第一部の中心は「Mozart!」、ウィーン初演のヴォルフガング役のイングヴェ・ガーソイ・ロムダールを迎え、7曲を続けて演奏した。初演キャストだけあって、ガーソイ・ロムダールのヴォルフガングが素晴らしい。最初は、「僕こそ音楽 Ich bin ich bin Musik. 」指揮者の棒を奪って振り始めるなんて演出もあって面白い。それから、マーク・ザイベルトのコロレド大司教、ケヴィン・タートのレオポルトにアンサンブルが加わり、「どこだモーツアルト」。次いで、マヤ・ハクフォートの男爵夫人による「星から降る金」。マヤ・ハクフォートはこういう歌にになると抜群のうまさを発揮する。この時も素晴らしかった。そして、ルカス・ペルマンのシカネーダによる「ちょっぴりハートに、ちょっぴりおつむに」。このペルマンは、歌だけで無く、演技・演出ともに最高だった。この曲自体が、ブロードウェイミュージカルのパロディーのような曲想となっていて、そこが楽しいのだが、さらに徹底しいた。この曲を聴いていると、モーツアルトの「魔笛」は深刻なオペラではなく、当時の娯楽ミュージカルのような物だったのではないかと思われる。ちなみに、「魔笛」初演のパパゲーノはシカネーダであった。