前回の続き、DONNA SUMMERデジタルリマスター盤アルバムAnother Place And Timeについて。
◆Love’s About To Change My Heart (Loveland’s Full-On 7″ Radio Edit) バージョンに関してというよりも、注目すべきは94年以降のPWLプロダクションの主軸である LOVELANDが、SAW作品リメイクという戦略構想があったという事。
LOVELANDと言えば、WATERMAN氏の息子であるPAULを筆頭に結成されたリミックス集団でありますが、後の活動を振り返れば、やはりSAW作品の後押しではなく、 PAUL WATERMAN自身の持つ、本格ダンスミュージックに近づいたテクニックで描かれるグルーブセンスこそが最大のアピールポイント。
LOVELAND・NOTLOVELAND・MOVERS & SHAKERS・WORK IN PROGRESSと、様々なリミックス スタイルで活動を続けたPAUL WATERMANでしたが、90年代後半からSTEPSをはじめとする親子によるサウンドコラボにより、最終的には父と同様、POPミュージック界を共に盛り上げる存在として活躍されました。
しかし、残念ながらPAULは2005年にこの世を去りましたが、彼の素晴らしい音楽センスは父親に通じるものがありました。 98年にPWLスタジオを訪問した際、あのロゴマークの裏扉が開いた瞬間、Coming In !と快くスタジオ内へ案内してくれたPAULの笑顔は今でも忘れられません。
◆ALBUM-SONGS INSTRUMENTAL-MIXES ファンにとって嬉しかったのは、本アルバム曲のINSTRUMENTALが収録された事でしょう。 (In Another Place And Timeを除く) 中でも当時、日本の某自動車メーカーのCMでも使用された名作The Only Oneがいい。 SAWソングライティングの素晴らしさがこの楽曲にも表れている。 じっくりと聴くのもいいが、思わず歌ってしまう時がある。
そしてもう一曲挙げるなら、If It Makes You Feel Good。 ミックスタイトルはPete Hammond Remix Instrumentalとなっていますが、これはPETE HAMMOND 単独によるリミックスを意味するのではなく、オリジナルとなった86年作PRINCESSバージョンと区別するためなのでしょう。
◆This Time I Know It’s For Real (Extended Remix) DONNA SUMMERとのワークの中で、最もパーフェクトとも言える作品を挙げるならば、記念すべきファーストシングルThis Time I Know It’s For Real (Extended Remix)。 これぞ見事な12インチトラックの描き。
中でもオープニング。 シンセ効果音(ビョーーン)に始まり、続いてバスドラ・キックにDONNAボーカルサンプリング (I LOVE YOU, I LOVE YOU SO BABY)、この後にシンセベース、破線なシンセ音が入る。 続いて、メインリフとなるシンセの気持ちいいエフェクト効果、この後からストリングスで徐々に上げていきながらフルインストとなる。
通常ならばここから歌入りとなるが、WATERMANはここで一度ブレイクダウンさせる。 (GOT TO FIND A WAY, I LOVE YOU SO, GOT TO FIND A WAY TO GET THE MESSAGE TO YOU…)