先日「And I Love Her」のオリジナル版(ROSA1993年掲載)を国会図書館で複写郵送していただき入手しました。自分は以前2003年Hiミステリー再録版の方を「まんが図書館」に依頼して入手していましたが、この作品も実は再録時に加筆修正がなされている、ということを知り(どの部分が修正されているのだろう?)と気になって、初出のオリジナル版を入手した次第です。
そうしたところ連載時の表紙2カットを含め、かなりの部分に加筆修正がなされていたことがわかりました。今回並べて読み比べることができたので、樹村先生がこの作品を10年たって再発表される際、どのようなことを考えたり感じたりしながら描き変えをされたのかに近づける気がして、ちょっとうれしかったというか、また少し樹村先生のお気持ちを知ることにちょっぴり近づけたかな・・という思いです。
そんなわけで、ちょっとひとりよがりぽいですが、少し紹介させてください。
ここしばらく「And I Love Her」の紹介をしてきましたが、ここで一区切りにしようと思います。実はは加除修正箇所はもっとあって、特にラストシーンは+1ページの加筆なのでした。自分の感想としては樹村先生はイズと川島さん2人のやり取りの部分をさらにご自分が納得できるような表現にしたくて丁寧に変更されているのかな、と思いました。
あとちょっと違う感想?なのですがこの作品に登場してくる「トキコ」さん。自分ちょっと気になっていて、この方も自分としては(幸せになってほしいなあ)と思う方なのでした。
この作品はLGBTの中のLの方を描いた作品と言えますが、同じ傾向の作品である「海辺のカイン」とは違って、女性2人の関係は一歩前向きに進んだ関係に描かれていると思います。ただその後の2人がどのような交友関係を築いて行くのか?というところまでは描かれず、あとは読者の想像と判断にゆだねられるようになっています。この作品が描かれたのは今から30年前の1993年〜1994年ですが、2024年の現代にこそ問われる内容になっていると思います。人間の愛情(男女・男同士・女同士、すべてのパターンで)とは何なのか?本当に今問われている命題なのではないのかな、と思います。
しかしこの作品は現時点では単行本化も電子書籍化もされておらず、過去に埋もれたままになっているわけです。自分はこのことを大変もったいなく思っています。実際単行本化された作品の多くを電子書籍化して公表されている樹村先生なのに、この作品を表にお出しにならないのは、あえてそうなされているのかな?という思いですが、自分はこの(もったいないなあ)という思いを、なんとかできないものか、と日々思っております。