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Star Fish(ヒトデ愛好会)コミュの彼女の心、彼氏知らず。

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こんな、恋もまぶしくて、いいかもね。
風子かわいいな〜〜、

ちょっぴり恥ずかしがりやの、ヒトデ大好きな、
女の子の心境が、よく伝わります!!



☆★☆ 彼女の心、彼氏知らず ☆★☆


「なぁ、風子。俺とヒトデ、どっちのほうが好きなんだ?」

彼氏待ちだというのに毎日毎日ヒトデの彫刻を彫って、
挙げ句の果てにはヒトデを見てトリップ。
そんなことされちゃあ、誰だって気になるだろう。
 
目の前で一生懸命彫刻を彫っている少女。
名を「伊吹風子」。
俺と風子は、ひょんな事から付き合い始めた。
それ以来毎日顔を合わせるし、一緒に下校もする。
最近では毎日ではないにしろ、お弁当まで作ってきてくれる。
最初のころは、まぁ、アレだったが...
そんなこんなで、見た目もやっていることも、共にいわゆる恋人らしいものだ。
 
しかし返事は、

「もちろんヒトデに決まってます」

これだ。
付き合い始めてから半年も経つというのに、未だに
『ヒトデ>俺』
の不等式が変わることはない。
 
「なぁ、俺たち付き合ってるんだよなぁ」
「はい。甚だ不本意ですが、そういうことになっています」
「告白してきたの、お前からじゃん」
「それとこれとは話が別です」
「あっそ」

放課後、空き教室でヒトデを彫り続ける風子とのやり取り。
 
「そういや、公子さんの結婚式が終わったってのに、なんでヒトデ彫り続けてるんだ?」

風子の彫刻刀を持つ手が止まる。

「知りたいですか?」
「そりゃあ、彼女と過ごせる大事な時間がヒトデなんぞに奪われてるわけだからな」
「ヒトデなんぞとは何ですか、最悪ですっ。
 そんな人には、死ぬまで黒ずくめの人達に追われるような国家機密を教えるわけにはいきませんっ」
「いや、そんなの知りたくないし」
「そうですか。この『わかる!ヒトデ!』の綴じ袋に書かれているレア情報を知りたくないんですか。残念です」

そう言って、風子はどこからともなく本を取り出す。
つられて見てしまったその表紙には、無数のヒトデの写真が写っていた。
見てはいけないようなものな気がして、風子に目線を戻した。
つーか、こんなもの凝視できない。

「そんなものが国家機密かよ」

本についてはあえて触れないことにする。

「他国に漏れたら大変です」
「ヒトデの国家機密ってどんな情報だよ・・・」
「日本全国ヒトデマップです」
「規模小さっ、つーか自分で言ってんじゃん」
「はっ!見事な誘導尋問ですっ!」

一人であたふたし始める風子。

「今の自爆だからな」
「これで岡崎さんは黒ずくめの人達に追われる羽目に・・・」
「いや、そんなんで追われたらシャレにならないからな」
「そして、岡崎さんは黒ずくめの人達にヒトデ王国に連れて行かれるんです。ヒトデ王国、素敵すぎます〜〜〜・・・」

かくして風子は異次元へ旅立ってしまった。
答えのない質問だけを残して。
それもこれも、みんないつもと変わらない日常だった。

 
そんなやり取りがあってから数日後の昼休み。

「ごちそう様です」
「ごっそさん。今日も今日とて、うまかった。」
「ありがとうございます。」

そういって弁当箱を片付け始める。

「ではまた放課後に」
「あぁ」
「サラバ」
「キャラ違うからな」

いつものように風子との昼食を終え、教室へ戻る途中、

「だりぃ」

一瞬でもそう思ったが最後、午後の授業はサボることにした。

「さてと、どこに行くかな」

 >図書室
  資料室
  屋上

図書室はもう閉まってるだろうな。
資料室はこの前行ったら...思い出すだけで恐ろしいのでやめておこう。
残るは屋上だけか。
寒くもないし暑くもない。
屋上なら気持ち良く昼寝できるだろう。
それに風子との待ち合わせ場所でもある空き教室にも近いしな。

ってなわけで脳内会議によって下された決断に沿って行動することにした。

スタスタ
ガチャリ
ゴトン
ぐー
暗転
 

...さん
...ざ.さん
...おかざきさん!

