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半可通のための経済学講座コミュの経済の持続的成長とは

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経済の持続的成長(潜在成長率の上昇)とは何を意味するのでしょうか。以下参考です。



「経済の持続的成長は、最終需要の持続的な拡大と、それにあわせた供給能力の拡大によって実現されます。経済分析では、しばしば、供給面からみた経済成長を3つの要因、すなわち、資本設備の伸び、労働力の伸び、生産性の伸びに分けて分析します。いわゆる成長会計という手法です。この方法を使って、日本経済が現在よりもはるかに高い成長を遂げていた時期の成長の源泉を振り返ってみます。黒田昌裕・前内閣府経済社会研究所長の分析はこの面での代表的な研究成果ですが、その分析によると、1960年から85年まで25年間の平均成長率は6.8%となっており、これに対する寄与の内訳をみると、資本設備が3.7%、労働力が0.9%、生産性が2.2%となっています。持続的な成長を実現するためには、当然のことながら、需要の拡大と供給力の拡大の両方が必要ですが、供給面では、労働力の寄与は意外に小さく、資本設備の増強や生産性の上昇の寄与が大きいことがわかります。人口減少やそのもとで発生する問題への取り組みが重要であることはもちろんですが、それと並んで、先行きの日本の成長力を高めるためには、第1に、需要拡大の源泉をどこに求めるか、第2に、生産性の上昇をどう実現していくか、という2つが特に重要なポイントとなります。

最近の金融経済情勢と金融政策運営
http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0911g.htm



「資本蓄積は経済成長に貢献するが、(均衡成長率を上回るペースで)資本ストックを増やし続けていくと、その限界生産性は逓減する。あるいは、限界的な投資リターンの低下から株主要求利益率を達成できず、設備投資の伸び率は必然的に鈍化すると言い換えても良い。これが、基本的な成長理論において、TFP上昇率(技術進歩率)が均衡成長率の唯一の決定要素となる理由である。

実際、わが国を例に経済成長や労働生産性の内訳をみてみると、TFPだけでなく資本の寄与もかなり長期にわたってプラスとなっている。しかし、このことは上記の理論的な帰結とは矛盾しない。資本蓄積に必要な設備投資行動そのものが、先行きの経済成長率(技術進歩率)に依存するところが大きいからである。事後的な要因分解(成長会計)の結果として経済成長に対する資本の貢献が観察できても、その背後に働いている構造的なメカニズムはまた別である。」


わが国の生産性を巡る論点
www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp09j11.pdf

コメント(187)

んじゃ、ガチで病気なんだ。

そりゃまずは養生するしかないやね。
>143

うん。
ただ、仮に医師から就業を勧められるくらい健康状態が改善しても、
雇用情勢が今後さらに悪化することを考えると誰かに雇っても貰うの
は期待薄。

障害雇用の枠でどっかの大企業に潜り込むか、
また起業するかどっちしかないかな〜。
まー、果報は寝て待て。とも言う。

病気の時にあれこれ考えてもいい方向にはいかないさ。
みなさん、ご無沙汰してます。
こっちのトピはまったり具合がいいですね。

>137
「将来の所得増は、適材適所のための人材配置、新製品の開発、海外での市場の開拓といった広い意味でのイノベーション、それを通じた生産性上昇なしには考えられない。」

適材適所のための人材配置を進めるには、企業の新規参入を阻害する規制を取り除いていくのが一番よいと思います。
新製品の開発は結局のところ技術力がものを言うので、国をあげて重点的な政策を打ち出すべきでしょう。大学をはじめとする研究機関にもっと税金を投入し、その成果を一部の大企業だけでなく、オープンソースなやり方で発表していくことが公平性においても重要です。
また、TPPのような自由貿易に対しても、自由貿易により他国から流れてくる技術や知的財産のノウハウをパクリ、それをさらに高い付加価値をつけて逆輸出するチャンスでもあるわけです。日本人はこういうところに優れていますし、技術力上昇に寄与することでしょう。
適材適所に人材配置しようと思ったら、適所に配置するための教育が不可欠でしょうね。

