ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

。」「コミュの10   東  京

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
_____________________________________

   東 京

_____________________________________





 僕は東京中の現場で仕事をする。
 その日は江東区の現場だった。
 その日も現場まで原付バイクで向かっていた。
最近、毎日いろんな現場にいくようになって東京はデカイ都市だと知った。それまで行動範囲が渋谷周辺ぐらいだった。杉並から朝のラッシュの甲州街道を抜けて大ガードをくぐり抜け歌舞伎町を通る。いきなり目にたくさんの看板が飛び込んでくる、こんな数の電飾の看板を一挙に見れるのはきっと世界でも珍しいと思う。サラ金。居酒屋。カラオケ。通りの奥を見るとキャバクラ。ラーメン屋。ビデオ鑑賞。
 一日かけてマンハッタンを歩いて一周したことがあった。ただ歩くだけ。その時の色んな風景を見ていたせいか日本の風景も旅行している時のように見る癖ができた。朝がたの歌舞伎町の前に目につくのはホストらしい若い男とお水のお姉ちゃん。彼らが仕事を終わり道に出てタクシーを大きく手を挙げて止めている。走っていたタクシーが急停止する。それをよけて靖国通りをまっすぐ行く。歌舞伎町の前はいつも朝は渋滞している。次から次へと歌舞伎町からホスト達や社交のお姉ちゃん達が出てくる。みなそれぞれ個性を出して自分の容姿にお金をかけている。次から次へとタクシーが止まる。ぼくの原付は渋滞しているそれらの車を縫うように走っていく。ぼくの運転はむちゃくちゃらしい、そのことに気づかしてくれたのは、ヤクザのお兄さんだった。赤信号で止まっていたら、隣に黒塗りのベンツが止まって、電動式のウインドウが開いたと思ったらその車のドライバーに「なんちゅー運転しとんじゃコラ」と怒鳴られた。ぼくはそんな気はなかったので、へ?って感じだった。助手席に乗っている人はヒバリの息子みたいな顔をしていた。そしてアンニュイな表情でぼくを睨んでいるのだった。おもしろい顔でもあったが、まるで殺し屋のような顔だった。そしてつづけてドライバーに腹から出す声で「ケンカ売っとんのかコラ」と怒鳴られた。久方ぶりに聞くセリフだった。それから走っていてあることに気づいた。ぼくはウォークマンを聞きながら運転している。そして興がのったら少し蛇行して運転していた。その運転にお兄さんは鼻がついたんだろうと思った。もちろん、その人たちには「すいません」と謝った。
 ぼくはこのての人たちとは昔から関わりあいになる羽目になっている。子供の頃、親父によく銭湯に連れて行ってもらった。ぼくはすぐそっち系の人たちとすぐ関わりあいになるので、あまり社交的ではない親父が困っていたのを覚えている。なぜか知らないけど向こうからやってくる。それはほんとうにおもしろいくらいに。子供の頃はなんかお菓子をくれたりする。そしておっちゃんたちの話すことは背中に絵を描いていない人よりもひとひねりあっておもしろかったり。親父が言うにはぼくも放っといたら、なぜかそっちのほうにフラフラと行ってしまうらしかった。