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地球を歩きながら、木を植えるコミュの何かをゼロから作り上げていくこと

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ハヤトとマコレレが旅出つ2日前、お隣さんのセルジオとマリア・ロサの家で大きな天然の鮭をご馳走になった。

セルジオとマリア・ロサは、ビニールハウスができるまで、マコレレとハヤトをキャビンに泊めてくれた。
ビニールハウスが完成して、一泊した二人。でも、早朝から100匹以上いる羊の群れがやってきて、「メーメー」の大合唱。

翌日、一軒家を貸してくれる人が見つかって、早速、そちらへ引っ越した(笑)「こんなに近くに人を感じたのは初めて。どうして、東京では感じないんだろう?」とハヤト。ラフンタの人は、コミュニティーが小さいからみんなすぐに仲良くなる。厳しい自然環境の中で開拓者として生きている人たちだから、助け合い・分け合いは当たり前。

マリア・ロサが両親に連れられ、4人の兄弟姉妹と共にラフンタに移り住んできたのは、39年前。当時7歳だった。
父や兄は馬で何日もかけ、アルゼンチンからやってきて、母親と娘たちは小さな飛行機で飛んできた。
当時、ラフンタに住んでいたのは、4家族だけ。
マリア・ロサの家族が移住してきたとき、町には店がなかったので、馬で15日かけて、ジャガイモ、小麦粉、石鹸、卵、砂糖、塩など、1年分の食料を買いに行ったそうだ。お風呂はドラム缶。でも、薪でお湯を沸かして入るのはまれで、普段は、冷たい川で行水した。

マリア・ロサの家は、パタゴニアの入り口として栄えた港町、チャイテンから次の大きな町、コヤイケまで一本だけ取っている街道沿いにあった。だから、旅人が通るたびに、両親は旅人を迎え、食事をご馳走し、宿を提供した。小さなマリア・ロサにとって旅人から聞く物語が何よりもの楽しみだった。

「だから、今でも家に訪れる人にはご飯を食べさせるのがうちの習慣なの」とマリア・ロサ。

最初にマリア・ロサとセルジオに会ったのは2年前。土地を探して、パタゴニアを約1000キロ。当時住んでいたフタルフからコヤイケまで、雪が降る中、旅をしている最中だった。ラフンタには、バスの乗り継ぎで、次のバスが来るまで、いつも何日か泊まらなければならなかった。バスでコヤイケまで行く途中、マリア・ロサのキャビンを見つけたので、電話で予約を入れた。

数日後、コヤイケからバスで戻ってきてラフンタに着いた。夜の9時半。真っ暗な中、マリア・ロサのキャビンへ行くと、すぐに台所へ通されて、ご飯を食べさせてもらった。これから、キャビンへ案内してもらえるのかな?と思っていたら、「手違いで今日は満室になってしまったの。ごめんなさいね。知り合いのキャビンを予約したから、そちらへ案内するわね」と車で知り合いのキャビンへ連れて行ってくれたのだった。
「なんていい人なんだ!」というのが、その時の印象だった。

それから、何度かラフンタに来るたびに、お茶に呼ばれて仲良くなった。お茶のたびに、手作りのパンとローズヒップのジャム、バターをご馳走になった。数ヵ月後、ついに中国へ旅立つ日が近づいてきて、「このまま、土地を買えずにパタゴニアを去らなければならないのか」と思っていた矢先、ラフンタで友達になったロドリゴという青年が地元のFMラジオに紹介してくれ、「土地を探している」とラジオで言ったら、翌日から、毎日、土地の権利書を持っていろんな人が土地を売りに来るようになった。その中で、見た瞬間に気に入って買った土地が、偶然というか、必然というか、マリア・ロサのすぐ隣の土地だったのだ。

マリア・ロサのだんなさんのセルジオは大工さんで、自宅もキャビンも全部手作り。腕のいい釣り人でもある。訪ねるたびに、ラフンタから10キロほど離れたところにあるロセロット湖で釣って来た鱒をご馳走してくれる。ラフンタでは缶詰以外の魚が売っていないので、私たちにとっては貴重なご馳走。「鱒が釣れたから夕食に来ない?」と呼ばれると、喜んで、GRAN TRAPACAのメルロー(赤ワイン)持参で飛んでいく。

マコレレとハヤトがラフンタを離れる2日前には、ちょうど、200キロぐらい離れたプエルト・アイセンの港からやって来た旅人が、海で釣れた天然の鮭を持ってきてくれたとかで、丸々と太った鮭をご馳走してもらった。ひとつは、セビチェと呼ばれるチリの料理で、生鮭をほぐして、玉ねぎ、赤ピーマン、ピーマン、コリアンダーのみじん切りと混ぜ、レモンと塩でマリネするもの。一日中、穴を掘ったり、アースバックに土を詰めたりと、寒さと連日の雨の中で体力を消耗しながらも、仕事をやり遂げた身体に、レモンの酸味とコリアンダーの香りが生鮭とうまくマッチして、身体の中にしみこんで言った。「Rico!!」(美味しい!!)をみんなで連発。

赤ワインを飲みながら、話に花が咲いて夜が更けていく。メインディッシュは、鮭のバター焼きとお米のご飯とレタスサラダ。鮭の脂が乗っていて甘い味がする。愛情たっぷりのご飯が嬉しい。赤ワインもどんどん空いていく。

「いつも、明日死ぬかもしれないと思って、今日一日を精一杯ハッピーに生きることが大事」
「この地球での人生はバケーションなんだよ。天国に行くまでの間、たくさん愛して、たくさん楽しむために生まれてきたんだ」
と、セルジオの人生哲学にみんなで「そのとおり!」と乾杯する。

マコレレとハヤトがラフンタに来た日、私たちもちょうど貸家を見つけて引っ越した。
何もないところから、4人で毎日、必死に試行錯誤しながら、止まない雨の中で土まみれ、泥まみれになって働いた。
雹が降った次の瞬間には太陽が照りつけ、そうかと思うと南極から強風が吹いてきて、また雨が降る。
彼らがいる間、3週間、雨が降らなかったのは1日だけだったし、今日もまだ雨が降っている。

寒さの中で、土地の上に立って、厳しい自然環境の中で、ほしい物が簡単に手に入らない環境の中で、何かをゼロから作り上げていくことの難しさを何度も感じた。

でも、そのたびに、顔を見上げると、目の前に雄大に流れる川があって、原生林がどこまでも続いていて、雪山が連なっている景色があった。そして、何度もこう思った。

「ああ、やっぱりここに土地を買ってよかった。この土地に巡り合えてよかった。神様、ありがとう」



写真1 マリア・ロサとセルジオ。いつでも笑いが絶えない。愛がたっぷり、温かい二人。

写真2 ラフンタはカウボーイの町。馬に乗っている人はしょっちゅう見かける。スーパーの前に馬を止めて買い物している人もいる。

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