付加価値の高い産業を産み出そうと思っても、過去に例のないこと、正解が何なのか分からないことを研究しなければならないわけで、詰め込み教育ではない創造性の教育ができないと、打開できないのではないか、と。
歳を取ると、新しいことに挑戦するよりは、現状維持を好むようになる傾向があるようで、高齢化が進むと硬直化することは、仕方のないことだと思っています。

国外に場を求めるのも選択肢の一つとは思いますが、だからといって、生まれ育った地域を簡単に見捨ててしまうのも考えものかな、と。

結局、身近に起こってる問題は、自分に能力が無いために解決できないのも一因でしょうから、いろいろと試行錯誤を続けていかないと打開できないんだろう、と考えてます。
日本脱出、はちょっと極論すぎましたね。前言撤回します。

日本の社会保険制度や税制・人口政策などが経済成長の可能性の芽を摘んで
しまっていると思っていますが、経済学的・社会学的な根拠に基づいてそれらを
作り直すことさえできれば、再び経済成長を再開できるのは容易だと思います。

現状があまりにも非効率極まりなく労働力がありあまりすぎているから、明治維新
なみにルールを作り直せばもう一回くらい「所得倍増計画」を実施するのは可能
だと思います。
経済成長で所得を増やそうとしなくても、分配を見直したら、日本は結構、裕福な国だと思うのですが...

日経ビジネスの記事によると、日本の4割の人が、「自力で生活できない人を政府が助けてあげる必要はない」と考えているそうです。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111114/223822/?mlt
>157

日本人の四割は私に死を望む、ということでありましょうか。
障害を理由に何度も解雇されまくり、働くところはどこにもない。
だから、政府からの施しにすがって生きながらえるより他ない。

その統計が十分に信頼しうるものであるならば、私が皆に迷惑をかけず済む
ためには、自力で生活する機会のある国に移住することが最善なんでしょうかね。

たしか、

経済成長率 = 資本増加 + 生産性向上 + 労働力増加

の式がありますよね。資源の制約が厳しくて経済成長率がこのままずっと
横ばいなら、資本や生産性が個別企業の努力で向上した分、労働量を減らし
続けねばならない。

自分を必要としてくれる国に移住することが一番いいことなのかな。
日本としては、過去に移民政策があって、ハワイやらブラジルなどに移民された方々がいて、その子孫が日系人として渡日で帰ってきた、という経緯がありますね。

今や、移民を受け入れる余裕がある国がどれだけあるのか分かりませんが、出生国が駄目なら出ていく、という行動を多くの人が選択したら、世界は荒廃するだろうな、と思いました。

団塊ジュニア以下の世代が踏ん張って、制度を変えなければならないんだ、と個人的には思っています。

そのために、何をすれば良いのか、が分からないんで、悩んでいるんですが。
>158
深く考えない方が良いと思いますが...

 政府への依存が意外と少なく自立しているのが、日本人の良い点なのですが...
 一歩間違えると、俺が頼らない以上、おまえも頼るなになるところが悲しいところ。

 何事も、ガンバリズムで問題対処なんです。
 対処できない人は、ガンバリが足りない人と考える傾向があります。

 努力すれば→自力で生活できる。
 自力で生活できない→努力していない→怠け者→怠け者を助ける必要なし 
 と考えているだけです。

 努力したくても、出来ない人のことなんて、考えていません。

 あと、家族で支え合うというのが、暗黙のうちの大前提です。
 介護問題とかそうですね。

 基本的に、自己責任論は、便利なんですよ。
 「あなただけの問題」にできるので。あなただけの問題にしてしまえば、自分は関与する必要ないですし、そこで問題解決なんです。
124で書いた、「消費者余剰」はミクロ経済学における基礎理論であり、市場メカニズムによる経済厚生(社会的余剰)の最大化を理解する上でも重要なエッセンスです。以下参考ページ。



benio.atomi.ac.jp/~tanno/intro_microecon.html


>163

ありがとうございます。
今の自分は、ずっとフリーランチを食べている?ような気がしていて
落ち着かない気がしていましたが、長期的には薬の治験データとか
治療のプロトコル確立という形で社会にbenefitを還元することはで
きているかも、です。
日本の経済成長のボトルネックの一つに、全ての仕事が首都圏に
集中している、ということがあげられますね。