ぼくが初めてつき合った女性もその中学校での一番の不良の人だった。小学校の時から名前だけは知っていた、いわゆるヤンキーの姉ちゃんだった。彼女は中三で、ぼくは小学校からあがりたての中一だった。ただの二つ年上というだけでその頃は相手はずいぶん大人に見えるもんだった。きれいな人だっと思った。でも、彼女はきっとぼくのことが好きだった。廊下で中三の先輩に挨拶していると、彼女はやってきて「いじめんとって」と彼女よりチビだったぼくをハグするのだった。それは男女間の好きというより、彼女はぼくを所有したいような感じだった。でもぼくはいつも彼女の母性を感じてドキドキしていた。なんかそんな感じだった。それが最初の付き合いだったぼくは、それがベースになって、学校という箱の中では、いつも、一番悪いとされてる女とつき合っていった。それも全部、相手のほうから言ってくる。ぼくはこの人の右に出る悪い女はいないんじゃないかなという女の人を東京でも知っている。もちろん年上でやっぱり逆ナンされた。でも東京になるとやっぱりレベルがすごい。彼女は見た目スーパーモデルだ。ヒールを履くと180センチ以上あるんではないでしょうか。ジャッキーチェンのハリウッド映画の最終選考オーディションにその昔、3人まで残ったというだけあってキレイでどこか村上龍の小説に出てくる女王様のような雰囲気がある。たまに電話すると会ってくれる。先日もちょうど会った。一緒に歩いているのを傍目から見るとぼくはマネージャーか弟にしか見えないのではなだろうかと思う。というかあんまり街に歩いていないタイプの人だ。会ったらほとんど彼女がしゃべっていて、ぼくは聞き役にまわる。彼女は今、自分の抱えてる仕事や環境を洗いざらい話しはじめる。彼女の話しはすごい。すごすぎて書けない。石油王からアラブの大使からホスト遊びの話やヤクザ関係の話しまで。そうとうな無茶をしている。あんな奇麗な容姿で男ども相手にばりばりダークサイドを歩いている。かと思えば社交界のほうにも顔がきいたりする。彼女は本当にあけっぴろげに僕に話しをしてくれる。そりゃもう最近のセックスの話しまで。それがまたすごい。ぼくは彼女のことが好きだ。若いとき彼女は実際アメリカでモデルとして活躍していたぐらい隙のない美人で、完璧なプロポーションだけど。中身にいるのはなんとなくなつかしいあのころの不良少女だ。そこがかわいい。風呂上がりのオロナミンCが好きだと言ってたし。それにもう少し書き足しとこう。彼女の美意識のすばらしさについて。彼女に会うといつも、『美』について話し合う。彼女は自分で自分のことを中身のないアンポンタンだと言うが、彼女の言うことにはいつも勉強させられる。彼女は、まず『美しくいること』それが大前提で、それ以外は全てそれに付随してくるものと考えていた。彼女の年齢は30の後半、彼女の容姿を見ながら彼女の無茶な話しを聞いていると『美しくいること』の厳しさを知る。彼女の環境はそんじゃそこらのあまちょろいものではない。男がやる仕事でその男が必ずまいっていく仕事だ。そういう彼女の環境を考えると『美』でいることの栄養のなにもない荒地で、力強く咲いている花のようなものだとぼくは彼女のことを思っている。彼女は言う「美しければいつか幸せになれる」と。 ぼくはその言葉を真理だと思っている。