ん、何だ...
体が揺さぶられる。

「岡崎さん、起きてください!」

目を開けるとそこには風子の顔。

「あぁ...風子か、おはよう...」
「おはようじゃないですっ!」

と、急に風子に抱き着かれた。

「痛っ、おい、風子...」

抱き着かれて初めて分かった。
風子の体が震えている。

「お前、泣いてんのか」
「な...泣いてなんか...いないです」

風子が落ち着くまで数分、俺達はそのままでいた。

「どうしたって言うんだ」

まだちょっと目が赤い風子に、そっと問いかける。

「岡崎さんがいつまで経っても空き教室に来ないので探しに来たんです。
 でもなかなか見つかりませんでした。
 もしかしたら岡崎さんが、風子のことを見捨ててしまったんではないかと心配になりました。
 いつもヒトデばかり彫って岡崎さんの相手をしてあげられなかったので、
 風子のことを嫌いになってしまったんではないかと不安になりました。
 でもようやく見つけました。まさか屋上にいるとは思いませんでした。
 なんせ風子は屋上に上がれることを知りませんでしたから。」
「...すまなかったな、風子」
「駄目です、こんなに純な風子は、そんな最悪な岡崎さんのことを許してあげません」
「そうか、じゃぁこれでも駄目か...?」

んっ...
優しく風子にキスしてやる。
しょっぱい、涙の味がした。
数時の間。

「いきなりキスするなんて最悪ですっ。許可を得てからにして下さいっ」
「おいおい、今のは仕方ないだろう。」
「でも、嬉しいです。」

間...
照れ臭いのでさっさと話題を変えることにする。

「つーか今何時なんだ?」
「サッカー部が道場破りを始める時間です。」

サッカー部はそんなことしない。

「もっと分かりやすく頼む。」
「ヒトデが鳴くからかーえろっ、の時間です。」

ヒトデじゃなくてカラスな。
つまり5時頃に町内放送で鳴る音楽か。

「俺そんなに寝てたんだな。」
「そうです。今度からは空き教室で寝て下さい。そうすれば探す手間が省けます。」
「あそこは教師に見つかりやすいからなあ。」

しばらくの間、屋上でいつものような他愛のない話をしていた。
そこでふと気になった。

「そういや、今日はヒトデ彫らないんだな。」
「今日はこうして居たい気分なんです。」

壁に寄りかかっている俺に身を預けている風子。

「俺よりヒトデのほうが好きだっていってたくせにな。」

ちょっと嫌みっぽく言ってみる。
それがいつもの俺達のやり取りであり、風子もそれを望んでいたと思ったからだ。
でも、その答えは予想に反するものだった。

「岡崎さんは誤解してます。」
「は?」
「風子は、岡崎さんよりもヒトデの方が好きだと言いました。」

何度聞いたかその台詞。
彼氏として泣けてくる。
よよよ...

「あぁ、そう聞いた。」
「でも風子は、その...ヒトデよりも、岡崎さんのことを、あ...愛していますっ。」
「...は?」

開いた口が塞がらないとは、まさにこのことを言うのだろう。
呆れているというよりも寧ろ、風子の口からそんな台詞が出てくるとは思っていなかったから、思考回路が停止していたんだと思う。

「わかりませんか、岡崎さんっ。ライクとラブの違いですっ。」

よほど恥ずかしかったのか、慌てふためく風子の顔は真っ赤だった。
そこでようやく開いた口が塞がった。
あぁ、こいつはいつだって不器用な奴なんだ。
俺と同じで...

「風子...」

そう言って俺は風子を抱き締めてやった。

「いきなり抱き着くなんて最悪ですっ。許可を得てからにして下さいっ。」

そう言う風子の口調は、台詞とは違って優しいものだった。

「そういやそうだったな。悪かった。」
「でも嬉しいですから、寛大な心をもつ風子は許してあげます。」

そしてどちらからともなく、俺達は本日二回目のキスをした。
 

「そういえば風子、まだ岡崎さんの質問に答えていませんでした。」
「ん?なんかあったっけ?」
「自分から質問しておいて忘れるなんて最悪ですっ。」
「あぁ、悪い悪い。で、なんだっけ。」
「風子がなぜ未だにヒトデを彫り続けるか、です」
「そういやそんなことも聞いたっけな。答えたくないって言うなら無理して答えなくてもいいんだが。」
「いえ。誤解されたままでまた同じようなことが起こるといやですから。」
「そっか。んじゃあ聞いておく。」