私は、この年になってもリクルートとかからIT関連の求人のオファー
を貰ったりすることがあります。しかし、全て首都圏の求人であるた
め自動的に断らざるを得ません。
家族を連れて首都圏に移住するとしたら、少なくとも10万円の家賃の
負担が発生し、それで借りれるのはせいぜい2DKが関の山で子供を
持つことはできません。

たとえば、大阪にITの仕事があるならば、首都圏の約半分の家賃で・
かつ都心までの通勤時間も半分以下で済むのですごく助かるので
すが、ITは首都圏にしか仕事がないからホントにキツいです。

アメリカみたいに、首都と違う場所に産業の集積を行っていれば、
能力のあるひとがそこにどんどん移住して適材適所で産業が発展
していったんでしょうが、
日本の場合は、運よく東京に生まれたひとか、片道2時間の電車
通勤に耐えられる人しかIT産業で働けないからすごく非効率。

日本の自動車産業は、東京ではない場所に集積したことが発展の
最大の原動力だったのではないか、と思いますね。
日本中から能力ある人材を集めることができた、と。

デフレについて
ミクロ経済学視点で、何十年も前ならぼったくれていた会社に対して競合他社が次々に参入すれば当然その会社は販売価格を下げざるを得ません。しかもグローバル化で生産コストの低い国とも争わないといけないの昔と比べ価格は大きく下落します。企業側も人件費を削るために生産拠点を国外にするとか日本人を雇うにしても給料はたくさんあげられないですよね。そう考えればデフレもワーキングプアも仕方が無い気がしますがこの考え方は間違ってますか?

実際、国が国内企業を完全に保護している分野って諸外国に比べて料金がアホみたいに高いですよね、規制緩和でこういう分野が減っていけばますますデフレになりそうな気がします
デフレって逆に言えば生産力が優れているって事ですよね?
首都圏は放射性物質汚染があるから。……。。。
重複してしまったので削除しました。。
日銀金融緩和10兆円
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120214-00000049-reut-bus_all
「日本経済の緩やかな回復経路への復帰をより確実なものとすることが必要」

うーん、緩やかな回復基調なんて吹けば飛ぶようなものだし、世界経済の不確実性はまだまだ深い。
それでも、いくぶん和らいできたって判断か。
日銀による金融政策にせよ、政府による為替介入も含めた財政政策にせよ、短期的な経済変動(景気循環)に対してはそれなりに効果は発揮するものの、長い目で見た経済成長率(潜在成長率)に対しては直接的な効果は限定的です。

そもそも、長期にわたる低金利状態にもかかわらず、経済停滞が続く低成長構造それ自体を問題視する必要があります。経済構造改革を実行し、潜在成長率が改善すれば、自然利子率も上向くため、財政・金融政策もより効果を発揮し、短期的な経済ショックにも強い、持続的経済成長を実現できます。
はじめまして

経済の成長はいろんな因果関係で成り立っていると思いますが、簡単には限界生産力逓減法則や限界労働力逓減法則にある程度の説得力があると思っています

ですので消費者の潜在的消費意識(物を買いたい)
を刺激して有効需要を呼び起こすことでGDPの成長を実現できると信じています( ̄^ ̄)ゞ
日本経済の問題とされる財政健全化にせよ、低成長にともなう低インフレ(いわゆるデフレ)の解決にせよ、最も重要なのは実質成長率の引き上げです。実質成長率の引き上げは、市場メカニズムに基づいた経済政策運営(規制改革)と、市場メカニズムを適切にワークさせるた制度設計(税制、法制、セーフティーネットなど)のいわゆる構造改革が重要不可欠です。詳細はOECDの提言が参考になります。



日本再生のための政策 OECDの提言
http://www.oecdtokyo2.org/pdf/theme_pdf/macroeconomics_pdf/2012%2004_Japan_Brochure_JP.pdf

これからの日本経済はグローバル化のメリットを最大限に取り込むことが重要ということです。
なぜなら、貿易開放は輸出拡大という短期的メリットだけでなく、中長期的には貿易障壁が低くなることで、輸入の選択肢の拡大や競争を通じた資源の再配置などが生じ、生産性の向上、消費者余剰の拡大をもたらすことになり、持続的経済成長に寄与すると考えられるからです。そのためには、開かれた貿易体制を整備していくことが不可欠であり、今後も企業や経営者が求めている規制緩和、税制改革、市場開放の推進を始め、政府の果たすべき役割は大きいと言えます。事実、OECDだけでなく、日本の政策当局や経済界もその重要性を説いています。以下参考です。




