フードサイエンス協会コミュの生物はなぜ死へ向かうのか？

あるＨＰからの内容を引用で紹介します。

生殖と死をめざす生が生物が選択した道なのか？
細胞はなぜ自らの命を絶とうとするのでしょうか？ヒトを含む生物はなぜ死に向かう生を選んだのでしょうか？　その答えは私たちのはるか祖先が性という素晴らしい多様化のシステムを手に入れたことと関係が深いと思われます。

子孫を残すには細菌などのように無性生殖の方が効率的で安全ですが、繁栄しているのは私たちヒトを含む有性生殖をしている種です。性を持つことで子孫は両親からＤＮＡを半分ずつもらうことになり、無性生殖とは比較にならない多様な子孫を残すことができるのです。

多様性は環境の激変やさまざまな生存競争に勝ち抜き、種の保存に有利な進化を進めやすかったのでしょう。多くの生物が、自身がいつまでも生き残っているよりも早く世代交代した方が有利だと考え、自ら死を選ぶことで子孫に食料や生活空間を与えることができたのです。

単細胞生物である細菌やアメーバには老化や死はないのだそうです。彼らは分裂回数に制限はなく、いくらでも分裂を繰り返すことができるのです。同じ単細胞生物のゾウリムシでは数百回の分裂の後に死を迎えます。ところが、他のゾウリムシと接合（一種のセックス）によってＤＮＡを交換すると、再び若返って活発に分裂を始めることができます。

老化や死は性の出現とともに現れた現象と考えられます。私たちの身体を構成する細胞には２種類あって、身体を形成する体細胞と生殖細胞（精子や卵子）です。体細胞は寿命を持ち、老化と死から逃れられません。一方、生殖細胞はテロメラーゼによって修復され、受精というプロセスにより子孫を残し、ある意味で不死の細胞ということができます。

種としての生をめざした生殖が、個体への死を望んだのです。生殖をキーワードとする死に向かう生が生物として選択した道であり、そのことがＤＮＡにプログラムされていると考えられます。
このような巧妙なメカニズムが細胞レベルに書き込まれてる、というのは驚きでしょう。一体、これは誰の意思なのでしょうか？　

さて、成長期から生殖期まではほとんど個人差がないのに、その後の年代になると生物としての実年齢と見かけ上の年齢におおきな差が生じますね。その原因の一つがストレスであることは間違いありません。

　生殖期（いやな言い方ですね）後をどう賢く過ごすかで、豊かに過ごせるかどうかが分かれるようです。だから、アンチ・エージング（抗加齢）であり、それは生殖期最中の若い方たちも強く意識しなければならないことだと私は思います。

コメント(1)

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[1] mixiユーザー 10月12日 02:11

ビリーさん
遅くなり申し訳ありませんが、以下長いですが参考にしてくださいな(^^;)

ご出席東京都老人総合研究所レドックス
制御研究グループ長鈴木捷三
（株）ジーンケア研究所副所長杉本正信
東京理科大学教授
ゲノム創薬研究センター所長田沼靖一

1. 「不老不死」ではなく「可老可死」を選んだ生物
生物は種によって最大寿命が決められており、ヒトは120歳とされています。生物は、なぜ「不老不死」ではなく「可老可死」の道を選んだのでしょうか。
杉本ダーウィンの進化論によれば、すべての生物は生存競争に勝ち抜き、種の保存に有利なように進化してきたとされています。多くの生物は、親がいつまでも生き残っているよりも、早く世代交代して子孫を残すほうが有利だと考えたのでしょう。

