個人的にリミックスサービス専門レーベルのEDITバージョンには余り興味がありませんが、 DEAD OR ALIVE / Something in My HouseについてはSAW・D.O.A間とのバージョンをめぐるトラブルをはじめ、様々な専門家によるバージョン評価がみられました。
Something in My Houseのレコードセールスは本国UKでは最高位12位、USダンスチャートでは3位という大ヒットを記録。 ただ、これはセカンドアルバムYOUTHQUAKE(85年UK最高位9位)と、次期アルバムからの第一弾シングルBrand New Lover(86年UK31位・US15位)の爆発的ヒットという、一連の勢いが生み出したものでもある。
オリジナル(アルバムバージョン)はSAW全面プロデュースによるものですが、後のシングルリミックスはD.O.Aとのトラブルに伴い、D.O.A自らバージョン制作に関わったという経緯がある。 Something in My Houseは、楽曲タイプ的にもインパクトの強いアップテンポが最大魅力であり、原曲の時点で大ヒットする事は予測できる。
但し、厳しい点を挙げるとすれば、エンディングの笑い声サンプリング。 楽曲イメージの演出効果として、悪魔のような不気味な笑い声をサンプリングしているのですが、元ネタはあのMICHAEL JACKSON / THRILLER。
Something in My Houseの場合、UKプロモでは映画エクソシストでのボイスサンプルをはじめ、 白人女性(男性)のような西洋人のイメージがある。 これに対しTHRILLERサンプルの場合、黒人男性特有な笑い声が逆にパンチがあり過ぎてしまって イメージに合っていない。 ここはもう少し拘ってほしかった..。
ブレイク部分の組み立てでは、前半ブレイクと後半ブレイクが入れ替えられている。 Something in My Houseオリジナルでは、前半ブレイクは割とゆったりと流れるイメージで、後半ブレイクになると徐々にノリが増してくる。 言ってみれば、これがSAW流のテクニックなのですが、RAZORMAIDではオープニングから激しいビートとし、逆に後半でゆったりとした空間を入れながら、後半での激しいブレイクをも織り交ぜながら上手く流れていく。 HOT TRACKSと同様、キラキラしたシンセリフ部分の4小節繰り返しも取り入れられており、ブレイクの組み立てにはかなり細かい拘りを魅せている。
また、レコードジャケットのクレジット上にも音楽的な拘りを感じさせる表記がある。 2枚組レコードには全8作品が収録されていますが、殆どの楽曲には担当リミキサーJOSEPH WATT氏の名前のみ刻まれているのに対し、Something in My HouseではMixed By STOCK , AITKEN & WATERMANとしたうえで、Edited By JOSEPH WATTとなっている。
これが意味するのは、「このオリジナル音源はSAWにより作られたアレンジ&ミックスが基本であり、 JOSEPH WATTによって編集を加えたもの」として読み替える事ができる。 ミックス・クレジットであれば、通常はPHIL HARDINGとするところですが、サウンド固めの要はSAWだと主張したものであり、正にSAWに対し敬意を表したものなのでしょう。