「日本のショックに対する日本自身の生産の感応度も低下している。この点は、日本経済が、内需だけでは生産誘発効果が弱く、外需を取り込むことによって成長する構造へと、変化してきていることを示唆している。」

日本の生産変動:グローバル金融ショックと世界経済の構造変化
www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2010/data/rev10j05.pdf




「貿易開放度の高まりは生産性上昇率の改善に寄与

一般に、海外に門戸を開き貿易が盛んになれば、中長期的な経済成長にプラスの効果があるとされている。その経路としては、いくつかの可能性が考えられる。第一は、輸入の拡大で国内生産のための材料や機械設備の選択肢が広がり、効率化につながるという経路である。第二は、海外からの輸入品に体化された技術を学習し、自国の生産技術の向上につながるという経路である。第三に、内外の市場での外国製品との競争を通じて、国内の個別企業の効率改善や、産業間・企業間の資源の再配置による経済全体としての生産性の向上につながるという経路である。いずれの経路についても、直接的には貿易に携わらない産業・企業に対しても間接的な波及があり得る点が重要である。

このように考えると、貿易の経済成長に対する効果を検討するに当たっては、技術進歩などを含む全要素生産性(TFP)に着目するのが適切である。具体的には、OECDのデータを用いて、貿易開放度とTFP上昇率の関係を調べてみよう。もちろん、生産性は貿易開放度以外の要因によっても変動する。ここでは、高齢化率と研究開発費比率を選んで生産性の説明要因に加えた(

第2−2−7図)。

結果を見ると、予想されたとおり、貿易開放度が高まるほどTFP上昇率が高まるという関係が観察される。もちろん、貿易開放度も関係国の様々な経済主体の活動の結果であり、生産性への一方的な因果関係が想定できるわけではない。しかし、貿易障壁が緩和されるなどの制度的、政策的な変化があると、それが貿易開放度の上昇を通じて生産性上昇率の改善につながる効果に加え、国内での競争強化などによって生産性への直接的なプラス効果が生ずる可能性も指摘できる。 」

平成23年度 年次経済財政報告
www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/11b00000.html



「今後本格的な人口減少社会をむかえるわが国が、経済の競争力を高め、国内における雇用を維持・拡大し、国民生活の向上を図っていくためには、アジア太平洋をはじめとする各国・地域との経済連携協定を積極的に締結し、わが国経済の成長につなげていかなければならない。

こうした中、米国を含む環太平洋9カ国によりTPP交渉が進められている。経済成長戦略を実現していく上で、わが国の本交渉への参加は欠くことのできない重要なステップとなる。万が一、この機会を逃せば、わが国は国際的な事業環境の整備において諸外国から大きく後れをとり、ひいては世界の成長と繁栄から取り残されることになりかねない。」

TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への早期参加を求める
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/101.html
バーナンキFRB議長が指摘するように、経済が持続的に成長するためには、財政規律に対する市場の信認の維持が不可欠であり、前提条件であると言えます。
日本の国・地方の債務残高はGDP比180%に達し、増大の勢いは止まりません。政府は資産も持っていますが一般政府ベースでは債務が上回り、大幅な債務超過状態にあります。
また、政府債務残高の推移は、一見したところ発散経路上にあるようにみえ、実証分析においても現在の財政赤字は持続可能でないとする指
摘があります。議長の講演のタイトルにもあるように「持続的成長の源」である経済全体の生産性をいかにして向上していくかが重要です。 つまり、財政健全化と経済成長の両立は我が国経済にとって不可欠な要素であり、それら無くして企業の積極的な設備投資も望めません。以下参考です。


バーナンキFRB議長:米国は財政規律の価値を学び直す必要ある


9月28日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は28日、米国は多くの新興市場国の成功から学ぶべきであり、責任ある財政政策を通じて力強い経済成長を支える必要があるとの見解を明らかにした。

