきたのが我々の文化だったのである。
 今日、捕鯨反対運動がもっぱら欧米環境団体によって行われているところから、これを文化摩擦あるいは白人による有色人種への文化差別と捉える人も多い。しかし、白人が有色人種を差別してきたように我々日本人も国民の一部を差別し、欧米がアジア・アフリカを蹂躙したように日本もアジアを蹂躙した、それが我々の文化であり歴史だったという事実も、語られるべきであろう。


図:(同性愛に)寛容で…(マリファナを)放任し…(ミサイル防衛システムを拒否して)平和を愛する…カナダ。

コメント(20)

某サイトのコピペです。

彼らは初め日本の捕鯨を攻撃したが、私は日本人でなかったので声を上げなかった。
彼らは次に韓国の犬喰いを攻撃したが、私は韓国人ではなかったので声を上げなかった。
彼らは次にオーストラリアのカンガルー間引きを攻撃したが、私はオーストラリア人ではなかったので声を上げなかった。
そして彼らがカナダのアザラシ猟を攻撃し始めたとき、我々カナダ人のために声を上げてくれる人はもう誰もいなかった。
アザラシ猟師が2009年2月、規定されていない武器を猟に用いた罪で2000ドルの罰金刑を宣告された。
ニューファンドランド&ラブラドル州アンカーポイントのアシュリー・ グールド(27歳)は、2007年4月にアザラシ猟に出た際、鉤棹や鉤の付いたシャベルでアザラシを殴り、生きているうちにボートに積むのを抗議団体に撮影されていた。
 全米動物愛護協会(HSUS)とイギリスの「レスペクト・アニマルズ」は、ポール・マッカートニー夫妻によるアザラシ猟反対キャンペーンを企画した。
 2006年3月2日、ケベック州マドレーヌ諸島を訪れたマッカートニー夫妻は、流氷上でホワイトコートを抱き「アザラシ猟はカナダ人の偉大さにとって汚点となるものだ」と述べた。なお狩猟許可書を持った者以外は、法律でアザラシに800メートル以内に近づくことを禁じられているが、監視員はこれ以上事態を大きくするのを避け、告訴を断念した。
 続いてCNNのトーク番組でマッカートニー氏は「大成功しているホエール・ウォッチングのようなエコ観光に切り替えれば、地元住民の生活も安定するだろう」と主張した。この番組でマッカートニー夫妻と討論したニューファンドランド&ラブラドル州のダニー・ウィリアムズ首相は、「夫妻はアザラシ猟の実態を知らず、キャンペーンは反対運動のプロパガンダだ」と反発した。またカナダ漁業海洋省はマッカートニー夫妻が現地入りする前日、ホームページで「アザラシ猟の神話と現実」というコンテンツを掲載して、反対論者の主張に反論した。
 80年代の世界的なアザラシ猟反対運動の中で、マドレーヌ諸島の人々は「世界で最も残酷な人々」というありがたくない異名をとった。