田沼現在、地球上で最も繁栄しているのは有性生殖をしている生物種です。子孫を残すには、細菌のような無性生殖のほうがエネルギー的にも効率がよく安全なのですが、私たちが不利を承知で有性生殖を選んだのは、遺伝子の組み換えによってバラエティに富んだ子孫を残せるからです。
鈴木親がいつまでも生きていたのでは、子孫に食糧やスペースを与えることができません。自ら死を選ぶことによって、種の存続をはかってきたと考えられます。
生物は種によって最大寿命が決まっており、最大寿命は体重や脳重量、性成熟年齢などと関係するとされています。
田沼体が大きくて脳が重く、性的に成熟するのが遅い動物ほど最大寿命が長いとされていますが、いずれの場合もヒトだけが例外的に長生きしています。
杉本動物は種の繁栄と存続のために、最も都合のよい子どもの生み方を選んでいます。つまり「多産・短命」か「少産・長命」かのいずれかを選んでいるのです。マウスのように体が小さく弱い動物は、寿命は短くても多産する道を選び、ゾウのように強い動物は逆の道を選んだといえます。
なぜ、ヒトだけは例外なのでしょうか。
杉本「おばあちゃん効果」、「長老効果」という説があります。ヒトとチンパンジーを比べると、性成熟年齢は約3年しか違わず、生殖期間もヒトが約30年、チンパンジーが約20年とそれほどの差がありません。
ところが、生殖期を過ぎた期間はヒトでは35年にわたるのに、チンパンジーでは僅か5年しかありません。つまりヒトは「おばあちゃん」の期間が非常に長いのです。おばあちゃんは親と一緒に孫の面倒をみることができます。仮に親が部族同士の戦いや、猛獣に襲われて早死にしても、おばあちゃんが元気ならば、孫を育てることができます。これが「おばあちゃん効果」で、長寿の遺伝子が自然淘汰で生き残って受け継がれてきたのではないかというのです。
また、私の友人で、ミシガン大学の心理学教授である秋山道彦氏は、部族の中に知恵のある長老がいると、飢えや敵の襲撃から守れるために子孫を多く残すことができ、長寿の素質が受け継がれていくと考えています。寿命が遺伝子に組み込まれていることは事実ですが、こういった文化的な要素も関係しているのではないでしょうか。
老化学説の代表的なものを三つだけ選んでみました（表）。「プログラム説」から教えてください。
田沼人の一生を老化の観点から描いたのが図１です。人には男女差や個人差があっても20歳前後で成長がとまります。ここまでの期間を「成長期」といい、その後半で性的に成熟し「生殖期」に入ります。そして、子孫を残し、子育てを終えると余生とも呼ばれる「後生殖期」を迎えることになります。
老化というのは主として後生殖期におけるいろいろな臓器や器官の衰退現象のことをいいますが、1つの受精卵から発生し、成長期、生殖期、後生殖期を経て死に至る過程がすべて遺伝的にプログラムされているとするのが「プログラム説」です。
健康な人ならば、成長期から生殖期まではほとんど個人差が見られず、小学生や中学生なら見ただけでおよそ何歳かの見当がつきます。
ところが、40代、50代になると若く見える人もいれば老けた人もいて年齢がわからなくなります。このように、生殖期まではプログラムされていても、後生殖期以降の変化、つまり老化はプログラムされていないのではないかと考えられているのです。表　主な老化学説
プログラム説発生から成長までが遺伝的にプログラムされているように老化の過程も遺伝的にプログラムされているという説
エラー蓄積説老化は細胞内にあるDNAやRNA、たんぱく質などにエラーが蓄積するからだとする説
体細胞廃棄説体細胞の修復に費やすエネルギーと生殖に必要なエネルギーのバランスをとるため、体細胞は使い捨てされるという説