  バーナンキ議長はオハイオ州クリーブランドで講演。事前に配布された講演テキストによると、議長は「米国のような先進国も、規律ある財政政策の重要性など、新興市場国の経験から教訓の一部を学び直すのが賢明だろう」と述べた。

  同議長は8月のジャクソンホールでの会合で、「長期的に力強い経済成長の押し上げを支援する政策の大半は、連邦準備制度の領域外だ」と述べており、この日の講演でも同趣旨の内容を繰り返した。「持続的成長の源に関する新興市場国からの教訓」をテーマとしたこの日の講演では、米経済や金融政策の見通しには言及しなかった。(後略)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920015&sid=a7tsXMq8MPYY


「財政健全化と経済成長の両立は我が国経済にとって不可欠な要素であるが、OECD諸国の過去の事例を調べると、財政再建期間中であっても必ずしも経済成長率の低下は生じていないこと、さらに、財政再建期間の終了後に経済成長率がむしろ高まった国が多いことも明らかになった。その内容を見ると、財政再建後に経済成長率を高めた国は、歳入増加努力とともに歳出抑制、特に政府消費の抑制に取り組む傾向があった。」

平成23年度 年次経済財政報告
www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/h01_04.html


「内部留保を積み上げることの価値は、内部留保の積み上げをリアル・オプション(延期オプション)と考えることによって評価できる。先行きの不確実性が高い場合、企業は、一旦、投資や負債の圧縮・利益配分などを控え、内部留保として資金を手元に積み上げる。この時、内部留保は、将来、不確実性が低下した後に、?先行きの業績見通しが改善していればその時点から投資を行い、?先行きの業績見通しが悪化していれば負債の圧縮や利益配分を行うことができるオプションとしての性質を有することになる。このように内部留保のオプション性を利用することで、企業は、不確実性の高い時点に投資や負債の圧縮・利益配分を行うことによって損失を被るリスクを軽減し、企業価値を高めることができると考えることができる。」

わが国企業による有利子負債の圧縮と利益配分策
www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2005/data/rev05j07.pdf
生産資源である労働や資本が低生産性セクターから高生産性セクターに移動する際には、ある程度摩擦が生じるので、それを緩和するには失業保険制度などの社会保障政策などのセーフティーネットが不可欠となります。

ただし、ここで注意しなければならないのはセーフティーネットは経済構造調整の手段であって、決して目的ではないということです。もちろん、仮にそれが過度になったり、目的化すれば共産主義や社会主義になりますので生産性は低下し、経済の持続的成長にはマイナスになります。 詳しくはこのコミュの「望ましいセーフティーネットとは」を参考にして下さい。
一国の1年間の国内総生産(GDP)は、就業者数と、その1年間に産み出された就業者1人当たりの付加価値、つまり付加価値ベースでみた労働生産性の積となります。従って、経済成長率、すなわち国内総生産の増加率は、就業者数の伸び率と労働生産性の伸び率という、2つの要素によって決まります。以下参考です。




「一国の経済における究極的な政策目標が国民の経済的な豊かさの追求にあると考えるならば、それは人口一人当たりの実質付加価値(一人当たりGDP)を高めていくことにほかならない。やや長い目でみた一人当たりGDPの上昇は、労働力率の上昇や構造的失業率の低下といった可能性を別にすれば、労働投入一単位当たりGDP、すなわちマクロ労働生産性の上昇によって達成される。このようにマクロレベルの議論では、労働生産性という指標の重要性を比較的ストレートに導き出すことができる。一方、ミクロの実証研究では、TFPが資源配分の効率性を表す指標としてしばしば利用される。また、ソローモデルのような基本的なマクロ成長理論でも、経済が均斉成長経路(balanced growth path)にある場合、外生的な技術進歩率を表すTFP上昇率が持続的な成長(一人当たり成長)に対する唯一の源泉とされている。」

わが国の生産性を巡る論点
www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/data/wp09j11.pdf




