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Baja1000 (バハ1000,SCORE)コミュの2008 BAJA500 参戦Report 05 -ジョニ男の場合-

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<前回まで>
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RM 270-360 / Trinadad - Santo Tomas / The Chasing
 
 
 ――やっぱり、少し重いのかな。 
 大型ヘッドライトに換装したXRで、トリニダットのピットを後にして数キロ。
 ハンドルを通して伝わる感触に違和感を覚える。
 すぐに慣れるだろう、なんて思っていたけど、何でもないフラットなコーナーでいきなりスリップダウンしてしまった。
 またしてもフォークが捻じれる。うー。
 ピット休憩で呆けていた分、一気に目が覚めた。
 道は起伏の少ないフラットな林道だ。
 緩やかなカーブを描いて、広大な渓谷を巡っていく。
 ――プレランのときな最高に気持ち良かったよねー。
 三日前の記憶を呼び起こしながら、グリグリとアクセルを開けていく。
 とは言え調子に乗って崖から落ちると確実に南無阿弥陀仏なので適度にセーブしなくてはならない。
 まずは登り。尾根に巻きつくようにして緩やかに登っていく。
 ここまで来た時点で、僕は何だか、もう大丈夫だ、なんて根拠もなく思い込んでしまっていたんだ。
 大きな誤算だった。
 ――なんか、この前と違う気がする。
 疲れているからなのか、何なのか、コーナーの一つ一つが楽じゃない。
 三日前に来たときはスタンディングで楽々流せたワインディングだけど、コーナーを抜けるたびに少しずつ体力が削がれて行くのだ。
 十数個目のコーナーを走り抜けた後、やっとその違和感に気付いた。
 4輪が走り抜けた後で地形が変わっているのだ。
 コーナーというコーナーの入り口に、いわゆるブレーキングギャップが出来ていて、出口は出口で掘り返されている。
 表面に浮いていた柔らかな砂は吹き飛ばされ、硬い地面がむき出しに。
 さらには破壊した路肩から、拳大の岩をごろごろとコースに撒き散らしている。
 さっきから僕を疲れさせているのはこの岩とギャップだ。
 硬く締まった剥き出しの路面も、今の僕には辛い。
「チクショー」
 もしかしたら疲労からくる被害妄想かもしれないけど、とにかく全然楽できない!
「トラックの野郎!」
「何でだよー」
「勘弁してくれ、、、」
「うー」
 本当にずーっとトラックに悪態をつきながら走った。
「硬いんじゃあ!」
 砂が良い。埋まっていいから。砂が、、、。

 バララララララララ――!!

