シアトル(AP) ロックの天才ギタリストと称された故ジミ・ヘンドリックスについて書かれた新伝記「Room Full of Mirrors」が今夏発売され、この中で、ヘンドリックスが同性愛者を装い、除隊していたとの新事実が示されていることが分かった。伝記はヘンドリックスの死後35周年にあわせたもので、作者は、チャールズ・R・クロス氏。伝記のタイトル「Room Full of Mirrors」は、ヘンドリックスの未発表曲名にちなんでつけられた。ヘンドリックスさんはこれまで、軍に志願して入隊したものの、パラシュートでの降下訓練中に足首を骨折したため、1962年に除隊されたとしていた。しかし、クロス氏によると、軍の医療記録にはこのようなけがの記述はない。代わりに、ヘンドリックスは軍の精神科医を定期的に訪れ、同じ部隊の同僚に恋をし、自慰行為にふけっているなどと告白していたことが分かった。ヘンドリックスはこのため、「同性愛の傾向がある」と判断され、除隊になったという。クロス氏によると、ヘンドリックスの女性好きは有名であることから、ヘンドリックスはただ単に、音楽をしたいがために、同性愛者を装って、ベトナム戦争行きを逃れたとしている。入隊を志願したのも、出身地の米シアトルで繰り返し車泥棒で逮捕され、刑務所での生活を逃れるためだったと主張している。
伝記は、ヘンドリックスの手紙や日記、軍の記録など、4年にわたる調査で集められた資料をもとに執筆された。内容は、音楽とのかかわりよりも、ヘンドリックスの生活や精神状態に焦点をあてたものになっているという。ほかにも、両親がアルコール中毒だったため、ヘンドリックスら兄弟は、置き去りにされたり、知り合いの家で育てられたという幼少時代のことや、仏女優ブリジット・バルドーと恋愛関係にあったことなども記されている。ヘンドリックスは除隊した後、軍の元同僚と一緒にバンド活動を開始。1966年に英国に渡り、ロンドンでジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスを結成、初アルバムをリリースした。数々のヒット曲を生んだが、1970年9月18日、薬物の過剰摂取で死亡した。 クリス氏は、2001年に出版されたニルヴァーナのカート・コバーンの伝記「 Heavier Than Heaven 」も手掛けている。