WOWOWコミュのＷＯＷＯＷ制作最新映画　「きみの友だち」

ＷＯＷＯＷは映画やテレビドラマも制作していますよね。
ＷＯＷＯＷ制作の最新映画「きみの友だち」を鑑賞しました。　

　山梨先行公開初日（２００８年６月２１日）の最初の回に行きました。上映終了後には廣木隆一監督と恵美役・石橋杏奈さん、由香役の北浦愛（あゆ）さんの舞台挨拶もあり、会場は温かい雰囲気に包まれていました。映画は原作全てを映像化してはいませんが、印象深いエピソードが押えてあり、鑑賞後は満足感がありました。

　原作には具体的な地名は登場しなかったのですが、ロケ地である山梨県（主に甲府市）の地方都市の雰囲気が恵美や由香など登場人物たちの群像劇にはピッタリでした。監督がロケ地選定に拘ったという公園は甲府市伊勢４丁目にありますが、公園と近くにある「なかむらや」というお店（映画にも登場します）の位置関係が映画的にしっくりきています。

　また、恵美や由香たちが通う中学校のロケ地となった甲府市の山梨大学附属中学校は、教室や廊下、階段、ベランダ、グラウンド、石段に味があり、中学校で展開されるエピソードの引き立て役になっています。山梨大学附属中学校出身者であれば、映画とのシンクロ率も高くなるのではないでしょうか？

　周りに壁を作っている生きている恵美役の石橋杏奈さんの演技は、映画初出演で初主演という大役だったと思いますが、演技レベルは高いと思います。交通事故の後遺症で杖をつきながらの演技、中学生から大学生までの年齢幅が広い範囲の演技をすることは普通の役者でも難しいところだと思いますが、見事に演じ切っていました。１５歳にして女優オーラを発しています。

　由香役の北浦愛さんの演技は特筆すべきものがあります。自然な演技をさせたら、右に出るものはいないでしょう。彼女の出演した作品は未見でしたが、これから見たいと思います。学業を優先させているとのことで、今後、彼女が活躍する機会は少ないのでしょうが、日本でも数少ない個性的な女優になることは間違いないでしょう。

　その他、親友から相手にされないショックから視力が落ちてしまうハナ役をキュートに演じた吉高由里子さんや恵美の弟・ブン役の森田直幸さん、部活も恋もホントにダメな佐藤先輩役の柄本時生さん、自分の言動からブンたちの危機を招き、自爆パンチしてしまう三好君役の木村耕二さんら若手の実力派俳優たちによるそれぞれの物語は、誰もが青春時代に経験したことがある楽しいことや辛いことを思い出させ、エンドロールに流れる一青窈の歌声は人を思いやることや生きていくことの大切さを改めて思うでしょう。

　今夏は邦画・洋画共にビッグバジェットや大スケール、オールスターキャストの作品が多いと思いますが、この作品は、そういった話題性だけの作品とは違い、ストーリーや役者陣の演技、青春時代を思い出させる音楽、地方都市・甲府のアンサンブルが時代性のあるリアルな空気感を作っています。

　今を生きる若者や少し疲れてしまったかつての若者も一緒に観れる良質な作品です。

２００８年６月２１日（土）～　甲府・グランパーク東宝８にて山梨先行公開
２００８年７月２６日（土）～　新宿武蔵野館を皮切りに全国順次公開

ＷＯＷＯＷでの放送はまだ先ですがオススメです。