「一人当たりGDPの上昇には労働生産性の上昇が最も大きく寄与
 
国際的に見たときの我が国の経済成長率の低さの原因として、「生産性上昇率が低い」ことがしばしば挙げられるが、これは事実なのだろうか。一人当たり実質GDPの成長率を2000年代(日本は2006年まで、米欧は2007年まで)について比べると、大きな差があるわけではないが、日本は米欧より幾分低めである(欧州としてはEU10か国をとる)。80年代は日本の成長率が圧倒的に高かったが、90年代からは日本がやや低めという状況が続いている。こうした一人当たりGDPの基調的な動きを、労働生産性(総労働時間当たり実質GDP、いわゆるマンアワーベース)、生産年齢人口比率(総人口に占める15歳〜64歳人口の割合)、一人当たり労働時間、就業率(生産年齢人口に占める就業者の割合)に分解してみると、以下のようなことが分かる(第3−1−10図)。
 第一に、日米欧のいずれにおいても、一人当たりGDP成長率に対しては労働生産性の寄与が一貫して最も大きい。すなわち、一人当たり経済成長率に関しては、労働生産性がどの程度伸びるかが決定的に重要である。しかも、日本は米欧と比べて一貫して労働生産性上昇率がやや高めである。2000年代になってもこの傾向は変わっていない。
 第二に、にもかかわらず日本の一人当たりGDP成長率が90年代以降は低いのは、一人当たり労働時間と生産年齢人口比率の寄与が大きくマイナスとなっているからである。欧州もこの傾向があるが、日本ほど強くはない。90年代を中心に時短が進んだこと3、非正規化による短時間勤務者の増加、2000年代における高齢化の進展による生産年齢人口の減少などがその背景にあると考えられる。
 第三に、「就業率」の要因はプラスに寄与しているが、力不足である。「就業率」が上昇するのは、生産年齢人口に占める労働力率が上昇するか、失業率が低下するときである。我が国は、2000年代において女性や高齢者の労働参加の促進、失業の削減に努めたものの、欧州における失業率の大幅な削減のインパクトには及ばなかったといえよう。
 以上から、生産性上昇が「人減らし」を意味しているというより、生産年齢人口が減少するなかで、一人当たり労働時間が削減される一方、「就業率」が高まってきたことが分かった。 」

内閣府  平成22年度年次経済財政報告(経済白書)
www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je10/10b00000.html
減税や補助金、あるいは公共投資などの拡張的財政政策や、量的緩和などの金融緩和によって、「需給(デフレ)ギャップを埋める」という単純な発想で、経済の持続的成長は実現出来るのでしょうか。
また、そもそも長期にわたるの日本経済の低迷は、短期的な景気循環による単なる「不況」なのでしょうか?
以下参考です。





「コンベンショナルなケインズ経済学では、財政支出乗数、減税乗数は、ともに 1 を上回ることがアドホックに仮定されている。一方、完全な資本市場を前提とする消費者理論によれば(恒常所得仮説など)、政府支出(特に消費支出)の増大は、民間消費の減少を招くため、政府支出乗数は 1 を越えないことが示唆される。さらに、減税については、よく知られているリカードの中立命題によって、民間家計の支出行動に全く影響しない」

「結局のところ、財政政策によって、流動性制約家計が消費を増やしたとしても、それがマクロ的な景気刺激につながると考える理屈は存在しない。財政政策のマクロ的な景気刺激効果を考える上で見落としてはならないのは、財政政策の再分配効果の側面である。例えば、Carlstrom and Fuerst(1998)は、不完全資本市場のもとで、投資機会のない経済主体から投資機会のある経済主体への富の移転はマクロ的な景気刺激効果をもつことを理論的に証明している。こうした見方は、近年、我が国で活発に議論されている構造改革の議論と密接に関連している。つまり、財政政策が、衰退産業や規制によって保護されている非効率な産業から、優れた投資機会を持つ産業への富の移転効果を持つものであれば、そのネットの効果は理論的にはプラス(乗数が 1 を上回る)が期待されるというものである。」

財政政策乗数の日米比較
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2003/data/iwp03j04.pdf





