「2001年宇宙の旅」を読む、あるいは見るたびに私はそんなことを考える。アフリカのどこかにモノリスが立っている姿を、である。この映画の主題は・・いろいろな説があるにしろ・・「神」の姿であろうと思う。知恵に目覚めた生物が「神」あるいはそれに近いものになるまでの、長い時間をかけた壮大な「実験」であろうと・・。 スタンリー・キューブリックはアーサー・C・クラークが1950年に発表した短編「前哨」からヒントを得て制作に乗り出した。キューブリックは既に「博士の異常な愛情」でアカデミー賞を受賞しており、この壮大なSF作品を手がけるための名声と資金援助を得ていたのだ。映画は5年の時間をかけて制作された・・キューブリックはクラークに何度も脚本の手直しをさせたそうである。そして1968年に映画が完成し、公開と同時にセンセーションを巻き起こした。それはそうだ・・映画はほとんどストーリーを語らないのであるから・・そして謎に満ちたラストシーンは論争を巻き起こし、「正しい解釈」がいくつも出来上がるほどであった。詳しくは不明だが、映画の後を追って、SF小説「2001年宇宙の旅」(原題:2001;A space oddyssey)が発売され、ベストセラーとなった。論評で「映画を見てから読む原作・・これが当てはまるのは本書しかない」と言われたそうである。本当にそうなのであろうか・・。