 突然の音に、僕は我に帰った。
 ――ヘリ!?
 すぐ真横に、ヘリがいた。、、、ウソでしょう?
 確かに左は崖だから、やろうと思えば出来るんだけど。。。
 ――映画か!
 ヘリのコックピットに視線を移すと、パイロットがグッと親指を立てている。
「!!」
 格好良すぎる。
「――!!!」
 思わず叫んだ。
 ヘリの後部座席に座っていた人が、後ろを指差すのと同時にヘリは上昇。
 状況は理解できた。
 しかし、何処に逃げるか。
 後ろを見やると砂煙はもうすぐそこまで来ていた。
 コーナーの奥にエスケープゾーンを見つけてバイクを止めた。
 間髪入れずに、黄色のトラックが小石を弾きながら駆け抜けていく。
 痛い。
 ヘリを伴って谷間を爆走する姿は正に王者の風格で、僕らなんでホントに邪魔者以外の何者でもないんだなぁ。
 つーか、なんでこんな後ろにあんなバケモンがいるんだ。
「また道を荒らしてー」
 文句を一つ、また走り出す。
 海を目指して。
 走って走って、やっと人のいる所に出た。
 舗装路を少し走ってチェックポイント3に到着。
 少し休んで、すぐに出発。
 もう一山越えれば、海岸沿いの道に出だろう。
 ふと山の上を見やると、茜色に染まった空が見えた。
「いよいよだなぁ、、、」
 ちょうどコースは真西を向き、いやでも西日が目に入る。
 しかもダストが西日を乱反射して視界が最悪に悪い。
 朝日にやられたときと一緒だ。
 まったくペースが上がらないし、抑えの効かない今の状況で不用意にギャップに突っ込むわけにも行かない。
 メットのバイザーを下ろそうと試みたけど、LEDライトがジャマでバイザーが下りない。
「ああ、もう!」
 まだこんなライト要らないよ。
 ちょうど追いついてきたバギーをやり過ごすついでに、バイクを端に止めてメットを脱いだ。
 ライトを取り外し、バイザーを下ろす。
 作業が終わっても、なかなか走る気にならない。
 ボーっとしている間にバギーが2、3台通過していった。
「、、、腹減ったなぁ」
 そういえば、朝食べたうどんと、バナナとスポーツドリンク以外何もお腹に入れていない。
 何かヤバイぞ、と人間としての本能が感じていた。
 「空腹を感じてからでは遅いんだよ」って誰が言ってたんだっけ。
 慌てて、ジャケットに隠し持っていたパワーバーという高カロリー食品――でっかいキャラメルみたいなの――を半分食べる。
 ウマい。
 とりあえずコレで我慢しよう。
 また50マイルくらい走ればピットに合流できる。バナナ食べれる!
 バナナ一つを思いながら50マイル。
 今思えば滑稽だけど、そんなことで頑張れるんだね。人間って。
「後50マイルでご飯」
 なにやらギャーギャー騒ぎ出した体にそう約束して、また走り初めた。
 山を登り、プレランのときに突っ込みそうになった湖を越えて、フープスを越えて。
 海――。
 夕日に照らされる海岸線まで、やっとたどり着いた。
 時間が許すなら、砂浜に下りていってぼんやりと眺めたいけど、今はレース中。
 どんなに遅くてボロボロでも、止まることは許されない。
 でも気分は少し楽になったみたい。
 海岸沿いでは多くのキャンパーたちが応援してくれた。
 もう格好良い走りなんて出来ないし、手を上げて応える余裕もない。
 ありがとう、と呟きながら、ほんの少しだけ多めにアクセルを開けるのが精一杯だ。
 プレランの時は笑いながら駆け登ったヒルクライムも、迂回路を探して何とかクリアする。
 今倒れたら、それこそ走れなくなってしまう。
 体力的にはかなり厳しいところまで来ていた。
 パパパッ!!
 悪いタイミングでトラックがやってくる。
 道は狭く、左側は崖で、右側も深い溝が彫れていた。
 トラックは速度を緩めずにホーンを飛ばしてくる。
 ――つまり、どちらかに飛び込めってこと?
 左はない。右だ。
 馬鹿げているとは思いながら、減速も出来ずに溝に突っ込んだ。
 鈍い衝撃。呼吸が止まる。
 メットのチンガードをライトフレームにぶつけた。
 弾かれて仰け反る。
 バイクは溝に刺さって動きを止めた。
 数秒息が出来なかった。
 ハンドルにもたれ掛かって、呼吸を整える。
 遠くからキャンパーたちがこちらを見ているのが分かった。
 ――大丈夫だ。
 手を上げて、応えた。大丈夫だ。
 マシンはどうだ。
 ヒットしたのはアンダーガードか。
 岩に乗り上げるような格好になっていた。
 リアを持ち上げて、とりあえず段差から下ろす。
 それだけで汗が噴出してきた。
 この時間ならもう暑くはなかった筈だ。
 涼しいくらいだと思うけど、この時はただ息苦しく、吐息がゴーグルを曇らせた。
 エンジンは意外なほどあっさりと、キック一発でかかった。
 良かった。
 走り出すとすぐにBAJA PITの看板が目に入った。
 そうか、ここにも在るのか。
「コーラをくれ!!」
 ガス補給をする間、僕は受け取ったコーラを一気に飲みほした。
 オーバーヒート気味の体にはちょうど良い。
 本当ならここでゆっくり休んで、何か食べ物を貰えばよかったのだろうけど、先程のクラッシュで少し気が動転していた僕はガス補給が終わるや否や、すぐにピットを飛び出した。
 何より、刻一刻と高度を下げる夕日が怖かったのだ。
 もうヘッドライトの灯りが視認できるまでになっていた。
 サントトーマスからウルアパンの山越えまでは、絶対に日があるうちに通過したい。
 路面はいつの間にか、サンドフープスに変わっていた。
 深いギャップを経過するたびに、杯から空気が漏れ、歯を食いしばった。
 そして、もう笑うしかないセクションが姿を現す。
 人の頭サイズのゴロゴロした玉石が海岸沿いに敷き詰められている。
 されに、それがウネウネと大きなフープスを作っているのだ。深さは1mを越える。
 長さは500mも無いかもしれないけど、僕には無間地獄に見えた。
 一つ目、二つ目とゆっくりとフープスを通過していくが、案の定下りでフロントを取られて転倒した。
 起して、再スタート。
 それでもすぐに転倒してしまう。
 三度目で、エンジンがかけれなくなってしまった。
 観客が助けに来てくれて、コース脇にマシンを避ける。
 そうだ。こんなギャップの底でへばってたら四輪に引かれてしまう。
 後からやってきた四輪はこんなギャップなんで意にも介さずアクセル全開で駆け抜けていった。
 くそぅ。
 またヨロヨロと発進した僕は、思い切って海側の海水近くまでコースを外れてみた。
 こっちなら走れる。
 観客は少し残念そうだったが、申し訳ないがコッチも必死だ。完走するためなら何でもする。
 やがて玉石のフープスは終わり、牧場を突っ切ると小さな村に行き着いた。
 民家の白い壁が、赤と、薄紫のグラデーションを映す。
 レース開始からもう12時間以上経過していた。
 トップがゴールしてからは4時間以上の時間を刻んでいる。
 村では普通に乗用車が走っていて、民家では夕食の準備。
 キラキラ光る水面を背にして、手を繋いで家路に帰る親子。
 思わず見とれそうだった。
 それでも、後ろからやってきたクアッドはアクセルを開け切って僕の横をかっ飛んでいく。
 レースは続いている。
 熱狂は走り去ったけど、エンセナダでは誰も待っていないかもしれないけど――。

