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持続可能な社会と金融コミュのウォール街に告ぐ、透明性の洗礼に備えよ − M.ウィンクラー

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10月29日(ブルームバーグ):米国民は連邦政府による銀行・保険会社救済に対する苦々しい思いを払しょくできないでいる。救済につぎ込まれた3090億ドル(約24兆8900億円)の公的資金が元金プラス利益付きで戻ってくると分かってもそれは変わらない。なぜかといえば、米政府が事実をすべて開示することを拒んでいるためだ。それが実現しない限り、あらゆる世論調査で政府と金融機関への信認の欠如が示されるだろう。

世界最大の信用市場の崩壊と、数百もの金融機関を破たんから守るために米政府が導入した未曽有の措置について数多くの本が執筆された。しかし、誰がどのような状況で意思決定し、いつどこで公的資金が支出され、どのように配分されたのか−。われわれはそれをまだ知らされずにいる。

S&P500種指数が2009年3月の安値から60%を超えるペースで回復する中で、アイゼンハワー政権以降で最も低い債券利回りにもかかわらず、今回の株式市場の上昇局面に個人投資家は参加していない。これは過去数十年で初めてのことだ。情報開示が完全に行われなければ、ウォール街(米金融街)が拝金主義の邪悪な存在と見なされても驚きではない。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)とJPモルガン・チェースなど、全米の最大手商業銀行20行で構成するクリアリングハウス協会は、米連邦準備制度理事会(FRB)による救済策である緊急融資プログラムの利用状況を非公開のままにしておくよう求めて最高裁に上告した。この訴訟では窓口(公定歩合)貸し出しを含む融資プログラムで資金を借り入れた金融機関の特定が争点となっている。

消し難い烙印

訴訟はブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグ・エル・ピーが情報公開法に基づき、金融機関名を公表するよう求めて起こしたもので、ブルームバーグは連邦高裁までの審理で勝訴、FRBは最高裁への上告を断念した。

BOAやJPモルガン、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなどの銀行側代理人は、借り手の詳細が公表されれば、金融機関は消し難い烙印(らくいん)を押されて競争上不利な状況に置かれ、将来的に緊急資金も利用できなくなると主張している。

歴史を振り返って見ても、市場と経済にとって不透明さが透明性に勝ることを示す事例は存在しない。マネーは隠し事を嫌い、うやむやな問題は疑いを生じさせ、一部の市場参加者に不当な利益を与える一方で、金融システムを弱体化させる。

透明性が見たままの結果が得られることを意味する場合、市場の信頼性は改善される。08年11月にシティグループが200億ドルの公的資金の注入を受けたことを政府が発表した後、シティの株価は58%上昇した。

FRBの心変わり

測定不能なほど複雑なリスクを開示した結果、悪評が生じてもそれは妥当なことだ。債務担保証券(CDO)に関して監督当局がその害毒を遅ればせながら明らかにした際、まさにそれが起こった。CDOのような高利回り債への飽くなき投資意欲はその後衰え、現在のCDO市場はかつての抜け殻に過ぎない。

FRBが透明性をめぐる問題で心変わりしたのは今回が初めてではない。ブルームバーグは訴訟を通じて、FRBが証券会社ベアー・スターンズ救済の一環として行った特別融資の担保についても詳細を開示するよう求めていたが、ニューヨーク連銀は3月31日、2年にわたって非公開にしてきた一覧表を公表した。

そこには保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)から取得した資産や債券発行体の破たんに備える保険、米ニュージャージー州とマレーシアのホテルの株式などが掲載されていたが、情報開示が金融市場に目立った影響を与えることはなかった。緊急融資プログラムの利用状況についても、FRBが訴訟を継続しない以上、ブルームバーグが求めている情報をある時点で公表することができるだろう。

市場の信頼

米議会は金融規制改革法(ドッド・フランク法)策定に際して、納税者が金融当局の投資を追跡する必要性を賢明にも理解していた。同法はFRBに対する監査に加えて、09年3月時点で最大7兆8000億ドルに膨らんだ銀行向けの緊急資金と資産保証に関するデータの公表をFRBに義務付けている。

ドッド・フランク法は公定歩合貸し出しについての情報開示をFRBに求めてはいない。だが、それが実現すれば、FRBが法に違反し、支払い不能状態にある銀行に長期間にわたって融資を行っていなかったかどうかが明らかになり、どの銀行が存続するために政府の支援を必要とし、どの銀行がそうでなかったかが分かるだろう。

透明性の向上は、説明責任を強化し、納税者が救済を手助けした銀行を信頼する理由をさらに増やすことになる。透明性向上を通じて信頼を深めた投資家からの資金で雇用が創出され、脆弱(ぜいじゃく)な市場が回復する可能性がさらに高まることこそ最も重要だ。(マシュー・ウィンクラー)

(マシュー・ウィンクラー氏は、ブルームバーグ・ニュースの編集主幹です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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