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グラス・ハーモニカを知ろうコミュのNaxosのCD解説の内容について

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私がNaxosの『グラス・ハーモニカのための音楽』に付属する解説書から、グラス・ハーモニカの歴史に関する部分を、日本語に翻訳し、要約したものを掲載します。
今回、ナクソス・デジタル・ジャパン株式会社からは、文字数を特に制限しない要約の掲載の許可を、たまく(熊田恵)が頂いています。
転載、配布などは出来ません。
著作権は原著作者にあり、日本での使用権はナクソス・デジタル・ジャパン株式会社が管理しています。
原著は、当盤CDのグラス・ハーモニカ奏者、トマ・ブロシュ(Thomas Bloch)氏によるフランス語で、その英語訳からの日本語への翻訳・要約です。一部、固有名詞や、訳者による引用も、英語での表記を使用しています。


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グラス・ハーモニカの歴史


 いくつかのグラスにそれぞれ異なる量の水を入れて、音の高さを変えたものを叩くといったことは、大昔のペルシア、中国、日本、アラブで行われていたのだが、1743年に、濡れた指でグラスの縁を擦って音を出すという方法が考え出されたことが、グラス楽器の技術の転換点となった。当時、angelic organ, musical glasses, seraphim(セラフィム)などと呼ばれていたこの楽器に魅了されたベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)は、この楽器に修正を加えた。彼は水を入れたグラスの代わりに直径を変えたガラスのボウルを使い(半音階が演奏可能)、それを水平の棒に横向きに通し、棒の回転をペダルで制御できるようにしたので、複雑な和音が演奏可能になった。フランクリンは、その心地よい響き(harmonious sound)から、改良した新しい楽器をアルモニカ(Armonica)と呼んだ。


 それ以来、グラス・ハーモニカに由来する数々の楽器が作られた(その中には、最初のギロチンを制作した人物でもあるトビアス・シュミット氏が作った、ピアノ・ハーモニカや、ユニークな名前の楽器も挙げられていた)。繁栄の初期から約70年の間に、400前後の楽曲が作られ、4000もの楽器が派生した。


 この楽器は、賞賛されるにせよ疎まれるにせよ、熱狂的な反応を引き起こした。著名な作曲家、作家や詩人、合衆国大統領らも、それを褒め称えた。ある楽器事典は、その音は「ほとんど天の優しさ(nearly celestial softness)を持つが、(・・・)痙攣を引き起こしうる」と言及している。音楽の人体への影響に関するある論文では、「もの悲しい音色がわれわれを憂鬱へと陥れる・・・最も丈夫な男性が、失神せずに一時間聴くことが出来ないほどに・・・」と書かれている。


 最も優秀なアルモニカ奏者の一人、マリアンヌ・デイヴィーズ(Marianne Davies)は、精神病院でその命を終えた。1788年に出版された、ヨハン・クリスチャン・ミュラー(Johann Christian M?ller, ?はuにウムラウト)著『ハーモニカの独習法(Method of Self-Instruction for the Harmonica)』で、彼は、心をかき乱されやすい傾向のある人は演奏を控えるように、と注意を促している。あるドイツの町では、人々の健康を破滅させたり、公共の秩序を乱すとして、アルモニカが法的に禁止されさえした。メスメリスム(催眠術)の実験や、患者の治療に催眠療法を使うことで知られていたウィーンの医者、フランツ・アントン・メスマー(Franz Anton Mesmer)は、治療においてグラス・ハーモニカを使っていた。 (彼の患者の)盲目のピアニスト、マリー・パラディス(Marie Paradies)が、視力を取り戻したものの、精神の健康を損ねたのち、彼はウィーンを去らなければならなくなった。この種の噂がアルモニカの消滅の一因となった。


 18世紀の後期に、カール・レオポルト・レーリヒ(Karl Leopold R?llig, ?はoにウムラウト)が、グラスに直接指を触れることによって起こりうる危険を回避するために、鍵盤を取り付けてみたのだが、以降の作曲家でこの楽器に興味を持つ人はほとんどいなかった。オーケストラの音量が増大したことも関係している。しかし、2つの目立った例外がある。1835年、ドニゼッティ(Donizetti)は彼のオペラ「ランメルモールのルチア(Lucia di Lammermoor)」の狂乱の場面で、リヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss)も、彼のオペラ「影のない女(Die Frau ohne Schatten)」の最終幕で、グラス・ハーモニカを使った。ドイツ人グラスハープ(テーブルに立てたグラス)奏者のブルーノ・ホフマン(Bruno Hofffmann,1913-1991)の活躍や、ドイツ生まれで合衆国に移住したガラス吹き職人、ゲルハルト・フィンケンバイナー(Gerhard Finkenbeiner)らの貢献のおかげで、1982年以降、グラス・ハーモニカの再発見が進んでいる。


参考資料:NAXOS CD 8.555295
ナクソス・デジタル・ジャパン株式会社承認

コメント(6)

さすがに全訳の掲載は認められませんでしたが、どうしても全訳を読んでみたい、という方は、たまくのページからメッセージでご連絡ください。それなりに詳しく載せましたが、迷った末に削った部分もあり、歴史の部分だけでも全部読んだ方が面白いことは間違いありません。

不特定多数の目に触れうる形での掲載は出来ませんが、個人的に直接受け渡しをする分には、人数も把握できますし、あまり多くならなければ個人的な利用と言うことで問題ないでしょう。だいたい、そんなに増えないと思いますし。

グラス・ハーモニカの歴史の説明の次には、グラス・ハーモニカの作り方、グラス・ハーモニカの原理、グラス・ハーモニカの盛衰から著者が思う「音と雑音」の時代性についてが続き、さらに、CDに収録された楽曲解説がここまでと同じ分量ほどあります。
ああ、たまくどん、善い仕事です。
すごく参考になりました。
楽しいねぇ…
あ、横文字の日本語表記ですが、
Roellig (oe は o-umlaut)はドイツ系の方であれば、
レッリヒとするのは如何でしょうか?

内容に直接関係は無いコメントをお詫び致します。
ロレンツォおじじ様、
そう言ってもらえるとありがたいです。

ご返答が遅くなり、失礼しました。
Roelligは、当番の収録曲の日本語の見出しを見てみたら、レーリヒとありましたので、今回はレーリヒと修正したいと思います。
ご指摘、ありがとうございます。

ベートーヴェンもルートヴィヒ(Ludwig)ですね、そう言えば。
oeも「ュ」には近くないし、ちょっと惚けてました。
たまくどん、元気?

一寸気が付いたのですが、
(ディテイル固執でごめんなさい。)
umlaut 付きのアルファベット表記って、

 o-umlaut → oe
 a-umlaut → ae
 u-umlaut → ue

でも良かったんじゃなかったっけ?

ドイツ語の β → ss とか、特殊なアクサンには
別表記の方法が存在する事が多いのではと思います。
どうぞ、専門家の知人の方が居られたらご確認下さい。
ロレンツォおじじさま、コメントありがとうございます。
umlaut表記法、Roelligの読みの指摘を受けた時に初めて知りました。
確認したらそう直しますね。細かい指摘でも勉強になります。

Wordファイルで打った時はumlaut付きで書いたんですが、
コピペしてアップしたら?になってしまっていたので、
そこは変更せずに、後から注釈を付けてみました。

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