「量的緩和政策は金融機関の資金繰り不安を回避することによって金融市場の安定や緩和的な金融環境を維持し、先行きの資金調達に対する企業の不安を通じた景気・物価のさらなる悪化を回避する効果があったと解釈できる。
 一方、総需要・物価への直接的な押し上げ効果は限定的との結果が多かった。中でも、マネタリーベース増加の効果は、金融政策のレジームがゼロ金利制約下で変化した点まで踏まえて実証すると、検出されないか、あってもゼロ金利制約のない時期よりも小さいとの結果であった。また、量的緩和政策によって、総じてみれば無担保コール・レート・オーバーナイト物を単にゼロ%にする以上の金融緩和効果が実現したことが示されているが、それでも総需要・物価の押し上げ効果は限定的との結果であった。」

量的緩和政策の効果:実証研究のサーベイ
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2006/data/wp06j14.pdf




「経済がデフレ状況に陥ってしまう主要な要因として、循環的な要因よりも、構造的な要因がより重要であることを示唆している。同時に、循環的要因を相殺しようとする政策手段の積み重ねは効果が薄く、構造的要因そのものを取り除く政策対応がより効果的であることを示している。つまり、金融政策はこのような経済の凋落への万能薬ではあり得ず、供給サイドに存在する構造問題を解決するための政策を代替することはできない。潜在成長率の下方シフトの場合、定常状態における成長率や自然利子率が低下し、経済がデフレやゼロ金利の状態に再び陥ってしまう可能性は高い。」

資産価格変動、構造調整と持続的経済成長
www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2004/kk23-4-5.pdf
181にもあるように、経済の持続的成長には労働力率の上昇も重要になります。その関連としてわが国では少子化問題が重要な課題であり、その直接的な原因として、女性の晩婚化とそれに伴う少産化あるいは無産化が指摘されています。その背景には様々な要因があるため一朝一夕では解決出来ない課題といえます。以下参考です。


http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2004/html-g/html/gg122000.html
平成16年版 少子化社会白書(概要)





http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2012/24pdfgaiyoh/24gaiyoh.html
平成24年版子ども・子育て白書 概要版





マクロ政策に支えられた資産価格の上昇は持続的ではありません。むしろ行過ぎた政策はその後の長く深い調整のトリガーとなります。以下参考記事です。


【FRBウオッチ】バブルの源はバーナンキ議長の過信
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M9VV1Y0YHQ0X01.html
経済・金融が危機に瀕している際に、金融当局が市場への潤沢な資金供給を通じて、金融システムの安定に貢献することは当然のことですが、同時にそれは一時的な緩和策に過ぎないことも忘れてはいけません。
つまり金融政策は、必要な経済・財政構造の改革を実施するための「時間稼ぎ」にはなり得ますが、構造改革それ自体を代替することは出来ません。仮に必要な構造改革が先送りされた状態が続いた場合は、その後にさらに深く長い調整が待ち受けています。以下参考記事です。



ECBバイトマン氏:中央銀行の力に限界、緩和策依存を警戒
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M2XZWN6VDKHS01.html


プロッサー総裁:QE3はFOMCの信頼脅かす、効果低い
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAX0666S972P01.html
ブルームバーグの記事によれば、日銀は今月20日の金融政策決定会合で、ヘッジファンドなども駆使して日本の潜在成長率の上昇に直接働きかけるための、新しい資金供給制度の詳細を公表する見通しです。
この新しい制度は、国内企業の海外進出の促進を通じて短期的には円高是正に効果を、中長期的には国内企業の収益力の向上を企図していると思われます。これは従来型の中央銀行の役割、つまり均衡成長率(自然利子率・潜在成長率)の水準に沿った政策運営ではなく、均衡成長率それ自体の押し上げを狙った一歩踏み込んだ内容のものと言えます。以下当該記事。


ヘッジファンド向け融資もOK、円押し下げ狙う−日銀が20日に新制度
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEW5KE6KLVTC01.html



ちなみに、最近の日銀首脳の講演でもその政策意図を暗示しているようです。以下参考。


「中央銀行がゼロ金利制約に直面し、自然利子率の大幅な低下に対して金融緩和余地が小さくなると、マクロ経済を安定させることも困難になっていく。そうした状況で中央銀行は、経済成長力や成長期待を引き上げ、自然利子率を引き上げていくことに貢献する政策を考えていく必要がある。」

【発言要旨】西村副総裁「経済成長をファイナンスするための資金供給 ― シュンペーター的な視点 ―」(GIC主催コンファランス)
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2012/ko121203a.htm/

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