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PWL音楽論コミュのトレードマーク・サウンドを支えた人物

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バラエティ溢れる作品を世に送り出した「SAWサウンド」。
その影には、様々なPWLスタッフによるバックアップもその功績を支えたといっていい。
しかし、繊細な「音色チューニング」でアピールするミックス・エンジニアとは違って、サウンド・エンジニアの場合、その貢献度は一般に判りづらい。
それは、サウンド全体についてのワンポイント・アドバイサーという地味な役割という理由なのでしょう。
但し、SAWにとってトレードマーク・サウンドとして一世を風靡した、87〜88年中期において大きく存在をアピールしたエンジニアと言えば、「Mark Mcguire」。
「ド派手サウンド」として受け入れられた時代背景というのもあるが、彼が関わった作品には様々な特徴がありました。
そこで今回は、サウンド・エンジニア「Mark Mcguire」について。

当時では、「SAWプロデユース」というだけでレコードを買う人がいたように、大ヒットの宝庫であったにも関わらず、日本のレコードショップでは決して100%の入荷率というものではなかった。
それは、レコードショップ・バイヤーのセンスによってはインパクトに欠けるモノについては仕入れを制限していたらしく、入手困難となっていたのが以下の作品でした。

「Let’s Get Together Tonite / STEVE WALSH」(87年12月)
「All The Way / ENGLAND FOOTBALL TEAM」(88年5月)

日本国内において、上記2作品の存在を初めて知ったのは恐らく、
UK発「HIT-FACTORY」シリーズだったのだと思う。

更にドイツ・オンリーで入手困難であったのが、
「What A Night / DOLLY DOTS」(87年7月)、
「Like I Do / LATOYA JACKSON」(87年)の2作品。

「STEVE WALSH」についてはエンジニアとリミキサーの表記が無いが、特徴的なサウンドとリリース時期から、エンジニアは「Mark Mcguire」が関わっていたと考えられる。
これには一つのキーワードがあり、同時期に彼とのコンビを担うリミキサーこそが
「PETE HAMMOND」であったのです。
特徴的なサウンド音色から、これは間違いなく「PETE HAMMOND」によるもの。

ではエンジニアによる影響度の違いはどこにあるのか?
「Mark Mcguire」はSAWワークのみ起用された専属エンジニアであり、
ひとつは「PETE HAMMOND」単独ワークとのサウンドの違いにみられる。
これは以前にも取り上げた「PETE HAMMONDをどう捉えるか?」でも触れたように、
SAW典型ポップ・サウンドとリミキサー作品との間にはクオリティに大きな差がある。
SAW作品の完成度比率は説明しなくとも、トリオが主であることは勿論ですが、「Mark Mcguire」+「PETE HAMMOND」名義というサウンド面では割と判りやすい。

「Let’s Get Together Tonite」は、SAW流「R&B-FUSION」といったサウンド・アレンジをベースに、ボーカルを当てはめ完成させたイメージという点では非常に珍しいタイプ曲であり、ファンにとっては12インチバージョン「The All Together Tonite Mix」でじっくりとサウンドを味わいたいところでしょう。

「All The Way」の方は、「イングランド・サッカーチーム」との単なる企画モノと捉える人は多いようですが、サウンド面で言えば「My Arms Keep Missing You」と同系タイプのSAW-POPであり、
「RICK ASTLEY」が歌ってもフィットする程に爽やかサウンドというイメージを含め、
「Featuring Sound Of STOCK AITKEN WATERMAN」というサブタイトルにもそれらしさが感じられる。

最終的に「PETE HAMMOND」との固定コンビとして定着するまでには、「PHIL HARDING」との数少ないコンビワークも存在しており、その貴重な作品といえるのが以下のとおり。

「Looking Good Diving / MORGAN MCVEY」(86年)
「I Just Can’t Wait / MANDY」(87年1月)
「Turn It Up / MICHAEL DAVIDSON」(87年11月)
「My Arms Keep Missing You / RICK ASTLEY」(87年12月)

この中で注目すべきは、「RICK ASTLEY」。
「My Arms Keep Missing You」のオリジナル12インチ「The No L Mix」(PHIL HARDING)と、
リミックスバージョン「Bruno's Mix」(PETE HAMMOND)とのサウンドの中に
「PETE WATERMAN」によるミックスイメージ選定に悩んだという形跡が感じられる。

というのも、「RICK ASTLEY」ファーストアルバムからのシングルについては、全て「Mark Mcguire」+「PETE HAMMOND」によるスタッフであったように、実にソフト音色がジャストフィットしていた。
しかし、カバーシングル「When I Fall In Love」とのカップリングで、印税対策としてSAWオリジナル曲を収録するにあたり、楽曲イメージをどうするか?という面で「PETE WATERMAN」はワンパターン化を避けたかったようだ。
そこで、「My Arms Keep Missing You」というノーマルイメージの強いポップにアクセントを付けようという発想から、オリジナル「The No L Mix」では、かなりインパクトの強いブレイクビートが加えられた。
この激しいパーカッションによる打ち込みは何処からやってきたのか?

