working paperのご紹介ありがとうございます。要旨には双子を使ったイギリスの女性の教育の収益率は7.7%と書いてあります。また、データは1999年に3300組の同じ性の双子を調査したとあります。僕は、(71)(72)で 一時点のデータによる進学の収益率、生涯賃金、Mincer型の賃金関数は意味がないということを書きました。この部分は、確信を持っています。しかし、双子のデータを使えば意味のある分析になるのでしょうか?
お返事がたいへん遅れてすみません。ご指定いただいたBonjour et al.(2003) を読んでみました。
http://ideas.repec.org/p/qmw/qmwecw/wp453.html
数学や計量経済学を復習しながら読んだので、時間がかかってしまいました。
(110)に書かれた
> Bonjour et al.(2003)の方法はMincer型賃金関数の推定を改善する(つまり、個人の能力等を推定から除去し、学歴のみの効果を見ることができる)に過ぎませんので、結局は世代間の「何らかの強い効果」は除去できないですよね。
には同感です。でも、Bonjour et al.(2003)には面白いと思う点がいくつもありました。またMincer型賃金関数?も分かってきました。被説明変数の賃金に対数をとっているので、βは教育年数が増加した場合の変化率になるのですね。(71)で書いた進学の収益率と名前が似ていますが、別の概念ですね。
そのサーベイ論文がこの1、2年のものでなければ、分布の区分の問題に気がついていなかった可能性は高いと思います。英語版の「A fallacy of wage differentials」や「Do schools form human capital?」の公開は2005年です。簡単にウェブを検索した範囲で引用している英語論文は、Baldi(2006)「Changes in relative wages in Japan」 のP8〜P9だけでした。
http://www.jil.go.jp/profile/documents/Baldi_jp.pdf
Baldi(2006)は、日本の賃金を分析をしているので、見つかりやすかったのかもしれません。"his hypothesis and analysis certainly deserves greater attention"とあります。