図1　個体の老化過程

鈴木発生から生殖期まではプログラムされているというのは誰でも納得できることですが、そこから先がはたしてプログラムされているかどうかが問題で、老化はプログラムされていないと考える研究者のほうが多いのではないでしょうか。
田沼生物の本質は子孫を残すことにありますから、生殖期までは厳密にプログラムされていますが、その後はどうでもよく、人間は、このどうでもいい期間をうまくコントロールしながら生きているともいえます。
鈴木老化は私たちの細胞の中のＤＮＡ、タンパク質、脂質などあらゆる生体高分子にエラー（異常）が蓄積することによって起こるというのが「エラー蓄積説」です。
細胞にはエラーを修復する機能が備わっているのですが、エラーを引き起こす原因には放射線、紫外線、化学物質、体内で発生する活性酸素などがあり、長い間にはどうしてもエラーが蓄積されてしまいます。これが細胞をはじめ、全身の老化を引き起こすのではないかと考えられているのです。
「体細胞廃棄説」とはどのようなものなのでしょうか。
田沼これは「プログラム説」と「エラー蓄積説」を合わせたような考え方です。
細胞は、子孫を残すための「生殖細胞」とそれ以外の「体細胞」に大別され、いずれの細胞のＤＮＡにもエラーが蓄積します。細胞は常にこれを修復しているのですが、それにはかなりなエネルギーが必要です。
しかし、一生に使えるエネルギーの量は一定なので、体細胞をきちんと修復すれば寿命を長く保てますが、それでは生殖細胞に回すエネルギーが不足してしまいます。一方、生殖細胞の修復にエネルギーを重点的に使ってしまうと、体細胞の修復がおろそかになって早く老化してしまいます。このどちらにエネルギーを使うかによって種の長命、短命が決まっているというのが、この説のポイントなのです。
鈴木いずれにせよ体細胞は使い捨てにされる運命にあるのです。
2. 「命の回数券」？テロメア
細胞の分裂回数には限界があると聞いたことがありますが、これは「プログラム説」に入るのでしょうか。
杉本ヘイフリックという研究者が、ヒトの胎児の繊維芽細胞を試験管内で培養したところ、50～60回分裂すると、それ以上は分裂増殖しないことを観察しました。その後、いろいろな実験によって、若いヒトの繊維芽細胞の分裂回数は多いのに対し、年をとったヒトのそれは少ないことがわかり「ヘイフリック限界」あるいは「分裂寿命」と呼ばれています。

田沼いろいろな動物の胎児の繊維芽細胞の分裂回数と最大寿命の関係をみたのが図２ですが、きれいに相関することがわかります。この細胞の寿命の長さを決めているカウンターとして注目されているのが「テロメア」と呼ばれる染色体の末端構造です。染色体はヒトの場合、23対、46本あり中にＤＮＡが入っています。このＤＮＡの二重ラセンの末端のテロメアは、ヒトの場合「ＴＴＡＧＧＧ」という六文字の塩基配列が約100回ほど繰り返されているのですが、細胞が分裂するたびに短くなっていくことがわかったのです。このため、テロメアは「命の回数券」とも「生命時計」とも呼ばれているのですが、すべての生物にあてはまるわけではありません。たとえば、マウスの最大寿命は約3年ですが、テロメアの長さはヒトよりも長いのです。
鈴木短くなったテロメアを元に戻しているのがテロメラーゼという酵素で、生殖細胞や幹細胞、がん細胞はこのテロメラーゼを持っているため無限に分裂増殖することができると考えられているのです。
3. 「老化遺伝子」と「長寿遺伝子」とは
「老化遺伝子」と「長寿遺伝子」というのはあるのでしょうか。
杉本私たちの研究所およびその前身である(株）エイジーン研究所では創立以来、ウェルナー症候群について研究をしてきました。ウェルナー症候群というのは、20歳くらいから白髪になり、30～40歳になると白内障、動脈硬化、糖尿病、骨粗しょう症、がんが多発するなど、通常より20年か30年早く年をとる病気です。そこで、この患者さんの遺伝子を調べたところ、ＤＮＡの二本鎖を解きほぐしたり、エラーを修復する酵素をコードしているたった1個の遺伝子に異常のあることがわかりました。そこで、この遺伝子のことを「ウェルナー遺伝子」あるいは「老化遺伝子」と呼んでいるのですが、老化遺伝子というよりも異常遺伝子というべきかもしれません。ヒトは約4万個の遺伝子を持っているとされており、重要な遺伝子に異常があれば生まれてくることができませんし、他の重要な遺伝子に異常があれば若いうちに死んでしまいます。この異常な遺伝子の少ない人が長寿をまっとうできるともいえるでしょう。