写真:ポール・マッカートニー(右)とヘザー・ミルズ(左)夫妻。
 カナダ国際人道協会(HSI)は4月21日、カナダで初めてアザラシ猟禁止法案を提出したマック・ハーブ上院議員とともに記者会見し、2009年の商業アザラシ猟の新たな映像を公開した。
 レベッカ・オルドワース代表は「われわれが今年撮影した残虐な場面は、アザラシを殺すことがこれまで常にそうであったように残酷で非人道的であることを証明している。我々はアザラシが氷のない海面で繰り返し撃たれ、苦痛に反応しているように切り裂かれ、傷ついたままで氷上に放置され、傷を受けたアザラシが水面下に逃れて緩やかな痛ましい死に耐えているところを撮影した。カナダ政府はアザラシ猟許可を買い戻してこの残酷さを終わらせるべき時期に来ている」と語った。
 獣医学専門家は、実施される環境条件とすばやく殺さなければならないことから、カナダの商業アザラシ猟は本質的に残酷なものだとの結論を繰り返し表明している。
 ハーブ上院議員は「最善の努力はしているが、カナダ政府はこれほど危険な状況で、これほど短時間に実行しなければならない商業活動を規制できないだけなのだ。この商業猟がダービー・スタイルであることは、これが決して人道的にはならないことを意味しており、猟のコストの経済的現実性、高級なアザラシ毛皮の市場がないことを考えれば、収益を上げられることも決してないだろう。私自身の目で危険な状況と猟の衝撃的な残酷さを目撃した。カナダ人の多くは商業アザラシ猟をやめることを望んでいる」と述べた。
 アザラシ猟に対する圧倒的な反対のため、世界の多くの国はアザラシ製品の取引を停止した。カナダでの毛皮価格は需要がないため、今年は15カナダドルと、2006年に比べ86%も下落した。政府が補助金を出しているにもかかわらず、アザラシ猟はニューファンドランド&ラブラドル州のGDPの0.5%以下に過ぎない。
 スペイン・バルセロナのカナダ領事館前で4月23日、動物保護団体「アニマ・ナトゥラリス」がアザラシ猟に抗議するデモを行った。カナダでは例年4月上旬からアザラシ猟が開始されている。今年最後の解禁期間であるこの時期の捕獲制限は18万8600頭で、今年全体の総捕獲頭数は33万8000頭となる見込み。
2008年3月29日、アザラシ猟師の漁船が転覆して4人が死亡した事件に関するCBC掲示板のコメント:
http://www.cbc.ca/canada/story/2008/03/29/capsized.html

Storrmygurl 2008/03/29 at 12:48 PM ET
私はアザラシ猟には全面的に反対だが、この収入を得るために命を落とした人は気の毒だと思う。
アザラシ猟は、保険会社がカバーしない危険なビジネスである。これらの猟師が生命を賭してまで猟に出る理由は、私の想像を越えている。
アザラシの毛皮市場は、供給過剰になっている。彼らは、毛皮がほとんど価値がないということを知っている。
私は、カナダ政府の助成金がこの恐ろしい猟を持続させていると思う。
私の心は、猟師たちの遺族とそのコミュニティの人々とともにある。しかし彼らは、自らを危険にさらした。何と残念なことだろう。

Joe_Canadian 2008/03/29 at 1:51 PM ET
命が失われた以上、政治は二の次だ。
私への支持の言葉と、アザラシ猟を人命の前に置く人々への非難の言葉を見て、うれしく思う。
ここにはまだ何人か、常識のある人々がいる。

bluenoser_85 2008/03/29 at 3:54 PM ET
とても悲しいニュースだ。
私の思いと祈りは、亡くなった猟師たちの遺族とともにある。
同朋カナダ人が、テーブルに食物を置いて家族を養うために命を落したこと、そしてここにいる何人かが口を閉じているだけの礼儀さえわきまえていないということが、とても悲しい。
あなたたちはアザラシ猟が好きではない、結構だ。
彼らの生活手段を奪おうとするクレーマーたちとともに、プラカードを持って国会議事堂に行けばいいだろう。
その代わり、少しの尊厳と哀悼の言葉をここで示さないか?
私は、これらの人々が同じカナダ人であることが恥ずかしい。

RustyShackleford 2008/03/29 at 8:05 PM ET
人生は短く、一瞬で終わりうる。
「神は実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が滅びることなく、永遠の命を得るためである。」
私の祈りは、マドレーヌ諸島の遺族たちとともにある。

AndrewR 2008/03/30 at 5:20 AM ET
神の名を何度も引用する行為は、亡くなった人々への侮辱だと感じる。
あなたが出航するすべての船のために祈るなら、なぜ神はこのクルーを死なせる道を選んだのか?
神がそうしないのは、どの船が沈みどの船が沈まないかについて、神は関知していないことを示している。
いずれにせよ、なぜ神に祈るのか?
神は関係ない。

