以前にダウンロードオンリー「UNRELEASED TRACKS」のレア作品の数々についてご紹介しましたが、不覚にもチェック漏れとなっていたモノが残されていることに気が付いた。 それは、個人的にもお気に入りであった「What Do I Have To Do?」(KYLIE MINOGUE)の未発表バージョン集で、4バージョン収録されたマキシタイトルが「The Original Synth-Mixes」。 正にSAWファンの心をくすぐるタイトルを感じさせる。 このタイトルの意味は聴いてみれば分かることですが、その名の通りSAWオリジナルによる基本アレンジを崩さずに別バージョンを描いたREMIXESというコンセプト。 ではまず、その内容をご紹介したいと思う。
◆Billy The Fish Mix Part.1 & Part.2 あくまでアルバムバージョンの基本アレンジを崩さず、その中でHOUSEテイストを取り入れたバージョンですが、正規バージョン「Pumpin' Mix」のように完全にリズムパターンを固定させ、あえてドラムのノリを打ち消すのではなく、HOUSEテイストをキープしながら多少ドラムのノリを付けたという、言ってみればオリジナルと「Pumpin' Mix」の中間に相当するドラムパターンのノリを主体としたイメージ。 但し、「Pumpin' Mix」のようにシンセアレンジに至る全てをHOUSEテイストとせず、オリジナルのアレンジを軸としていますが、ベースラインと全体を盛り立てるシンセ効果を抑え、流行りのHOUSE-SOUNDを意識したミックスバランスを描いている。 ちなみにPart.1はショートバージョンで、Part.2の方が12インチバージョンとなっており、当初はシングルバージョン候補の一つとしていたことが分かる。
◆Original 12” Mix ミックスタイトルから、こちらがオリジナル12インチ候補としていたようですが、イメージからすると、 上記「Billy The Fish Mix」と同アレンジとなっている。 これは、上記で説明したミックスアレンジを12インチの基本イメージとし、これを更に12インチトラックの流れに変化をつけたのが「Billy The Fish」で、こちらがシンプルな元音源だと考えられる。
◆Extended Album Mix? ナント、アルバムバージョンを軸としたこれぞベストサウンドと言える「Extended Album Mix」に対し、 更にEDITを加えた別バージョンまでもが存在していたらしい。 アレンジ全体としては「Extended Album Mix」との大きな違いはありませんが、この別バージョンの存在によって、SAWがギリギリまで「オリジナルアレンジによる12インチで行こう!」という強い拘りとして感じられるとともに、ファンにとってはそんなシーンが想像できるだけでも嬉しい。
「The Original Synth-Mixes」を聴いて、改めて気づいた点がある。 「Original12”Mix」や「Billy The Fish Mix」のリズムアレンジ、これはどこかで聴いたような..?
そう、あのSAWによる覆面ワーク「GRAND PLAZ / Wow Wow - Na Na」(EXTENDED-MIX)である。
そして改めて「What Do I Have To Do?」のバージョン数の多さに驚かされたとともに、これだけ多くのバージョン候補を用意していたにも関わらず、最終的には「Pumpin' Mix」を正規シングルに選定せざるを得ない時代背景と、SAWサウンドの終結へと向かうシーンとして考えさせられるものがある。
バージョンの進化をまとめてみると、アルバムバージョンをマスターサウンドとしてスタートし、「Original 12” Mix」(Billy The Fish同様)が作られたが、改めてアルバムを軸とした「Extended Album Mix」も候補としながら、最終的に「Pumpin' Mix」に切り替えられ、セカンドミックス候補として 「Between The Sheets Mix」(PETE HAMMOND)も用意されていたが、結果リリースには至らなかった。
個人的には「Extended Album Mix」がベストバージョンだと言えますが、時には「Billy The Fish Mix Part.2」にGRAND PLAZを絡ませたミックスを作ってみるのも面白いかも知れない。