この物足りなさを補って余りまあるのが、主役レイチェル・マローン役、アレキサンドラ・バークの歌である。映画版のホイットニー・ヒューストンと同じくくらい、いや、それ以上の歌を聞かせてくれる。第一幕の幕切れは "I have nothing." 第二幕の幕切れは "I will always love you." 特にこの二曲が素晴らしい。この舞台は主役レイチェル・マローン役で、と言うより彼女の歌の出来で大半が決まる。彼女の歌はすばらしく大いに満足出来た。
ちょっと面白いのが、"I will always love you." の使い方。初めに出てくるのは映画では、レイチェルとフランクがデートする酒場で二人が踊るとき男性歌手が歌う時であった。この舞台では、二人は「カラオケ・バー」でデートしてフランクが「歌う」、と言うより、「語る」のだ。映画も舞台もここでこの曲を聞かせているから最後に出てくる時、盛り上がるのだ。