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司法試験論文試験対策「憲法」コミュの新司法試験21年度過去問

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こんにちは、Kちょうです。 現在、ロースクール3年生です。
平成21年度公法系第1問を解いてみました。よろしくお願いします。

http://www.moj.go.jp/content/000006454.pdf

設問1 
第1 問題の所在
本件遺伝子実験中にCが重体となったことについて、審査委員会規則8条の「重大な事態」を理由にY県が本件実験の中止命令をだした。
このことについて、Xは本件中止命令により、Xの研究の自由を制限しているが、研究の自由は、通常内心的にとどまることから、中止命令によって、研究を中止させることは、絶対に許されず、違憲であると主張することが考えられる。
一方、Y県側は、本問の研究は、他人を被験者として遺伝子治療をするものである。このことは、通常の内心的に留まる研究とは異なり、外部との接触があるものである。
このことから、公共の福祉(憲法13条)による一定の制約をうけるべきであるから、研究中止は一定程度許されると主張される。
 Xの主張は許されるか。

第2 審査委員会規則8条による中止命令の適否
1 
この点、本問の研究は、Y県の主張どおり、他人を被験者として遺伝子治療をすることから、外部との接触があり、一般的に考えられている研究の自由とは異なるものである。
このことから、公共の福祉により一定程度の制約を課すべきである。
すなわち、規制することにより得られる利益と、規制により失われる利益を比較し、重い利益の方を保護すべきである。
2 
本問では、規制により得られる利益は、中止命令によって、遺伝子治療の安全性を確保することである。一方、失われる利益は、Xの研究が続けられなくなることである。
この点、中止命令によって遺伝子治療の安全性を確保する利益は、Xの研究することができる利益と違い、人の生命にかかわるものである。
このことから、遺伝子治療の安全性を確保する利益の方が、重いといえる。
3
しかし、審査委員会規則8条の「重大な事態」は漠然としているものであり、不明確であることから、明確性の原則(憲法31条)に違反するのではとXが主張することが考えられる。このことから、審査委員会規則8条は明確性の原則に反しないか。

第3 明確性の原則
この点、明確性の原則に反するか否かは、一般通常人が、本規定が適用されるかを判断できるかで決すべきである。
本問においては、遺伝子治療は安全性という点で不安があり、また、2009年には、B教授の実験による死亡事故がおきている。
このことから、「重大な事態」とは、「生命に危険が生じる事態」と限定解釈すべきである。
したがって、明確性の原則に反していない。
第4 本問の場合
本問では、Cが実験中に重体に陥っており、たとえCがのちに回復をしたとしても、「生命に危険が生じる事態」が生じたといえる。
このことから、本件措置は適法に行われたと考えられる。
第5 結論
 以上から、Y県立大学が、審査委員会規則8条に基づいて行った中止命令は、適法である。

説問2
第1 問題の所在
Y県は、Xが、C及び家族4人の遺伝子に係るすべての情報を、C及びその家族に伝えたことについて、遺伝子情報規則6条2項に反しているとして、停職処分にした。
 このことから、Xは同条が疾病の原因となる遺伝子のみならず全体像及び関連する遺伝子を開示しなければ、疾病について十分に説明することはできないことから、被験者に対する説明事項を規定する「遺伝子臨床治療研究に関する指針」に反すること。
また、開示対象を本人に対象を限定していることから、遺伝子情報規則6条2項はC及びXの知る権利を侵害し、その規定による停職処分は、Xの研究の自由及び職業の自由(22条、23条)に反し、違憲である旨の主張をすることが考えられる。
一方、Y県側は、Xが本件停職処分の違憲性を争う際、C及びその家族の権利を援用することから、違憲性を主張する際に、他人の権利を援用することは、他人の人権に干渉することになることから、許されない。
また、仮に許されるとしても、本人に限定している趣旨は、開示することにより、さまざまな問題を考慮したこと。疾病に関する情報に開示対象を限定している趣旨は、本人にあたえるマイナスな影響を考慮していることから、理由がある旨の反論をすることが考えられる。
かかる主張は認められるか。

第2 C及び家族の権利の援用について
1 
 まず、XはC及びその家族の知る権利を援用して、自己の研究の自由及び職業
 選択の自由を主張することが考えられるが、かかる主張は認められるか。
2 
 この点、自己の権利主張の際、他人の権利を主張することは、他人の権利に干
 渉することから、原則として許されない。
  しかし、権利保護の観点から、他人の権利を主張することが、自己の権利と密接
 に関連し、有利になる場合には、認めるべきである。
3 
  本問では、X教授は、遺伝子情報規則6条2項の規定外の情報をC及びその家
 族に開示して、当該処分を受けたことから、C及びその家族の知る権利とXの主張
 に関連性があるといえ、また、Xがそのように主張することがXにとって、有利とい
 える。
4  
  したがって、かかる主張は認められる。

第3 遺伝子情報規則6条2項が、開示情報を本人に限定していることと、疾病に関する情報に限定していることについて

1 
 開示情報を本人に限定し、疾病に関する情報に限定している。このことから、C及びその家族の知る権利を害しているか。

2 
 この点、知る権利は、複雑な情報社会の下、情報の送り手と受け手が分化しており、表現の自由と密接に関連していることから、憲法21条1項によって、保障されている。
 しかし、知る権利も絶対的無制約ではなく、人権相互のバランスから、一定程度公共の福祉(憲法13条)による制約をうける。

3 
 具体的な判断基準は、本人権を制約して得られる利益と、失われる利益を比較し、重い利益のほうを保護するべきである。

4 
 本問において、得られる利益は、開示情報を本人に限定することで、開示することによっておこりうる様々な問題を考慮したことと、疾病に関する情報に限定することで、本人におこりうるマイナスの影響を考慮したことである。
 一方、失われる利益は、C及びその家族の遺伝子情報を知る権利を害され、X教授自身が停職処分により、Y県立大学内における研究発表の自由及び職業の自由を害されたことである。
 この場合において、治療を受ける当事者にとって、遺伝子の情報を知ることは、大きな関心ごとであり、また、疾病の原因となる遺伝子情報だけでなく、それに関連する遺伝子情報や、家族の遺伝子を知ることも、大きな関心ごとといえる。
 また、X自身も、関連する情報や全体像C及びその家族に伝えることで、今後の治療の方針を考えたりすることができることなどメリットもあるといえる。
  このことから、C及びその家族に、それらの情報を開示することは、自己実現の観点などから人格的に重要であるといえる。
 このことは、被験者に対する説明事項を規定する「遺伝子臨床治療研究に関する指針」も同じ趣旨であると考える。
また、Xを停職処分にすることで、遺伝子治療の研究が進まなくなることから、学問的にも大きな損害といえる。
このことから、制約するには、慎重に考えるべきである。
しかし、Y県側は、遺伝子情報規則6条2項を規定する際、開示情報を本人に限定する趣旨は、開示することによっておこりうる様々な問題を考慮したことと、疾病に関する情報に限定することで、本人におこりうるマイナスの影響を考慮したこととであり、非常に不明確なものとなっている。
このことから、Xの研究発表及び職業の自由、C及びその家族の知る権利の利益の方が、重いといえる。
 以上により、遺伝子情報規則6条2項は、、Xの研究発表及び職業の自由、C及びその家族の知る権利を害すことになり、違憲である。

第4 結論
 以上から、X教授の主張が認められる。
                                     以上
 


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