 ガレた山道を、ハンドルにしがみ付いて登りきった。
 レーサーではなく、コールを併走して走るツーリングのバイクが励ましてくれる。
 あんた達の方がよっぽど速いよ。
 
 フラットな高速林道が続く。
 左足の裏に違和感を感じた。多分靴擦れをおこしているんだと思う。
 ステップを踏みつける度に痛む。とはいえシッティングでは速度を維持できない。

 空がより青味を増して来る頃に、突然舗装路に出た。
「あぁ――」
 ようやく、シートに腰が下ろせる。
 13時間、ずっとステップの上に立ってたんだ。信じられない。
 この舗装路は長い。
 もう60マイル/hで走る気力もないけど、出来るだけ急ごう。
 途中、軍の検問があるがライダーはフリーパスだ。
 
 サントトーマス。
 何はともあれ、まずはBAJA PITにバイクを止める。
 いつもならショーイさんか本林さんが待ってくれているのだが、ここには居なかった。
 給油を終えて、少し辺りを散策するが、フォレストのトラックは見つからない。
「あれー?」
 時間は過ぎていく。
「251xのサポートトラック、見なかった?」
「見てないよ。何か要るのか?」
 ここで食べ物、と言っておけばこの後の展開も少しは違ったかもしれない。
 やはり焦っていた僕は、時計を見て、このまま走り出すことを決めた。
「もし、251xのトラックが来たら、もう出発したと、伝えてね」
 BAJA PITに伝言だけ残して、ウルアパンの山へ向かう。
 ここから先は一山まるごとシルト。
 ヒルクライムも、キャンバーも、全部バフバフの微砂なのだ。

 現時刻19:00。日が完全に沈みきるまで、あと1時間。
 疲労は限界値に達しようとしていた――。
 
 
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RM --/ Are you hungry? / お腹、空いた? 
 
 今回のBAJA500に参戦するにあたって、一番失敗したのが食事かもしれない。
 タイムリミットに焦るあまり、食事のタイミングを逃してしまいました。
 そのため、終盤には いわゆるハンガーノックに近い状態まで追い込まれることに。
 気持ちは前に行ってるのに、体がついて行かないみたいな感じでした。
 また一度バイクを起しただけで、すぐに体がオーバーヒート状態になったり、大変です。
 もしきちんと栄養補給できていたら、また少し違った結果になったかもしれないですね。
 
 他のライダーはどうしてたんだろうなぁ。
 
 <少し考えた>
 
 、、、あぁ、ソロだからこんな目にあうのか。
 
 
 
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RM 360-400 / Santo Tomas - Ojos Negro / The Border Line
 
 <Under Writing...>
 
 

コメント(2)

なんで、モッチとキムキムが居ないんだ??

続きを待ってますww

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