Tishsab 2008/03/30 at 6:58 PM ET
Zero、私は君に完全に同意する。
アザラシは、血管の中を血が流れ、体中に神経が通り、頭の中に脳を持つ生きた存在である。
彼らが殴られ、皮を剥がれるとき、人間が感じるように感じるだろう。
君の投稿が、昨夜私が書いたものと同様削除されたとしても、驚くに値しない。
CBCは明らかに、虐殺を支持するコメントのみを許可している。
してはならなかった何かをするためにどこかにいた結果として溺死した4人を記念するウェブサイトを用いて、彼らは我々の税金で補助されたこの放送局を混乱させたようである。
しかしだ、もしあなたに教育がないなら、生計を立てる他の方法があるということを知らないだろう。
ひどい話だ!

Walkafish 2008/03/30 at 9:20 PM ET
生計を立てるために亡くなった人たちの遺族に哀悼の意を表したい。
生計を立てるのは容易なことではない。
私は、アザラシ猟に賛成しない。
私は、この惑星で多くのことに賛成しない。
それは、人類が荒廃を引き起こすことである。
なぜ中国人は、オリンピックに備えるため何千もの猫や犬を殺すのか?
フィンランド人はニューフィーズと同様、死ぬまでアザラシの赤子を殴る。
これらは、どんな種類の人たちなのか?
私は、動物を殺す人の近くには住みたくない。
伝統?
300年前に何千ものアザラシが殺されたということに、私は疑いを抱いている。
なぜ、日本人は何千ものクジラを殺すのだろうか?
一人が悪いなら、他の人々も悪い。
これらのアザラシ屠殺者は、なぜ学校に行ってコンピュータ技師にならないのか。
インドの貧しい人がそうだというならわかるが、なぜニューファンドランド人がそうできないというのだろうか。
我々は、東海岸の漁業なしに存在することができる。
お店の魚のほとんどは中国、タイ、フィリピンなどから来る。
アザラシに鱈を食べさせればいい、何か問題でも?
ほかの海に行けば魚がたくさんいる。
貧しい人々が死ななければならないとは、なんともひどい話だ。
オタワは、東海岸の人々の職業訓練を支援すべきだ。
 5月26日付トロント・スター紙は、北極圏を訪問中のミカエル・ジャン総督がアザラシの生の心臓を食べたと、一面で報じた。
 ランクリン・インレットで25日、ヌナブート準州創立10周年記念祭に参加したジャン総督は、血のしたたるアザラシの心臓を手で掴み、イヌイット伝統のナイフ「ウルー」でスライスした後、手づかみで生のまま食べた。
 総督は、血だらけの指をティッシュで拭きながら「本当においしかった。寿司みたいでしたが、タンパク質を豊富に含んでいます」とコメントした。さらに、イヌイットの伝統的狩猟を残酷だと言う意見について「これは古くからの生活様式の一部です。もしこれを理解できないというなら、その人はこの地の生活の現実を見逃しているのです。」と語った。
 イヌイットたちは、環境保護主義者から非難されている鉤のついたハカピックは使わず、銃か銛を使っていることや、なぜ自分たちの営みが牧畜より残酷だと言われるのか理解できないと説明した。
 総督はまた、ノルウェーがサミ族のためにトロムソ大学を設立した例を挙げ、イヌイットの経済がより豊かになるよう、連邦政府は北部にも大学を設立すべきだと、異例の政治的発言を行った。ヌナブートにおける高校卒業率はわずか25%で、カナダ諸州の最低である。
 2005年9月に就任したジャン総督の任期は、残り1年に近づいている。彼女は、もう一度この地を訪問したいが、総督としてかどうかは定かではないと語った。


