そしてもう一つは、地元のFM横浜でMATT BIANCOやBASIA(初期メンバー)の曲が度々オンエアーされ、中でもBASIAのNew Day For Youは印象深かった。 あのベースライン音色を一度聴いて、「ん!これはPWLだな。」と分かると同時に、BASIAのレコードにも自然に興味が湧いていった。 今から考えてみると、横浜港のあの雰囲気と、ゆったりとした午後の一時にLATIN-SOULが心地良く フィットしたのだと思う。
MATT BIANCOは、84年にレコードデビュー。 デビューシングルはGet Out Of Your Lazy Bedで、UKでは最高位15位という大ヒットを記録し、華々しいデビューを飾ったのですが、これには大きなヒット理由がある。
MATT BIANCOと言えば、全体的にはLATINジャンルをメインに活動するアーティストの強い印象ですが、Get Out Of Your Lazy Bedはネオロカビリータイプという、結果的にはワンポイントとして起用された楽曲であり、80年代前半で流行していたロカビリーが強烈なインパクトとなり、見事な大ヒットに繋がった。
しかも、プロデュースはPWLの前身であるLOOSE-ENDプロダクションを支えるPETER COLLINSによるもので、ロカビリーサウンドは得意分野であった。 更にリードボーカルは、Mark ReillyとBasiaによるツインボーカルで、両者が持つグルーブセンスは素晴らしく、その実力はデビューシングルの時点で既に実証されたに等しい。 Get Out Of Your Lazy Bedは、Mark Reillyによる軽快なボーカルによるAメロでスタートし、この後のサビでBasiaによるスキャットでキメるという、一見とても単調な楽曲タイプと思われがちですが、言い換えればメロディよりもボーカルのノリ一つだけでモッテいくという意味では、真のグルーブセンスを要する1曲だと言える。
この後、デビューアルバム「Whose Side Are You On」から4曲がシングルリリースされ、 Half A MinuteがUK23位というヒットを記録した。 しかし、この後にBASIAがメンバーから離れ、86年にソロデビューした流れからも分かるように、双方のボーカル個性は非常に強すぎた。 Get Out Of Your Lazy Bedのように、対等なボーカルバランスが活かされた楽曲については魅力が発揮されるが、それが時としてツインスタイルでは勿体無い部分もあった。
そしてセカンドアルバム「MATT BIANCO」から、第一弾シングルとしてリリースされたのが、あの GEORGIE FAME & THE BLUE FLAMES(64年UK最高位1位)の大ヒットカバー、Yeh Yeh。 結果はUK13位という大ヒットを記録。 もうお分かりだと思いますが、これが後の「MONDO KANE / New York Afternoon」ワークに繋がったのです。 このゲストボーカルというきっかけから、更にSAWによる単独プロデュースが実現し、SAMBAリリースにも発展した。 残念ながらヒットには至らなかったものの、セカンド12インチ「Ipanema Beach Party Mix」を含む 2バージョンがリリースされ、プロデュースワークに対するSAWの強い意気込みがここに感じられる。
更にNew York Afternoonのミディアムヒットにより、後にリリースされたHIT-FACTORYシリーズでは、初回アルバムと、そしてベスト盤とも言えるVOL.4にも収録され、SAWの才能幅がアピールされた1作品として刻まれるとともに、この勢いによってMONNDO KANE第二弾シングル、 SAWによる幻の名作オリジナル「An Everlasting Love In An Ever-Changing World」が生まれたのは、ファンにとっては嬉しいシーンとなった。