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★マートン２８戦連続Ｈ

期待と予感が交錯した横浜スタジアムに、球団史を彩る快音を響かせた。
チームへの貢献と、個人記録の“両立”。
日本一のヒットメーカー、マートンが、勝利を呼ぶ一打を放った。

「自分がヒットを打ったことより、ジェイソン（スタンリッジ）、榎田、福原、藤川、全員がああいう形で１点を守ってくれたことが大きい」

勝ちたい。
その一心でバットを振り抜いた。１－１の同点で迎えた四回二死三塁だ。
横浜先発・小林寛に２球で追い込まれてからボール、ファウル、ファウル。
持ち前の粘りを見せつけ、６球目の直球をとらえた。
投手のグラブをはじき飛ばした白球が中前で弾む。
勝利に直結した一打で“虎の歴史”に追いついた。

９月４日の横浜戦（甲子園）から、これで２８試合連続安打。
２００１年に桧山がマークした球団記録に並んだ。プロ野球史上でも７位タイ。打つたびに存在感を増しているが、Ｍ砲自身は個人記録に固執していない。

昨季終了後、桧山からチャリティーイベントへのグッズ提供をお願いされ、“タイトルホルダー”を驚かせた。
マートンが最初に差し出したのは、イチロー（現マリナーズ、当時オリックス）の日本記録に並ぶシーズン２１０安打目を放ったバット。
あまりに貴重な品に、背番号「２４」が戸惑った。

違う品を要望されると、２１４本目を打った相棒を惜しげもなく提供。
野球選手としての成長とチームの勝利を最優先する男は、栄光にとらわれない。成し遂げたことより、これから成すことに目を向ける。

六回一死一塁では中堅フェンス直撃の二塁打。
打率を・３１８に上昇させ、自身初の首位打者に前進した。

「チームの勝利に貢献できたら気持ちがいいけど、１人では（勝利）できない。チーム一丸でやっていきたい。個人個人が結果を出して、チームに貢献することが大事。タイガースのユニホームを着てプレーできるのは光栄なことだし、ベストを尽くしていきたい」

１０日からは、東京ドームで３位・巨人との直接対決。
終戦か逆襲か－。
今季が決まる３連戦。虎の歴史を塗り替える一打が、逆転ＣＳへの道をつくる。