鈴木アメリカの研究で、長寿の人をたくさん集めて遺伝子を調べたところ、4番染色体に何かのあることがわかったとされています。この何かは不明なのですが、これが長寿遺伝子なのかもしれません。
田沼これは老化遺伝子ではありませんが、国内外の研究によって、糖尿病や動脈硬化、あるいはアルツハイマー型痴呆になりやすい遺伝子のあるらしいことがわかってきました。また、長寿遺伝子と呼べるかどうかは別として、長寿に関連する遺伝子も多く発見されています。
4. 細胞の自殺にも二種類ある
田沼先生は細胞の自発的な死には、アポトーシスとアポビオーシスとがあり、この2つが老化や寿命に影響していると提唱されています。
田沼細胞の死というと、火傷や打撲などによる強い刺激による死を思い浮かべる方が多いと思いますが、これはネクローシス（壊死）という死に方で、いわば細胞の事故死に相当します。
一方、最近の研究から、細胞には遺伝子のプログラムによって、自発的にエネルギーを使って死んでいく死に方があり、これはアポトーシス（自死）と呼ばれています。オタマジャクシがカエルになる際に、尻尾が消えるのもアポトーシスなら、血液中の赤血球や、皮膚や消化管の上皮細胞、免疫細胞などが役割を果たすと老化して死んでいくのもアポトーシスによるもので、毎日、私たちの体の中では3千億から4千臆の細胞がアポトーシスによって死んでいます。しかし、この2つの死だけでは、老化学説による細胞死が説明できません。エラー蓄積説にせよ、テロメア説にせよ、これらは分裂、再生できる再生系の細胞に限定した話で、脳神経細胞や心筋細胞のような非再生系の細胞にはあてはまりません。そこで、私は非再生系の細胞にも寿命があり、死が規定されているのではないかと考え、これをアポビオーシス（寿死）と名づけ、再生系の細胞と非再生系の細胞間でなんらかのコミュニケーションがあるのではないかと考えているのです。

杉本どう違うのですか。
田沼アポトーシスというのは、自分が死ぬことによって個体を維持する必要な死、アポビオーシスというのは個体にとって有害な死で、これが寿命に直結しているのではないかと研究しているところです。
5. エラーを引き起こす活性酸素
鈴木先生は、活性酸素と寿命の関係を重視されていますが。
鈴木細胞内のミトコンドリアという小器官は、エネルギーを作り出しているところから「細胞内の発電所」とも呼ばれています。
ここでは、食事から得た栄養素を、酸素を使って燃やしてＡＴＰというエネルギーの元を作っているのですが、このときに、どうしても活性酸素が発生してしまいます。このミトコンドリア内で発生した活性酸素が周囲に漏れて、細胞内のＤＮＡやタンパク質などに傷害を与えることが細胞自体の老化や、エラーの蓄積につながっているのではないかと考えているのです。

活性酸素の害を防ぐには、抗酸化作用のあるビタミンＡ、Ｃ、Ｅや、カテキン、フラボノイドなどをとるといいとされていますが。
鈴木分子レベルで考えると確かにその通りです。しかし、実験動物を使っていろいろな物質をためした研究では寿命を顕著に延ばす例はほとんどありません。
生活習慣病を防ぐという効果はあっても寿命にはあまり影響しないようなのです。
しかし、食事制限によって寿命が延びるということはいろいろな動物実験によって証明されています。
活性酸素説に立てば、食べ過ぎると、ミトコンドリア内でより多くの活性酸素が発生します。ダイエットは寿命を延ばすためにも必要だといえます。
杉本今のところ、科学的に長寿との関係が証明されているのはカロリー制限だけです。
活性酸素はミトコンドリアがエネルギーを作るときに出てくるのだとすると、運動もいけないということになります。
鈴木事実、運動が寿命を短くするという説もあります。しかし、運動をしなければ筋肉や骨が弱くなったり太ったりします。適度な運動は必要です。
田沼食事、運動、睡眠、休養といった生活習慣が老化や寿命にどう影響するかを調べるには、分子レベル、細胞レベルの研究以外に、疫学的な研究が必要です。欧米、特にアメリカでは、疾病予防だけでなく、老化防止や長寿の観点からの疫学調査が続けられていますが、世界一の長寿国である日本でこそ必要なのではないでしょうか。
杉本いかに科学が進歩しようと、死から免れることはできません。
しかし、生活習慣病は防ぐことができます。老化をできるだけ遅らせつつ、老いの時期をどう生きるかを考えることが必要です。
ありがとうございました。

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