写真:ウルーを持つミカエル・ジャン総督(オレンジのマフラーを巻いた黒人女性)。
 ミカエル・ジャン総督がアザラシの心臓を生で食べたニュースは、内外に大きな波紋を呼んだ。
 カナダ国際人道協会(HSI)のレベッカ・オルドワース代表は、「総督のパフォーマンスは、イヌイットが生活のために行う狩猟と、非先住民が毛皮産業として行うアザラシ虐殺を混同する欺瞞である」と語った。
 PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)のブルース・フリードリヒは、「カナダ総督の病的PRは、絶滅しつつある産業を保護しようという予想通りの企てである」と語った。
 国際動物愛護基金(IFAW)のバーバラ・スリーは、「カナダ総督が公共の場でアザラシを食べたことは、ヨーロッパの市民と政治家の考えを変えることはないだろう」と述べた。
 ニューヨークのブロガー「ゴーカー」は、ジャン総督(Governor General)をセーラ・ペイリン知事(Governor)と比較し、皮肉なエントリーを書いた。
「ペイリン知事はヘリコプターから狼を撃つことや、オフィスを動物の死体で飾るのを好んだが、ジャン総督は明らかにもっと馬鹿で、アザラシを殺し、何百人もの前でその心臓を食べるのを好む。『最も愚かなGovernorは誰か』という賭けがあったら、カナダは楽勝だろう。」
 ピーター・マッケイ国防大臣は、ジャン総督を「カナダの新しいブレイブハート」と賞賛した。

 ジャン総督は、数々の批判に対し反論を行った。
「彼らと距離を置き、参加を拒むことは私にとって不自然であり、彼らにとっては侮辱となろう。」
 総督はまた、自分のふるまいには政治的意図はないと強調した。
「私は、この立場にいる者がどうふるまうべきかを、正確に把握している。しかしアザラシ猟は、我が国の何千もの人々の生活様式の一部である。それは彼らの経済の一部である。それはよく管理されている。それは彼らにとって不可欠である。それは持続可能な方法で行われる。そして私はその問題に無関心ではない。私はそれを尊重する。人々は、現実の多様性を受け入れなければならない。」
 総督はさらに、現代社会において人々は分業化され、食物がどこから来たかを忘れがちだと指摘した。
「私は牛肉を食べるとき、かつて生きていた牛を食べていることを理解している。菜食主義者には、彼らの人生において選択肢がある。私は、その選択をしなかった。私はラムを食べるとき、子羊を食べているということを理解している。それもまた、またかわいい動物である。」
 北極圏の高校のブライアン・マニング校長は送別会で、総督にこう述べた。
「あなたが残した大きな遺産に感謝する。あなたは、南の人々を教育するため多大な貢献をした。あなたは、本物の教育者だ。」
 僻地のスーパーでは、南から輸送される食品はわずかしかない。凍った鶏肉が1羽21ドル、ミルク2リットルが8ドル90セントと高価で、新鮮な肉を食べようと思うイヌイットは、アザラシを狩る。
 ミカエル・ジャン総督がアザラシの心臓を生で食べたことは、大きな反響を呼んでいる。エイドリアン・クラークソン前総督は5月31日、ジャン総督のパフォーマンスについてコメントを求められると、
「私は、可愛いらしいアザラシのコートを持っているわ。1971年から、生の食べ物も食べています。私にとっては、何も新しいことじゃないわ」
とそっけなく語った。

