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恋する涙腺。コミュの待つよ♪ no.3

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    3
 流れる雲を見ていた。青い空に浮かぶ雲を。留まらず流されているままの雲を。
 彼女の名前を頼りなさそうに呟いた。
「真里菜・・・」
 待ち合わせの時間はとうに過ぎていた。携帯でお気に入りのバラードを聴いた。
 どうして、彼女は僕の名前を知っているのだろう?
 好きな作家の新作の続きを読んだ。体言止めが多用されている独特の文体。
 どうして、彼女は少しずつ待ち合わせの時間に遅れるのだろう?
 僕は流れる雲を見ていた。
 どうして、携帯で彼女の状況を聞かないのだろう?
 雲は流れ、色を変え、密度を増し、やがて僕の頬に髪に肩に冷たい雨をもたらした。
 雨の中、それでも僕は彼女が現れると、信じていた。
 待ち合わせ場所の河原には、もう誰の気配もない。昼間の賑わいが消え、河を叩く雨の音だけ。
 雨の音を久し振りに聴いた。
「ごめんなさい」
 確かに聞こえた。雨の音の中に彼女の小さな声を。
「待った?」
 彼女も濡れていた。
「ううん。さっき来たとこ」
「ごめんなさい」
 僕は頭を振った。
 たいしたことじゃないよ。君はこうして来てくれた。それだけで充分じゃないか。
「体、濡れちゃったね。河野君」
「真里菜も、な」
「捨てられた犬と猫みたいだね♪」
「そ、だな。世界の端っこに捨てられた犬と猫みたいだな♪」
「犬と猫なのに仲がいいの」
「そ、仲良しなんだよ」
「河野君は大きな犬だね。救助犬」
「真里菜は、白い子猫」
 唇の赤い・・・・
僕らは寄り添い、抱き合った。世界の端っこで一番目立たない場所で。彼女は少し震えて、僕を見上げた時の唇は淡いピンクになっていた。
初めて唇を寄せた。雨の匂いのキスをした。

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