 麹町大通りにはいって皇居をまわっていこうと思った。
大通りを抜けて半蔵門の交差点を右に折れる。すると急に空が開ける。皇居のまわりはとても開放感があるから好きだ。その日は天気もよくお堀の向こうの旧斜面の緑の丘が光ってキレイだった。その丘にとてもいい形の松を見つけた。原付バイクを運転しながらチラチラとその松を見ていた。日本画から出てきたような松だった。よく見ると、いい感じの松の木がけっこう生えている。ぼくはなんとなく日本のむか〜しの風景みたいなもんを想像した。なんにもなかったころの日本を。このあたりは盆地で一面なんにもない野原だったんだろうなと思った。そしてきっといい形の松がそこらに群生していたに違いない。それにやっぱり今のような季節になればあちこちで桜が咲いたりしていたのだろう。僕は原付を運転しながらあの急斜面の丘に寝そべって、こっち側の風景を見ている自分を想像した。きっと気持ちいいだろう。と思った。

 僕の仕事はビラを配る仕事だ。決められた場所に行って、その場所でビラを配っていく日雇いだ。ビラを抱えてマンションを見つけて集合ポストにビラを入れていく。このビラを配る仕事は一人が好きな人がやっている仕事というかバイトというか次の仕事までのツナギというか・・。会社側もそれをすごく理解している。一人好きが集まってくる仕事だと。毎日会社にビラをとりにいったら、みんな一人が好きそうで。学生、おじさん、前歯のないおっちゃん。いろんな人がいるけど、会社内もみんな静か。ぼくは彼らの物静かさをリスペクトする。静かなほうがいいじゃないですか、と言ってもオレもその一員なんだけど。毎日顔を会わす人はだいたい同じだから、朝会うと無言の挨拶みたいなのがあってね。おもしろそうな人とかもいるんだけど、でも、一人好きだから絶対話しかけちゃダメだし、かといってオレも話したくないし。
 毎日東京中の現場に行く。チラシを配るこの仕事は、けっこうその土地々々で嫌われていたりする。ポストに一日何枚も無駄なチラシが入っているのできっと頭にきてるんだろうし、無駄なチラシが多いから街が汚れるという理由で怒っている人もいる。汚い街は道のそこらじゅうにチラシが落ちている。マンションの前チラシが山盛りになっていたりする。そういう場所は街全体が汚い。だから汚い街に行くと怒られる頻度が高くなる。そういう街はなぜか住んでる人たちの気性も荒い。マンションの管理人にはよく怒られる。見知らぬおじさんやおばさんにも怒られる。僕はこの仕事でけっこうキレるのを我慢してみることを覚えた。はじめのころは「うるせえ、その黄色い歯を白くしてからもの言え」とか言っていちいち口喧嘩したりしていた。けどそれが毎度毎度だと体が持たないので、なるべくそのおじさんの話しを聞くようにした。だいたいビラを入れるぐらいその人にとってたいした問題ではないはずなのだが、ここぞとばかりに自分のストレスをぶつけてくる人もいる。あきらかにビラを配っているというだけで人間扱いしない人もいる。彼らはただ謝るだけじゃ簡単には許してくれない。おかしな説教をしてくる。その内容はその昔、学校の先生が言ってたような中身のない説教だったりする。「こんな無駄なことに紙を使って資源の無駄だと思わないのか!」と怒鳴ってくる人は何人かいた。けっこうそういう道徳的なことをたてに説教してくる人たちは多い。環境破壊や資源の無駄使いについて話し合っているWHOの会議室にはクーラーが効いていることを知らないのか?それに会議が終わったら終わったでその人たちは車で排気ガスをまき散らしながら帰路についている事実をおじさんは知らないの?そしておじさんはそば屋に行ったら割箸を使わないのか?と言ってやりたい気持ちを抑えてすいませんと謝る。都市に住んでいる以上、無駄な浪費は必要悪だと知っているくせに、彼らはいろんな正当的な言葉を費やしてぼくに卑屈になって生きろと言っている。ぼくにはそう聞こえる。ぼくは、卑屈に生きるのはおじさんたちの時代で終わりにしましょうよ、というか終わってます。と言いたい気持ちを抑えて謝る。こんなこともあったビラを配ったポストから30メートルぐらいかな、うしろからすごいイキオイでビラをもったおばさんが追いかけてきて「うちはいりませんから!」といってビラを返されたこともあった。捨てたほうが早いんじゃないの?と言いたい気持ちを抑えてすいませんと謝りそのビラを受け取ったけど、その帰っていくおばさんの後ろ姿を見て、なにかおぞましいものを感じた。ビラを返すのに走ってくる神経がちょっとぼくには想像の外だった。どうしても手渡しで返したかったすごい律儀な人なのだろうか。ちなみに目が気に入らない、警察に通報すると言った管理人のおじさんもいた。僕は普通に謝る。だから別に頭は下げない。目もそんな演技なんてできない。卑屈になる演技なんて高等技術は持っていない。それをしろと言ってきた。小さくてスターウォーズのイォークみたいにちょこまか動いて、訳のわからないことをわめき散らすおじさんだった。きっとぼくがこわかったんだろう。本当にそう思う。『警察、警察』とやたらとわめくおじさんにぼくは「勝手によべよ」って言って笑いながら「バーカ」といって去っていった。いちおう出際に自動ドア、バコーンと蹴っといた。小さいおじさん、もうバカボンにでてくるキャラみたいに飛び跳ねて怒っていた。 