これは「HOUSE-SOUND」でお馴染み、「The Opera House / JACK E MAKOSSA」(87年9月)のカップリング収録曲「AFRICAN-MIX」のブレイクビートからきている。
ご存知この曲は、「ARTHUR BAKER」による作曲兼プロデュースですが、ミックスを担当したのが、「PHIL HARDING & PETE WATERMAN」。
恐らくブレイクサンプルは「ARTHUR BAKER」によるモノだと思われるが、このインパクトある
パーカッションサンプルが気に入った「PETE WATERMAN」が、「My Arms Keep Missing You」で取り入れようと思いついたのでしょう。

「PETE HAMMOND」による「Bruno's Mix」の方は、セカンドミックスながらも、サウンドイメージは実にノーマルであり、「RICK’S-POP」にフィットした仕上がり。
しかしサウンド面のワンパターン化を避ける為、「The No L Mix」(PHIL HARDING)をオリジナル
12インチとして採用したと考えられる。

こうした経緯はあるものの、上記2バージョンのサウンド統括エンジニアとしてSAW-POPを支えたのが「Mark Mcguire」。
双方にミックスイメージの違いはあるが、聴き易さあるポップミュージックとしてのSAWの拘りをしっかりとキープしながら、リミキサーとのサウンド固めに傾注したスタンスというものが、
「The No L Mix」に感じさせられる。

これに加えてUKでは「Maybe」カップリング12インチ収録となったレア音源こそが、
「No Fool(The Murray Mix) / HAZELL DEAN」(88年6月)
※USではメイン・リリースとなりました。

ここでのエンジニア表記はレコードジャケット上のみですが、この表記は個人的には正しいと考えられる。
こちらも同様にサウンド音色は「HARDING & CURNOW」イメージが強い中にも、「SAW-POP」としての聴き易さに徹した「Mark Mcguire」の存在感がある。

この他に単独リミキサーとしても以下カップリング収録作品がある。

○「Burning All My Bridges / PHIL FEARON」(86年11月)
< Ain´t nothing but a house party >

○「You're Never Alone / MANDY」(87年1月)
< I Just Can't Wait >

○「More Than Words Can Say / CAROL HITCHCOCK」(87年5月)
< Get Ready >

○「Just Good Friends / RICK ASTLEY」(87年10月)
 < Whenever You Need Somebody >

○「I'll Never Set You Free / RICK ASTLEY」(88年2月)
< Together Forever >

この中で最も注目すべきは「RICK ASTLEY」による2作品。
楽曲タイプで言えば、「Just Good Friends」は「PETE HAMMOND」のようなソフト音色で、
一方「I'll Never Set You Free」はどちらかというと「PHIL HARDING」に近い。
これは一体どういうことか?
ひとつの視点で言えば、リミキサーが誰であれ、基本は「SAW-SOUND」だという表れであり、
もう1点は「PHIL HARDING」、「PETE HAMMOND」それぞれの特徴音色を使い分けている点でみれば、これがサウンドの統括エンジニアを担っているという証。
この2曲については、ある意味レア音源である。
「RICK ASTLEY」オリジナル曲を「SAW」がサウンドプロデュースというワークは、これ以外には存在しない。

以前に「RICK ASTLEY」が某テレビ局にゲスト出演した時、
「僕のオリジナル曲はレーベルの人間(RCA)には気に入られていたよ。」
というコメントだったが、「PETE WATERMAN」の方は厳しい評価だったようである。

ここで付け加えておきたいのは、「PETE WATERMAN」だけが評価しなかったということではなく、
これは双方の最終判断であったのだと思いますが、逆に言えば上記2曲については
「PETE WATERMAN」に気に入られた作品だということが言える。
個人的にもこの2作品については、「GOOD-MUSIC」として評価したい貴重音源だと思う。
ちなみに「RICK ASTLEY」がPWLワークとして採用された作曲作品とは、
「MIKE DUFFY」プロデュース、「PETE HAMMOND」がミックスを担当した
「Is This Really Love? / JOHN OTIS」。(88年11月)

ほぼ同時期にリリースされた「You're Never Alone」と「More Than Words Can Say」に共通するキーワードが「ロックバラード」。
「アイドル・ボーカル」ということで分かりにくい人もいると思うが、スタイルはギターやメタル調なスネアドラムをメインとしたサウンドが特徴的。
「More Than Words Can Say」は「MEL & KIMバージョン」が最も魅力だが、サウンドを
「ロックバラード」として切り分けてみると、もうひとつの「STOCK & AITKEN’Sワールド」として感じさせるものがある。

「Mark Mcguire」によるミックス名義が意味するのは、新たな戦略として彼をリミキサー候補としていた訳ではなく、87年当時のPWLスタジオ内は実に多忙な時期であった為、スタッフ総動員でミキシング作業に対応したのだと考えられる。

「Mark Mcguire」が関わったサウンドを総合的に検証してみると、主に「STOCK & AITKEN」流
ポップミュージックを最大限に引き立てる「SAW専属エンジニア」であったことが言えると共に、
「RICK ASTLEY」ファーストアルバムの中で「SENIOR-ENGINEER」という肩書きから、
サウンド・エンジニアとして中核を担う重要な人材であった事が言える。

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