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持続可能な社会と金融コミュのBNPパリバの欧州的な「良き企業」の理念

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「ウォール街最悪の1週間」が明けた10月13日の米株式相場は取引開始直後から一気に急騰モードに入り、ダウ工業株30種平均の終値は9387.61ドル(前週末比936.42ドル高、11.08%高)まで回復した。

「スイングマーケット」──。米メディアがそう呼ぶように市場は方向感を得られぬまま乱高下と大揺れを繰り返している。ただし、先週見られたような歯止めの効かないフリーフォール(自由落下)の恐怖からはひとまず脱したと言えよう。

週末を挟み、世界金融恐慌を回避するための世界的な協調体制が構築されたことが一定の評価を得た。米ワシントンで緊急開催されたG7(7カ国)財務相・中央銀行総裁会議は10日夕方、各国金融機関への公的資金注入方針などを盛り込んだ行動計画を発表。

11日にはG7に新興国を加えた20カ国(G20)の緊急財務相会議が同じくワシントンで開催され、協調の輪を広げた。さらに週末から週明けにかけて、英、独、仏などが公的資金投入計画を次々に明らかにした。

言うまでもなく、これで危機が去ったわけではない。実体経済への影響が目に見えてくるのはむしろこれからであり、公的資金投入で自己資本増強圧力が高まり、金融機関は再編の嵐に向かって自ら突き進んでいかなければならない。

サブプライム禍の震源地=仏BNPパリバの自信

「そろそろフランス語かドイツ語の勉強を始めなきゃ」──。

最近、金融業界で交わされている半分冗談、半分大真面目な会話である。今回の金融危機で傷みが最も激しい米英系金融機関は、いつリストラされるか分からない。会社そのものがなくなってしまう可能性もある。

次に籍を移す先は欧州大陸系か。社内公用語として英語は使えるだろうが上司はフランス人かドイツ人になるかもしれない。金融大再編の予感がそんな不安と迷いを日増しに膨らませているのだ。

金融再編は欧州でも既に本格化している。

10月6日、フランスの大手銀行BNPパリバは、経営難にあった金融大手フォルティスを、総額145億ユーロ(約1兆9900億円)で買収することを正式に発表した。フォルティスが持つベルギーの銀行、保険事業、ルクセンブルクの銀行事業とトルコの銀行事業を買い取る。今回の買収で、BNPパリバは預金量でユーロ圏最大の銀行になる。

BNPパリバのコーポレート&インベストメント・バンキング(CIB)部門アジア太平洋地域代表のディディエ・バルム氏は、欧州金融再編の中核となることへの意欲と自信を隠さない。

「我々は、欧米の主要金融機関の中でトップグループにある。利益は減っているが、多くの競合他社と比べればかなり良い成績を残している(グラフ)。収益構成は60%がリテール部門、20%がアセットマネジメント&サービス部門、20%がCIB部門、とバランスが取れている。軸足を欧州に置きつつも、北米、アジア、新興国にも拠点網を拡大している。CIB部門を見ると、金融危機が顕在化した2007年第3四半期からの1年間で黒字を出しているのは、米ゴールドマン・サックスと当社の2社だけだ」

リスクに晒されている不良債権の大半は米金融保証会社(モノライン)関連で、過去1年で約26億ユーロ(約3600億円)と競合他社に比べてかなり少ない。

「3〜4年前にサブプライム関連の投資に手を出さないという基本方針が経営陣によって下された。強力なリスクマネジメント部門を擁し、経営陣からも独立して活動していることも功を奏した。現場からは『ほかの投資銀行は皆やっているのに、うちはなぜ手を出せないんだ』という不平不満が出たが結果的に大きな違いとなった」

利益至上主義を貫いて自滅した米国の競合他社とは異なり、欧州的な「良き企業」の理念がBNPパリバの現在の優位性を作り上げた、とバルム氏は胸を張る。

確かに我々がこれから目にしていくのは、あらゆる金融機関がただ一様に沈み込んでいく姿ではない。一気に沈没し消滅していく者がいる一方で、なんとかして踏みとどまる者もいる。新たな流れに乗って浮上する者もいるだろう。市場が大きくスイングするたびに、世界金融地図が塗り替えられていくことになる。

金融サービスの原点回帰が生き残りの条件

一般の投資家や預金者の側からも、“勝ち馬”の選別が始まろうとしている。

「他行から当行に預金口座を移す顧客が、9月末頃から急に増え始めた。1つの支店だけで1日に3〜4人は確実にやって来る。どちらかといえば富裕層が多い」

パリ8区と9区に12支店を擁するシャンゼリゼ・グループの個人顧客責任者フロレンス・レッシュ氏はそう話す。まるで地震や山火事の前に動物が大移動するように、銀行の顧客が移動を始めているというのだ。

顧客に選ばれるか、捨てられるか──。リテールを中核とする巨大銀行が次々に誕生する中、最終的にはそうした金融サービスの原点に立ち返ることが新金融秩序の基本哲学となり、金融機関の生死を分ける決定的要因になる。

BNPパリバと言えば、米国発のサブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題を世界の金融市場に広げた震源地として知られている。2007年8月9日、サブプライム関連の証券化商品を組み込んだ傘下の3つのファンドの解約停止を発表したことが金融不安を世界に伝播させたと言われている。

この「パリバ・ショック説」について問うと、バルム氏は顔を上気させて否定した。

「我々が危機の引き金を引いた、というのは全くの間違い。あの日、FRB(米連邦準備理事会)とECB(欧州中央銀行)が市場に対して巨額の資金注入をすることを発表した。そのことが市場の不安心理に火をつけたのであって、BNPパリバが金融不安を生み出したわけではない。そもそも危機はもっと前からあった」

3つのファンドがサブプライム関連商品を組み込んでいたのは確かだが、3つのファンドを合計してもBNPパリバの運用資産全体の0.5%以下だった。問題は昨年8月8日の時点で、その資産の価値を測るための市場が成立していなかったということ。

価値をゼロと見なせば、投資家に損失を与えてしまう。そこで買い戻しを2〜3週間延期し、“モデルベース”という手法で価値を評価した。投資家を待たせることになったが、投資家が失ったものはほとんどなかった。バルム氏はそう強調する。

「あれは投資家を保護するためのベストな判断だった」

これまでのウォール街だったら、歯が浮いてしまうような台詞……。これからのウォール街で、果たしてそんな言葉が聞かれるようになるのだろうか。

(日経BP 10/15)

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