 だんだん日があったかくなってきていた。外で仕事をするようになって季節や天気に敏感になった。同じ天気でも昨日と今日じゃ微妙に温度が違った。季節の変わり目には日の長さが急に変わりはじめた。近ごろはだんだん日が長くなってきた。彼女は家で寝ているだろうと思った。彼女はたまに家にきていた。というか彼女はなにもやっていないので、しょっちゅう家に遊びにきた。僕は来たい時に来ればいいと思った。そして嫌になれば出て行けばいいと思った。仕事が終わって電話をして夕飯をどうするか決める。 
 だいたい夕飯は家で作って食うようになった。
 仕事が終わったら会社に終了報告をして現場から直帰する。遠回りになるけど皇居を回って帰ろうと思った。夜の皇居が見たくなった。
 以前、彼女とこんな話しをしたことがあった。神楽坂の料亭で板前をやっている南のダシについてだった。彼女は育ちがいいせいか舌がとても敏感だった。下手なものは絶対口にしなかった。そもそもご飯をあまり食べれなかったので、だから口に入れるものはおいしいものを限定して入れているという感じだった。そこにきて南の濃縮したダシが活躍した。あのダシは絶品だった。ペットボトルで分けてもらっているんだけど、水で五倍に薄めて飲むだけで、もう飲み物だった。このダシを少し料理に足すだけで、彼女は食べた。僕は関西のダシの味わい方をレクチャーしてあげた。関西のダシは首のつけ根、舌の付け根あたりで香りを嗅ぎながら味わうのだと。彼女はそれをわかってくれた。それから彼女はけっこうご飯を食べるようになった。人がご飯をたくさん食べてくれれば、なんか安心した。そういう僕も成長期のころご飯をぜんぜん食べなかった。中学、高校。母親が早起きして作ってくれる弁当を毎日公園に捨てて帰った。通り道に面した公園の茂みに通り際、毎日捨てていったのだった。ある日その茂みの奥をのぞくと長年捨ててきた弁当の痕跡で山盛りになっているのを見た。飯、卵焼き、ミートボール、魚の照り焼き。母親はそんなことも知らずに「毎日キレイに食べるな」といって安心していた。母親は仕事をしている人だった。仕事前にこの公園の虫達や微生物に食わす為に何年間も早起きして毎日弁当を作っていた。たまに早起きすると台所に立ってその虫達用の弁当を作っている母親の後ろ姿が見れた。東京に来て一人暮らしをして、外食で適当に済ますことが多くなった。松屋。吉牛。らんぷてい。牛丼屋ばっかだ。ごわごわのゴムに照り焼きのコーティングをしたような生姜焼きをおかずに飯をかきこむ。味もなんにもしない。でも、ぼくはあのころ母親の作ったその味が嫌いだった。うっとうしい味だった。愛の味。それを食うと朝コーヒーをのみながら化粧をしている母親の匂いを思い出した。というかそれを食ってるような気分になった。
 一年に一回ぐらい実家に帰ってたまに母親の作ったものを食ってみる。まったく味は変わらない。でもこんなうまいものを作ってくれていたんだと思う。あと何回食えるんだろうかとも思う。あの茂みの奥でみた飯の山は、ぼくの捨てた分だけの母親に対する愛情の山だ。あの山を思い出す。
 南のダシはその愛の味とは対極にあった。無駄なものをそぎ落としてその愛からうまみだけを抽出したような味だった。ぼくは南のダシを味わうたびに「ズルい」と思った。うっとうしさもなにもなかった。完成された奥深い味がした。その奥には日本の歴史があった。僕はこのダシの味がどこから発祥したのか気になった。ぼくはつい歴史を辿る癖があった。長い暦のなかで才能のある料理人たちが無駄をそぎ落としていった結果が僕の舌にのっかっているのだと思った。でもそこからが問題だった。なぜ、その料理人達はうまいダシを求めっていったか、そしてそのダシの発祥だった。そのことを考えたらなぜか気分が落ちた。そんな、ぼくをみて彼女は「きっと庶民から生まれたもんだよ」と言った。ぼくはそうだといいねと答えた。