 また、ジャン総督がロッキー山脈とコースタル山脈を混同した発言について、今後総督に推挙される人は、マッケンジー川の位置や、徴兵危機や、マニトバ学校問題や、カナダの芸術家の名を挙げる口頭試問を実施すべきだと述べた。両者とも元CBCジャーナリストだが、クラークソン前総督がカナダをくまなく巡ったのに対し、ジャン総督はほとんどケベックだけで活動していた。
 ジャン総督は、クラークソン発言についてこうコメントした。
「人は、その人自身の経験から始めます。私がこの国に持ってきたものは…私自身の物語でした。私たちは、どんな人でもそうすることができる国に暮らしています。それゆえ私たちは、自分の属性に基づいて生きることが大切なのです。属性は、マッケンジー川がどこにあるかを言える能力より、はるかに大切なものです。」
 グローブ&メイル紙のコラムニストであるマーガレット・ウェントは、ジャン総督が今回のパフォーマンスで熱狂的に支持されているのを、クラークソン前総督は嫉妬しているのだろうと指摘した。
 閣僚とともに北極圏を視察に訪れているハーパー首相は、8月18日ヌナブート準州の首都イカルイトで演説した。
「我々はカナダの主権と安全を、北方戦略によって護っている。我々は来たるべき世代のために、脆弱で特有の北極環境を保護している。」
 また首相は、5000万ドルの予算を割り当てられ、イカルイトに本部を置く「キャンノア」が、北方開発を南の人々が決めることを終わらせると語った。
 首相は閣僚たちとともに、生と茹でたアザラシ肉の昼食を摂った。官邸スタッフは、首相がアザラシを食べるのは初めてだと語った。
「アザラシ産業は、率直に言って、他の動物産業よりはよい。アザラシ産業だけが特別に槍玉に挙げられる理由はない。」
 また、アザラシ革のベストを着たヌナブートのエバ・アーリアク首相は「これは、我々の文化である。アザラシの皮と肉は、我々の生活の一部である」と語った。

 だが首相らの強いメッセージは、些細なスペルミスと衝撃的な写真によって半減させられた。多くのメディアがしたように、首相官邸もまた首都イカルイト(Iqaluit)を“Iqualuit”と綴ってしまった。イカルイトはイヌクティトット語で「多くの魚」を意味するが、“Iqualuit”は「浮浪者とともにいる人々」を意味する。トロント・スター紙は“U can make a difference”と報じた。

 数奇なことに首相訪問の直前、イカルイトの路上で寝ている2人の少年の写真が新聞で報道され、大きな衝撃を与えた。撮影された日のイカルイトは白夜で、夜間の気温は16度から19度の間だった。ヌナブートは家庭内暴力が最も高い地域で、報告されたものだけで全国平均の6.5倍にも当たる。
 これについてハーパー首相は「これらの問題への対策として最も重要なものは、明らかに経済だと考えている」と述べた。そしてタイプミスについては、「すでに修正済みだが、願わくはこの残念な誤植が、イカルイトの正しい綴りを多くの国民に伝えることになるといいのだが」と、首相報道官がコメントした。


写真左:アザラシ肉を食べる閣僚たち。左から2番目は、イヌイット初の閣僚レオナ・アグラッカク厚生大臣。
写真右:イカルイトの食品雑貨店前で寝る少年たち。
テキサス親父「カナダ沿岸警備隊vsシー・シェパード」



 ゲイル・シェー水産・海洋大臣が1月25日、オンタリオ州バーリントンのカナダ・センターで演説中、PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)のメンバーから顔面に豆腐パイをぶつけられた。
 パイをぶつけたのは、ニューヨークのエミリー・マッコイ容疑者(37)で、彼女はPETAのメンバーだが、今回の犯行は組織の計画ではないという。彼女は犯行直後「恥を知れ、ゲイル・シェー。血塗られたアザラシ猟を禁止せよ。それはカナダの恥、血塗られたアザラシ猟を非難しないのは彼女の恥である」と演説し、警官に取り押さえられた。
 この事件について、PETA副代表トレイシー・レイマンは「シェー氏の顔についた豆腐パイは、彼女の両手に流された血とは比べものにならない」とコメントした。
 シェー大臣には怪我はなく、顔を拭いた後演説を続けた。
「これは、アザラシ猟とカナダの猟師たちを支援するという私の意志を強固にした。アザラシ猟の現実を見ようともせず、この種の行動に向かう人々がいるのは残念なことだ。」

 政治家へのパイ攻撃を試みる者がしばしば現れるが、その多くは禁固を含む刑事罰を科せられている。2000年にプリンス・エドワード島でジャン・クレチエン首相にパイをぶつけた犯人は、禁固刑を宣告された。2003年にアルバータ州のラルフ・クライン首相の顔面にパイをぶつけた犯人は、禁固30日の刑を宣告された。2007年にアルバータ州のエド・ステルマック首相にパイをぶつけそこね、警備員にぶつけた犯人は、禁固30日の刑を宣告された。
 ニューファンドランド&ラブラドル州選出のジェリー・バイアン議員(自由党)は1月26日、アメリカの動物愛護団体PETAを、カナダの「反テロリズム法」に基づき調査すべきだと主張した。
 バイアン議員はVOCMラジオのインタビューで、こう述べた。
「政治的宣伝のため、カナダ市民への犯罪行為を指示あるいは教唆した者は、テロ組織の一員かどうかの審査を受けるべきだ。私はカナダ政府に、法律に基づきこのPETAという組織がテロ組織であるかどうか調査するよう要請している。」
 カナダには「反テロリズム法」があるが、それが言論の自由のあるアメリカにおいて効力を持つかどうかは、定かではない。ジョージ・W・ブッシュ大統領は2006年、「動物団体テロリズム法」に署名し、動物愛護運動の取締りを強化した。しかしPETAはこの法律を、テロへの恐怖感を利用して平和的な動物愛護運動を阻止する試みだとして強く批判していた。
 PETAのイングリッド・ニューカーク代表は26日、バイアン議員の言動を批判した。
「それは、動物を愛護する心を持ち、爆弾と豆腐パイを区別できる知性を持った人々に感銘を与えるものではない。」

 シェー水産海洋大臣にパイをぶつけたPETAのエミリー・マッコイ容疑者は、暴行容疑で起訴され、26日に保釈された。
15の訂正:

Gerry Byrne議員の読みは「ジェリー・バーン」でした。お詫びして訂正します。
なおAFPBB Newsで「ゲリー・バーン」と報じられているのは、誤りです。
 ニューファンドランド&ラブラドル州セントジョンズで1月29日、アザラシ猟への抗議デモを行っていたPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)のメンバーが、顔面にパイをぶつけられた。
 PETAのエミリー・ラベンダーさん(21)はこの日、ハーパー首相が演説するホテルの前で、アザラシの着ぐるみを着て「ハーパー、あざらし虐殺をやめろ」というプラカードを持ち、抗議デモを行っていた。すると、“SALTY DOG”と書かれた犬の着ぐるみを着た人物が近寄って来て、彼女の着ぐるみの頭部を脱がせ、その顔面にクリームパイをぶつけた。この人物はすぐに立ち去ったため、身元や背後関係については判明していない。
 ラベンダーさんは、自分の行動ゆえにパイ攻撃を受けたことがうれしいと語った。だがその場に居合わせたウォレス・ライアン氏は、ラベンダーさんに帰れと言い放った。「PETAは長年の間、ニューファンドランド&ラブラドルに暴力と憎悪を向けてきた」と語るライアン氏のTシャツには、「アザラシが醜かったら誰も危害を加えないよ」と書かれていた。


写真左:アザラシの着ぐるみを着たPETA活動家に、パイを持って近寄る犬の着ぐるみを着た人物。反対側にいる男性が持っているのはカメラだろうか。
写真右:パイ攻撃を受けたエミリー・ラベンダーさん。
 PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)メンバーの女性が3月24日、東京のカナダ大使館前で下着姿で、アザラシ猟への抗議デモを行った。
 デモを行ったのは、カナダ人のアシュリー・フローノさん(23)。彼女が身につけていたのはパンティとブラジャーとサンダルだけで、ほぼ裸に近い状態に赤と白の塗料でカナダ国旗のボディペイントを施した姿は、さながら「カナディアンマン」そのもの。この日はあいにくの雨で、フローノさんは傘をさし寒さをこらえながら「血塗られたアザラシ虐殺をやめろ」と訴えた。
 カナダ大使館では3月24日と25日に、「カナダ留学フェア2010春」を開催している。フローノさんは「留学を希望する学生たちの多くは、このような残虐行為を推奨するような国には行きたくないと思うことでしょう」と語った。
捨てアカウントで捨て台詞残されても困るのですが。

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