こほん、と一呼吸。

「ヒントは、☆祭り・2ndです。」
「ちょっと待て、教えてくれるんじゃないのか。」
「少しは自分で考えて下さい。何でもかんでも人に頼るのはよくないです。」
「つーか、2ndってなんだ。1stはどうしたよ。」
「1stはもう既に終わりました。1stはお姉ちゃんの結婚式のことです。」
「は?ってことは、公子さんまた結婚するのか?」
「岡崎さん変な人です。お姉ちゃんはもう結婚してます。」

それは知っている。
俺だってその場に居合わせたんだから。

「じゃあ、祐介さんか?」
「お姉ちゃんの婚約者を忘れたんですかっ。」
「じゃあ誰の結婚式なんだよ」
「も、もちろん、決まって、ます。...と...きさ.です。」

そう言いながら風子はうつむいてしまった。
そのせいで後半がうまく聞き取れない。

「いや、聞こえないからな」
「..こと..ざき..です。」
「ワンモア」
「☆◇★×☆○★△....」

なんとか英語で言おうとしているのだろう。
なんかそれっぽい発音が聞こえる。

「いや、日本語でいいよ」
「あぁ、もう焦れったいですっ。風子と岡崎さんが結婚するので、大勢の人にお祝いしてもらうためにヒトデを彫ってるんですっ。」

...おい。
今なんて言いやがりましたかこのヒトデ娘は。
結婚。
誰が?
風子が。
誰と?
岡崎さんと。
何を?
結婚。
誰が?
...以下略

「おい、風子。」

当の本人、風子はというと、ゆでダコならぬ、ゆでヒトデも真っ青なほど真っ赤な顔をしていた。

「お前、顔真っ赤な。」

めちゃくちゃ恥ずかしかったんだろう。

「お、岡崎さんほどではありません。」

なんせ言われた俺だってめちゃくちゃ恥ずかしいんだから。

「つーか、そんな話早すぎないか?俺達まだ学生だろう。」
「昔の人達はよく言いました。先手必勝と。」
「誰にか勝つつもりだ。」
「決まってます。お姉ちゃん達です。風子が愛してしまった岡崎さんとだからこそ、
 お姉ちゃん達の結婚式に負けないくらい素敵な結婚式にしたいんです。」

真っ赤な顔をした風子の目は少し潤んで見えた。

「そして風子と一緒に、お姉ちゃんと祐介さんに負けないくらい幸せになって下さいっ」
「あ、あぁ...もちろんだ」

普段が普段なものだから、ここまで俺のことを想ってくれているとは思わなかった。
何だかんだで、風子なりに俺のことを考えてくれていたんだな。
それがとても不器用なやり方なだけで。

「まさか、俺が言うべき台詞をとられるとは思ってもいなかったな。まったく、よくできた彼女だよ。」
「岡崎さんが甲斐性無しなだけです。」
「自分の彼氏をそこまで言うか。」

風子が改めて俺の方を向き直す。
「当然です。まだ岡崎さんの口から返事を聞いてませんから。風子は全て言いました。
 カツ丼に釣られた殺人犯のように洗いざらい吐きました。次は岡崎さんの番です」
「あぁ、そうだったな。」

心を落ち着けるため深呼吸する。

「俺も、風子を愛してる。この世の何よりもだ。こんな不甲斐ない彼氏だけど、いつまでも一緒に居てほしい。一緒に幸せになってくれないか?」
「はい、もちろんですっ」

夕日はもう沈みかかっている。
二人の顔が赤いのは夕日のせいじゃない。
 

 

「でもヒトデはやめないか?」
「最悪ですっ」
 

 

おまけ

「らぶらぶだねぇ」
「お・あ・つ・い・こ・と」

次の日、朝一番で言われた台詞。
風子が屋上で叫んだ台詞が、春原と杏に聞かれていたらしい。
こいつら、なんで遅くまで残ってるんだ。
しばらくの間、二人にからかわれることになる。
取り敢えずその度に杏と一緒に春原をボコっておいたのは言うまでもない。
杏は殴る理由ないじゃん。

〜つづく?〜

 

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