 永代通りから大手門を抜けて内堀通りにはいって皇居を半周するような形で帰ろうと思った。
 大手門に着くといきなり空が開けた。といっても夜だから真っ暗だった。皇居のまわりはパトカーも多いし警備している警察官も多い。走りながら皇居をチラチラ見た。建物はまるで見えないがそれをかくすように樹齢を重ねた大きな樹々が稜線を作っていた。昼間と違って真っ暗だ。そして巨大だ。夜になるとその巨大さはますようだ。まるで黒い山だ。そのまわりを僕は走っていた。たくさんの車が走っている。道がややこしい。走り馴れてない道だ。あたりまえのことだが皇居をよけるように道ができている。そのまわりには荘厳なつくりのおおきなビルが軒を連ねている。銀行、新聞社、国会議事堂。前方を見ると芝の東京タワーが見えた。あの東京タワーから夜の東京を見渡したことがあった。360°パノラマの夜景というヤツだ。夜になると東京は何億個の電球が灯り、見渡す限り電気の光で輝く。エレクトリカルパレードとかの比じゃない。そんな光の渦の真ん中あたりに丸く円を描くようにポッカリとなにもない暗いとこがある。それが皇居だった。
 僕はその皇居を見ていた。この暗闇のなかには、日本画から飛び出てきたような、あの奇麗な形の松の木とかが生えているんだろうと思った。それ以外なにもわからなかった。真っ暗だった。それを見ながらこの国の歴史を考えてみた。それもなんにもわかんなかった。謎だらけだった。東京タワーから見る皇居はまるで、でっかい穴だった。深くて真っ暗でなんにもない底なしのブッラクホールに見えた。ぼくはその皇居を見てなにかわからないザワザワした気持ちになった。
 
 麹町大通りから外苑東を昇って靖国通りを抜けていった。僕はラジオを聞きながら運転していてある曲を聴いていた。古い曲だった。60年代安保時代の雰囲気がある昔のフォークギター。「学生街の喫茶店」みたいな感じの曲だった。
なんという曲だろうと思った・・・


    浮かべた微笑みは空に溶け出して
    遥か彼方まで飛んで行きそうな

    投げかけた声もこだまして何処かへ
    散っていった今日は二人でかくれんぼ

    気がついてすぐに走り寄っても
    そこにはもういないんだ


    「もういいかい?」 隠れても

    「もういいよ」  わかるんだ

    「もういいかい?」まあだだよ

    「もういいよ」  わかるんだ 


 あとで調べたらそんな古い曲ではなかったけど、なんとも古めかしいフォークのメロディだった。
 そのメローなフォークギターを聞きながらバイクで走っていた。しばらく走っているといつものでかいEPSONの看板が見えてきた。その道沿いは朝と違ってギラギラと光っていた。
 アイフル、ビデオ鑑賞、カラオケ、ファミリーマート、居酒屋。
 ネオンの看板でできた要塞のような街だった。気取ったものはなにもなかった。その街にはネオンをよけるようにやたらといいスーツを着た白髪の若者とルイヴィトンのバックを持った女がたくさん歩いていた。アジア一の歓楽街といわれた大遊戯場歌舞伎町だ。
 その歌舞伎町を抜けて大ガードをくぐり杉並にある家に向かう。辺りはだんだん暗くなってくる。でも明かりが途絶えることはない。
 山手通りを通る。赤と黄色に光るコーンが道沿いに並んでいる。この道はずっと工事をしている。まだ東京は完成していない街なんだ。
 家の近くのサミットが見えてきた。
 二人でなにを作って食べようかと考えた。






コメント(1)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

。」「 更新情報

。」「のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング